転生したら轟焦凍くんの幼馴染みだった。   作:室賀小史郎

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あんなこといいな〜。あったらいいな〜。


雄英高校受験に行きました。

 

 進路が決まってから、俺はしょうくんたちと雄英高校の受験に向けて忙しくも穏やかな日々を過ごした。

 

「じゃあ、行くか!」

「おう」

「はい♪」

 

 そして今日は雄英高校の入試試験に挑む。

 

 緑谷くんとか爆豪くんとか麗日ちゃんとか原作に出てきたキャラに会えるかな〜♪

 なーんて思ってる半面、実技試験がガチで怖い。

 

 雄英側から既に受験者へは諸注意書きや細かなルールが知らされている。

 怪我する可能性もあるため同封されていた同意書にはサインと印鑑をして送付済み。

 

 ただルール違反に当たるかとか細かい点の確認のため、俺は何度か雄英に電話で尋ねていたりする。

 対応してくれたのは誰か分からなかったけど、とても親切だった。

 

 ―――――――――

 

 筆記試験は前世の記憶もあったから現代史以外問題なかったが、俺としてはここからが本番だ。

 幸い俺たち三人共に同じブロックでの実技試験になるので、それだけで心強い。

 

 ジャージに着換え、所定の位置に集まり、注意事項等の説明をされ、唐突なスタートの合図で試験が始まった。

 原作じゃプレゼントマイクだったのに、そうじゃないキャラの声だったな。

 

「しょうくん、周りの人巻き込むなよ?」

「分かってる。でもそこら辺のフォローは任せた」

「私ずっとこのままでもいいー♡」

「被身子、白のまま喋んな」

「はーい」

 

 被身子ちゃんは俺の血を飲んで俺に変身してこの試験に挑んでもらっている。

 雄英にはこれで得点を稼いでもちゃんと被身子ちゃんに得点が加算されるか尋ねて、問題ないと回答をもらっていたので、雄英を受験すると決まってから被身子ちゃんには俺の血を飲んでもらって俺の身体に慣れてもらっている。

 未だに俺の声と姿で被身子ちゃんらしい振る舞いや言動をされると違和感しかないが、しょうくんの血より俺の血を被身子ちゃんが懇願したので仕方ない。

 因みに原作だと変身の個性を使うのに裸になる必要があったけど、エンデヴァーからの猛特訓を受けた末に相手の服まで変身するしないのコントロールが可能になった上に、原作でキュリオスとの戦闘で覚醒したように、現時点で摂取した相手の個性まで使えるようになった。ただ変身で使う個性はオリジナルとは見劣りしてしまうし、相手の服まで変身するしかない場合は原作通り裸になる必要がある。

 

「しょうくん、そっち! 怪我人がいる!」

「分かった!」

「ささ、危ないですよー。救護スペースまでエスコートしますねー」

 

 仮想敵ロボを三人で手分けして破壊しつつ、怪我した受験生は救護スペースへ搬送。

 連携も難なく取れてるし、最初に感じていた不安感は全くない。

 原作を知っているからこその立ち回りだが、合格するためなら有効活用する他ないからな。

 

 そんなこんなで時間が経過していくと、轟音と共にあの0ポイントの巨大な仮想敵ロボが現れる。

 いやぁ、生で見るとマジででけぇ。原作知らなかったら周りの受験生みたいに俺も逃げ一択だったわ。

 

「っ!? しょうくん、氷壁!」

「おう!」

 

 やっぱ逃げ遅れてしまう人がいた。

 だから俺はしょうくんに指示して氷壁を出してもらい、被身子ちゃんと一緒に逃げ遅れた受験生たちを逃していく。

 

「白! 崩れるぞ!」

「おうよ!」

 

 思ってたより0ポイントのパワーが強くて、あと一人ってところでしょうくんの氷壁が崩壊。

 

「ごめんね! 君、悪いけど頭ガードしてしゃがんでて!」

「あ、う、うん! でも、あれ0ポイントだよ!?」

「大丈夫! ヒーローならどんな理不尽にでも立ち向かうんだから! しょうくん!」

「いつでもいけるぞ!」

 

