転生したら轟焦凍くんの幼馴染みだった。   作:室賀小史郎

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さぁ、今回もご都合主義の時間だ!


気持ちが一番大事。

 

 はい、てことでね。

 体育祭も終わったことだし、次はいよいよ職場体験になりますよ。

 ヒーロー殺しステインがいないという絶対的安心感。

 これだけでかなり平和だと思う。

 

 そもそも敵も原作とは違ってかなり減ってて、敵による凶悪犯罪そのものがなくなってきてるけど、交通事故とか火災といった不慮の事故はどうしてもあるから、今のヒーローたちの仕事は救助活動がメインって感じ。

 

「地毒と轟はやっぱエンデヴァーのとこ行く感じ?」

 

 昼休みになってすぐ、俺の前の席にいる瀬呂くんが振り向いて訊いてきた。

 

「うーん、どうk――」

「そうだ。燈矢兄もいるしな。そもそも親父に白と俺と被身子の3人で来いって体育祭前から言われてる」

 

 俺の言葉を遮ってしょうくんが返せば、瀬呂くんは「なら気楽でいいな」なんて笑って返す。

 

「いやぁ、そうでもないだろ。エンデヴァーって次のチャート1位取るのに必死なんだし、そこに遠慮のいらねぇメンツが行ったら即戦力で色々やらされんじゃね?」

 

 横から上鳴くんがそんなことを言えば、瀬呂くんは「有り得そうだな」と苦笑い。口田くんもコクコクと頷いてる。

 

「つか、どうして地毒は毒の個性使わずにやったんだ? トーナメント戦もそうだけど、体育祭で毒の個性一度も使わなかったじゃん」

「いやね、上鳴くん。毒の個性は加減間違えると取り返しつかないだろ? 扱い方に慣れたって攻撃手段として使うのは躊躇ってしまうというか……」

「正直、地毒に毒の個性まで使われてたら勝てたか分からん。授業で地毒が優秀なのを知っているからこそ、毒の個性がいつどういうタイミングでどういう風に襲いかかってくるのか怖かった」

 

 背後から常闇くんにそんなコメントをされると、俺自身何て返せばいいか分からない。

 

「んなことよりよぉ。俺は地毒に言いたいことがある」

 

 いつの間にか俺のすぐ横まで来ていた峰田くん。

 まるで俺を親の敵かのように睨んでる。

 いやもう何を言われるのか分かってるんだ。

 

「地毒てめぇコノヤロー! 体育祭終わった瞬間に彼女拵えるたぁいい度胸だな!」

 

 そう。このことだ。

 今朝は雄英高校の最寄り駅から響香ちゃんと手を繋いでーしかもあの指を絡めるやつで!ー登校したもんだから、香山先生が来るまでみんなから質問の嵐だった。

 響香ちゃんも響香ちゃんで恥ずかしがり屋なはずなのに、昨日のことでもうかなり吹っ切れちゃってるのか顔を赤くしていても『ウチら付き合うことになったから!』って宣言して、男子も女子も大興奮。

 飯田くんは真面目だから『不順異性交遊は良くない!』とか言われちゃうかなって思ったけど、飯田くんからは『恋人同士で切磋琢磨し、救け合うというのも美しいものだな!』なんて真っ直ぐに言われて言われた方が恥ずかしかった。

 

「んなこと言われてもな……いいじゃんか、お互い好き同士なんだし……」

「かぁぁぁぁっ! これだからイケメンはよぉ! 下々のことなんかこれっぽっちも分かってない!」

「下々って……俺は峰田くんのことそんな風に思ってないよ」

「なら別れろ!」

「え、やだ無理」

「ならお前は俺の敵だ!」

「えぇ……」

 

 理不尽な怒りをぶつけられるが、正直俺も前世ではいちゃついてるカップル見る度に『爆ぜろ』って思ってたから、峰田くんの言いたいことは分かる。言われる側ってこんな気持ちになるのね。おいちゃん知らなかったよ。

 

「峰田、アンタうっさい。てかアンタが白刃の敵ならウチもアンタを敵だと思うから」

「俺もだ」

「私もー」

 

 俺が前世のことを反省していると、響香ちゃんやしょうくん、被身子ちゃんと俺を庇ってくれた。

 それに峰田くんは「リア充がイキってんじゃねぇ!」と返したかったと思うんだけど、言い切る前に響香ちゃんのプラグが峰田くんの目にブスリしたので、打ち上げられた魚みたいに床を転げ回った。

 

「つかつい話し込んじまった! おい学食!」

「ああ、そうだった! またあとでな!」

 

 一方で上鳴くんの言葉に瀬呂くんも立ち上がって軽く俺たちに手を振って教室から出ていった。(転げ回ってた峰田くんはちゃんと瀬呂くんが回収して)

