転生したら轟焦凍くんの幼馴染みだった。   作:室賀小史郎

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ご都合主義炸裂です。ご注意ください。


ヒロアカ世界なのにヒロアカ世界と違う。

 

 ヒロアカの世界に転生してから、俺は10歳になった。

 

 今は冬休み。これまでで色々と分かったことや発見があったので、改めて家族のことや自分自身、俺の周りや原作と違う点についてまとめたいと思う。

 

 まず家族。 

 父親の地毒修作(しゅうさく)。

 個性は『毒物を自在に操れる』というもの。

 既存の毒物を意のままに扱えるため、その個性を活かして医者の道に進んだ。

 例えばマムシに噛まれてもその毒を抜くことが可能。抜く際は水や血液を抜くみたいに注射器を使い、個性を発動させると毒が出てくる。

 しかし完全に血液と混ざり合ってしまったら全てを取り除くことは不可能。

 なので基本的には麻酔医として個性を発揮している。

 エンデヴァーこと轟炎司と幼馴染みで同い年。

 幼馴染み故に少年時代の炎司さんの恥ずかしいエピソードやら、言葉足らずで周りと誤解を生むことの多かった炎司さんのフォロー役だったので、父さんにだけは頭が上がらないらしい。

 

 母親の地毒刃子(やいこ)。旧姓は鋭(するど)。

 個性は『自身の指先を様々な刃物に変えられる』というもので、医者の道に進んで外科医になった。

 自身の指先を刃物に変えられるため、医療ドラマとかの手術シーンにある「メス」「はい」というやり取りをしなくて済むし、刀身の微調整も出来るので手術時間がかなり短縮出来ているとか。

 年齢は父さんより2つ年下。

 

 実は両親も炎司さんたちと同じく個性婚。んでもって両家共医師を排出してきた名門らしい。毒にしろ刃物にしろ、使い方次第で敵になることも簡単な個性だからこそ、ヒーローも敵も関係ない医学に活路を見出したんだと思う。

 問題だったのは両親の両親。つまり俺の祖父母が互いの子どもを結婚させて、もし2つの個性を持つ子が産まれれば世界最高の医師に出来る。なんていう野望で結ばれた縁らしい。

 しかしそんな祖父母も多忙な医者だったために婚期が遅れ、40手前になってやっと子どもを授かった。

 そして父さんたちも医者という職業柄結婚は二人が30過ぎてからで、その頃にはもう祖父母は70代後半。

 そのため俺が産まれてすぐにどっちの祖父母も他界してしまったため、当初の目的はなくなってしまった。

 でも幸いお互い見合いの席で一目惚れしたとかで、夫婦仲は円満だったという。

 

 そして俺、地毒白刃。

 小学校に通うようになったが、相変わらず俺の隣には基本的にしょうくんというイケメンオプションが付いている。まるでモン〇ンのオトモアイ〇ーみたいに、トイレ以外俺から離れない。仮にトイレでも俺は扉の前にいないと無言の圧力で訴えられるので、いてあげる以外選択肢がない。

 

 そんな俺自身にも色々と変化があった。

 

 実は俺、ずっと個性は父親の個性から発展した毒生成だと思ってたんだけど、母親の個性も受け継いでいたことが6歳になる頃に分かった。

 個性の発現は4歳までってのが通例なんだけど、その人が持つ個性によっては発現が遅れて出ることもあるらしい。極めて珍しい例だが、前例はあると父さんが話してくれた。

 よって俺の今の個性は――

 

 毒生成:自身の体液を思い浮かべた通りの毒に出来る

 デメリット:加減しないと簡単に人を死なせてしまう

 

 刃物:指先を刃物に変えられ、最大刃渡り15センチまで変えられる

 デメリット:変化させた刃が傷つくと戻した指も傷つく

 

 ―――ってな感じになってる。

 父さんや母さんに個性の手解きは受けているので、小学校にいる同世代よりも扱い方は慣れてる感じだ。

 しょうくんなんかは『2つの個性。俺と一緒』なんて言って抱きついてきた。かわいいなこのイケメン。

 

 また学業の方も特に問題ない。所々忘れてしまった部分もあるが、一度は習ったことなので復習として丁度いいし、何なら数学や理科は得意だったのもあって高校生と同じレベルでも余裕だった。

 唯一問題なのは現代史くらい。だって俺がいた前世とヒロアカの歴史ってかなり違うからね。

 

 そして俺の容姿は父さんから強く受け継いだらしく、顔は父親譲りのツリ目キリ眉のしょうゆ顔で、左目の下にホクロではなく海賊とかのシンボルマークみたいな3ミリくらいのドクロマークがポチッとある。地毒家で強い個性が発現した者に出るらしいある種の後継者の証っぽい。父さんにも同じ物がある。

 でも首の左側……左から見て耳から首に視線を下にやると、頸動脈を跨ぐ形で10センチくらいの大きなドクロマークがある。俺の喉元へ向いて口を開けているドクロマークで、口からは鋭利な刃物と毒を表しているような煙を吐いてる。タトゥーみたい。

