死中に活ッ!笑えよドラゴンッ!!※転生先が絶望的なんだが   作:ストロング西岡

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第三十三話 前を見て、夢が満て

 

 即死。それはまさに今振るわれた特大剣の攻撃に相応しい言葉だ。

 

 剣が振るわれたとは思えない轟音を響かせ、私の頭上を掠める刃が潰れた肉厚の特大剣。しゃがんで避ける。続いて黒棺のバッシュ。直前まで屈んでいたため、交わしそこねて僅かによろける。たたらを踏んだ隙に特大剣による刺突が腹にもろに直撃。

 

「ぐっ!?」

 

 あまり力が籠もっていなかったのか、数メートル程だけ飛ばされるにとどまる。それでも腹に受けた衝撃は凄まじく、脳内は苛み続ける痛みによって塗りつぶされる。

 

「ふんっ!」

 

「っ! うっ、あぁ!!」

 

 オーフィアは前に勢いよく踏み切り、上段に構えた特大剣を振り下ろす。呆けた頭ながらその様に、道端で潰れたネズミがフラッシュバック。すぐさま回避行動に移る。

 

 私の回避先に置くように横振りされた特大剣の攻撃を、屈みつつ大鎌で受け流す。間髪入れず帰ってきた追撃の特大剣を、バックステップを踏んで範囲から避けようとするも、僅かに間に合わず腹を掠めた。

 

「ぎっ……がぁ!?」

 

 痛い、痛い痛い!! 腹が焼けるように熱い! 

 

 黒コートは度重なる衝撃によって草臥れ、今の攻撃によってそのほとんどは千切れその体を成していない。掠めただけでこの威力……ふざけている。何を考えてるんだ、こいつは……! 

 

「ま、待って。オーフィア!」

 

「待たない」

 

 オーフィアは左手を上に掲げると、彼女の周りに炎弾が発生。炎弾の数が5を越えたあたりでオーフィアは腕を振り下ろし、それを皮切りに炎弾は私目掛け豪速球に飛来する! 

 

「くっ……!!」

 

 1発目はステップで左へ避ける。誘導性はないらしく、真っ直ぐと地面へと飛んでいった。2発目と3発目はほぼ同時に訪れ、それを察知した私は全力で右へとダイブ。転がって何とか受け身を取ると、続けざまに迫る4発目を前に、だが若干横にそれるように体を捻りつつステップで避ける。5発目は回避が間に合わないと判断し、大鎌の幅広い刃の部分でガードする。

 

 バァアアンッ!!!! 

 

 大鎌から伝わる炎弾の圧倒的な質量が伴った衝撃を、何とか受け止める。数歩後ろに後退することを余儀なくされ、僅かによろける。その力は生半可なものではなく、私の両手は衝撃によって痺れてしまう。

 

「甘いよ」

 

 爆音によって耳が麻痺し、爆発によって目が焼けて正面がよく見えない。だが、僅かだが魔力の存在を感知し、左へとダッシュする。恐らく魔力の構造から見てさっきと同じ炎弾だ。全力で走れば当たらないはずだ──。

 

「え──あ、ああああああ!!!!」

 

 避けたと思った炎弾が横っ腹に命中。爆発によって吹き飛ばされた私は、身を焦がしている炎に苛まれる。

 

「熱い、熱い熱い熱い熱い!!」

 

 肌が肉とともに吹き飛び、内部から滲み出た血が焼ける匂いが鼻孔に突き刺さる。いつか焼き殺した、灰の病に罹った母親と娘は、この痛みの中死んでいったのか。そしてなにより、この匂いが自分から発せられている事実が、何より恐ろしい。

 

 水……水だ! でも今の私には水すら出せない。いや違う。ここは水路が合流する地点だ、水ならある! 