 俺はしょうくんに合図を出して地面を蹴る。

 するとしょうくんが氷で足場を作ってくれる。

 左右の親指以外の指を全て今自分が到達出来る最長の刃物に変化させ、0ポイントの両腕を切り裂いた。

 イメージ通りの切れ味。続いて落下するのと同時に両脚の骨組みも切断すれば、完全に無効化出来た。

 

「被身子ちゃん、建物への被害は!?」

「問題ないよー! 焦凍が氷でガードしてたから! 女の子も無事ー!」

 

 ホッと一安心したところで終了を告げるアナウンスが響く。

 

「お疲れー、しょうくん、被身子ちゃん。助かったよー」

「お疲れ。俺は白の指示のお陰でそんな疲れてねぇ」

「私もそんなに疲れてないよー♪」

 

 元気だな、二人は。俺は精神的に疲れた。精神年齢が上だからか、はたまた緊張してたからか。

 何はともあれやれることはやったし、あとは合否判定の通知が届くのを待つだけだ。

 

「あの……さっきはありがとう」

 

 そんなことを考えてると、背後からお礼を言われたので振り返る。

 するとそこには先程咄嗟に指示してしまった女の子が立っていた。

 あれ、この子って確か―――

 

「いやいや、こっちこそ急に指示なんかしてごめんね」

「ううん。本当に助かった。ウチ、耳郎響香って言うんだ。お互い合格するかまだ分かんないけど、よろしく」

 

 ―――耳郎響香ちゃんだぁぁぁ!

 うわぁ、しょうくん以来のA組のキャラじゃんか! 本当にイヤホンジャックある! 三白眼かわ! 小柄でかわ!(この間1秒)

 

「ああ、よろしく。俺は地毒白刃。こっちのおめでたい感じの紅白髪が轟焦凍で、こっちは――」

「渡我被身子です!」

「うぇ!? 双子じゃなかったの!?」

「あははー、私の個性なんですー」

「へぇ、すご……」

 

 そんな話をしていると、俺は耳郎ちゃんが膝に怪我をしているのが目に入った。

 

「膝擦りむいてるけど、大丈夫?」

「ああ、大丈夫大丈夫。それに救護スペース行けばすぐ治してもらえるっぽいし」

「でもあそこまで距離あるし……あ、ちょっとジッとしててね」

「え、うん」

 

 俺は耳郎ちゃんの膝に作り出した毒(麻酔)を数滴垂らす。

 

「どう、まだ痛む?」

「あれ、痛くない」

「良かった。あとは……」

 

 持っていたハンカチを巻いてこれ以上傷が空気に触れないようにすればオーケー。

 

「ありがとう。でもハンカチ……」

「余計なお世話はヒーローの本質、って言うじゃん? 怪我治してもらったら返してくれればいいから」

「……分かった」

 

 それから俺たちは耳郎ちゃんを救護スペースに連れてって、ハンカチを受け取り、それぞれの更衣室で着替えて雄英高校をあとにした。

 

 その帰り道。

 同じ駅に向かうので、そのままの流れで耳郎ちゃんとも一緒に駅へ向かう。

 

「へぇ、三人同中なんだ。変身って個性もチートだけど、そっちの二人は個性2つ持ちとかますますチートじゃん」

 

 俺の右にしょうくん、そして後ろに被身子ちゃんでその隣に耳郎ちゃんと歩道を歩きながら、改めて自己紹介してからの耳郎ちゃんの言葉。

 確かにチートだよな。俺もそう思う。

 でもチートにはチートなりに苦労もあるのよ。

 

「個性2つ持ってるってお得感あるけど、慣れるまでがな〜。1つに集中するともう1つの制御が出来なくなるってのはよくあった」

「ああ。いいことばっかじゃねぇな」

 

 しょうくんにとっては特にね。

 でも原作みたいに拗れてないし、コントロールの特訓も一緒に頑張ったし、しょうくんが努力してきたのを俺はよく知ってる。

 だから耳郎ちゃんの前なのに、ついついいつものように「頑張ったもんな」って言ってしょうくんの頭を撫でてしまった。

 

