そして遅れましたが明けましておめでとうございます! 今後もよろしくお願いします!
てことで、ご都合主義のお通りですよー!
夏休みです。
学生の頃の夏休みって最高だよね。特に自由度が増えた高校生の夏休みってさ!
なんかこう……最高だよね!
てことでね、そんな夏休みももう後半になってますよ。
え? 期末試験? 合宿?
無事に終わりましたよ?
期末試験の筆記の方は勉強会のお陰で赤点は0。実技試験も問題なく、個性を活かせない子もチームメンバーと協力して救助者を想定したダミー人形を運んだり、避難経路を確保したりで頑張って、みんな無事に合格判定をもらったよ。
夏合宿は死ぬほど疲れたね。
原作のような敵の活性化に伴って自衛のために2年生前期に行うワイルド・ワイルド・プッシーキャッツたちによる合宿で、ヒーロー活動認可資格の仮免を1年生後期に取らせる必要性がないから、USJでの救助活動訓練合宿だった。
初日は普通にUSJ内の見学をしつつ、水難事故エリアにあるデカいウォータースライダーみたいなやつ乗って遊ばせてもらった。あれはマジで楽しかった。
ただ次の日からの救助訓練がアホなほど過酷で『あ、これ死ぬ』って思ったのが何度もあったね。そもそも5時起きってのが辛かった。
でもみんなで知恵を絞って協力したりして本当に掛け替えのない思い出がたくさん詰まった合宿になったよ。
それに施設内の宿泊スペースも快適だったし、朝昼晩と食堂でバランスの取れた最高のメニューや災害時の支給食料の味も堪能出来たし、合宿らしくみんなで昼飯を作ったり、バーベキューしたり花火やったりって青春らしい思い出が盛りだくさん。
あと13号先生とハグ出来たのはマジで感動した。あのヒーロースーツ結構抱き心地良かった。
まあそのあとで何故か対抗心を発揮したしょうくんと被身子ちゃんに引っつかれたけれども……。
? その時の響香ちゃん? かわいかったよ。
二人と離れたあとで、俺の服の袖を引っ張ってきて、『ん』って両手広げてきてさ……かわいいの権化かよって言って、ハグしたよ。
峰田くんにスネ蹴られたの痛かったけど、悔いはない!
んで、今は合宿も終わったってことで残りの高1の自由な夏休みを謳歌している。
いやぁ、何度も言うけど最高だよね、夏休み。特に高1の何にも囚われないでいられる夏休みって。
2年になれば個性強化合宿やら進路を意識して準備を始めないといけないし、3年になればそれこそ夏休みなんてほぼインターンに捧げるか受験に捧げるかだ。当然俺は後者。
だから俺はこの何もせずに気持ち穏やかに過ごせる高1の夏休みを全力で楽しむぞ!
「…………しょうくん、相変わらずだね」
「用がなきゃ来ちゃいけねぇのか?」
「いえ、構いません」
「ならいいじゃねぇか」
って思ってたのに相変わらず俺の家に我が物顔でいるしょうくん。
いやまあそれはいいのよ。何せずっとそうですしお寿司。
今は昼過ぎ。黒刃は学校の友達と遊びに行くってことで留守。昨日はお兄ちゃんと遊ぶ日だったらしくずっとべったりだったけど、今日みたいにちゃんとお友達と遊ぶことが出来る妹がいるという安堵感は兄として嬉しかった。
「しょうくん」
「お?」
「アイス食う?」
「まんじゅうアイスかあずきバーあるか?」
「ありますよー」
夏といえばアイス。
前世の頃の晩年は歳のせいもあってアイスなんて食う気にもなれなかったが、若い体の今は何個でも食えるんだよな。
個性使ったりするとカロリー消費するのか食っても食っても太らないし……若いって最高だな!