 

 激しく揺れ動く視界の中、必死の思いで見つけた水路。案外直ぐ側にあり、私は迷うことなく飛び込む。

 

 焼けただれた皮膚に、肉によく冷えた水が染みる。水が傷口に触れたことによる痛みはあるのだろう。しかしそれ以上に焼かれた箇所による、未だ熱せられた鉄板が押し付けられているような熱さが消えてくれない。

 

 いつもなら戦闘に支障をきたす攻撃を受けたときは、すぐさま、それが応急措置であっても治癒する。だが、今の魔力量ではそれすらできない。精々できるのは、身体強化の魔法。私お得意の節約術を使えばほんの少しだけ余裕があるのだが……オーフィアの攻撃を受けた場合のことを考えると、出し惜しみをすることができない。現に攻撃を掠めただけで大ダメージだ。もし節約術を使っていたら1も2もなく死んでいるだろう。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……。いっ、だ、あぁ……!」

 

 岸辺を掴んで体を水面から這い出るように脱出。体に力が入らず、転がって移動するのがやっとだ。仰向けになって息を整えようとするも、息を吸い込んだ拍子に抉れた傷が急激に痛みを訴える。

 

「何、してるの…………」

 

「……っ!?」

 

 死の気配。殺気と呼ばれるものを今まさに私は感じ取る。

 

「……う、があああ、ああ!!」

 

 魔力の出力を上げる。ともすればマインドダウンだが今は気にしない。時間加速魔法の発生を確認。これなら素早く動ける……! 

 

 手足の4本を獣のように器用に使ってその場から緊急離脱。直後、特大剣の攻撃とは思えない爆発に似た斬撃が、私の元いた場所で起こる。

 

 だが気力が持ったのはそこまでで、手足の感覚が消え失せた私は顔面から地面と激突する。勢いだけは初速で付いていたのが災いし、何度も体をぶつけることになる。

 

「はぁ……はぁ……!! うっ、がはっ、ごほっ!!」

 

 やはり、どれだけ発動時間を短くしても反動はやってくる。はは……まったく欠陥技だな。もう2度と使わない。お陰で全身が悲鳴を上げてるように痛みを訴えている。外部の火傷や裂傷、打撲のなどはもちろん、内蔵もズキズキ痛む。どこがやられているかなんて分かりゃしないが、今すぐ治療しなければ後先短い人生を歩むことになりそうな、そんな損傷具合だろうことは想像に難くない。……それは、この場から逃げ遂せた場合の話だが。

 

 大鎌を杖に震える足を無視し力を込める。何度か失敗を重ねつつも、私はやっとの思いで2本足で立つことに成功する。腹は高熱によって瞬時に止血され、その他ダメージも打撃によるものだったから、幸い血は出ていない。言ってしまえばそれだけで、体力、精神力、気力、元気その他諸々底を尽きそうで、なぜ未だ立ち上がれているのか不思議でならない。

 

「…………」

 

「オー、フィ、ア……なんでこんなことを…………!」

 

「……わたしのすべきことを、しているだけ」

 

 ゆっくりとこちらに歩いてくるオーフィアに、私は大鎌による袈裟斬りをお見舞いする。だが、当然力の籠もっていない斬撃なぞ児戯同然で、あっけなく棺によって弾かれる。思わぬ威力のパリィに私の手を離れた大鎌は、どこか遠くへと飛んでいってしまう。

 

 支えでもあった大鎌を失い、私は膝から崩れそうになる。何とか顔面からの着地は避けたいがため、受け身を取ろうと両手を伸ばす。しかし、地面へと激突する前にオーフィアの特大剣が腹にクリーンヒットした。

 

「がぁあ、あああああ!?!?!?」

 

 不自然なまでに私の体は吹き飛びはしなかった。背中に硬い壁のようなものを感じた。恐らくオーフィアが私を吹き飛ばさないよう、体を固定するための何かを講じたのだろう。特大剣で叩き潰された内蔵が摺り潰されるような痛みが襲う。

 

「あ、あぁ……ああっ!! いたぃ、いだ、い……いだ……い!!」

 

 あまりの痛さに私はその場に崩れ落ち、ただただ蹲ることしかできない。

 

