死中に活ッ!笑えよドラゴンッ!!※転生先が絶望的なんだが   作:ストロング西岡

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第二十三話ッ 変でもいいじゃないッ!!※程度による

「それでテレジー。今後の予定はどうするんだ」

 

「今日その話したわよね、また説明するの……?」

 

「わたしが聞いてないから……」

 

「貴方は別に関係ないでしょ」

 

「ぐすん……マイケル。テレジーがわたしを仲間はずれに……」

 

「なんと! 仲間はずれとはテレジーは酷いやつだ!!」

 

「酷いやつ……」

 

「ああ、分かりました説明しますッ!!」

 

 イライラするなよ、私……落ち着くんだ。ソファーに深く腰掛けて、私は深呼吸1つ挟んで息を切らした呼吸を整える。よし、いける。

 

「さっき武器調達のついでに穏健派の所へ行ってきた。作戦の決行は5日後。準備自体は出来てるから特にやることはないわ。任務の内容は貴族街への地下侵入路の確保及び地下の地図作成よ。メンバーは変わらず私とガイとエレノアとオーフィア。一応マイケルも行けるようにした」

 

「ふむ、何故だ? 俺はここから離れる気はないぞ」

 

「わたしも……」

 

 ……。

 

「そうか……じゃあ好きにしてろよ」

 

「嘘や〜ん、なぁ?」

 

「……嘘」

 

「じゃあ口答えするんじゃねぇよ」

 

「ごめん」

 

「ごめんなさい」

 

 これからの準備としては、もうやることが無い。精々英気を養うくらいか爆弾作るかだ。あとはまぁ新調した武器、大鎌を練習をしておこうか。

 

「ラルクから新たに依頼を受けた。再び魔獣が栽培区画に出たらしいから、明日にでも討伐に行く。私は魔力を温存したいからマイケルとオーフィアにも手伝ってほしい」

 

「おいおいテレジー、人にもの頼むときってどうするんだっけ?」

 

「膝を折って座り……地に頭を付けるの……やって」

 

 イライラッ……。

 

「そうかそうか、じゃあお前ら用済みだとっとと失せろ」

 

「嘘や〜ん、なぁ?」

 

「嘘嘘……」

 

「なら最初っから余計なこと挟むな、殺すぞ」

 

「ごめん」

 

「ごめんなさい」

 

「当日は私一人でゴーレムと戦うことになるから、マイケルは他のメンバーと探索に当たってほしい。これは彼らの信用を得るための戦いだから、マイケルには手伝ってほしくないって思って──」

 

「テレジー、そもそも俺行くって一言も言ってないけど?」

 

「独りよがりな発言……のんのん。嫌われちゃう、よ?」

 

 ブチッ……! 

 

「──あああああッ!!!! うるせぇぇえええええ!!!! 説明してんだから一々話の腰を折るなッ!! 黙って聞けぇえええ!!!!」

 

 ☆ ☆ ☆

 

「ぐ、がは……」

 

「うぅ……胸は叩かないで……痛いわ」

 

 2人をタコ殴りにして落ち着きを取り戻した私は、一通りの流れをもう1度、懇切丁寧に説明した。

 

「テレジーよ、1人で本当に大丈夫なんだな?」

 

「ええ、問題ないわ。むしろ貴方に手伝われると話がややこしくなる。これは私が乗り越えるべき壁なのよ」

 

「俺は、そう思わないが……」

 

「……今まで避けてきた、逃げてきたツケが回ってきた。それだけの話よ」

 

「大丈夫、マイケル。テレジーは強いから……」

 

「何を根拠に言ってるんだか」

 

「……見れば分かるよ?」

 

 小首を傾げながら、拍子抜けするほどあっさりとオーフィアは言い切ってしまう。……髪色を見て言ってるならそれは間違いだ。偏見でものを言うのはよしてほしい。

 

「魔法のことを言ってるならそれは間違いよ。いくら名門の生まれだからって私、貧民街に墜ちるくらいの魔力しかないんだから──っ! ご、ごめんなさい。失言だった」

 

 そんなことを言いたきった自らの発言に驚きと焦燥感を覚え、咄嗟に手を口にかざす。しかし、どんなに後悔しようとも1度放たれた言葉は取り消せない。私は恐る恐るオーフィアの顔色を伺う。

 

「…………? 気にしてない」

 

 オーフィアはきょとん、として何のことかといった表情だ。この子のことだから、本当のことを誤魔化すようなことをしないとは思う。気にしてきていないなら別に良いのだが……