「どっちもあったからどっちもお食べ」
「白は神だな」
「大袈裟で草生える」
「そんな個性もあるのか?」
「天然ご馳走さん。とりあえずまんじゅうアイスから食べなよ。あずきバーは凶器だから」
「分かる」
まんじゅうアイスをもひもひするイケメン……眼福やわ。
俺は前世から大好物のチョコモナカのジャンボだ。
というか転生してある程度自由に歩き回れるようになった頃、ヒロアカ世界にも俺の世界のアイスがあって感動したな。他にもお菓子とかもあって、転生前のガキの頃のように駄菓子屋にはよく通ったし、今でも通ってる。
そんな前世と今世の似てる部分で感動したのも、今ではいい思い出だ。
「白は響香とデートとかしねぇのか?」
「…………んほ」
しょうくんらしからぬ質問に俺は思わず間の抜けた声を出してしまった。
だってそうだろ? あのしょうくんが俺に恋愛絡みの話題を振ってきたんだ。明日は……いや、今からヒョウが降るかもしれない! しかもテニスボールサイズの!
「どうした、急に?」
「? いや、夏兄が夏休みはどこに行ってもリア充共が幸せそうにしてるって昨日言ってたから」
「ああ、そういえば夏兄に響香ちゃんとのことでちと妬まれてたな……」
「ん。で、どうなんだ?」
「何でそんな訊いてくるん?」
「白が幸せじゃないなら、響香に白はやれねぇって言わないといけねぇから」
「しょうくんは俺の父親かよ……」
「俺は白の幼馴染みで、家族だ。俺の家族を幸せに出来ない人間に任せられない」
んー、相変わらず思いが重いお。このイケメン。まあ前からだけどさ。
というかさ、
「響香ちゃんと結婚するにしても、俺はしょうくんからお許しをもらう必要なくね? もらうなら響香ちゃんのご両親でしょ?」
冷たいかもしれないけど結婚するのにしょうくんの意思は関係なくない?
だからいくらしょうくんが反対しようが関係ないと思うの。
「駆け落ちする気か」
「駆け落ちする気はないよ? というか、本当にしょうくんとこういう話題(恋バナとはまた違うけど)しないから訳分からんのだが……」
「……まあとにかく俺は白の幸せを願ってる。それだけだ」
やめてよ、そんなイケメン発言しないでよ。柄にもなくお耳が幸せになっちゃう。メスになっちゃうじゃない。
「んなこと言われなくても俺は幸せだよ」
「今は俺といるんだから当たり前だろ?」
コイツ、俺のこと落としに来てる? イケメンムーブがエグいんだが?
「そんなことより白は宿題終わったか?」
良かった。いつものしょうくんだ。天然のイケメンムーブだった模様!
「合宿前に貰った宿題は終わらせたし、残りも少ないからほぼ終わってるかな」
前世ブーストもあってこういうのは寝る間も惜しんでさっさと終わらせてるんだよね。若いから完徹しても仮眠取れば問題なく日中も活動は出来るから。
「早ぇな。まあ俺も似たようなもんだけど」
「ほぼ一緒にやってるしな」
「おう」
誇らしげに胸を張るしょうくん。小学生の頃から俺たちは宿題やるのもほぼ一緒にやってきたから、ペースも同じなんだよね。
だから今日もこんな風にのんびりと過ごせているということだ。
「じゃあアイス食い終わったら残りの宿題終わらせちまうかー」
「そうだな。終わらせちまえばあとの休みは存分に白といれるからな」
「相変わらずだね、しょうくんは」
「?」
「こっちの話。それより食っちまおうぜ。あずきバーも食い頃だし」
「おう」
こうして俺たちはアイスを食べ、残りの宿題を揃って終わらせるのだった。
