死中に活ッ!笑えよドラゴンッ!!※転生先が絶望的なんだが   作:ストロング西岡

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第四十三話ッ この世の全ての食材に感謝ッ!!※合掌

 

「…………ん〜……うぅ……」

 

「無理するからだぞ」

 

「ごめん……ほんとに……ごめん……」

 

「構わないさ。こんな時くらい、頼ってくれ」

 

 あれからしばらくもしない内に顔面から倒れ込んだテレジー。今は俺の背でおぶられて揺られている。俺たちのせいでもあるしな。見抜けなかったのもそうだし、もっと気遣いができたはずだ。オーフィア殿にも一言言っておかねば。何を自分のことを棚に上げて、と言われたらぐうの音もでないが。

 

 棚に上げて、か。最近どこかで聞いた気が……エレノア殿か。あの時は確かエレノア殿はガイ殿に『自分のことを棚に上げるどころか、神棚にでも備えてるつもり?』と言ったのだったな。

 

 ……思えばあれだな、この世界にも神棚があるのだな。流石に宗教は違うだろうが。

 

「回復魔法、かける?」

 

「……ううん、要らない。自分でするから」

 

「そう、だよね……」

 

 あれ以来、テレジーは定期的にオーフィア殿の魔法石に魔力を充填している。オーフィア殿の体は魔力障害によって脆弱し、自身の力では生体維持が難しい状態。それを外部の力である魔力の供給によって支えることで、その命を繋ぐことに成功した。そのため、オーフィア殿の持つ魔力石はオーフィア殿にとってもう1つの心臓。テレジーの魔力供給がなければ生きることができない。

 

 オーフィア殿は魔法石のお陰で魔法を使うことができるが、それは命を削っているのと等しい。万が一魔力が枯渇すれば最悪の事態になる。テレジーはその事を恐れ、オーフィア殿は自分の気遣いが結局テレジーの為にならない、と思ってしまったのだ。

 

「あ、違うの、そういう意味じゃ──。その、ありがとうオーフィア。気遣ってくれて」

 

「! ……うん。何かあったら言って」

 

 俺の横を歩きながら、2人は微笑ましく会話している。

 

 うむ、あの時オーフィア殿を救えて良かったと心から思える一幕だな。

 

「気遣いで一番大事なのは、何をしたかではなく、相手のためにと心を込めることが大事なんだ。だから、オーフィア殿の行為は間違ってないぞ」

 

「……うん。ありがと、マイケル」

 

 オーフィア殿のあまり動くことのない口角が、緩くカーブを描く。うむ、やはり女の子は笑ってるのが一番だ! 

 

 ……あの件があってから、オーフィア殿が必要以上に責任を感じて塞ぎ込む可能性があると思っていたが、杞憂に終わった。やはりあの禊は必要だったな! 流石テレジーの足技。本当に世界を救えるのでは? 

 

「……おい」

 

 栽培区画を抜け北城門を通ろうとした時、現統合レジスタンスのメンバーが声をかけてきた。

 

 いつもの門番さんだ。

 

「これ、今日の分だ」

 

「おう、ありがとうな!」

 

「…………」

 

「……一応言っておくが、そいつ等の分も入ってるからな」

 

「ああ、分かってるさ! いつもありがとうなッ!!」

 

「ラルクの命令に従っただけだ。……明日も頼む」

 

「貴殿もな! また明日、頑張ろうッ!!」

 

 門番殿に手を振ってそのまま市内へと入っていく。城門から距離が離れ先の御仁が見えなくなったところでテレジーが口を開く。

 

「街の人、変わったわね。前だったらもっと……」

 

「うむ、そうだな。2人が懸命に働いている姿を見て、心を動かされたのだろう」

 

「そうかしら……ラルクがなにかを言ったからだと思うけど」

 

「だとしても。君たちはアスキアに住む人々の助けになっている。それを見て心動かされない人はいない」

 

「…………」

 

「もちろんオーフィア殿も、だぞ」

 

「まぁ……当然。いちゃもんつけてきたら、ころころ、するだけ」

 

 うむ……オーフィア殿はあれだな。過激派だな。

 

「その……昔、ね。私……頑張って働いた配給切手をね……無理やり取り上げられたことが、あって……それで、それから──」

 

