リコリコの世界にモブキャラとして転生したら、全てのモビルスーツシリーズが造れる件 作:フェルトファン
9月に更新しようと思ったらリアルの忙しさでごたついてしまい、更新が遅れてすみません。
一応お気づきになっている読者の方はいると思いますが、これまで投稿した物語の展開をリニューアルしました。Episode 5に登場したMSのνガンダムなのですが、流石にオーバーキル過ぎると考え我らが愛するファーストガンダムの事…オジキに変更しました。ちなみにジェガンからガンキャノンへと変更しました。もし文章のどこかで以前の書き残しがありましたら、誤字報告もよろしくお願いします!
高評価、誤字報告、感想もいつもありがとうございます!
世界は良い方向へと変わる──そんな言葉は、もはや夢のまた夢。例えるなら“戦争をなくそう”というのも理想と同じで、それを実現することは極めて困難であり叶うとしても遥か先の未来の話だろう。しかし突如として現れた
【今日午前4時過ぎ、国連から緊急発表がありました。長く続いていた紛争地帯に新たな巨大人型兵器が現れ、当時の映像では────】
【アメリカ政府からの発表によりますと、無政府状態にあった◯◯◯国が大きく変化したと調査に向かった軍の関係者が証言を残し────】
【独裁国家と呼ばれていた複数の国が崩壊したと公式に発表され、この件について専門家らは“歴史上における大きな変化だ”とコメントしており────】
テレビ画面に映し出されるニュース番組で語られた内容は、この一週間で世界を揺るがせた巨大人型兵器の話題一色となっていた。報道は瞬く間に全世界の注目を集め、つい先日まで人々を熱狂させていたスポーツや芸能の話題は一つも上がらず、まるで霞のように視聴者の記憶から消え去っていった。
事の始まりは中東付近で軍と武装組織による衝突が起きた地区での出来事である。突如として現れたMSの軍団によって二つの勢力を無力化するだけでなく、国々が保有する兵器の全てを押収した直後に破壊を繰り広げていた。加えて争いあっていた軍や組織の兵士達や兵器などの開発を行った企業関係者の多くを誰一人も逃さないように拘束し、GN-Xが用意した檻に閉じ込めた。ちなみに救助に駆けつけた救護隊が解放を試みたがその檻はあまりにも強固で、解除に数日もかかったらしい。
巨人軍団が飛び去った後、軍事攻撃を続けていた国のトップがなんの事前発表もなく緊急会見を開き始めた。それを聞いた人々は“再び争いが起きるのか…“と誰もが不安を抱いたが、首相の口から飛び出したのは予想外の言葉だった。
「
━━と発表すると同時に自らを戦犯の責任としてトップの座から退き、同じく武装組織の最高指導者もまた組織の解散を宣言した直後、二人揃って自ら国連へと出頭しに向かったとの情報が世間に広がっていた。この発表はあまりに突然の出来事に、夢ではないのかと誰もが自身の耳を疑った。しかし長年にわたって紛争に苦しめられてきた住民達にとっては“人災な争いの終わり”と告げられた言葉に歓喜し、涙を流しながら抱き合い大きな喜びを分かち合う姿が映っていた。
しかしそれはほんの序章に過ぎなかった……世界各地で続いていた独裁、無政府状態、軍事侵攻──それらを次々と静止したのは全て、巨人による介入だった。わずか一日で武力を無力化し、たった一週間の間に世界が抱えていた国際問題を片端からあっという間に解決してしまった。もちろんそれは国際社会にとって驚愕の事実だったが、同時に新たな
《ゆ、夢でしょうか……目の前で軍の戦車と交戦しているのは……きょ、巨人です! 私の目の前に、巨人が武器を使って戦車を破壊しています!》