被身子サイド
今日はクラスの女の子たちと百ちゃんの別荘でお泊り会。
三奈ちゃんと透ちゃんが『遊んじゃって、宿題が進まない!』って言うから、みんなでこのお泊り会で終わらせちゃおうって話になったの。
ご両親の代わりに家事や下の子の面倒を見てていつもは参加出来ない梅雨ちゃんも、今回はご両親がお家にいるってことで参加してる。みんな揃うのって嬉しい。
それでお泊り会だから、今日は特別に百ちゃんが使用人の人たちにお願いして、わざわざ広いお部屋にお布団を敷いて寝るの。
「やっと終わったー!」
「シャーペンの握り過ぎで手が痛ーい!」
梅雨ちゃんと百ちゃんの手綱捌きもあって、三奈ちゃんたちも日付を跨いだ頃に全部の宿題を終えた。
もうお風呂も済ませてあるから、みんなパジャマ姿。
百ちゃんはお高そうな赤いネグリジェ?っていうパジャマで、シルク?って生地でとってもスベスベ。
透ちゃんとお茶子ちゃんと梅雨ちゃんはボタン掛けの半袖半ズボンのパジャマ。透ちゃんが白でお茶子ちゃんは薄ピンク。梅雨ちゃんは黄緑色の生地に、カエルマークが水玉模様みたいについてる。
三奈ちゃんと響香ちゃんはタンクトップに短パン。三奈ちゃんは黒のタンクトップにクリーム色の短パンで、響香ちゃんは紫のタンクトップと黒の短パン。
私は白刃様のお下がりの黒のTシャツとドクロマークが左腿のとこに描かれてるハーフパンツ! 宝物! 本当は使わないで永久保存しようと思ったんだけど、使わないと白刃様が「使わないなら捨てていいんだよ?」って悲しんじゃうから、使うようにしてるの!
「やっぱこのメンツだと捗るー! 寮だと他のクラスの子もいるから、なーんか遊んじゃってさー!」
「家でも一人でやってるとつい違うことしちゃうんだよねー♪」
三奈ちゃん、透ちゃんがそんなことを言うと、お茶子ちゃんも響香ちゃんも『分かる』って頷いてる。私もちょっと分かるかも。地毒園にいると基本的にみんな集まって宿題やるけど、宿題とは別のお話しをしちゃったりするもん。あ、これって普通っぽい!
「では時間も遅いですし、そろそろ就寝しましょうか」
百ちゃんがニッコリと笑って言う。かぁいい♡
でも、
「えー! せっかくのお泊り会なのにー!?」
「ガールズトークしたいしたーい!」
三奈ちゃんと透ちゃんが揃って駄々をこねた。かぁいい♡
「ガールズトーク……申し訳ありませんが、私はしたことがなく……」
「百ちゃん、謝ることではないわ。ガールズトークって言うのは、ただ女の子同士で楽しくお喋りをするだけだもの。私たちがいつもしているのと変わらないわ。ケロ」
「まあ、そうなのですね!」
梅雨ちゃんの説明に百ちゃんは笑顔でポンと手を叩く。そのあとでベルを鳴らすと、使用人の人たちがお茶とお菓子を用意してくれた。凄い。お茶子ちゃんも「やっぱセレブや」ってつぶやいてる。
「合宿でみんなとお泊りはしたけど、疲れてガールズトークしてる場合じゃなかったもんねー!」
「うんうん! やっぱり、こういうのはお泊り会の定番!」
「夏休みだし、こんな風に夜ふかしするのも学生ならではの楽しみ方よね。ケロケロ」
みんなで円卓を囲んでソファーに座ってガールズトーク。まだ何もお話してないのに普通で楽しい!
「で、ガールズトークと言えば〜……?」
「恋の話ー! 略して恋バナー!」
三奈ちゃん、透ちゃんが揃って『いえーい♪』って手を叩くと、百ちゃんと梅雨ちゃんと私は拍手して、お茶子ちゃんと響香ちゃんは顔を赤くした。なんでだろう?
