Persona3 Temperance 作:人ちゅら
ロクに推敲する時間も無かったので、後日改稿の可能性大。
2009年4月8日――影時間。
影時間の中でも動ける人間が、まだ居たらしい。
野球帽を被った少年は
当然ながら彼は【影時間】というものを知らない。
ただ突如として周囲の人々が棺桶に変わり、街灯も消え、代わりにおかしなケミカルイエローの月明かりが外を照らし、いつの間にか広がった薄靄の中を何者とも知れない影が
そんな非日常、異空間に突然放り込まれたわけだ。
そりゃあパニックにもなるだろう。
ちょっと喧しかったので
「そんなわけっす。へへ……」
自身の無様を卑下するように、小さく
あなたの機嫌を伺うように、目だけがギョロリとあなたに向けられている。
不安に押しつぶされた、自身の終わりを感じた人間が、それでも何とか生き筋を見つけようとする目。
再創世の後、力を得てこの世界に還ってきたあなたを、それと気付かず街の不良たちが襲った。
当時のあなたにしてみれば命を賭して救った世界だ。それなのに、功労者たるあなたが襲われる不条理に、あなたは苛立った。
そしてろくに力加減も分からなかったあなたは、路地裏を血錆まみれの酸鼻な空間へ変貌させた。
その時に見た、地べたに這いつくばって許しを請うニンゲンの目。
……もちろんマガタマの
だが、あなただけは覚えていた。
後日ある仲魔に言われたからだ。
「初めて会った時の
閑話休題。
とはいえあなたが世話を焼く義理はない。
いや、学園の生徒であるなら教員として面倒を見るべきではあるのだろうが、夜遊びをしていた学生をどうすれば良いのだろうか。
一応「補導する」とかガイドラインもなくはないが、そのあたりの処遇は概ね学校単位のローカルルールに委ねられているのが実情なのだ。特に月光館学園は私学である。風評を気にしないわけにはいかないだろう。
――帰りなさい。
見なかったことにする、という答えを出したあなたの言葉に、伊織少年は露骨にガッカリと肩を落とす。
「あー、いやー、それが……」
そうして視線をあちこちに彷徨わせ、意味のないうめき声を繰り返していたが、助け舟を出さずじっと見つめるあなたに根負けしたのか、少年はようやく口を割った。
「家出してきたんスよ、オレ」
どうしてこう厄介事が続くのか。
* * *
携帯電話で連絡を取ろうとすれば電源は入るものの、アンテナはゼロ。送受信できる状態ではない。
仕方がないと諦めたあなたは、伊織少年をバイクの後ろに乗せ、巌戸台へ向かう。
眠る少年を観察するため、今日も理事長がいるはずだ。
面倒は押し付けてしまおう。
そうしてたどり着いた巌戸台分寮に押し付けるように少年を預けると、出迎えたノースリーブベストの少年の制止を振り切って、あなたは帰宅する。
明日、通勤前にもう一度顔を出すよう言われたが。
……すっぽかす訳にはいかないだろうなあ。