取材として紛争が起きた地にやってきた一人の記者が公表した映像には、つい先ほどまで争いを続けていた二勢力の前に乱入してきた巨人と戦闘している当時の様子が映っていた。GN-Xの持つ未知の力の前に兵士達は抵抗できず、わずか数分もしないうちにほとんどが無力化されていた。しかし映像に映っていたのは破壊だけではなく、小型な機械がその地に暮らす人々の前に現れた途端、国連でも到底用意できないほどの大量の食糧を配布し始める。加えて酷い重傷を負った患者に治療なども行い、更には拉致された人々を救助する姿も確認された。ハッキリ言って何故そこまでするのかは未だに理解できていないが、長年悲惨な生活を強いられてきた人々はかつて見たことのない喜びに満ち、複数の巨人をまるで神と崇め、涙を流しながら感謝の言葉を叫んでいた。
本来であれば危険を避け取材を中止すべき場面だったが、今までにない光景を目にした記者はジャーナリスト魂として現実を伝えるべきだと判断し、取材を続ける。
《この映像をご覧になっている方々は信じられないでしょうが……しかし、私の目の前で起きているのは紛れもない現実です!繰り返します、これは紛れもない現実なのです!》
ニュース報道だけでなくネット上やSNSを通じてもこの映像は瞬く間に拡散され、世界中に衝撃を与えた。救われた人々が多く存在する一方で、恐怖を抱く者も少なくはなかった。巨人に挑んだ軍や組織の兵士達は幸いにも軽傷程度で死人は一人も出なかったものの、光線兵器など未知の力を目の当たりにした彼らは絶望の淵へと叩き込まれていた。また、とある記者が当時の出来事について一人の軍人にインタビューした時の映像が公開された。
『あれは......人が....人間が造れるってレベルじゃない....あれは天から舞い降りた神の使い魔だ.....愚かな我々を裁きにやってきたのだ──っ!』
──と震える声でそう語った軍人は深刻なトラウマを抱えており、彼だけでなく多くの兵士たちも恐怖のあまり即退役する勢いも増え続けるばかり。中には巨人の写真を見せられただけで怯えが止まらず、記憶のフラッシュバックによって泣き出す者まで現れていた。
「急げ、急げ!これは大スクープになるぞ!」
「他の番組に先を越されるな!使える情報は全部かき集めろ!」
「現地取材の航空費は気にするな!経費はあとでまとめて請求するから、とにかく今すぐ行け!」
某報道番組のスタッフ達は今週こそ視聴率を稼げる絶好のチャンスだと信じ込み、ライバル局に負けまいと慌ただしく動き回っていた。時は同じくして、わずか一週間の間に各国で前代未聞の事態が連続して発生したことを受けた国際連合も当然ながら黙ってはいられなかった。
『日本代表!◯◯◯で新たに確認した謎の巨大人型兵器についてですが、これについでどうご説明してくれますか!』
『これまでについて“何も知らない”とおしゃっていましたが、今回ばかりは誤魔化せませんぞ!』
『世界中の研究機関が映像を解析しましたが、有益な情報は一切得られていません!本当に何もご存じないのですか!?』
緊急総会が開かれた途端に、各国代表の口から飛び交う疑問の嵐に日本側は必死に否定を繰り返すが、誰も聞き入れようとはしてくれなかった。
「だ、代表!今なんとか説明しなければ………このままでは一生疑われますよ!」
スタッフ達が必死に対応する中で日本代表本人はというと、虚ろな目でただ天井を見上げているだけで何も語っていない。
「あの代表……聞こえていますか?せめて発言だけでも━━━」
「この総会が終わった後、私は早急に代表の座から降りる」
「代表っ!?」
まるで死んだ魚のような目となった代表の口から発せられた衝撃の一言に、スタッフ達は凍りつくのだった。同じく、日本政府の方でも………
「クソォ〜〜〜なんで誰も信じてくれないんだよ!私達があの巨人について本当に何一つも知らないって言っているだろ!」
「も、もうダメだ……最後に家へ帰ったのは、いつだっけ……?」
「手を止めるな!とにかく今は気をしっかり持ち、これ以上事態の悪化を防がなくては━━」
「大変です!今度はイギリス政府とフランス政府から緊急のお電話が!!」
「「━━━━か、勘弁してくれぇ……」」