「とりあえず今彼氏持ちは響香だけだけど、それから彼氏とはどう?♪ 進展報告よろー♪」
「惚気ばっちこーい♪」
「私も普段聞けないから、なんだか楽しみだわ。ケロケロ」
「あ、あんまり過激なお話はせんといて!」
ああ、こうなるから響香ちゃんは顔を赤くしてて、お茶子ちゃんは恋愛のお話聞くのが恥ずかしいんだね! どっちもかぁいい♡
「ほらほら〜、唯一の彼氏持ち〜? みんな待ってるよ〜?」
「三奈、うっさいっ! 惚気ろって言われて惚気るかっての!」
「まあ確かに地毒くんってハイスペスパダリさんだから、独り占めしたいよねー!」
「他のクラスの女の子たちが轟ちゃんと地毒ちゃんの話をしている時があるものね。私としても地毒ちゃんは優しくて、本物のヒーローみたいなところ好きよ。ケロ」
「梅雨ちゃん!?」
梅雨ちゃんの大胆な発言に響香ちゃんはびっくりしたみたいだけど、梅雨ちゃんは「ライクってことよ♪」って舌を出してお茶目に笑った。かぁいい♡
「地毒くんは飯田くんほど真面目でもないけど、上鳴くんみたいにチャラチャラしてないし、切島くんほど熱くないから、ちょうどいいんだよねー。轟くんみたいな天然ボケもないし、お料理も上手だし! 授業中も頼りになるし、お世話上手って感じ!」
「職場体験で活躍していたものね。事故に遭った人は可哀想だけど、地毒ちゃんも轟ちゃんも、そして被身子ちゃんも救助の補助をしているのをニュースで見て誇らしくなったわ。この頑張ってる人たちは私のお友達なのって。地毒ちゃんに至っては変わらず冷静にエンデヴァーへ指示を仰ぎながら、二人にも指示を出していて……流石だと思ったわ」
透ちゃんや梅雨ちゃんがそんな話をするとみんなも『確かに』って頷いて、響香ちゃんはみんなに白刃様が褒められてちょっと嬉しそうにしてる。かぁいいなぁ♡ あと梅雨ちゃんに褒められたのが嬉しい♪
「実際、地毒は体育祭終わってからファンクラブ出来たっぽいもんね! 本人の全く知らないところで!」
「聖愛学院に進学した同級生の方が、学院に熱狂的なファンがいらっしゃるみたいですわ。この前教えて頂きましたもの。既に2桁は超えているとか……」
「私もたまに寮で地毒くんのこと聞かれることあるなぁ」
「ああ……そう……」
三奈ちゃんと百ちゃんのファンクラブ発言やお茶子ちゃんの発言に、響香ちゃんは遠い目をして言う。
体育祭で白刃様はレクリエーションの借り物競走に出て、出たお題がモノクルだったらしくて、観客席にいたモノクルを掛けた女の子を見つけて、その子にモノクルを借りに行って見事に1着を取ったの。
それからモノクルを返しに行った時に握手求められてたし、周りの子たちとも写真撮ったりしてた。
私やA組の女の子たちはすっかり慣れてるけど、白刃様と関わったことのない女の子は白刃様の見た目が怖いんだって。なのに教材を運ぶのを手伝ってくれるとか、落としたハンカチを拾って届けてくれるとか、優しい性格をしてるからそのギャップが凄くて、そういうところにみんなやられちゃうみたい。流石私の運命の人(ヒーロー)だよね!