「ん、ありがとな、白」

「いえいえ〜」

 

 微笑ま〜♪ うちのしょうくんは癒やし系イケメンになってしまった。なんか兄目線になってしまう。

 すると当然背後から軽い衝撃が来た。被身子ちゃんの『私も頑張ったよ!? 褒めてよ!』の合図である頭突きだ。

 

「被身子ちゃんもよく頑張りました」

「んへっ、んひひひひ♡」

「……仲いいな」

 

 あ、若干でもなく耳郎ちゃん引いてますやん。

 でも仲良しなのは事実なので、

 

「ずっと三人でいたからな♪」

 

 ついありのまま返してしまった。別に隠す必要とかないしね。

 するとしょうくんも被身子ちゃんもほわほわ〜っとした雰囲気をまとった。しょうくんに至っては相変わらずポーカーフェイスのままだが、被身子ちゃんと同じく両手で頬を押さえている。

 

「(かわいいだろ、この二人?)」

 

 耳郎ちゃんにこっそり訊ねると、耳郎ちゃんは「確かにね」と返してくれた。やっぱ耳郎ちゃんもいい子や。

 

「ほら、お二人さん。いつまでもトリップしてないで、さっさと帰ろうぜ〜。みんな待ってるだろうから」

「お、そうだな」

「はーい♡」

 

 それからその場の流れで耳郎ちゃんと俺たちは連絡先を交換し、ホームで別れ、被身子ちゃんを施設まで送っていってから轟家に帰った。

 

 ―――――――――

 

「ただいまー」

「ま」

 

 俺の声に続いてしょうくんがぽつりと言う。

 すると廊下からとたとたと足音がした。

 

「お兄ちゃん、おかえりー!」

「ただいまー、黒刃ー!」

 

 8歳になったラブリーマイエンジェルシスター黒刃のお出迎えに、俺は今日の疲れを忘れて抱きしめる。

 最高。ホントに最高。

 

「黒刃、焦凍兄ちゃんにもおかえりーって」

「あ、おかえり、しょうと」

「おう」

 

 んー。なんでしょうくんにはこんなにもスンッて顔するのか。イケメンぞ? あ、イケメンだから恥ずかしいのか?

 

「早くあっち行きなよ。あたし、お兄ちゃんとまだぎゅうしてるから」

「こらこら、なんてこと言うの。兄ちゃんだってもう冷母さんたちのとこに行くよ」

 

 そう言って俺は黒刃を抱き上げる。

 流石に大きくなったから大変だけど、まだまだ余裕だな。

 

「いつまで経っても兄離れ出来ねぇな」

 

 しょうくん、それ特大ブーメランよ。

 

「しょうとだってあたしのお兄ちゃんから離れてない。邪魔」

「抱っこしてもらって白の両手を使えなくしてる黒に言われたくねぇ」

 

 まるで猫のケンカだな。相変わらず。俺としてはもう少し仲良くしてもらいたい。被身子ちゃんとはこんな険悪にならないのに……謎だ。

 

「ほらほら、ケンカしない」

「してねぇ。事実を教えてる」

「分かってないから教えてあげてるの」

 

 もうケンカするほど仲がよろしいってことで。

 ツッコミも程々に居間へ行くと、

 

「おかえり、焦凍、白刃君。試験お疲れ様」

「お疲れ様、二人共。試験お疲れ様ってことで、今日は二人の大好物を用意しておいたからね」

「俺も作ったぞー♪ 黒刃ちゃんもお手伝いしてくれて、な?」

「うん!」

 

 冷母さんたちがご馳走を用意して待っていてくれた。

 因みに夏兄は秋に推薦入試で東京ではなく家から通える県内の名門大学に合格。燈矢兄が勧めてくれたそうだ。

 そして冬姉は隣町の小学校教諭になることが決まっている。

 

「みんな、ありがとう」

「ありがとう」

 

 俺としょうくんがみんなにお礼を言えば、みんな笑顔を返してくれた。

 本当なら被身子ちゃんもこの場に参加させたかったけど、被身子ちゃんは被身子ちゃんで施設のみんなからお疲れ様会をしてもらうみたいなので、被身子ちゃんは明日誘ってる。

 だから今日も明日もパーティーみたいで、なんか嬉しい。

 

