ビッグイベントである雄英体育祭が終わった。
1位はしょうくん。2位は爆豪くん。3位は緑谷くんと常闇くん。
俺は最後のトーナメント戦で常闇くんに負けちゃった。
毒を使って相手の行動を無効化!なんて考えたりもしたけど、それじゃ流石に……ってなったから肉弾戦で真っ向勝負した結果だ。悔いはない。
そもそもトーナメント戦まで行く予定もなかったのに、しょうくんが捨てられた子犬みたいな目で『一緒に1位目指さないのか?』って訴えてくるから抗えなかったんだよ!
まあとにかく俺のことはいいんですよ。本作のキャラたちが活躍してくれればそれで。
メダル授与式に呼ばれたヒーローはオールマイトとエンデヴァーだった。
エンデヴァーがしょうくんに試合内容のことで嫌味や文句でも言ったら、控室行ってスネにローキックかますつもりだったけど、普通に公私混同せずに「おめでとう」って言ってたし、しょうくんも「おう」って普段通りに返してたから俺はホッとした。家に帰っても「特に何もなかった」ってしょうくんから聞いたし。
あと原作であれだけヤバかった爆豪くんは本気のしょうくんと戦って負けたから、悔し涙は流してたけどどこかスッキリした表情をしてたから、なんか親の気持ちみたいな気分でほっこりしたよ。いいよね、若い子の成長って。
つーことで今日も今日とて、
「爆豪、早くゴールしてくれ」
「指図すんな、紅白頭! そもそもてめぇが初っ端ハワイなんて引き当てっからこうなってんだろうが! ゴールしてくれとか言ってるが、てめぇ東京のとこくるくる回ってるだけじゃねぇか!」
「馬鹿だな爆豪。誰かがゴールすれば次の目的地が決まるだろ? そうしたらハワイ付近だと次が面倒じゃねぇか」
「なぁに得意げに言ってんだよ! それを全員で目指すゲームだろうが! つか一度もゴールせずに決算来るとか初めてだわ! そもそもたった5年の設定にしといて見据える先遠過ぎんだよ!」
「ご、ごめんね、かっちゃん……僕がサイコロの運が悪いばかりに……」
「てめぇはてめぇで勝手に自己嫌悪に陥ってんじゃねぇ! んでもってぶっ飛びして自滅してんだからサイコロ関係ねぇだろが!」
「あっ、あたしゴール出来た!」
「やったね黒刃ちゃん♪」
「運いいねぇ♪」
「チビは人のゴールを横からかっさらってんじゃねぇぇぇぇぇっ!」
平和(?)に休日を過ごしてますよー。
あ、因みに今いつものように轟家に来てる。俺と黒刃、しょうくん、被身子ちゃんに加えて、響香ちゃん、爆豪くん、緑谷くんがいるお。
響香ちゃんは被身子ちゃんが誘って、爆豪くんと緑谷くんはダメ元で俺がお誘いしたら『首洗って待ってろ!』ってことで遊びに来たの。
2連休だから被身子ちゃんも響香ちゃんも轟家にお泊まり。いつものことだけど俺も黒刃もだ。
「いやぁ、やっぱり面倒見のいい爆豪いると楽でいいわぁ」
「あ"ぁ"ん"?」
「あ、つい心の声が」
「毒野郎……元はと言やぁ、てめぇが遊び来いって言っといてノープランなのが元凶だろう?」
わぁ、いい笑顔。精神年齢がおじいちゃんじゃなかったらちびってたわ。
「だからゲームしてんじゃん」
「てめぇはしてねぇだろ! つかなんでこんなレトロゲーなんだよ!」
「え、かっちゃんレトロゲー出来ないの? ざっこざこなの?」
「あと4年で一番金稼いで他の奴ら地獄に叩き込んで爆殺してやるわ! つかかっちゃん言うな!」
「あ、ごめんかっちゃん。妨害のカードの相手、ランダムにしたらかっちゃんになっちゃった」
「デェクゥゥゥッ! ゲームの中で地獄に落としたらぁ!」
うわぁ、緑谷くん。ランダムとはいええぐっ。爆豪くんとこの金ごっそりもってった。
爆豪くんは爆豪くんで相変わらずキレ散らかしてるけど、報復はゲーム内でするってのが優しい。まさに優しさの権化。勝デク最高っすわ。
そんな感じで爆豪くんはついてなかったのか、散々な結果でマイナス50億でぶっちぎりの最下位。
当然ムキになった爆豪くんがリベンジマッチすることになって、今度は50億稼いで1位を取った。
「爆豪っていつも怒鳴ってるけど、喉枯れないの凄いよな」
「あ"ぁ"ん"?」
「ねぇ、爆豪くん、今日ゲーム始めてから俺との会話で俺への最初の返事が絶対『あ"ぁ"ん"』から始まるのは何か拘りがあるの?」
「んなもんねぇよ、クソが! あとくん付けやめろ!」
