ラーの翼神竜に転生したけどなんか質問ある?   作:悲しいなぁ@silvie

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遊戯王ONCE第一話「太陽の神、ラーの翼神竜!」

「んー…駄目だ、やっぱり読めねぇ」

 

「どうしたの遊斗?」

 

授業終わりの休み時間に1枚のカードを見ながら渋い顔をする少年にピンク色の髪をした少女が首を傾げる。

 

杏子(きょうこ)か…いや、このカードなんだけどさ…」

 

少年…九重遊斗(ここのえゆうと)は持っていたカードを少女に見せる。

 

「へー、新しいカード?

なになに……って、何これ?何語なの…読めないんだけど…」

 

そのカードには金色に輝く美しい竜が描かれていたが、肝心なテキストが見たことも無い文字で書かれておりカード名すらわからない。

 

「そーなんだよなぁ…滅茶苦茶に格好良いから使いてーんだけど……

名前がわかんねぇから日本語版も買えねぇし……どーすっかなぁ」

 

そう言って頭を抱える少年を少女はクスリと笑う。

 

「でも、こんなカード何処で見付けたの?」

 

「拾ったぁー…帰り道で」

 

「拾ったって、遊斗…アンタねぇ……」

 

少女の目が細められ少年を責めるように突き刺す。

 

「だー!!違ぇよ!ネコババなんてしねぇーっての!

むしろ持ち主探してんだよ!見つかったらコイツの名前教えて貰いてーしよ」

 

「ホントかなぁー…?」

 

なおも訝しげな視線を送る少女の先には苦々しい表情ながら、新しい玩具を買ってもらった子供のようなキラキラとした目の遊斗が居た。

 

キーンコーンカーンコーン

 

「やべ、授業始まっちまう」

 

休み時間の終わりを告げるチャイムに遊斗は急いで次の授業の準備を始める。

教師に取り上げられてはかなわないと件のカードを自分のデッキケースに入れる。

決してネコババする気では無い……ただ、何故か自分のデッキに入れると妙にしっくりくる感覚に遊斗は首を傾げた。

 

 

「おい遊斗!放課後俺とデュエルしようぜ!」

 

午前の授業も終わり、皆がお弁当を広げたり購買に向かう中やたらとガタイの良い少年が遊斗にそう声を掛ける。

 

本田(もとだ)…んー、良いぜ!

俺もちっと考え事有ったし、こういう時はデュエルして頭スッキリさせるに限るよな!」

 

遊斗の返事にやりぃ!と指を鳴らす本田。

その二人の後ろで杏子が額に手を当てて大袈裟に言う。

 

「ホント…このデュエル馬鹿共は……」

 

「あはは、遊斗君も本田君もデュエルが上手だからね

学校のデュエルの授業だけじゃ物足りないのかも」

 

隣に座ってお弁当を広げる金髪の少年が困り気味にそう言うと杏子は眉間にシワを寄せて睨みつける。

 

「何事にも限度があるわよ!

何しててもデュエルデュエルデュエル!ホント…馬鹿なんだから…!」

 

口を尖らせてそう言う杏子に城内(きない)少年は苦笑いを浮かべるしか無かった。

 

 

そして、二人が待ちに待った放課後が訪れた。

 

「家まで行くのも面倒だし…ここの公園で始めるか!」

 

「オレは何処でも良いぜ!」

 

遊斗と本田、そして杏子と城内は四人で学校からほど近い公園のデュエルスペースに来ていた。

遊斗と本田の二人は学校のカバンをベンチに置くと腕に着けたデュエルディスクにケースから取り出したデッキを差し込む。

 

「行くぜ遊斗ー!」

 

「おう!」

 

「「デュエル!!」」

 

デュエルディスクのランプが赤く光る。

どうやら先行は本田が取ったらしい。

 

(………あれ?オレ、デッキケースにあの拾ったカード入れてなかったっけ…?)