突然と各国からの問い合わせに追われた政府や外交官達は休む暇も無く、今まで以上に働きっぱなしだった。特に各国から“ぜひあの巨大人型兵器を売ってほしい”と言う要望によく聞くが、無論何も知らない日本側は否定するも信じて貰えなかった。やがてあまりにも異例な事態に危機感を募らせる者もいれば、逆に巨人を利用しようと画策する者も少なくない。もちろん日本だけで無く世界各国の思惑も同様であり、既に裏では様々な工作が始めている。
「我々が知らない未知な兵器を持つ巨人………アレさえ手に入れば、アメリカはより完璧な世界最強の国になれるかもしれないな……今すぐCIAから優秀なエージェント達を集め、JAPANへ派遣するよう指示を出せ。」
「承知いたしました……
更に某有名掲示板でも巨人を巡る議論は毎日のように繰り広げられ、熱気は冷めるどころか加速する一方。前代未聞の事態が一週間の間に起き続けている中、世間が注目しているのはたった一つの名前だけであった…
★☆★☆★
場所が変わり喫茶店:リコリコでは一週間も休んでいた彼女達は、営業再開に向けて準備を進めていた。役割分担としてそれぞれが動いている中、同じリコリコのメンバーであるミズキだけはつまらなそうな顔をしながらテレビの画面を眺め、チャンネルを何度も切り替えていた。
《世界各国で次々に姿を現した正体不明な巨大人型兵器についてですが、その名称はGUNDAMと呼ばれておr━━━》
《専門家の方々にGUNDAMについて尋ねたところ、“これはどの国が作れる技術じゃない”と語られ━━━》
《やはりアメリカが開発した新兵器では?実際に見つけた正体のGUNDAMって文字は、完全に英語でなんだし━━━》
《正体はともかく、このGUNDAMの行動は明らかに不法入国では?国際法上の許可もなく━━》
《ですから宇宙人ですって!彼ら宇宙巨人……いやGUNDAMは!地球内にある争いを無くし、我々地球人との交渉の為に遠い星からやってきt━━》
「あ゛ぁぁぁぁあ〜〜〜〜〜〜もう!ガンダム、ガンダム、ガンダムって!そんなの朝っぱらから聞き飽きたわよ!いい加減にさっさと話題を変えて、顔の良いイケメンな俳優が演じているドラマを放送しなさいよこのポンコツ番組が!」
「いや、後半はただの願望じゃないですか……それよりも自分の仕事を放棄しないでください。」
相手を哀れむような目でたきながツッコミを入れると、ミズキはすぐさま言い返す。
「だって〜だって〜!私にとって推しのイケメンな俳優が登場するドラマが放送中止になって、この頃あのロボット野郎のせいで再放送もないのよ!つーかもうこれ何回放送したら気が済むのよ、いい加減にもう見飽きたわ!どうせコイツらがやっているのは、ただの視聴率稼ぎに決まっているわ!」
「ちょっと落ち着きなはれお姉さんや〜、そんなに怒っていたらシワが増えるわよ〜」
「うっさい黙れこの映画オタクガキンチョが!!」
「まぁ〜だけどミズキが言いたいのはなんとなく分かる気がするよ。この巨大ロボット………ガンダムだっけ?ほとんど話題はそれしか上がっていないし。」
ミズキを茶化しながら千束はスマホの画面を覗き込み、画面に映し出されたSNSのサイト内に並んでいるトレンドを目にする。”GUNDAM”、”宇宙人襲来!”、”未来からやってきたロボット”などSF的の言葉が大量に埋め尽くし、先週まであったはずの話題はすっかり世間の記憶から消え去っていた。
「無理もありませんよ、千束。今まで世界各地で続いていた紛争や独裁などの国際的な問題が、ガンダムの行動によってわずか一週間で全ての問題を終わらせてしまったんです。それだけでなく拉致被害者もほぼ全員が救助されていますし、食糧不足である深刻な国々もたった一日で状況が大きく改善されたんです。こればかりは世界もですが、流石のDA本部も黙ってはいられないでしょう。」
「今ごろ日本政府も大混乱よ。だってSFみたいな出来事が現実に起きてるんだものだし、全くこの先どうなることやら〜」
「まぁ起きてしまったのも仕方ないじゃないかミズキ、それよりもこれを見てくれ!」
「ゲッ、やっと顔を出したわねこの
