ラーの翼神竜に転生したけどなんか質問ある?   作:悲しいなぁ@silvie

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第二十七話「グールズの魔の手、狙われた城内(きない)!」

「スゲー!十回中八回も初手に来てんじゃねぇかよ!」

 

遊斗(ゆうと)の手札をみながら本田(もとだ)は興奮気味に言うとバシバシと背中を叩く。

 

「へっ、当たり前だっつーの!オレとラーとの絆って言うかぁ?やっぱそこらのデュエリストとはカードに対する向き合い方が違うっての!」

 

そう言いながら遊斗はデュエルディスクにカードを差し込み直すと自動シャッフルボタンを押し、再度5枚の手札を引く。

 

ラーの翼神竜

拮抗勝負

強欲で貪欲な壺

おろかな埋葬

ピンクリボー

 

引いたカードを見て遊斗は満足気にニヤリと笑い──

 

「キャー!また3枚共揃ってるー♪」

「スゴーイ!これで16連続じゃん!」

「流石ウチのクラスで一番強いだけはあるね!城内(きない)クン!」

 

女子生徒から黄色い声を一身に受ける城内を見て瞬時に真顔になった。

 

「あ、あはは…偶々だよこんなの、それに…デュエルの実力なら僕なんかよりもずっと強い人なんていっぱいいるよ…?」

 

自分の机を囲むように集まった女子生徒に気圧されながら苦笑いを浮かべる城内は助けを求めるように遊斗達を見る。

 

「………ペッ」

「かぁー!!見んね本田!いやしか男ばい!」

 

しかし、残念ながら二人は女子生徒に囲まれる城内に嫉妬全開で青筋を立てていた。

本田は無言で立ち上がるとズンズンと城内の方に歩み寄る。

 

「あっ、本田く──」

 

「城内…俺とデュエルしろーー!!!」

 

助け舟を出してくれたのかと喜びかけた城内は白目を剥きかける程に興奮した本田を見てあうぅ、と困ったようにうめくのだった。

 

「も、本田君…?僕なんかじゃ本田君の相手なんて──」

 

「ゲッ、本田…」

「嫉妬ってやつ?キモーい」

「やっちゃえ!城内クン!」

 

なんとか本田を宥めようとする城内。

しかし周囲の女子生徒からの心無い言葉によって悲しき嫉妬モンスターと化した本田は両の目から涙を流しながら無言でデッキをシャッフルし始めていた。

 

「ケェー!やっちまえ本田!!どうせ(ツラ)の良さじゃ勝ち目無ぇーんだ、デュエルでまで負けたら俺ら終わりだぞ!」

 

口元に手を当ててメガホン代わりにした遊斗は本田を煽る。

 

「ギャオォォン!!」

 

本田…否、モンスターは怪獣のような鳴き声と共に城内にデュエルを挑むのであった。

 

 

 

本田︰LP2600→0

 

「ぬわーーっっ!!」

 

「本田ぁーー!!」

 

デュエルディスクを使わない都合上、ソリッドビジョンが出ている訳でもないのに盛大に後ろにひっくり返った本田に遊斗が駆け寄る。

 

「本田ぁっ!大丈夫か…本田ぁー!!」

 

遊斗は本田の肩を掴むと凄まじい勢いで前後に揺さぶる。

本田の首がガクンガクンと激しく振られ、まるでロックバンドのコンサート客のようであった。

 

「ゆ、遊斗…お前……揺さぶり、過ぎ……」

 

ガクリと全身の力が抜け、本田は眠るように目を閉じた。

 

「本田、本田ぁー!!

…………安心しな、本田…仇は討ってやるぜ!」

 

「え、えっと…遊斗君が揺さぶったから気絶したんじゃ…?」

 

至極真っ当なツッコミを入れる城内、しかし遊斗はすでに嫉妬や仇討ちも忘れて純粋に城内との久し振りのデュエルに心を踊らせていた。

 

「お前とデュエルすんのは久し振りだからなぁー、楽しいデュエルにしようぜ城内!」

 

「あ…う、うん!」

 

ニヤリと笑う遊斗に城内もつられて笑う。

遊斗は机の上に乗っていた本田のデッキをサッと纏めると気絶する本田の頭元に置いてパンパンと手を合わせる。

 

「お前…シクレア儚無みずきと結婚するっていつも言ってたっけ……」

 