「ねぇ……」

 

「がぁ、ああ……!」

 

 オーフィアはその凄まじい力を持って私の髪を鷲掴みにすると、オーフィアの目線まで持ち上げられ正面から彼女を見据える。

 

「何してるの……?」

 

 痛みで目が開けにくい。痛みで涙が出そうになる。だが、今だけはオーフィアを見なくてはならない。そんな気がして、私は必死に瞼を開けて彼女の視線に答える。

 

「──っ!?」

 

 その目は、まるで鬼のようでいてだが人間味を持ち合わせた、この世のものとは思えない闇より深い闇をたたえた、黒い瞳が私を睨みつけていた。

 

「さっきからやられてばかり……何で本気出さないの?」

 

「そ……れ、は…………」

 

 煮えきらない態度の私に腹を立てたのか、オーフィアは空いた方の手で手刀を作ると──。

 

 ズプッ。

 

 手刀が勢いよく私の横っ腹、醜く吹き飛ばされた傷口から体内へと侵入した。

 

「ああ! がぁああああああ!!??」

 

 握ったり、奥に差し込んだり、捻ったり摘んだりと子供の遊んでいるかのように傷口を広げていく。抵抗して手足をオーフィアにぶつけるも岩のようにびくともしないオーフィアは、ひたすらにその手を奥へ奥へと差し込んでいく。

 

「やめ、てぇえ!! が、ぎぃ……ぐぁぁあああ!?」

 

「何で本気出さないのって聞いてる」

 

「答えるっ!! 答える、からぁああああ!!!!」

 

「このままで答えて。早くしないともっと痛くする」

 

「オ、オーフィ、アをぉおお……が、ぁああああ!! 傷つけ、ぇえ……たく、ないぃい!!」

 

「……あっそ」

 

 オーフィアは不機嫌そうに鼻を鳴らすと、腹を弄っていた手でナカの何かを掴むと、勢いよく引き抜いた。

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!」

 

「わたしはこんなにテレジーを傷つけてるのに……まだそんなこと言えるんだ」

 

「いっ、ぎぃあ……がぁあ、おっ、ふぃあ……」

 

 オーフィアは雑に私を地面へと投げる。頭から硬い床に激突し、地面へと突っ伏す私にナカから引き抜いた何かを目前に投げつける。

 

「まだ、嫌いになれなさそう?」

 

「……きら、い…………?」

 

 硬い床が私の胎内からどんどん出てくる血液に侵されていく。酷い出血量だ……痛みも薄れてきて、意識も揺らいでいる気がする。なんだか肌寒くもなってきた……。大量出血による症状とマインドダウンが併発してる。きっとこのまま、死ぬんだろうな。

 

「わたし不器用だから……テレジーを虐めれば、テレジーはわたしのこと嫌いになるかなって……本気、出せるようになった?」

 

 何を言っているのだろうか、この子は。嫌いとか、好きだとか、そういうことではない。嫌いになったからと言って、私はオーフィアに刃を向けることなんてしたくはない。本気を出すとか以前の問題だ。

 

 それにあんたが言ったんじゃないか。私を友達と呼んでくれるか──と。それに答えようと必死なだけなのに、それの何が悪いんだ。

 

「嫌い、に…………なるなんて……」

 

 ……いや、かつての私だったらどうだろうか。かつての誰とも関わりを持たなかった私であれば、恐らくオーフィアと刃を交え、いとも容易く彼女を傷付けていたことだろう。

 

 それができなくなったのは、人と関わる喜びを知った……思い出したと言っていい。1人でこの貧民街を生きた私は、誰の庇護を必要としなかった。媚びず、頼らず、関わらず、私は生き残ってきた。闘ってきた。……その日々を、生き方を、変えてしまったから。変えられてしまった。

 

『──もう逃げないと約束したからな』

 

 走馬灯だろうか。あの日、初対面にも関わらず助けてくれた彼の姿が思い浮かぶ。

 