そういうギャップが体育祭で分かったから、もう既に一部で熱狂的なファンがいて、響香ちゃんはちょっと悩んでる。攻撃まではされてないけど、視線が痛いらしい。
でもでも白刃様は響香ちゃん一筋だし、ファンクラブのことも知らないから安心していいと思うけどなー、私は。
「いやぁ、そんな人が彼氏で響香は幸せですな〜?」
「……幸せですけど、何か問題でも?」
「べっつに〜♪」
「あー! もう! うるさいなー! こうなるの分かってたから嫌だったんだよ!」
響香ちゃんはそう叫ぶとみんなから逃げるように私に抱きついてきた。かぁいい♡
「三奈さん、透さんも……響香さんが可哀想ですわ」
「私もからかっちゃったから人のことは言えないけれど、やり過ぎはよくないわ。ケロ」
「でも響香ちゃん、地毒くんといる時めっちゃ幸せそうに笑っとるから、からかいたくなるのはちょっと分かってまうかも、私」
「お茶子、仲間ー♪」
「幸せ者は弄られても仕方ないよねー♪」
「そんなこと言われても……白刃と付き合えて幸せなのは当然じゃんか……こんなにこんなに好きなんだし……」
『っ!』
「お砂糖を入れてなくても紅茶が甘く感じるわね。ケロケロ♪」
響香ちゃん乙女ー♡ とってもかぁいいー♡
みんなも私と同じ気持ちなんだろうなー♪ だってみんなお顔赤いもん♪
「女として負けた気がする……」
「こういうかわいさが地毒くんを夢中にさせてるのかなー?」
「響香ちゃんかわいいわ♪」
「なんだか、こちらまで火照ってしまいますわね……」
「恋って偉大や……」
「響香ちゃんかぁいい♡」
「だからやめろ!」
その後も私たちは朝方まで響香ちゃんに白刃様との甘々エピソードを訊ね続けた。
なんだかんだ文句を言いながら、結局響香ちゃんも嬉しそうに白刃様とのことを話して惚気ててとってもかぁいいかった♡
響香サイド
「てなことがあってさ、ホント大変だった……」
「いい思い出が出来たようで何より」
「随分と他人事みたいに言ってくれるじゃん?」
「いやそんなことはないよ。だって今しか出来ないような過ごし方だろ? 今は恥ずかしいが強いだろうけど、大人になれば『あ〜、高校生の頃にそんなことあったな〜』って思えるし、本当にいい思い出だと思うのだよ」
「白刃ってたまにおじさん染みたこと言うよね」
「昔からよく言われる」
ヤオモモの別荘でお泊り会をしてから数日後。
ウチは白刃の家にお邪魔させてもらって、あの時の愚痴を聞いてもらってる。まあ愚痴ってほどでもないんだけどさ。なんだかんだ喋ったのもウチだし。
今日は焦凍が冷おばさんの実家に家族で顔を見せに行ってるから、珍しく最大の邪魔者がいない。黒刃ちゃんも被身子もウチに気を使ってくれて、こうして二人で過ごせてる。
別に何かするって訳でもなく、ただ白刃の自室で隣り合って座ってるだけだけど、それだけでウチは幸せ。白刃もウチと同じ気持ちだと嬉しいな。
だからこそ……重い女だって思われても、白刃がウチと別れて違う人と結ばれるなんて嫌だ。絶対に嫌だ。
「ねぇ」
「? どうした?」
「好き」
「え、お、おう」
「好き」
「本当にどうしたの?」
「……伝えないと後悔するから、かな」
正直、自分でも何言ってるのか分からない。
でも気持ちはしっかり伝えないとウチの気が済まないんだよ。
「……なんか不安なの?」
「……そんな感じ。ごめんね、めんどくさい女で」
「響香ちゃんとしか付き合ったことないから、この状況がめんどくさいのかも分からないんだよね、俺」
正直にそんなことを言って苦笑いする白刃。
それがウチに対する気遣いじゃなくて、ウチにちゃんと今の本音を言ってくれてるって分かって、余計にウチは好きって気持ちが膨らんでくる。
「ハグ、してくれない?」
「えらい唐突だな」
「いいじゃん。減るもんじゃないし」
「甘えん坊な響香ちゃん」
「彼氏に彼女が甘えて何が悪い」
「何も」
白刃はそう言うと優しくウチを抱き寄せてくれた。
背中に両手を回して、ウチが苦しくないように、優しく優しく。
それでいて白刃の心臓の音が速いビートを刻んでて、ウチはそれが心地よくて聞き入ってた。
「……白刃」
「ん?」
ウチが見上げれば、必然的にウチの方を向いた白刃の顔が目の前にくる。
お互いの息が当たる距離。いつもは反らすはずの目線も、今は白刃の瞳にホールドされたように離せなくなってる。
もういいや。欲張っちゃえ。
「……んっ」
「っ!?」
「…………」
「ん」
「っ……ん……へへへ♡」
ファーストキス、しちゃった!