店の奥から現れたクルミに、ミズキはあだ名のような皮肉を投げつけるミズキ。実際に彼女はリコリコに戻るなり自分の自室となった押し入れにこもり、丸一日近くガンダム関連の情報を漁っていた。この一週間で新たな巨人が現れたと同時にその正体の名を知った彼女は興奮を隠せず、その姿を目にした千束達は思わずドン引きしていたらしい。
「おぉ〜なんか顔見るの久々て感じだね……それで、今度は何を見つけたん?」
千束の問いに答えようとクルミは楽しげな表情を浮かべながら、ノートパソコンをテーブルに置く。そしてキーボードを叩きながら画面に映し出された一つの動画を再生し始める。映像の中にはとある国の軍基地から全ての武器や兵器などを押収したGN-Xが一箇所に掻き集めていている姿が映っていた。
やがて飛び去ってからわずか数分、上空から現れたガンダムヴァーチェによるバーストモードによって兵器の山は光と共に消滅し、残されたのは巨大なクレーターだけだった。
「「「─────────はぁ?」」」
何が起きたのか思考が追いつけず、驚きのあまりに言葉が出ないまま彼女達は唖然としていた。もちろんその映像が本物なのか、未だに自分達の目を疑っている。
「うぇ……ちょ......えぇ.....」
「あのこれ……流石にCGでも使っているんですよね?」
「残念ながらこの映像には99.9%加工されていない。ちなみにたまたま現場の近くから撮り続けていた記者は今日の昼にその映像を公開する予定だっただが、正直に待ちきれなくてハッキングしてこっそりコピーしてきたのさ。」
「━━━いや、いやいやいやそういう問題じゃーだろ!まぁそれも問題ちゃ問題だけどさぁ……っじゃなくて!なにこれ、ガチなの!?」
「もちろん他にもあるぞ。」
そう言いながらクルミは別の動画を開き、すぐに再生する。今度は軍基地の上空に現れたスローネシリーズの三機がGNハイメガランチャーから放たれた光線が基地を襲い、わずか数秒で全ての施設を黒焦げの廃墟へと変えていく。その光景を目にした千束達は驚きのあまりに、口から語る言葉を失う。
「ま、マジか………」
「名前を知っただけで全てを理解したって訳でもないが、ハッキリ言ってコイツは驚きだぜ……それにコイツを見てくれ!背中から放出する謎の粒子を解析したんだが、何一つも分かっていないんだ!ただ分かったのは、あのビームの破壊威力は粒子によって強化された可能性もある!しかも飛行している時だって粒子をばら撒いていた.....恐らく何らかの浮遊させる推進力源を使っているんだ!クソ、原料は一体何で使っているんだ!こんなにもまだまだ種類が沢山あるなんて聞いてないぞ!早急に調べ直さなけれb──!」
「オィィィィィィイ!またぶっ壊れたぞこの娘!つーかアンタ、そんなキャラじゃないでしょ!?」
興奮のあまり早口になるクルミを見て、ミズキは慌てて彼女を落ち着かせようとする。その一方でエクシアの戦う姿が映る動画をじっと見つめる千束に、たきなが不思議そうな表情を浮かべて思わず彼女に問いかける。
「千束、どうかしましたか?」
「え....あぁ〜その.....なんて言うか〜このロボット君....じゃなくてガンダム君……カボチャ君がやっているのって、結局何がしたいのかな〜って。」
「なかなかいい質問だな千束、それについてボクも色々と考えたんだ。」
━━と、ようやく落ち着きを取り戻したクルミが語りながら操作したパソコンに多数の画像を映し出す。それはこれまで日本、宇宙、そして世界各地で確認された数々のガンダムであった。
「謎の巨大人型兵器──GUNDAMは、これまで日本にだけ姿を現していた。まぁもちろん宇宙もそうだが、今度は世界各地に出現した途端に紛争や独裁といった国際問題を抱える地域に武力介入して、わずか一週間で事態を解決してしまった。もはや漫画やアニメとかにありそうな展開だな。」
「やはり………何か大きな目的があると思いませんか……」
「それは違うなたきな…...これはあくまでもボクの推測なんだが、
「いやそれは流石にないんじゃない。どっかの国が開発した新兵器で世界中に披露するっとか、ほら例えばアメリカが──」