 

遊斗は授業前の事を思い出し手元のデュエルディスクを見る。

しかし、デュエルディスクは何事もなくデッキをシャッフルすると5枚の初期手札を吐き出した。

 

(んー…?確か他言語版のカードが混じってたらエラー吐くんだよな?

………あれ?じゃあオレ、あのカード何処にやったんだ?)

 

遊斗はたらりと冷汗をかきながら5枚のカードをデュエルディスクから引き抜き、ゆっくりと目を通す。

 

原始生命態ニビル

無限泡影

SRベイゴマックス

デビル・コメディアン

ラーの翼神竜

 

「…………んん!?」

 

手札誘発もあり中々悪くない手札だと思ったのも束の間、とある1枚のカードに遊斗の視線が釘付けになる。

 

「ラーの…翼神竜……?」

 

件のカードが手札に有った。

しかも、先程まで一切読めもしなかったそのテキストが何故か日本語になっている。

 

「…そうだ!効果は……」

 

ラーの翼神竜

星10/神属性/幻神獣族/攻?/守?

精霊は歌う。大いなる力、すべての万物を司らん。

その生命、その魂、そしてその骸でさえも。

 

「ん~……????なんだコレ…プロモカードか…?」

 

レベルや属性、種族等は遊斗のよく知る遊戯王カードと同じ形式ではあったが肝心のテキスト欄には謎の文章が書かれているのみであった。

 

(カード枠は効果モンスター…だよな?

そもそも、通常モンスターなら攻守?はありえねーし……

でも…ディスクがエラー吐いてないって事は公式に使えるカードなんだよ……な?)

 

「おい遊斗!お前のターンだぜ!」

 

首を傾げながらうんうんと唸る遊斗に本田から声が掛かる。

 

「んー……ん?は?オレのターン…?」

 

遊斗が手元から視線を上げると、其処には──

 

 

フィールド

 

鎧皇竜-サイバー・ダーク・エンド・ドラゴン ATK5000 DEF3800 攻撃表示

 

サイバーダーク・ワールド 永続魔法

 

 

鉄の翼を大きく広げ、此方を威嚇するようにその長い蛇のような身体を揺らす機械仕掛けの竜の姿があった。

 

「いや〜!遊斗君が誘発引けてなくて助かったぜ〜!」

 

「おま…っ!汚ぇーぞ!!オレが考え事してる最中に展開しやがって!」

 

「デュエル中に考え事してるお前が悪いんだよ!

俺は悪くありませ〜ん!」

 

そう言っておちゃらける本田に遊斗はぐぅ…と言葉に詰まる。

勝手に展開されたが、確かに自分が他の事に気を取られていたのが悪いと言えばその通りなのである。

 

(どうするか…サイバー・ダーク・エンドは発動した効果を受けない耐性があるから今の手札じゃキツいな…

てか、ニビルが完全に腐った……どうすっかなぁ……)

 

遊斗があーでもないこーでもないと頭を悩ませていると、不意に手元が光った。

 

「ん…?これって……」

 

咄嗟に目を向けると手元のラーの翼神竜のテキストが再び読めなくなっていた。

ただの一文を除いて。

 

ラーの翼神竜

星10/神属性/幻神獣族/攻?/守?

このカードを通常召喚する場合、3体をリリースして召喚しなければならない。

 

「3体をリリースしてアドバンス召喚するモンスター…?」

 

其処に書かれていたのは見慣れない効果外テキストのみ。

それより下はミミズが這った跡のような何語かも判別出来ない文字がズラッと続いている。

 

「ラーの翼神竜…お前が光ったのか…?

…………お前、フィールドに出たいのか?」

 

遊斗の呼びかけに答えるようにラーの翼神竜のカードが淡く発光する。

ソレを見た遊斗はニヤリと笑うと自分のデッキに手を置いた。

 

「そうか……そうだよなぁ…!