 

「そう……と、とにかくそういうことだから。えーっと、爆弾の在庫を確認しよーっと」

 

「…………」

 

 急に恥ずかしくなって私はいても立ってもいられず、大袈裟に独り言をしながら席を立つ。えーっと、確か10個あるから…………あれ。

 

「……数が足りない」

 

「足りない? 物忘れじゃないのか?」

 

「年寄り扱いすんな。……1度に作れる数って決まってるし……それにおかしい、私以外が触れた形跡がある」

 

「それってつまり……」

 

「……爆弾さん、逃げちゃった?」

 

「盗まれたのよッ!」

 

 ガタッ。

 

 後ろからものが動いた気配がした。振り返ると、マイケルが持ってきた家具に隠れていたのだろう、ボロ布を纏った人物が姿を表した。盗賊だ。

 

「っ……!」

 

 侵入者は私達を見ると、手に持った爆弾袋とともに脱兎のごとく逃げ出した。

 

「待てッ──くそッ!」

 

 そばに置いてあった短剣を手に持つと、私ご自慢の足の速さを活かしてすぐさま後を追う。くそ、きっとマイケルが大量に家具を持っていくのを見られて、アジトまでつけられたんだ。

 

 地下階段を段飛ばしで駆け上がり、そのまま屋外にでて周囲を見渡す。居た、屋根の上を走ってる。まだ追いつける距離だ。壁に手をかけ一気に屋根まで登り切ると、屋根の上を全速力で走り抜ける。

 

「わたしも行く」

 

 オーフィアは黒の棺を背に家屋の屋根にジャンプ1つで上がり私と並走してきた。そんな重いものを持って私に追いつけるだと? なんて身体能力。

 

「ごめんなさい……わたしのせいかも。マイケルと運んでたとき人に囲まれて、それで──」

 

「そんなわけ無いでしょ。こういうこともあるのが貧民街よ」

 

 私は隣で落ち込んだ表情だ見せるオーフィアを遮るように言葉を紡いだ。……案外くだらないことで悩むこともあるんだな。

 

「……うん。わたし、後ろから回り込む」

 

 口元を少しだけ緩めて安心した様子を見せたオーフィアは、そう言ってオーフィアは鋭角に切り返すと、右へと大きなジャンプを繰り出してあっという間に遠くへ行った。負けていられないな。私は足の回転を更に上げて、一気に侵入者へと近づいていった。

 

 ☆ ☆ ☆

 

 侵入者はすぐに見つかった。路地裏に入り、細い道を進んでいくと侵入者とその仲間だろう、ボロ布を纏った男たち5人がオーフィアと戦っていた。

 

「ぐわぁああ!!」

 

「おごっ!?」

 

「うぅ!?」

 

 しかし、その戦いは圧倒的という他ないほどオーフィアが優勢だった。オーフィアは黒棺から取り出した特大剣をなんと片手で振り回し、大の男3人を纏めて蹴散らした。なんとも同じ女と思えない豪快な戦い方をしていた。

 

「てめぇ!!」

 

 オーフィアの後ろから剣を構えた男が近づいて背中に振りかぶる。しかしオーフィアは黒棺を瞬時に左腕に装着すると、盾の要領で攻撃を弾き、逆に男にシールドバッシュを食らわせる。予想外の攻撃をもろに受けてしまった男は遠くまで飛んでいった。それにしてもあの棺、盾にもなるのか……! 

 

「なんで馬鹿力だ。ほんとに女かよ……!」

 

「女性に失礼……っ!」

 

「早っ──ぐはっ!?」

 

 オーフィアは少しむっとして怒気を見せる。直後男に鋭く踏み込んで距離を詰めると、特大剣の平な切っ先で腹を突き飛ばした。

 

 こいつ、やっぱり強い……。しかし私はーフィアの規格外の戦闘力に、何処か違和感のような既視感のようなものを感じていた。私が慄いていると、戦闘を終えたオーフィアはぺたぺたと擬音が付きそうな歩幅でゆっくり歩いてくる。するとオーフィアは自慢気に胸を張って、『ぶい』とピースをしてきた。

 

「オーフィア、怪我は無い?」

 

「もーまんたい!」

 

「大丈夫そうね。良く分からないことを言ってるから」

 

 オーフィアの無事を確認すると、私は件の盗人に近づいて爆弾が入った袋を取り返す。腹を押さえて蹲っている盗人は私達に気が付いて、許しを請うように地面に頭を擦り付けた。