「かっちゃんは集中してる時に話しかけると基本「あ"ぁ"ん"?」なんだ。でも放っておいて欲しい時は「あ"?」で、機嫌がいい時は「あぁん?」だから慣れれば分かりやすいよ」
「てめぇは何得意げに俺様のこと語ってんだ、クソデク! つかキモいんだよ! 寒気したわ! 鳥肌立ったわ!」
「……焼き鳥食いてぇな」
「人の鳥肌で焼き鳥食いてぇとかどんだけめでてぇ頭してんだよ、紅白頭! めでてぇのは髪色だけにしとけや!」
爆豪くんツッコミ担当って感じでいいなぁ。というかしょうくんも緑谷くんも天然だから、ツッコミたくなるんだろうなぁ、彼の性格的に。
「そういやもう夕方だもんな。爆豪たちも飯食ってく?」
「おい、毒野郎。てめぇの家じゃねぇだろ」
「何言ってんだ爆豪。白は俺ん家の子も同然だ。ずっと俺と一緒に生活して来たんだからな」
「てめぇはてめぇでなんで得意げなんだよ……!」
あの爆豪くんがツッコミ疲れていらっしゃる!
いやまあ仕方ないか。13時から今までずっとツッコミ通しだったもの。おかげで俺はかなり休日を満喫出来たよ。ありがとう、爆豪くん。
「てめぇ、今なんか腹立つこと考えてなかったか?」
「そんなはずがございません」
「チッ」
舌打ちされたけど、なんか爆豪くんからの舌打ちって嬉しいんだよな。友達になれたんだなって感じがして。
「白、焼き鳥……」
「ああ、はいはい。ちょっと待ってね。んで、話逸れちゃったけど、爆豪くんたちは飯食ってく?」
「今ババアに連絡入れる」
「あ、僕も」
「はいなー」
てことで二人が連絡を入れ、お許しが出たので早速近くの商店街に行って焼き鳥を買い、轟家で夕飯を食べたとさ。
緑谷くんは炎司さんと燈矢兄が帰ってきた瞬間に感涙してサイン貰ってたのが可愛かったまる。
被身子サイド
今日は響香ちゃんと黒刃ちゃんと私でお泊まり会♪
本当なら私も白刃様のお部屋で一緒にいたかったけど、今日は響香ちゃんのためのお泊まり会だから我慢!
爆豪くんと緑谷くんが遊びに来たのは驚いたけど、みんなでわいわいゲームしてて普通で楽しかった♪
二人はお泊まりしないで帰っちゃったけど、私たちはここからが本番なの!
「響香お姉ちゃん、あたし、ガッカリだよ」
「…………」
うわぁ、黒刃ちゃん激怒だぁ。
まあ仕方ないかも。
今日のお泊まり会はお泊まり会でも、本当の狙いは少しでも白刃様と響香ちゃんをお近づきにすること。
だから白刃様が爆豪くんと緑谷くんを遊びに誘った時点で雲行きが怪しくなったんだけど、
「私も黒刃ちゃんと同じ意見かなー」
「…………」
今日チャンスいっぱいあったのに、響香ちゃん何もしなかったんだよ!
例えばみんなゲームに熱中してる時。
男の子たちは当然ゲームに夢中で、白刃様だけは長座布団に寝転がってそれを楽しそうに眺めてたの。
だから私も黒刃ちゃんも何度も『おやつ買いに行くとかで二人で行ってきて』って提案したのに、響香ちゃんが恥ずかしがり屋さんなばっかりにチャンスを掴めなかったんだぁ。
「二人には悪いと思ってるよ? でもさ――」
「デモもストもないよ! 響香お姉ちゃんが動かないとお姉ちゃんの気持ち、お兄ちゃんじゃ分からないもん!」
「……はい」
黒刃ちゃんが大きく見える。かぁいい。
響香ちゃんも小さく見えて、かぁいい。
「あのね、お兄ちゃんはあの天然ボケ焦凍のせいで自分が女の子からモテてるってことを知らずに生きてきたんだよ?」
ああ、確かにそう。中学時代は私も知らない子からクラスメイトの子まで何人にも白刃様の好みとか訊かれたなぁ。なんか怖い子に『あんた"白刃様"とか言ってるけど、付き合ってるの!? 私の王子様と! ねぇ……ねぇ!』って問い詰められたこともあったっけ。
「焦凍は中身は手の施しようもないけど、見た目だけは高得点でしょ? それにお兄さんも焦凍のことイケメンだって言ってるし」
確かにそう。白刃様って自分のこと全く分かってない。
とってもかっこいいのに、白刃様目線のイケメン像の焦凍が基本隣にいるから気づいてないの。
「だからバレンタインデーとかラブレターとか基本的に貰ったり、靴箱の中とか机の中に入っててもまずは『しょうくん宛』って思ってるんだよ!? 自分が一番焦凍と仲良しだから橋渡し役にされてると思って!」
確かにそうなんだよねぇ。それでもっと悲惨なのは、手紙の内容とかに『白刃さんへ』みたいな個人名が1つも書いてないから、焦凍も勘違いして『俺は別にお前のことなんとも思ったことねぇ』なんて差出人に告げちゃうとこね!