「そんな…暴走族のお墓参りみたいにしなくても…」

 

一頻り手を合わせると城内の対面の椅子に座り、遊斗は机の上に自分のデッキを置いた。

 

「さぁ、いくぜ城内!」

 

「うん…遊斗君!」

 

「「デュエル!!」」

 

遊斗はデッキから5枚のカードを引き、チラと見る。

 

灰流うらら

フュージョン・デステニー

烙印融合

SRベイゴマックス

ハーピィの羽根帚

 

(………勝ったな)

 

積み込みを疑う程の引きに自分でも若干ヒキながら遊斗は勝ちを確信した。

 

「えと…先行後攻はどうやって決めよっか…?」

 

「んぁ?あー…そうだな……よし、コイントスで決めるか

城内、お前が選んで良いぜ」

 

ポケットから近所にあるゲームセンターのコインを出すと遊斗は優しげに笑う。

自分の引きが良いと、人間とは此処まで心穏やかになれるのだ。

 

「じゃあ…表にしようかな?」

 

「オッケー、よっと」

 

キン、と軽い金属音と共に弾かれたコインをパンと手の甲で受ける遊斗。

手を退け、その表裏を見ると…

 

「表だな、じゃあ城内の先行か」

 

「うん……あっ…」

 

城内は5枚のカードを引いてそれを見ると、軽く声を漏らした後…ゆっくりと視線を上げて申し訳無さそうに呟いた。

 

「ご、ごめん…遊斗君……本当に、ごめんね……」

 

「あ?」

 

「僕は手札から魔法(マジック)カード、真紅眼融合を発動

デッキから真紅眼の黒星竜と真紅眼の黒竜を墓地に送って、融合召喚するよ」

 

「へっへーん、残念だったな城内!俺は手札から灰流うららの効果発動!自身を手札から捨てて、デッキからカードを墓地へ送る効果を含む魔法・罠・モンスターの効果を無効にするぜ!」

 

「速攻魔法、墓穴の指名者を発動するね

灰流うららを除外して次のターンの終了時まで効果を無効にするよ」

 

「あっす………」

 

意気揚々と出した遊斗の灰流うららは城内からの情け無用の墓穴の指名者で無効化された。

 

「僕は真紅眼融合の効果で流星竜メテオ・ブラック・ドラゴンを融合召喚、メテオ・ブラックは融合召喚に成功した時にデッキからレッドアイズモンスターを墓地に送ってそのモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与える

僕はデッキからレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを墓地に送って攻撃力の半分、1400ポイントのダメージを与えるね」

 

「ぬぅ……」

 

遊斗︰LP4000→2600

 

「えっと………僕は手札から魔法カード、黒炎弾を発動…

僕のフィールドに居る真紅眼の黒竜の元々の攻撃力分のダメージを相手に与える

真紅眼融合で出したモンスターは真紅眼の黒竜として扱うからメテオ・ブラックの攻撃力分のダメージ…3500ポイントのダメージを、与え……ます」

 

遊斗︰LP2600→0

 

「……………」

 

「あ、あの……遊斗君、その…ごめんね…?」

 

遊斗はサッとデッキを纏めると椅子から立ち上がって──

 

「城内…おまえがナンバーワンだ!!」

 

膝から崩れ落ちた。

 

「ゆ、遊斗くーーーん!?」

 

「………ホント、馬鹿ばっかね…」

 

杏子は倒れた二人と心配してあわあわと困惑する城内を見て溜め息と共にそう呟いた。

 

 

 

 

 

放課後、遊斗達と別れた後…城内は一人とぼとぼと歩いていた。

 

「うぅ…今日のデュエル……なんであんな事に…」

 

がっくりと肩を落としながら歩く城内の周りを漆黒の竜が飛び回る。

 

『グルルァ!』

 

漆黒の竜は落ち込む城内を励まそうとその頬を舐める。

 

「うぅ…ありがとう、レッドアイズ…でも、いつもあんなに手札に来なくたって良いんだよ…?」

 

幼い頃から自分を護って、励ましてきてくれた一番身近な親友…それが城内にとっての真紅眼の黒竜だった。

先日の名前を奪い盗られたと言っていた女性がカードの精霊だと言った時に一番にそれを信じたのもレッドアイズの事があったからだろう。

 

「レッドアイズ…君もカードの精霊ってヤツなのかな…?」

 

『グル?』

 

城内の言葉に喉を鳴らし不思議そうに見つめ返すレッドアイズ。

どうやらレッドアイズ自身もよくわかっていないらしい。

 

「はぁ………本田君と遊斗君、怒ってないと良いけど…」

 

「どうだろうねぇ…でも……おじさんは今ちょっと怒ってるよ?」

 

「へ…?」

 

 

返ってくる事を考えていなかったひとり言への返答に城内の足が止まる。

ゆっくりと振り向くと…

 

「おじさん…拐うなら君だとおもってたんだよ……?