よっしゃ!オレに任せな!!オレのターン…ドロー!!」

 

勢い良く引き抜かれたカードを見て遊斗は更に笑みを深める。

 

「行くぜ!オレは手札のSR(スピードロイド)ベイゴマックスの効果を発動!ベイゴマックスは自分フィールドにモンスターが存在しない場合、手札から特殊召喚出来る!

来い、ベイゴマックス!更に、特殊召喚したベイゴマックスの効果発動!ベイゴマックスの召喚、特殊召喚に成功した時デッキからベイゴマックス以外のスピードロイドモンスターを手札に加える!

オレが選ぶのは、SRタケトンボーグ!

タケトンボーグは自分フィールドに風属性モンスターが存在する時、手札から特殊召喚出来る!」

 

「ぐぅ…手札誘発は無いぜ……好きにしな!」

 

「なら好きにさせて貰うぜ!

これがハイランダーの切り札…!俺は手札から魔法(マジック)カード、決闘者(デュエリスト)の宝札を発動!

このカードは自分のデッキ、EXデッキ、手札、墓地、除外されているカードの中に同じ名前のカードが1枚も無い場合のみ発動出来る!

デッキから4枚ドローし、その後手札から2枚カードを墓地に送る!

俺は手札のピンクリボーと原始生命態ニビルを墓地に送るぜ!」

 

ピンク色の毛玉がチラチラと寂しそうに遊斗を見ながらピンクリ〜と鳴き声を残して墓地に送られる。

 

「いじけんなよ相棒!すぐに出してやるっての!

オレは墓地のピンクリボーの効果発動!自分の墓地にカードが3枚以上存在し、それらのカード名が全て異なる場合手札、墓地から特殊召喚出来る!来い、ピンクリボー!」

 

『ピンクリ〜!!』

 

遊斗の呼びかけに応えたピンク色の毛玉は嬉しそうにフィールドに躍り出た。

 

「特殊召喚したピンクリボーの効果!

ピンクリボーの特殊召喚に成功した時、オレはデッキからレベル4以下のモンスターを効果を無効にして特殊召喚出来る!

来い!超電磁タートル!」

 

「凄い…召喚権も使わずに、4体のモンスターを並べるなんて…」

 

「やっちゃえー!遊斗ーー!」

 

観戦する二人の声援に応えるように遊斗は手札にある1枚のカードを掲げる。

 

「行くぜ…オレはベイゴマックスとタケトンボーグ、そして超電磁タートルをリリース!

来いっ!!ラーの翼神竜!!」

 

「3体リリースのモンスターだと!?」

 

3体のモンスター達が光の粒子となって消えると巨大な黄金の球体がその姿を現した。

 

「…なんだコレ…イラストと全然違う…?」

 

カードのイラストと異なるその姿に首を傾げつつ遊斗は召喚したラーの翼神竜をまじまじと見詰める。

 

 

ラーの翼神竜 ATK1800 DEF3600 攻撃表示

 

 

「…………アレ?」

 

「なんか……」

 

「………弱くねぇか?」

 

そして、観戦する二人と本田がラーの翼神竜のそのあまりにも貧弱なステータスに拍子抜けしたように肩をがっくりと落とす。

しかし──

 

「悪ぃ本田…オレの勝ちだ」

 

遊斗はニヤリと笑った。

 

「行くぜラーの翼神竜!お前の力を貸してくれ!!

ラーの翼神竜の効果発動!」

 

遊斗の声に応えたのか、宙に浮かぶ球体がパズルのように展開していく。

 

『ルオォォォォ!!』

 

勇ましい咆哮を挙げるのはカードに描かれたそれよりも遥かに荘厳で威圧感溢れる黄金の竜。

 

「1000ポイントのライフを払い、相手フィールド上のモンスター1体を墓地に送る!」

 

ラーの翼神竜の身体から凄まじい熱を感じさせる炎が噴出すると次第に全身に行き渡り、まるで意思を持つ炎そのもののような姿へと変貌する。

遊斗は初めて目にするというのに何故か知っているその姿の名前を叫ぶ。

 