差出人からすれば白刃様に告白したのに、その友達……親友の焦凍から"お断り"されるっていうところまであるから。
だから『白刃様に告白するにはまず焦凍に認めてもらわないといけない』みたいなことになって話がややこしくなっちゃったもん。
「響香お姉ちゃん……あたし、響香お姉ちゃんが本当のお姉ちゃんになるの楽しみにしてるんだけどなぁ……」
「え、えーと、急にそんなこと言われても……その……」
「じゃあ何? 響香お姉ちゃんは飽きたらお兄ちゃん棄てるの? そんな人を弄ぶような最低な人間なの? ねぇ……ねぇ!?」
「ストップ! 黒刃ちゃんストップだよー!」
黒刃ちゃんが死んだ魚みたいなお目々で響香ちゃんに詰め寄るのを、私は止めた。
だって黒刃ちゃん、自分の個性で指先を刃物に変化させて響香ちゃんに刃を向けてるんだもん。
「被身子ちゃんも響香お姉ちゃんに言ってよ! 恥ずかしがり屋なのは知ってるけど、ここまでくるとさぁ!」
「私もだけど、響香ちゃんは高校1年生だよ? ヒーローになることを目指してヒーロー科に通って、まだその夢が叶うかどうかも分からないのに、結婚のことまで考えられないと思う」
「被身子ちゃんも?」
「私? 私は……うーん……」
私はそういうの気にしないなー、響香ちゃんみたいにヒーローにどうしてもなりたいってわけじゃないし。仮に私が白刃様と結婚したら……
「うへへへへ……♡」
毎日幸せ過ぎて白刃様に毎日鉄分・葉酸・タンパク質が豊富な料理を作って毎日チウチウしちゃうと思う……はっ! つい想像しちゃった。
「ほら、響香お姉ちゃんも被身子ちゃんを見倣って」
「いや、どこをどう見て見倣うのさ」
「これくらい逞しく妄想するくらいじゃないと、お兄ちゃんを落とせないでしょ!?」
「そんなことは……」
「お兄ちゃんと音楽やってる時はあんなに楽しそうなのに、それ以外だといっつももじもじしちゃって……今世は様子見か準備に使って来世で結ばれる気なの?」
「いや流石にそこまで見据えてないよ……今世でちゃんと付き合いたい」
「はぁ……」
わぁ、大きなため息だなぁ。
「じゃあもう私たちが直接動くしかないみたい」
そっちの方が確かに確実かも。
私が頷くと、黒刃ちゃんはニッコリ笑った。かぁいい♡
その反対で響香お姉ちゃんは「え!?」ってとても驚いてるけど。そのお顔もかぁいい♡
「明日、お兄ちゃんと何が何でもデートよ。お兄ちゃんは世界一優しいから、私が言えば響香お姉ちゃんを連れ出してくれるはずだもん」
「え? え……え?」
ああ、その方が確実だね。
「今ちょうど新作の恋愛映画上映されてるし行って来なよ。焦凍のことは私と黒刃ちゃんで押さえとくから」
「被身子まで……」
「だって今のままじゃいつまで経っても進展しないと思うから」
「うっ……」
私も言えば、響香ちゃんはやっと覚悟を決めたのか、私たちに力強い眼差しで「分かった」って頷いた。だから私たちもしっかりと頷いて返した。
「あ、でも初デートなのに服とか……」
「いつものかっこいい系で大丈夫! そんなことより作戦会議するよ!」
こうしてこの場で最年少なのに一番頼りになる黒刃ちゃんに響香ちゃんは寝るまで攻略法を叩き込まれてた。
私? 私は当然そういう知識はないから何もアドバイスなんて出来ないから、響香ちゃんが少しでも白刃様と距離を縮められることを願いながら、響香ちゃんの背中を励ますように優しく撫でてた。
どうか、白刃様と響香ちゃんが幸せになりますように。
読んで頂き本当にありがとうございました!