「──テレジー。昔働いたこと、あったんだ?」

 

「うん。あった……これが二度目、だったけどね。……あの、ごめん。この話、忘れて」

 

「ううん。……聞かせてくれて、ありがと」

 

 テレジーは昔の出来事を語るのを極端に避ける傾向がある。恐らく聞いてほしくないのだと、俺はその手の話題に触れないよう気を付けていた。露骨に顔を顰められては、流石に気付く。特にシド殿の近くにいたときは凄かった。

 

 ……だから、自ずと過去何があったのかが想像がついてしまう。テレジーが『それから』の後に続けようとした言葉を、無理やり塞いだオーフィア殿も、悟ってしまったのだろう。

 

 ま、ネガティブなことは置いておいて。ともかくだ。テレジーが過去の話をしてくれたということは、こちらに対して心を開いてくれたということ。良い変化と今は喜んでおこう。喜ばしいことを素直に喜ぶことも時には大事なのさ。

 

 ソースは俺。

 

 ☆ ☆ ☆

 

「……何これ」

 

「わたしがつくった」

 

「これが、料理……!?」

 

 何事もなく帰宅した我々は順番に湯浴みを終えると食卓を囲む。今日の料理当番はオーフィア殿。いち早く湯浴みを終えたオーフィア殿が忙しくなく厨房で料理をしていた。俺は最後なので、上がった頃には後は皿を並べるだけの状態。俺はさっそく頂こうと思ったのだが。

 

「傑作」

 

「傑作ぅ!? 嘘でしょただの蒸した芋潰しただけじゃんッ! もう片方は薄いスープ、もう1つは燻製肉! 手抜き意外のなんでもない!!」

 

「用意してくれるだけ、ありがたいと思え……」

 

「うっ、それはそうなんだけど……もっとやりようあるでしょ!?」

 

「まぁ良いではないか。こういうのもたまには悪くないぞ」

 

「いや、この子いつもこれよ!? 『今日は楽しみにしてて』とか言うくせに、いつもこの出来なのよ!?」

 

 うーむ。確かに簡素だが俺は十分だと思う。

 

「ていうか……テレジーも人のこと、言えないでしょ」

 

「そんな事無いわよ! 私なら芋を潰したものにお肉入れるし、スープにも肉入れるし、燻製肉も出すし」

 

「え、わたしの料理と何が違うの」

 

 本当。肉を入れるという一手間しか変わらない。燻製肉に至ってはただ置いただけ。オーフィア殿と同じ。あれだな、テレジーは棚に上げるの上手いな。もう少し、自分を顧みてくれ? 少しだけでいいんだ。

 

「うん。美味いな」

 

「素材の味しかしない……」

 

「違う……ご飯の味わい方が違うよ、テレジー」

 

「え、そんなのある?」

 

「まず一口……そして舌で転がすの」

 

「う、うん……」

 

「ん、んちゅ……あー、ん……♡」

 

「待て待て待て待て!? 舐め方が卑猥!!」

 

「舐めるだけじゃだめ……吸ったり、甘咬みしたり、焦らしたり……」

 

「ごめん、絶対変な話してるよねッ!? 食事中に見合わないやつッ!!」

 

「あ、違った。これ乳首の味わい方だった」

 

「そんな間違えするかッ!!」

 

 うむ、凄いな。オーフィア殿はいつでもどこでもマイペースだな。でもな。取り敢えずご飯、食べませんか? 

 

 冷めちゃうぜ。

 

「まずは落ち込んでる子に声を掛けるの……」

 

「もう料理の話ですらないッ!」

 

「過度なスキンシップはだめ……けど、行けるときはガッと行くの」

 

「やめろ! 生々しいわッ!!」

 

「あ、違った。これ女の子の食べ方だった」

 

「間違えるかッ!!」

 

「えっちする日は爪を切っておくの……」

 

「もう隠しもしないじゃんッ!?」

 

「2人共、いい加減にしろ。食べなさい」

 

「「ごめんなさい……」」

 

 おっと。俺のキャラじゃないことをしてしまった。はっはっはっ。

 

 ……飯は黙って食おうな。味わって? 

 

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