 

「ゆ、許してくれ……まさか、ボマーの家だとは……それにば、化け物がいるなんて!」

 

「……不快──殺すッ」

 

「感情的になるな。盗賊の言葉は聞くだけ駄目だ……おいお前、今回はこれで見逃してやる。とっとと失せろ」

 

「殺す…………ッ!!」

 

「は、はいっ!?」

 

 盗人すっかり怯えきった様子で、足が絡まるのも気にせず逃げていった。オーフィアは依然として機嫌悪そうにグルルルル……、と獣みたいに盗人の背中を睨み続けている。化け物って言われたのがそんなに傷付いたのかな……正直私も同感なのだけど。言わなくてよかった。

 

 その後、怒りに震えるオーフィアを宥め落ち着きを取り戻した彼女と帰路を共にした。尚その途中私達を追って走ったのか、疲れ果てて地面に這いつくばってるマイケルと合流した────家からほど近い場所で。

 

「何してんの。体力なさすぎよ」

 

「ふ、2人共……はぁはぁ……は、早いな……っ」

 

「こんな時まで鎧を着てるからでしょ。いい加減脱ぎなさいよ全くッ!」

 

 お前の所為でアジトを漁られたんだぞ、寝てんじゃねーよ。私は何となくマイケルを蹴飛ばした。oh……とマイケルは悦びの声を上げた。気持ち悪い。

 

 そして何故かオーフィアは私の方をじっと見ると、頬を赤らめた様子で顔を両手で隠して指の間からチラチラ見てくる。

 

「いやん、テレジーったらえっち…………脱げとか言ってSMプレイ始めるとか……大胆」

 

「えっちじゃないし、違うわッ!!」

 

「テ、テレジー……もっと、もっと強いのをぉ!?」

 

「ほらテレジー……焦らしプレイも程々に。そろそろご褒美をあげて……マイケル、欲しがってるわ」

 

「焦らしてねえッ!? 気持ち悪いこと言うなッ!!」

 

「大丈夫……私SMプレイに結構理解ある」

 

「無くていいわそんなのッ!?」

 

「恥ずかしがらないで……変わった性癖は誰にでもあるの」

 

「私そんなの持ってないんだって!? お願い勘違いしないでよ!!」

 

「えっ……だってガリッパ君とマイケル、よくメスの顔してたから……」

 

「確かに、確かにしてるけどッ。でも私はそんなので悦ぶ変態じゃないッ!」

 

「変態でもいいじゃない……因みに私、露出癖があるわ」

 

「変態ッ!?」

 

「みんなに黙って服を脱ぐのが堪らないの……今も下着、着けてません。だから胸のここが擦れて……うぅ痛い」

 

「なら着けろッ!!」

 

「分かる。分かるぞぉ……見せたいよな、筋肉」

 

「多分そういう事でもない気がするッ!?」

 

「テレジーも露出癖あるでしょ……? コートの下、何も着けてなかった」

 

「ほう……そうなのか!!」

 

「お前と一緒にするなッ! 晒し巻いてるしパンツも履いてるわッ!! あと変な想像するな!!」

 

「仲間かと思ったのに……仲間はずれ、酷い。ぐすん」

 

「おお、オーフィアが泣いてしまった! 仲間はずれとは酷いやつだッ!!」

 

「なんで私が悪いみたいになってんのよッ!!」

 

「お願いテレジー……今すぐ晒しを取ってパンツも脱いで。仲間になって……こんなことテレジーにしか頼めない……」

 

「誰が脱ぐかッ!!」

 

「なら代わりに俺が脱ごうッ!!」

 

「私女にしか興味ない。目が汚れるから、やめてマイケル」

 

「Oh My gosh……」

 

「そっちには理解ないのね……」

 

 何回繰り返すんだろ、こういうくだり……。

 

 ☆ ☆ ☆

 

 取り敢えず無理やり話を付けて私達は解散した。そして翌日に魔獣討伐のため再び集まることになった。

 

 なったのだが……。

 

「ひゃっはー!! 汚物は消毒だ〜!!」

 

「いっぱい血を吸って、大きくなってイチモッツ君…………」

 

「誤解しか招かない表現ッ!?」

 

 翌日、西側の栽培区で現れた狼型魔獣の討伐で調子に乗った二人によってあっという間に倒され、私は大鎌の練習を少しもできなかったのだった。

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