 でもこの世界じゃ珍しいことでもないらしいし、より強い個性の証ということで周りからは凄いなんて言われる。そして無駄に少年やちょっとヤンチャな青年たちの目を引く存在だ。精神年齢高い俺からすれば気恥ずかしくて仕方ない。

 次に髪の毛は毒々しい紫色で、所々メッシュみたいに母さんの髪色がある。

 母さんの髪色はなんていうか難しい。黒っぽいのに銀で……うーん、刀の色って言えば伝わるかな。いや伝わってくれ。俺自身もどう説明すればいいのか分からん。

 髪質は母さん譲りのきめ細やかなストレートヘア。因みに父さんはパーマかよってくらいかなりの癖っ毛。

 髪型は家訓により伸ばしていて、毛先は腰辺りまである。邪魔なので髪紐かヘアクリップで項が見えるように一纏めにしている。

 なんでも昔、地毒家は武家だったらしく、男は子どもでも戦になると戦場へ行くため、髪を伸ばして女の子に見せて跡取りを守っていたそうだ。

 もうそんな時代じゃないからやめてもいいだろうに、父さんから『父さんも子どもの頃は長かったから』と俺の髪を伸ばすことを推し進めた。

 いいですよ。俺の次の代から(出来れば)この家訓は消えますんで。

 

 そして身長は今のところしょうくんとほぼ同じで、俺の方は家事や育児とか手伝ってるからそこそこ筋肉もついてる。しょうくんも俺の真似をしてお手伝いしてくれるけど、前世の記憶がある分俺は手際がいいから、簡単なことを頼んでるんだ。タオルをたたむとか雨戸を閉めるとか。

 それに冬休みになってからはしょうくんと一緒にエンデヴァーから筋トレという稽古をつけられているため、周りの同い年と比べると段違いだ。

 

 次に俺の周りのことや俺がいることによって生じた(のかもしれない)変化。

 7歳の時に妹の黒刃(くろは)が産まれた。

 相変わらず母さんも育休は最低限しか取れなかったので、産休明けは轟家で預かってもらい、学校から帰ってきたら俺が面倒を見ていた。

 母親譲りの別嬪さんだからお目々クリクリでめっちゃかわいい。あ、目の色は俺も黒刃も同じで母親譲りの刀色。光りの加減で黒や銀に見える。

 前世一人っ子だったからめちゃくちゃ甘やかしてしまうんだよな。かわいいもん。かわいいは正義だ。

 その結果、家にいる時は基本俺の背中に張り付いてたり、抱っこしている状態なので、しょうくんが嫉妬して引っ付いてくる。

 うん、かわいいに囲まれるって死にそうになるね。マンガのネタだと思ってたけど、実際になってみると分かったよ。

 今は3歳で舌っ足らずにも『にぃた』と呼んでくれるし、抱っこもおんぶも自分からせがんでくる。因みに抱っこの時は『だ!』でおんぶの時は『ぶ!』。

 母親譲りの刀色の毛先癖っ毛の髪の毛を俺が毎朝編んだり、結ったりしておめかしするのが日課。

 対抗してしょうくんが『俺の髪も弄っていい』なんて言ってきた時は胸を押さえてしまった。

 ほんとなに? このかわいいいきもの。

 

 そして原作ではオールマイトがオールフォーワンとの死闘を繰り広げて大怪我を負うんだが、そんなことはなかった。

 オールフォーワンはヒーローたちの連合組織で見事に倒されて絶命。

 今もオールフォーワンの信者たちが毎日のように逮捕されている。

 まあニュースではってだけだから安心はしてないけどね。だって原作じゃあんだけ強かったんだから、楽観視していけないと思うの。

 

 あと轟家はこの5年でかなり再構築されたと思う。

 最初はぎこちなかったけど、炎司さんはいつも家族のことを考えて行動するようになったし、燈矢兄に最適なサポートアイテムをスポンサーに開発依頼して稽古を再開。

 今18歳で雄英高校3年生で主席だ。それも圧倒的な。

 卒業後は現在もインターンでお世話になってるエンデヴァー事務所にサイドキックとして正式採用される予定。

 でも将来的には自分の事務所を立ち上げたいって言ってた。

 

 冬姉も夏兄も順調に明るい生活を送れているし、冷母さんに至っては毎日炎司さんから花束を贈られて幸せそう。

 でも俺はしょうくんたちを守るために敢えて炎司さんには冷たく当たっている。冷たくと言っても弄る程度だ。だってあれだけのことをしてきたんだから、俺にそれくらいされても自業自得だと思う。

 あ、ちゃんとおじさんって呼んでるよ。

 ちょっと前に炎司さんから『そろそろ炎司おじさんと呼んでくれないか? 冷のように炎司父さんでも……』なんて恥ずかしげもなく言ってきたから、照れ隠しに『天下の元児童虐待DVマンに、父さんと呼べと?』って豪速球返したら見るからにしょんぼりされた。大型犬がしょんぼりしたみたいで不覚にもかわいいと思ってしまったのは秘密だ。

 