「もちろんボクもその点に色々と調べたんだが、どこの国が造ったというデータは一つも見つからなかった。仮にも秘密裏に開発した兵器なら、こんな大胆に武力介入なんてするか?」
「じ、じゃやっぱりDAが造ったとか.....ほら、この前だって真島の襲撃に合ったリコリスを助けたそうだs──」
「正直に言ってそれはない。そもそも裏で日本の治安を第一に優先する組織が、他国でそんな事をわざわざすると思うか?」
「………ガチで宇宙からの侵略とか?」
「まぁ〜それも一理あると思うがそれも違うな。もし侵略が目的なら、その国はもうとっくにガンダムのものになってるはずだ。それに思い出せ、彼らは戦うだけじゃなく現地の人々に治療や食糧を与えたり、被害にあった者達を救助していたんだぞ。仮に奴らの正体が宇宙人だとしてもそこまでする必要は何故だと思う?」
これまで様々なデータを捜索し続けていた彼女の言葉に千束達は改めてガンダムの行動を思い返す。確かに記憶を振り返れば戦闘だけでなく救助活動を行い、しかも侵略や占領もせずにどこかで飛び去っていた。あまりに不可解で意図が未だに分からない。
「まっ、その答えを知っているのはコイツだけなんだよな。」
クルミがそう呟きながらパソコンのキーボードを軽く叩き、画面に二つの画像を映し出す。それは千束とたきなが二度も目撃したカボチャ頭を描いた似顔絵である。勿論未だにその正体は掴んでいないものの、唯一分かっているのはその人物こそがGUNDAMを操縦しているということだけであった。
「正直コイツが未来から来ただろうが宇宙人だろうがもう驚きはしない。だがあんな
ガンダムに対して興味津々にクルミが語り、他の三人は思わず疑問の表情を浮かべる。そんな中、千束はふと違和感に気づく。
「あれ、そういえば蒼夜君と先生は?」
「蒼夜さんは店の裏で調理器具を掃除しており、店長は誰かと電話しているみたいですよ。」
千束達がガンダムについて語り合っている最中、厨房裏にいるミカはタブレットの画面に映し出されているリコリス司令官である楠木と通話していた。
「例の巨人について話があると君からのメッセージを受け取ったが……そっちはどう見ている?」
『そうですね………正直に申し上げますと、状況は芳しくありません。』
画面越しから語る彼女は今までにないくらい深いため息を吐き、その様子を見て心配しつつもミカは会話を続けようとする。
「まぁ、そうだろうな……宇宙ならまだしも今度は世界規模だ、上の連中も相当混乱しているだろう。」
『混乱どころの話ではありません。おっしゃる通り、上層部は大きな打撃を受けましたが、日本政府も同様です。特に外交担当は各国への対応に苦慮しており、関係悪化を懸念する声まで上がっています。さらに未確認巨大人型兵器━━
「大体想像はつくが、そもそもラジアータですら場所もまだ掴めていないんだろ?」
『勿論まだ特定はできていませんが、それでも探し続けなければ………まぁ、その理由はこちらです。』
そう語りながら楠木は画面を切り替え、数々の画像を見せる。黒い服装のをする謎の集団が、人気のない暗い道で話し合っている姿が映っていた。しかも彼らの身体に軍用の防弾チョッキを身につけており、手元にはライフルやナイフと言ったら武器を装備されている。
画面に映っている光景を一目見ただけで、かつて
「いつかやってくるとは思っていたが…………
『その通りです。しかもアメリカ、中国、ロシア、フランス、イギリス、そしてその他の国々が政府命令で動いているという情報を入手しました。国内に潜むの外人工作員の数は、確認しただけでも
楠木の言葉に衝撃を受けたミカは思わず息を呑んだ。各国から潜入してくる工作員は旧電波塔事件以降から数は徐々に少なくなっているが、ここ最近では数が一気に増え続けている。しかもその目的のほとんどが
『正直こうしたケースは珍しくありませんが、それを差し引いても今年度の日本国内に潜伏する国外工作員の数はあまりにも異常です。無論こちらで可能な限り排除しましたが、数は未だに残っているどころか今後さらに増える可能性も捨てきれません。中には武器商売目的として密入国する輩もいますし、我々と繋いでいる一部の政府も今回の件で各国対応に苦慮しており、今回の事態は過去最悪と言われています。』