『辛い思いを押し込めて。必死に、生きてるんだろ』

 

『あの言葉』を彼は有言実行していた。それから彼は私のために何もかも尽くしてくれた。きっと、これからもそうなのだろう。

 

『テレジーも、あるんだろ。──生き残ってやりたいこと』

 

 彼──マイケルは、私に権利を与えてくれた。私の、昔エリナと抱いた一つの大切な『夢』を思い出させてくれた。再び追いかける意味をくれた。

 

 夢。一度は忘れてしまったもの。しかし、それ故一度言葉にしてしまえば、その責任も含めて、今の脆弱な私には重くのしかかる重圧に成りかねないと思った。重荷がやがて望み全てを押し留め、私の中で腐敗していくのではないかと。だから、それを目の当たりにしないように、例え胸中であっても口にはしたくなかった。

 

 夢……。そう。夢だ。かつての私は夢に支配され、そして今の私をも支配した。心地よい支配だ。全能感にも似たこの力の源は何を隠そう夢だ。無限に湧き出る夢の力だ。

 

 あの日から全てが始まった。私と、エリナの物語。こんなところで終われない。道半ばどころではない場所で止まれない。夢破れて儚く消えゆく命なんて端からいらない! 

 

 重荷……十分じゃないか。武器は重さを増すほど取り回しが悪くなるが、その分威力が上がる。結構だ。扱い切れる器になればいい。使いこなせ。十数年生きてきたんだ、自分の使い方ば自分が1番分かっている。どうすれば私がオーフィアと相対するだけの『資格』を得ることができるのか。

 

 オーフィアは覚悟した。背後にあるクロードに唆されたのか、自らの意志なのかは分からないし、この際どうだっていい。私に嫌われるための覚悟を、その通過点を彼女はとうの昔に通り過ぎ、凶刃を振るうのだ。そう、確かに彼女は言ったのだ、『すべきことを、しているだけ』と。ならば、私も、私のすべきことを、成すべきことを成すのがオーフィアに報いる最後の手段だ。

 

 ……それでいいのよね、オーフィア? 

 

 拳を握りしめる。気力は満ちた。私は、叶える。マイケルが支えてくれた……それにも報いるために。エリナと一緒に夢を叶えるために。

 

「もういい。本気で来ないなら────殺すッ!!!!」

 

 棺を左手から外したオーフィアは、両手で頭上に特大剣を持ち上げると、全力で私へと振り下ろす────。

 

『一度しか言わないわよ──あたしの夢は──それはね……』

 

 死にたくない。──生きたい、って願う限り夢は終わらない。ならば、その命果てるまで挑み続けろ。その先の道で何が起ころうと、最後まで戦い抜け。

 

 それが、夢を叶えるということ──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『2人で一緒に、このクソッタレな国を出て……幸せに暮らすことよ』

 

 

 

 

 

 ともすればありきたりで、つまらない夢。しかし、それは私にこの世で羽ばたくための大いなる力を与えた。

 

 ──私は奇跡を信じない。奇跡ではなく偶然を起こすのだ。だから私は魔法が好きなのだ──。

 

 護身用の短剣。否、『契約道具』を胸骨に突き刺す。いやそれも違う。正しくは胸の中心に埋め込まれた、魔術が書き込まれた『魔力石』に差し込み、契約道具が体内へ溶けていく。

 

 ガギィインンッ!!!! 

 

「っ!?」

 

 遠く離れて視界からも消えた大鎌を手元に『召喚』し、正面からオーフィアの特大剣を受け止める。

 

「な、に……それ!?」

 

 軽い。オーフィアの特大剣はこんなにも軽いのか。いや少し違うな。彼女の体から魔力をほとんど感じられない。身体強化もそこそこに、精々魔道具を動かす程度の魔力しか運用していない。戦う意志がない私に手加減をしていた、ということだろう。……彼女なりの優しさに今、気付くことができた。この力を使って良かった。

 