総帥から君達の写真を渡された時に…運命、カンジちゃったって言うのカナ…?

女のコみたいに華奢なカラダで、ぷっくりした唇に長いまつ毛…

それなのに男のコだなんて……!

いくら温厚なおじさんでもこんなに誘われたら怒っても仕方ないよね?」

 

そこには、黒いフード付きのローブを着た屈強な男が鼻息荒く佇んでいた。

ゆったりとしたローブの上からでもわかる程に鍛えられた肉体、腕などは城内の胴回り程もあるかもしれない。

 

「さ、拐う…?あの……なんの事…です、か…?」

 

「おじさんがグールズって言ったらわかるカナ…?

君を人質にして神のカードと交換して貰おうと思ってね……あっ、勘違いしないでね?今から君を拐うのはオシゴトだけど……おじさんが君に一目惚れしたのは本当だよ?」

 

「ぐ、グールズって…遊斗君の言ってた…っ!」

 

「ダメだよ…?ダメダメダメダメ!今はおじさんと二人きりなんだから…他の男の事なんて言っちゃダメだよ?」

 

目を見開きながらズンズンと近付いてくる男に城内は顔を青くしながら後ずさる。

 

『グルルァウ!!』

 

そして、主人のピンチを助けようと実体化したレッドアイズはその巨大な爪で男を薙ぎ払わんと振り翳し──

 

「おや?城内クン…精霊持ちだったんだね?

危ないなぁ…おじさんが総帥から貰ったこのローブを着てなかったらケガしてたかもしれないよ?」

 

真正面から受け止められた。

 

「このローブは神のカードの攻撃でも一度くらいなら防げるトクベツ製なんだよ……さぁ、城内クン…おじさんと一緒に行こう……?」

 

「そ、そんな……!」

 

「ふふふ…その顔も良いよ…!おじさん、そんな顔されると……もっと怒っちゃいそうだよ!!」

 

男の手が城内に触れられる程の距離にまで近付いた瞬間、フッと城内の身体から力が抜け膝立ちの体勢になる。

 

「おや…?気絶しちゃったカナ…?」

 

『……汚い手で我に触れるな、下郎が』

 

男が膝を着いた城内を抱き上げようと手を伸ばすと、その手を叩き落しながらスッと立ち上がった。

その身体は女性的な丸みを帯び、金髪だった髪は黒く変化していた。

 

克也(かつなり)、暫し身体を借りるぞ』

 

「………このクソ雌、城内クンを何処にやったのカナ…?」

 

男は溢れる殺気を隠しもせずに、目の前の少女を見下ろす。

 

『貴様程度、屠るのは容易いが…克也との約束もある

構えろ…貴様は我がデュエルで懲らしめてやる』

 

少女はデュエルディスクを構えると手をクイと引き挑発する。

 

「おじさんとデュエル…?

笑わせてくれるね……グールズはそのデュエルの実力で幾つかの階級にわかれていてねぇ……

城内クンのお友達が今まで戦ってたきたのは最低ランクの木っ端構成員…そんなのと【幹部】であるおじさんを同じに思われると困って──」

 

『グダグタとうるさいぞ肉達磨

全く、ホルアクティの小娘から黒幕扱いを受けて…今度はこんな雑魚に絡まれるとはな……』

 

少女はまるで男など眼中にないと言わんばかりに唇を尖らせて不満気そうな雰囲気を漂わせていた。

 

「く、くくく……おじさんを怒らせた事…病院のベッドの上で後悔させてあげるよ…!!」

 

「『デュエル!!』」

敵キャラのデュエル描写はどれぐらいが良いでしょうか?

  • ほぼ全て描写
  • 最終盤面だけ
  • ざっくりダイジェスト
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