現代の技術では実現不可能な光線兵器を備えた巨人を我の物にしたいとわんばかりな欲を持つ各国は早々に工作員部隊を日本へ送り込み、いまもなおガンダムを巡って捜索を続けているらしい。
『危険を感じた上層部の老人達は日本の治安を脅かす可能性の高いガンダムを危険度SSSと認定し、発見次第抹殺せよと言われました。逆に日本の物にすべきだと主張する声も上がっており、特に政府━━
「相変わらず上も政府も支離滅裂だな……それで、君はどっち派なんだ?」
『正直まだ判断できていません。リリベルを率いる虎杖司令も今回の件を快く思っていませんし、千丁の銃の件も残っています。ただでさえこちらは真島の行方を追っているというのに、あのガンダムとやらが各地で暴れ回ったせいで此方の仕事は増える一方です。』
──と深いため息を吐く楠木は、今まで以上のストレスを吐露した。ミカの視点から見れば彼女の目の下に濃いクマが浮かび、睡眠不足なのが一目で分かる。机には大量の報告書が山積みされ、ちらっと見えたがエナジードリンクや胃腸薬の空き瓶が散乱してあった。
『すみません、今週中に終わらせないといけない資料がまだ沢山残されていますので、もしそちらで新しい情報があれば共有をお願いします。』
「あぁ......まぁその......あまり無理しすぎるなよ、しばらく休んだ方がいいぞ。」
『そう願いたいですね......終わりがあればの話ですが──』
あまり元気のない声を最後に、楠木はそのまま通話を切った。これには流石のミカも彼女を心配になったのか、時間ができたら飯でも奢ろうかと考えた。
《ベトナムの〇〇◯で潜伏している人身売買組織がこれまで拉致された被害者達は発見され、派遣された警察による救助活動が行われました。発見された時点では拉致被害者は既に解放されており、組織の者達も全て縛られた姿として発見されたとの情報が入りました。拉致被害者からの話を聞くと“巨人様が助けてくれた!”と話しており、警察は詳しい事情聴取を━━━》
その頃、喫茶店の裏口にいる蒼夜は調理器具の掃除を終えてから片手に抱えるスマホの画面に映るニュース番組を観ていた。仕事をサボっているつもりは今までないものの、どうして朝から報道が気になって仕方がない。
「よかった、この国の人達も無事で…」
誰にも聞こえない程度の声で呟きながら自身が助けた人々が無事であると安堵の息を吐き、内心で先週起きた一週間の出来事を思い返す。隣国同士の争いを止めるだけのつもりだったはずがいつの間にか各国が抱える問題を片っ端から解決する羽目になり、気づけば数えきれない相手と戦っていた。世界中に潜む悪い環境で苦しんでいる人々を多く救い、心のどこかでは達成感を感じていた。だがその代わりに世界中でガンダムの名を知られてしまい、いくらヴェーダでも人々の記憶から消すのは不可能である。
「どうしようマジで……しばらくMSを動かすのはやめた方g「ちょっとどこなの蒼夜〜!早くこっちを手伝いなさいよ〜!」━━は、はぃ!」
店内の厨房からミズキの大声が響き、それを聞いた蒼夜は調理器具を抱えながら慌てて店内へと戻って行く。
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日本だけでなく、世界は今
「おいおいおいなんだよあの数………まだまだこんなにも種類が沢山いるじゃねーか!」
『そうだな……それで話の続きなんだが━━』
「このオレンジのヤツも空中で変形しやがったぞ!それにあの粒子はどんな素材で作られたんだ!?」
『なぁ、もうそろそろこっちの話を聞いて━━』
「それにこのデカブツが持つビーム砲はマジでヤベーよ!あのクソデケー山を一撃で消し炭にしやがったぞ!畜生、俺も現地に行けばよかった〜〜!!」
『だから聞いたってそれ……あ、あのさぁ━━』