白刃の心臓の音が更に速いビートを刻んで、ウチとのキスを喜んでくれてるみたいで、気分がアガる。
「……えっと、その、ありがとう」
「なんでお礼? ウチからお願いしたのに」
「いや、なんとなく?」
「あはは、何それ……あははは♪」
「ハハハ……」
「愛想笑い下手くそか♡」
「こういうの本当に免疫ないんだよ……」
「顔真っ赤♡ いつもは逆なのに♡」
「…………」
「ねぇ」
「……今度は何?」
「そう警戒しないでよ……ただ……」
「ただ?」
「もう一回、キス……したいなって」
「彼女が俺の息の根を止めに来ている件」
「そうなったら心臓に直接爆音響かせて強制蘇生ね」
「うわお」
「いいからしてよ……ほら、んっ」
「……んっ」
今度は白刃も余裕が出たのか、心臓は穏やかなビートになってた。
さり気なくウチの腰に手を回して支えてくれてるのも、ウチの頭を優しく支えてくれてるのも、全部全部白刃の優しさが伝わってきて、とても嬉しい。
ウチも最初こそはちょっと強張ってたけど、今はリラックス出来てる。
だって白刃の胸元に両手を置くのをやめて、白刃の首に両手を回せる余裕が出たもん。
「んっ……ん……ん〜っ」
「っ……んっ……!?」
へへ、ビクッてした。ほらほら、口を開けろ。
「っ……っ……んぅ!?」
いつもリードされっぱは悔しいもんね。というか、白刃の吐息が色っぽくてドキドキするし、いつもカッコいいのに、今はめっちゃかわいい。
「ん〜……れるっ……はむっ……♡」
「……っ……はむっ!」
「んむぅ!?」
舌噛まれた! あ、待って……え、白刃の舌がウチの舌に巻き付いて……ウソ、何これナニコレ!? 腰が勝手に動くのに、白刃にガッチリ押さえつけられて……やっば、これ……!
「んぅ……はぁ、ぁ……んむぅ♡」
「はむっ……ちゅるっ、ぢゅるる……んぅ〜……」
「ぉ……ほぉ……んぅ♡ んっ、あっ……んん〜っ♡」
「ぷはぁ……はぁはぁ、はぁ……」
「はーっ、はーっ、はーっ♡」
白刃とのキス、凄い……ヤバッ、飛んだ……。
ウチ、今絶対情けない顔してる。見られたくないけど、体が言うこと聞かない。
どっちの涎だか分かんないくらい糸引いてて恥ずいし、口の周りベトベトだ……。
「ごめん、なんか歯止めが……」
「ううん、ウチこそ……でも全然嫌じゃないから♡」
「ティッシュ、いる?」
「……いる」
お互いティッシュで口元を拭く。
そうしている内に段々自分が何をしたのか分かって、顔から火が出るくらい熱くなった。
「何やってんだろうね、ウチら……」
「キスだろ……恋人同士の……」
「そ、そうだよね……へへへ♡」
「凄い満たされた感じ……キスって凄いんだな」
「うん……凄かった……♡」
またしたいって言えばしてくれるかな?
変態って思われないかな?
「また、してもいい?」
「え」
「あ、いや……響香ちゃんとまたキスしたいなって……思って……」
「へへへ……ウチもしたい♡」
好き……大好きだよ、白刃♡
これからもずっと……♡
それからウチらは何度も何度もキスをして、気が付いたら夕方になってた。
帰りは白刃がわざわざウチの家の近所まで送ってくれて、外なのに別れのキスまでしちゃった……でも恥ずかしさよりも、幸せの方が断然上だった。
読んで頂き本当にありがとうございました!
今後ものんびり更新ですが、楽しんで頂けたら幸いです!