死中に活ッ!笑えよドラゴンッ!!※転生先が絶望的なんだが 作:ストロング西岡
「そういう訳で、公園を作ろうと思うッ」
「『そういう訳で』で始めようとする前にまずちゃんと説明して? いきなり言われても困るよ?」
「ほらこの前、イザベラ殿は子どもたちと遊んでいただろう? だから子どもたちの遊び場を用意してあげれば、釣られてイザベラ殿も来るのではないかと考えたのだッ!!」
「杜撰だらけのはずなのに、前回の事で説得力があるのよね……その計画」
イザベラ殿との一件後、取り敢えず家に戻って体勢を整える事になった。その次いでに俺が移動中に考えていた今後の動きについて話していた。
「マイケル……それ、子どもたちが囮になる、けど……」
「あんなに仲良く、楽しそうに子ども達と遊んでいたのだ。傷付けるような真似はしないだろう……それに」
「それに?」
「……俺も子どもと公園で遊びたいのだッ!!」
「まさかそれが本音じゃないでしょうねッ!?」
イザベラ殿との遭遇、戦闘があった日から1週間程度たった今日。2日ごとにラルクの下へ経過報告をしに行くテレジーの表情が日に日に曇っていったのを憂いた俺は、進展のない状況を打破すべく一計を案じることにしたのだ。
机を挟んでソファに座る2人は、最初こそ虚を突かれた顔をしたが、俺の熱意が伝わり頷いてくれた。うんうん、話が分かる人たちだ。多分俺と同じく思考がぶっ飛んでるのだろう。
……どう考えても頭おかしい作戦だが、何故か理に適ってしまう。これが異世界なのだ。違うか。ああ、でも心配要らないぜ。なにせ一番驚いたの俺だからな。イザベラ殿が子ども好きだったとはいえまさか一緒に遊んでるとは思わないだろ、普通。自分が殺し屋だってこと忘れたのかな、あの人。
「名付けて『公園作戦』ッ!」
「そのまま過ぎない?」
「じゃあ『イザベラ殿ほいほい作戦』ッ!」
「かわいい…………採用」
「まぁ……いいんじゃない? なんでも」
これからのやることは決まったな。ラルクの依頼は一度中断という形にはなるが、回り回って任務解決に導くための布石だ。必要経費だ。
それに、子どもたちの遊び場がないというのは些か不便だろう。子どもは楽しく遊んで笑って、皆を笑顔にするのが仕事だからな。
「遊具は、何にするの? おっきなベット……とか?」
「それはある種の火遊びでしょ」
「いやんテレジー……ただの休憩場所だよ?」
「そう言って誰も彼もがラブホに誘うのよッ!!」
「ベンチは作る予定だが、それでは駄目か?」
「背中、痛くなっちゃうよ……?」
「お願い、一旦真面目な話するから黙ってて、オーフィア」
「ごめんなさい」
「鉄棒とジャングルは欲しいよな!」
「鉄、棒……。ジャングル……絡み合う男女……卑猥」
「ブランコとかもいいわよね」
「テレジー……何を、ナニをぶらぶらさせる気なの……?」
「殺すわ」
「ごめんなさい」
☆ ☆ ☆
「とは言っても材料が無いわよね。一応ラルクに聞いてみるけど、宛にはしないで」
「廃材を使えば何とかなるだろう。そうだ、アリシア殿とクレイトン殿に鉄資材の供給先を聞けば工面してくれるやもしれんぞ」
「貴重な資源を渡してくれるとは思わないけど……やるだけやってみましょうか」
俺達の間で公園のマスタービジョンの共有を済ませる。これが共有されていないと各々が違う完成図を描くことになってしまう。3人で力を合わせてものを作るのなら必要な課程だ。俺が考える中での一般的な公園ではあるが、遊び場としては十分だろう。今から完成した公園が楽しみだ。
「材料があれば、形を変えるのは簡単……まかせて」
「ねえねえ、その鉄の変形させる魔法ってどこで覚えたの?」
「わたしが編み出した」
「すごっ!? エリナみたい!」
「魔力を動かす感じで……くるくるっとやるの」
うむ。俺が魔法を使えないからかも知れないが、言ってることが全く分からん。説明が雑過ぎて最早説明してないな。天才か。
「なるほど……」
え、それだけで分かるのか? 君も天才だな。思わずテレジーの顔見ちゃったよ。
「材料なくてもできるよ。城のときは無しでやってたから」
「すごっ!? 魔力の消費量半端ないでしょ!」
「まあね……つるつるっと素材を錬成してから、くるくるっとやるの」
うむ。例え俺が魔法を使えたとしても、オーフィア殿の言ってることは分からないだろう。オーフィア殿は感覚肌なのだ。やはり天才か。
「なるほど…………」
え、頷いてるけど本当に分かってるの? 二度見しちゃったよ。君たちは今日から天才と名乗っていいぞ。多分。
「良く分かんなかったからその時になったら教えて」
「おふこーす!」
分かってなかったんかい。
「じゃあいち早い公園の完成のために早速……い、行きますか…………明日にでも」
「おうッ…………ん、明日? 今日じゃないのか」
「いやー、その、英気を養うというか、戦いの準備をするというか、短剣を研いでおきたいというか」
「そこまでして一体何を倒しに行くのだ」
「あ……そう言えば大鎌の修理終わった、ってアリシア言ってたよ」
「う゛っ……」
『アリシア』と名前が出たときから狼狽えるテレジーに追撃の一言。分かっててやってるだろ、やはりオーフィア殿は鬼畜だな。
「……他に、なにか言ってなかった……?」
「あとは、銃のカスタム終わったって」
「いや、そうじゃなくて……!」
「…………行ってからの、お楽しみ?」
「何か知ってるなら言ってよッ!!」
ま、多分君の想像しているような事は起きないさ。何となくだけれど。
「あ、ああ……あああああああ…………!」
「あ、やばい……かも?」
アリシア殿に詰られたときと同じような様子で頭を抱えるテレジー。怖い。人が狂う寸前みたいで怖いな。たかが怒られただけで恐怖抱えることってあるんだな。
「もし何かあれば俺が話をつけようッ! だから、怖がらないで、一緒に行こうッ!!」
「マ、マイケル…………」
テレジーは涙を目に溜めてうるうると小動物よろしく縋りついてくる。
……うーむ。テレジーのキャラ。大分変わったなあ。
いや、元々こういう人なのかもしれないな。今までは心を閉ざして気丈に振る舞っていただけで、本当は打たれ弱い人なのかもな。
問題はない。ないはずだ。支えてみせるぜ。俺の人生に賭けてな!
「何度、わたしにテレジーがあーだこーだと言ったか──」
「──あああ!! やっぱりだめだぁあああ!!」
……あとでオーフィア殿を叱るか。キツめに。