「GUNDAM……宇宙人ぽい名前というより、ロボットアニメっぽい名前だな。つーか、機甲戦記ド◯グナーに似ているような気もするが……」
『……おいオマエ、マジで話を聞けっt━━』
「クソ羨ましいぜガンダム……日本だけじゃ足りず世界でも大暴れってかぁ!おいハッカーさんよ〜、ガンダムの居所はまだ掴んでねーのか?」
『いい加減にしろやこのクソボケガァァァア!!!お前は何回観たら気が済むんだよ!ガンダム、ガンダムって……もうその名前は聞き飽きたっつーの!!!』
ガンダムの映像を観て興奮する真島が全く自身の話を聞いてくれていないのに苛立ちを覚えたロボ太は、画面越しから思わず怒鳴り声を上げる。そもそもなぜこうなったのかと言えば、一週間の出来事がネット上で話題として上がっていたのを知ったロボ太は早速情報をかき集め、そしてガンダムという名を知る事もできた。もちろん造られた技術や正体はいまだ不明だが、新たに現れた巨人が見せた驚異的な武装の威力には、さすがのロボ太も興奮を隠せなかった。
しかしこの男……真島だけは違かった。最初に映像を観た瞬間、彼はまるで少年に戻ったかのように画面に釘付けになり、目を離さなかった。ロボ太はもう何十回も同じ映像を観て飽き飽きしていたが、真島はまるで子供のように繰り返し再生しそのたびに興奮度が増すばかり。しかも映像を観たいだけのために、
『テメェが立てた作戦をわざわざこっちで時間割いて練ったんだぞ!取引の相手も場所も全部ボクが探したんだぞ……それをいきなり全部キャンセルってどういうことだゴラァ!!おかげで取引相手からクレームのメールが山のように来てんだぞ!!!』
「ワルィ〜ワルィ〜スミマセンデシタ……それはそうと、お前はガンダムについてどう思う?」
『(コイツ、全然反省してねぇ━━)ど、どう思うって……そりゃどっかの国が造ったんだとか……』
「普通はそう考えるよな。でもこのレベルの技術と資金を持つ国なんて、少なくとも存在しねぇ。それに俺が一番気になってるのは……
真島の言葉に、ロボ太ははっとする。確かにこれまでの記録映像から観ても、MSによる人的被害は確認されていなかった。
『な、ならアラン機関の仕業って線はどうだ!?あいつらなら、こんな化け物メカを造るくらい造作ねぇだろ!』
「どうだろうな〜……
真島は何かに嫌悪を感じたような表情で新たな映像を再生する。それはまだ一般には公開されていない映像であり、ロボ太が政府のデータベースにハッキングして偶然見つけたものだった。映像の中では、前線に派遣された兵士のヘルメットカメラが迫り来る巨人の姿を捉えていた。真島は途中で一時停止し、映し出されたエクシアを指さす。
「こいつらがどんな目的で世界に喧嘩を売ってんのかは知らねぇが……ますます気に入ったぜ。」
『━━━おいちょっと待て……待て待て待て!お前まさかまだ巨大ロボットを探せって言うんじゃねーだろうなぁ!?お前はこの前戦って流石に忘れてはいないと思うけど、相手はただ図体がデカイ巨人じゃなくて、現実離れのビーム兵器を持っているイカれたロボットだぞ!それにDAや日本政府だけでなく、世界中までもがガンダムを狙ってんだ!ここはしばらくは身を潜めた方がいいと思うんだが…』
「ふざけんな。リコリスだろうが世界だろうが、俺の獲物を横取りにするなら上等だ━━━まとめて相手してやるよ。」
『お前ボクの話を聞いてんのか!?今回ばかりは本気でヤベぇんだって言っt━━「いいから、さっさとDAの居場所とガンダムの正体を突き止めろ、お前は世界一のハッカー(笑)なんだろ?その腕を俺に見せてみろよ」くっ……クソったれが……!』
もう何を言っても無駄だと悟ったロボ太は、深いため息をついた。一方の真島はモニターに映るエクシアの姿を見つめながら、自身の愛銃を画面に銃口を向ける。
「GUNDAM……偽りだらけのこの世界にも、こんな面白ぇ奴がいるとはな━━」
浮かべるその笑みは、狂気と興奮が混ざり合ったものだった。
「へ、へックション!!!」
「ちょいちょ〜い、どうしたの蒼夜君?」
「ずみま…せん……(最近寒気を感じるんだけど、風邪かな)」