 因みに俺たち4人は弁当持参なので学食は行かない。ランチラッシュの料理はそれはそれでべらぼうに美味いし安価なんだけど、こういうザ学生時代の昼食が青春って感じで好きなんだよな。

 

「ウチらもお昼にしようよ。教室で食べる? それとも場所変える?」

「今から移動するのもあれだし、教室でいいんじゃないか?」

「俺はどこでもいい」

「私もー♪」

「ん。じゃあ机寄せよ」

 

 こうして俺、しょうくん、被身子ちゃん、響香ちゃんはそれぞれ持ってきた弁当を広げる。

 しょうくんに至っては俺が用意するのがデフォなので、いつものように俺から弁当を受け取った。

 

「焦凍っていつも白刃に弁当作ってもらってるけど、そんなんで卒業後どうすんの?」

「? いつも通りだろ、普通に」

「え」

「ん?」

 

 驚愕する響香ちゃんと何に驚いているのか理解出来ずに首を傾げるしょうくん。

 そうしている横で被身子ちゃんは「白刃様、玉子焼き上手に出来たからあげるね、あーん♡」なんて俺に玉子焼きを食べさせてくれる。素直に口開けて食べる俺も俺なのだが……まあこの空気にも慣れている。

 

「いやいや……焦凍ってホント白刃のこと好き過ぎでしょ……」

「何当たり前のこと言ってんだ?」

「あ〜、うん。ソウデスネ」

「?????」

 

 首を傾げつつも俺お手製弁当を食べることはやめないしょうくん。疑問に思うか食べるかどっちかにしなさい。

 

「白刃はそれでいいの?」

「んー、しょうくんを安心して任せられる人が出来るまでは俺が責任取らないと、とは思ってる。こうなったの俺のせいでもあるし」

「……友情もここまでくると怖いわ」

「俺と白刃はずっと一緒にいるからな」

「あーはいはい」

 

 渾身のドヤ顔にツッコミを入れるのすら疲れた響香ちゃんは適当にあしらう。

 

「でも前にしょうくんには伝えたけど、雄英卒業したら俺は医師免許取るのに大学行くからね?」

 

 俺の言葉にしょうくんは見るからにしょんぼりと眉尻を下げた。

 一方で被身子ちゃんは「凄いね!」と満面の笑みで、響香ちゃんは「え、そうなの?」と目をぱちくりさせている。

 

「そりゃあ俺の両親医者だし、俺の個性の性質上、医師免許持ってないとヒーロー資格持ってても法律違反になるじゃん」

「あ、確かに。校内ではギリギリで許されてるけど、外だと何の資格も持ってないのに毒なんて扱えないもんね」

 

 俺の説明に被身子ちゃんがポンと手を叩いて言った。

 そう。俺の個性である毒は使い方次第で簡単に人の命を奪えるヤバい個性。

 例えば卒業後にヒーローとして活動している中、災害とかで痛みを訴えている救助者がいた場合、毒の個性を使って救助者に麻酔毒を生成して投与するなんてことは出来ない。したら法律違反で即逮捕の上ヒーロー資格の剥奪だ。

 使わないって手もあるにはあるけど、使わざるを得ない可能性がある以上、後悔しないために資格は持っていて損はない。

 雄英高校から大学進学するのって基本的に普通科や経営科の子なんだけど、ヒーロー科の生徒は受けられない訳じゃないから。

 幸い実家から通える範囲に医科大あるし、雄英高校みたいな超エリート校で学問も学んでるから問題はない。あとは俺の頑張り次第だ。

 

「だから雄英を卒業すれば嫌でも俺としょうくんは別々の道に行くんだよ。忙しくなければ弁当は作っとくから、朝取りにくればオッケー」

「……それだけだなんて寂しいな」

「しょうくんは俺の彼女なの? 俺の彼女は響香ちゃんなんだが?」

「いいだろ、別に」

「良くはないよね」

「白が大学卒業したら速攻で俺の事務所に採用してやるからな」

「え、選択の自由は?」

「俺のとこ以外見向きも出来ない高待遇にするから白は自動的に俺の事務所に来る」

「いい笑顔でサラッと怖いこと言うね」

 

 まあしょうくんが本当にヒーロー事務所設立してたらちゃんと雇用されに行くけれども。

 

「私は?」

「被身子もいいぞ。というか白がいる時点で来ると思ってる」

「当然♪」

「将来の目標が決まってていいね。ウチなんてヒーロー資格のこととか学校生活のことで手一杯なのに……」

「え、響香ちゃんはもう将来決まってるんじゃないの?」

 

 被身子ちゃんの言葉に響香ちゃんは「ん?」と首を傾げる。

 すると、

 

「白刃様のお嫁さんでしょ?」

「はーーーーー!!!!!!?」

 