「ゴッドフェニックス!!」

 

遊斗:LP4000→3000

 

「ハッ!ゴッドフェニックスだかなんだか知らねぇが…俺のサイバー・ダーク・エンドは相手の発動した効果を受けねぇんだよ!」

 

したり顔で笑う本田。

しかし、目の前に迫る炎の竜は機械仕掛けの竜をいとも容易く焼き払った。

 

「…………は?」

 

「残念だったな本田…ラーの翼神竜の効果でモンスターを墓地に送るのはオレじゃねぇ。

ラーの翼神竜の効果は、相手プレイヤーへの強制効果だ!

プレイヤーへの効果の為、そのモンスターがどんな耐性を持ってようが──無意味!!」

 

「ぷ、プレイヤーへの……強制効果ァ〜!!?

んだよその滅茶苦茶な効果は!!」

 

本田は聞いたこともない効果に焦りつつも手札をチラと見る。

 

(いくら強くても攻撃力はたったの1800…次のターンに戦闘破壊しちまえば良いだけだぜ!)

 

その視線の先には、墓地のサイバー融合モンスターを特殊召喚出来る速攻魔法エターナル・サイバーが握られていた。

 

「そして、オレはカードをセットし手札から時花の賢者-フルール・ド・サージュの効果発動!

フィールドのピンクリボーと今セットしたデビル・コメディアンを破壊し、フルール・ド・サージュを特殊召喚する!」

 

「……へ?」

 

自分の勝ちを確信していた本田はその台詞に呆気にとられる。

 

『ク、クリ〜!!』

 

悲しそうに主人を見るピンクリボーは次の瞬間、内側から爆裂しピンク色の煙を上げる。

その煙が晴れると大きな華をあしらった杖を持った女性が其処に立っていた。

 

時花の賢者-フルール・ド・サージュ ATK2900 DEF0 攻撃表示

 

「バトル!フルール・ド・サージュでダイレクトアタック!」

 

「ちょ、待っ…ギャー!!」

 

本田:LP4000→1100

 

フルール・ド・サージュが手に持った杖を本田のケツに向かってフルスイングするとあまりの衝撃に本田の身体が数センチ浮かぶ。

 

「そして…ラーの翼神竜でトドメだ!!」

 

「ひ、ヒィーー!!」

 

黄金の竜はけたたましい咆哮と共に先程身に纏っていた炎を一纏めにするとソレを火球として放つ。

 

「ゴッドブレイズ・キャノン!!」

 

放たれた火球は尻もちをついた状態の本田のすぐ目の前の地面に炸裂すると周囲を黒く焼き焦がした。

 

「……ラーの翼神竜、お前………ノーコンなのか……?」

 

『ギャァン?』

 

遊斗の声に反応した訳でも無しに、器用に首を傾げるラーの翼神竜。

それを見た遊斗はニヤリと笑い、楽しそうに言うのだった。

 

「まぁ良いか…これから宜しくな!ラーの翼神竜!!」

 

『ルオォォォン!!』

 

 

 

 

 

 

 


 

『破壊神オベリスクは力ある者の手へ

天空の神オシリスは智慧と勇気ある者の手へ

そして──太陽の神ラーは真なる王の手へ』

 

美しい女性は溜め息混じりに遠き世界の竜を見る。

 

『ラーよ、貴方達の王は未だ冥界にて眠っているというのに…

まさか、その少年にファラオと同じ何かが有るとでも…?』

 

女性は静かに瞑目すると諦めたように言う。

 

『これで、三幻神の全てが人間界へと降りてしまった

願わくば…正しき心と強き(バー)を持つ者の手へ渡る事を

そして、かの大悪──ダークネスを討たんと立ち上がる事を願います』

敵キャラのデュエル描写はどれぐらいが良いでしょうか?

  • ほぼ全て描写
  • 最終盤面だけ
  • ざっくりダイジェスト
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