「じゃあ二人共、手洗いうがいをして着替えてきなさい」

 

 冷母さんに促され、俺としょうくんは洗面所へ。

 俺の着替えは今朝しょうくんを迎えに行った際に置かせてもらったので、準備万端だ。

 

 こうして俺としょうくんはみんなに労ってもらい、穏やかな食卓を囲んで過ごした。

 

「白、唐揚げ美味いぞ」

「お兄ちゃん、このハンバーグあたしがこねこねしたんだよ!」

「順番。順番でオナシャス」

「なら俺からな」

「空気読めない人ってどうかと思う」

「なんだやっと自覚したのか黒」

「は?」

「お?」

 

 穏やかな食卓を囲んで過ごした。

 

 教師陣サイド

 

「いやはや今年も粒揃いで嬉しい限りだね!」

 

「そうですね。特にZ区域の轟くん、地毒くん、渡我さんは筆記試験は勿論ですが、実技試験の時は周りの子たちと段違いの実力でした」

 

「それぞれの持つ個性が素晴らしいのもありますが、その分扱い方が難しい。なのにあそこまでコントロールし、且つ周りを気にしながらという行動は模範的なヒーローそのものです」

 

「まだ中学生ですし、こういった試験だからこそ、自分が自分がとなってもおかしくないのに、あそこまで冷静な判断が出来るのはいいことです。将来が今から楽しみですね」

 

「何より轟くん、渡我さんを上手く指揮していた地毒くんはリーダーになれる素質を持ってます。判断能力もさることながら、状況把握の早さと順応性もピカイチでした」

 

「流石はあの地毒家の人間、と言うべきですかな。今からが楽しみですよ、本当に」

 

「では、みんなこの三人は合格で問題ないね?」

 

 会議室に異を唱える者は誰もいない。

 

「うん! じゃあ三人は文句なしの合格だ!」

 

 響香サイド

 

 0ポイントの巨大仮想敵ロボットが出てきた時、怖過ぎて足が竦んだ。

 こんなの無理だろ!って思わず叫んだ。

 

 ヒーローになりたくていたウチのことを、両親は笑顔で背中を押してくれたのに、あんなに練習したのに、動けなかった。

 

 ああ終わった、って諦めた時、いきなり目の前に氷の壁が現れた。

 状況が理解出来ずにいたら、今度は地響きで前のめりに転んで、膝を擦りむいた。カッコ悪過ぎるなウチ。

 

 ウチがそんなことしてる間に一人の男子が叫ぶ声がしたと思ったら、そっくりな二人の男子の内の一人がウチの前にウチを守るように立っていた。

 

『ごめんね! 君、悪いけど頭ガードしてしゃがんでて!』

 

 なんだよ、それ。

 みんな必死になって逃げてるのに、そいつはウチに向かって笑顔を向けた。

 毒々しい紫色に銀色みたいなメッシュの長髪。

 チラリと見えた首にあるドクロマークとか。

 指が刀みたいになってるとか。

 

 思わず見惚れちゃった自分がいて、でも氷の壁が壊れたことで我に返った。

 頭を守るように伏せたけど、どうしても気になってその男子の背中を目で追うと、あんな無理ゲーまがいの巨大仮想敵を簡単に倒した。

 なんだよ、それ。レベチどころじゃない。ホントに同い年なのかよ。

 

 試験が終わって安心したけど、助けてくれた男子が気になったし、お礼も言わないとって思って声かけたら、すごい話しやすくてイイ奴だって思った。

 他の二人も変だけど面白くてイイ奴らだった。

 

 あの三人と比べたらぶっちゃけ合格出来る自信ないけど、もしも合格出来て同じ学校に通うなら、もっと色んな話をしたいな。

 合格出来なくても連絡先は交換したし、その時は雄英の授業の感想とか教えてもらお。

 

 それにしても―――

 

 地毒白刃

 

 ―――本物のヒーローみたいだった。




読んで頂き本当にありがとうございました!
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