 顔を真っ赤にして盛大に叫び声をあげた。

 いや、まあ……うん。そりゃあ俺も別れる気ないからずっと付き合っていくことにはなる訳で、そうすれば当然そうなるという訳で被身子ちゃんの言うことも分かるんだけど、流石に気が早いというか……ヤバい、俺まで恥ずかしくなってきた。

 

「なら響香も俺の事務所に入るってことでいいな」

「え、ちょ、何勝手に……!」

「? 白の嫁さんなんだから当然じゃねぇか? ちゃんと産休と育休もやるぞ?」

「そもそもヒーローになれるかもまだ分からないんだけど!? てか飛躍し過ぎなんだけど!?」

「白刃様のお嫁さんになるってとこは否定してないね!」

「被身子!」

 

 しょうくんの天然ボケと被身子ちゃんの的確なツッコミにてんやわんやする響香ちゃん。

 うん、美しい。でもあんまり俺の彼女イジメないでくれ。二人きりになった時に色んな意味で空気がぎくしゃくしそうだから。

 

 と思っても、こういう戯れ合いも今でこそ出来るものだから、俺は特に止めなかった。

 

 響香サイド

 

 学校が終わって放課後。

 被身子が気を遣ってくれて焦凍を連れて先に帰ってくれたから、ウチは白刃とゆっくり帰ってる。もちろん手を繋いでね。恋人繋ぎで! 憧れてたのもあるけど、実際やってみるとなんか安心すんだよね、この繋ぎ方。

 

 それにしても、お昼は被身子のせいで酷い目にあった……。

 いや、酷いって言っても、恥ずかしくて酷いってことで……ああ! 誰に言い訳してんだウチは!

 

 もう! 全部被身子が悪いんだ!

 う、ウチが白刃のお、およ、およよ、お嫁さん……だなんて……!

 

 そりゃあウチだって白刃のお嫁さんになりたいし、なるつもりでいるよ。でもさ、こう……自分で言うのも変だけど、決定事項って訳でもないじゃん。そりゃあ白刃と別れるつもりなんて全くないけど、ウチがフラれる可能性だってある訳だし……。

 あ、ヤバい。考えたらフラれる未来しか浮かばないんだけど。

 だって白刃は大学行くから、そこでモテる訳じゃん? ウチよりかわいい子なんていくらでもいるんだからさ。

 

「―――香ちゃん?」

 

 そんで白刃は押しに弱いから猛アピールされたらウチのことなんて……。

 

「響香ちゃん!」

「は、はい!」

 

 しまった。白刃に話しかけられてたのにシカトしちゃってた。

 

「大丈夫……でもないか。しょうくんたちがあんなこと言ってたんだし」

「ま、まあね……」

「ちょっと真面目な話していい?」

「え、うん」

 

 なんだろ……もしかしてもう? 怖い……。

 

「俺たち付き合って間もないし、これからお互いに相手の見えてなかったとこも見えてくると思うんだ」

「そうだね……」

「相手の嫌なとこも見ちゃう時だってあると思う。でも結婚したらそれが普通になるってことだと思うんだ、俺は」

「まあそうだね。プライベートの時間をお互い作るにしても、一緒に生活とかしてたらそうなるよね」

「この先どうなるかなんて誰にも分からないし……いや、もしかしたらそういう未来予知を持った個性があるかもだけど、二人でなら乗り越えられると思うんだよね」

「…………え?」

 

 つまり、そういうこと? え、待って。ウチが考えてるのが白刃の言いたいことなら、それってもうプロ―――!

 

「まあその時が来たらちゃんと俺から言うから、待ってて。あ、もちろん俺に『ここは直して』ってのあれば遠慮なく言ってよ。響香ちゃんに嫌われたくないからさ」

「そんなのウチだって同じだよ」

「そっか……うん。ならお互い、何かあればちゃんと話そう。そうしよう。一人で抱え込まない!」

「うん、それが一番かもね」

 

 白刃を好きになって良かった♡

 

「じゃあさ、抱え込まないって決まったから、早速ウチから1個いい?」

「うっ、何でしょう?」

「ウチ、白刃のことだぁい好き♡」

「っ……そういう不意打ちやめて……」

「いや〜、だって抱え込まないって決めたじゃん? ならこの気持ちも抱え込まない方がいいでしょ?」

「ああ、もう! かわいんだよ、いちいち!」

「褒めるか怒るかどっちかにしてよ♪」

「どっちもだよ! 俺は欲張りだから!」

 

 ああ、幸せ。さっきまでの不安なんてどっかいったわ。

 そうだよね。先のことを今からくよくよしてても意味ないもんね。

 だったらもっとちゃんとウチの気持ちを白刃に伝えればいいんだ。

 ずっと大好きだよ、って。




読んで頂き本当にありがとうございました!

次回までまたちょっと空いてしまうかもしれません。
気長にお待ち頂けると幸いです。
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