 暖簾を腕で押すようにオーフィアを弾き飛ばすと、中段蹴りを隙だらけの土手っ腹にお見舞いする。

 

「ぐっ…………!?」

 

 咄嗟に受け身と身体強化を行ったようだが無意味だ。足に僅かだがアンチマジックを付与することで、オーフィアが咄嗟に掛けた魔法を一時的に無効化した。だから彼女は生身で身体強化魔法を纏った全力の一撃を受けたことになる。さぞかし痛かろう。ともすれば内蔵を破壊しているかもしれない。

 

「……ふふ……や、やっ、ぱり……テレジーは、がっ……! つ、強い……!!」

 

 苦しそうに腹を抑え、咳込んで血を吹き出しながら、だがその実嬉しそうに口元を歪めるオーフィアは、自身に回復魔法を施す。

 

「素晴らしい……!! これが、稀代の天才と呼ばれた魔法師の真の姿っ!! この魔力量があれば、俺の計画は完成する!! オーフィア、そいつを殺してでも捕らえろっ!!」

 

 ……外野が何やら騒いでいるが、気にすることはない。今となってはどうでも良く、取るに足らない存在となった。あんなのいつでも殺せる。それよりも今は目の前の脅威に目を向けよう。力を解放した今でも、十分な脅威になり得る存在だ。

 

 溢れ出る魔力。2年ぶりに体感するその魔力量と、今まで眠っていた魔力感知能力による全能感。見えていないはずの場所、それだけではない……もっと遠くの風景ですら知覚しているかのような感覚。これが以前までは当たり前だったのだから、よほど贅沢な世界に暮らしていたのだな、私は。

 

「もったいぶらせてごめんなさい……貴方相手に本気を出さないのは失礼よね」

 

「いい……埋め合わせは、これから。……わたしを、まんぞくさせて?」

 

 既に体の治癒は終わっている。痛みどころか傷口一つなく、健康体そのものだ。疲労もある程度回復させ、気力も十分。戦う用意はできている。オーフィアも同じく己に回復魔法をかけ、治療を完了させている。とはいえ彼女は私とは違い彼女自身の魔力ではなく、外部の……魔力石による魔法だ。さっきまでは分からなかったが、今なら魔力の種類や出処まで知覚できる。なぜオーフィアが魔法を使えているのか、ようやく理解できた。

 

「当たり前よ。私を、誰だと思っているの?」

 

 大鎌を構える。釣られてオーフィアも棺を正面に、半身で特大剣を構える。先制はこちらがもらう。先程時間加速の魔法は二度と使わないといったが、あれは反故としよう。

 

 

 

 

 

 

「私、『天才』なのよ?」

 

 

 

 

 

 

 魔力を出し惜しむ必要のない、体への負荷を考える必要がない、全力の時間加速。思考速度が間に合っても体が間に合わない程の、光速を超える速度でオーフィアの背後に回り込んだ私は、そのがら空きの背中に大鎌による一撃をお見舞いする。

 

 ガギィインン!!!! 

 

 背後に回られることを読んでいたのか、特大剣を盾に構えて凶刃を防いでいた。だが、完全ではなく、大鎌の切っ先は彼女の左肩へと深く突き刺さっていた。

 

「ふふ、ふふふふふ……あはははははは!!!! すごい、すごいよっ! テレジー!!!!」

 

 狂喜。彼女の想像を超える私の一撃に、流れる血を気にした様子もなく、その言葉を体現するように狂い笑うオーフィア。その瞳には憤怒ではなく、子供のように無邪気で、だがどこか妖艶さを覚える炎が揺らめいていた。

 

 

 天才。その誉れ高くも忌々しい称号を冠する私は、その名の示す通り保有する魔力量が歴代の子どもたち、大人たちを含めて他の追随を許さないほど抜きん出ていた。

 

 契約に従い、そんな私がかつて所有していた『魔力』を含めた、現在エリナが所有している『全魔力』──私とエリナの魔力を得た今の私に、勝てる相手は居ない。

 

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