 しょうくんに至っては天然さは原作通りだが、人当たりはいい方。多少人見知りではあるが、挨拶されれば返すし、ヒーローらしく困った人がいたら手を差し伸べる王子様系イケメン。

 俺の真似をして一人称を『僕』から『俺』にしたが、背伸びしてる感があってかわいくて心臓に悪い。

 

 またヒーローのエンデヴァーは活動のし方が大きく変わった。

 元々事件解決件数はオールマイトを抑えてダントツトップだった上に、態度や雰囲気が優しくなったとして国民からかなり慕われるようになった。

 あれだけ拗れていたのに今はオールマイトと頻繁にチームアップするようになったし、ファンサービスも増えて、結果的にランキングはオールマイトと僅差の2位でナンバー1も夢じゃない。

 オールフォーワンの撃破にも大きく貢献している。

 

 ということで今のところ、ヒロアカ世界でも俺の周りは比較的平和だ。

 相変わらず敵はいるけど、ヒーローがいるから安心感が大きい。

 しょうくんに至っては火傷負ってないからイケメンまっしぐらだし、茶毘になるはずの燈矢兄が炎司と仲直りしたので敵になる未来が消えた。

 良かった良かった。

 

 の、はずなんだけど―――

 

「うっ、ぐすっ、えぐっ」

「どうした? 怪我したのか?」

 

 ―――今俺の目の前に血だらけの同い年くらいの女の子がいるんだががががが。

 

 エンデヴァーサイド

 

 思えば白刃くんに言われてから、俺の人生は好転した。

 目が合う度に怯えられていた家族たちから、温かく迎え入れられるようになったし、一度己の執着を取り除いてしまえば、世界はこんなにも温かいものなのだと思い知った。

 子どもたちがまだ怯えつつもまだ俺のことを『お父さん』と呼んでくれることが、どれだけ俺の救いになったか。

 あれだけのことをしたのに妻がまだ『あなた』と出迎えてくれることに、どれだけ感謝したことか。

 親友とその奥方にも本当に助けられた。二人には『お前の家族が受けてきた分だ』と思いきり張り手を食らったが、耐えた。親友の奥方に至っては今思い返しても脚が震えるくらいに怖かった。

 ええい、震えるな俺の脚!

 

 またヒーロー活動においても切羽詰まって活動することがなくなり、それ故余裕が生まれたことでいい方へ進んでいる。

 前のストイックな俺を惜しむファンもいたが、みんな今の俺を応援してくれている。

 そしてあれだけ遠く感じていたオールマイトの背中も見えてきた。

 

 しかし実際のところ、もうオールマイトを追い越そうとかはあまり思っていない。

 自分の家族にしてきた非道。そんなことをする自分がオールマイトを越えられるだなんて思えない。

 

 でもそれでいい。妻や子どもたちの笑顔が戻ったのだからそれで。

 

 だから本当に白刃くんには感謝している。

 しかしまだまだ彼には許されていない。

 親友一家にはとことん弱いんだな、俺は。

 でも俺はこれからの行動で示していくしかない。

 見ていてくれ、白刃くん。

 そしていつか、私にも妻のように『炎司父さん』と呼んでくれ。

 

 焦凍サイド

 

 白が俺と一緒で2つの個性を持ってた。

 嬉しかった。

 髪の毛も一緒に伸ばそうとしたら、止められた。

 白が言うには、俺は今のままが一番かっこいいんだって。

 嬉しい。

 

 白は俺のヒーローだ。

 オールマイトよりも好きだ。

 白がいたから、俺たち家族はまた家族になれた。

 最初は怖かったけど、父さんも俺たちに怯えられるのが怖かったんだと思う。

 

 燈矢兄が雄英でトップなのも、冬姉が母さんと毎日楽しそうに台所で料理してるのも、夏兄が自分の夢に向かって勉強してるのも、全部全部白が守ってくれたからだ。

 

 冬休みになってからは父さんに稽古をつけてもらってる。

 父さんが言ったんだ。ヒーローになりたいなら俺に言えって。

 ヒーローになんかなりたくないって思ってたけど、家族を守りたいしオールマイトがかっこよかったからヒーローになりたいと思った。

 でもまた痛くて怖いのは嫌だ。

 だから白に相談した。

 そうしたら白は笑顔で、

 

『言ったろ。俺が守ってやるって。俺も一緒にやるよ。そうすればおじさんだってむちゃくちゃなことしないだろうし』

 

 って言ってくれた。

 嬉しかった。

 

 最近、白はいつも家にいる時は俺じゃなくて自分の妹の黒刃を構ってる。

 ズルい。

 だから俺も白にくっつくと、白は困った顔をしても俺の頭を撫でてくれる。

 嬉しい。

 でも黒刃に足を踏まれる。

 痛い。

 黒刃より俺の方がずっと白と一緒にいたのに。

 ぽっと出のくせに。

 

 でもいいんだ。

 稽古中は白と一緒だから。

 圧倒的に俺の方が白と一緒にいる時間は多い。

 学校だって一緒だ。

 

 頑張ってヒーローになって、今度は俺が守りたい人たちを守るんだ。




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