転生したら轟焦凍くんの幼馴染みだった。   作:室賀小史郎

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すっごい原作と変わってしまってますがご了承を。まあ今更ですよね?
てことで今回もご都合主義が暴威を振るう!

初登校の際の席順は成績順?っぽかったのですが、ここでは最初からあいうえお順にしてます。


雄英高校初登校。

 

 今日からとうとう雄英高校で俺の高校生活が始まる。

 俺、しょうくん、被身子ちゃんはA組。響香ちゃんも勿論A組。

 合格通知のあの妙にハイテクな映像レター……俺は校長先生だった。

 しょうくんはセメントス先生で、被身子ちゃんは13号先生だったらしい。因みに響香ちゃんは俺と同じだったみたい。

 あれって先生たちで担当してるんだな。

 というか、原作だとオールマイトが今年から教師になるはずだけど、どうなってんのか分からんのよな。受験勉強の合間にニュース番組だけは欠かさずチェックしてたけど、爆豪くんが捕まって緑谷くんが奮戦するヘドロ敵ニュースもなかったし、それこそオールマイトが雄英高校の教師になるってニュースもなかった。

 

 ともあれ俺はしょうくんと被身子ちゃん、響香ちゃんと一緒にA組のクラスへ来た。

 ここでいきなり飯田くんと爆豪くんが口論してるシーンを見れるんだよなぁ。てか生のA組メンバーをやっと全員拝めるのが嬉しい。

 

 ガラガラと扉を開けると、

 

「おい、デク! てめぇ、さっさとそのナードノートしまえや!」

「かっちゃん、そんなこと言わないでよ! 今聞いたみんなの個性をちゃんとメモしないと気が済まないんだよ!」

「だぁから! そんなもん家でやれってつってんだよ! このクソナード!」

 

 あれれれぇ?

 爆豪くんが爆豪爆豪してないぞぉ?

 ちょっと口の悪い世話好きヤンキーくらいだぞぉ?

 いやまあそれも爆豪くんなんだけど、なんというか緑谷くんに対して当たりが火の玉ストレートからストレートくらいの甘さがあるぞぉ?

 てか緑谷くんと普通にお喋りしてる時点でおかしいぞぉ?

 二人の間に何があったのぉ?

 おじさん気になるなぁ!

 にしても緑谷くん可愛いな。こう、何ていうかぼの〇のに出てくるシマリス的な、小動物系。ピンクじゃないけど緑は目に優しいからね!

 

 ってあれ?

 

「おはようございまぁぁぁぁぁすッ!」

 

「うぉっ、うるさっ!?」

「……うるせぇな」

「誰ですか? 響香ちゃんの知り合い?」

「いや、ウチも知らない……」

 

 俺がふと思った瞬間に大声で挨拶されて仰け反ると、

 

「すんませんッス! 俺、夜嵐イナサって言うッス! よろしくお願いしますッ!」

 

 大声の正体が謝ってから自己紹介してきた。

 そう夜嵐くんだよ夜嵐くん。なんで雄英にいるんだ?

 あ、エンデヴァーがファンサービスもするようになったからか。

 原作だとしょうくんより個性の使い方が上手で、推薦入試受けて受かってたんだもんな。エンデヴァーから塩対応されてないから、素直に雄英入ったのか。

 

「君はエンデヴァーの息子さんッスよね!?」

「あ、ああ……」

「俺、エンデヴァーの大ファンなんッス! その息子さんと同じクラスとか夢みたいで感激ッス!」

「お、おう」

 

 うわぁ、あのしょうくんが引いてるよ。

 でも確かに名前の通り嵐みたいでビビるな。

 

「そっちは地毒先生の息子さんッスね!」

「え、俺のことも知ってるの?」

「勿論ッス! 実は俺、個性暴走させた時に大怪我して、その時に先生に助けて貰ったッス!」

「そう。てか父さん、母さんどっちに? 地毒先生って言われてもどっちも地毒先生だから」

「両方ッス!」

「ああ、よっぽど凄い暴走したのね」

「はいッス! でもこの通り! 元気ッス! 改めて! 先生に! お礼! 言っておいてほしいッス!」

「ああ、うん。分かった」

 

 まさか俺の両親とも面識あるとか、よく分からんね世の中。

 それから夜嵐くんに言われて、黒板に貼られてる席順を元に俺たちも自分の席についた。

 

 というか、席順見てビックリした。

 だってさ、A組の人数24人もいるよ?

 原作だと20人だったのにだよ?

 確かに俺と被身子ちゃんとか夜嵐くんがいれば増えるだろうけどさ。

 原作よりも教室広い感じがするし。

 

 因みに席は廊下側の縦一列が前から青山くん、芦戸ちゃん、蛙水ちゃん、飯田くん、麗日ちゃん、尾白くん。

青山くんの隣の縦一列が上鳴くん、切島くん、口田くん、砂糖くん、障子くん、響香ちゃん。

上鳴くんの隣の縦一列が心操くん、瀬呂くん、俺、常闇くん、被身子ちゃん、しょうくん。

心操くんの隣の縦一列が葉隠ちゃん、爆豪くん、緑谷くん、峰田くん、八百万ちゃん、夜嵐くん。

 

 そう! 心操くんまでヒーロー科のA組にいるのだ!

 いやぁ、うん、もうほんとどうなってのんかさっぱり分からん。

 てか、後ろに常闇くんおりゅぅぅぅ! かわっ! 鳥ヘッドかわっ! 目の前には瀬呂くんだし、右隣口田くんだし、左には緑谷くんだしぃぃぃ!

 ああ、今日俺は幸せの過剰摂取で死ぬのかもしれない。

 

 周りの子たちに軽く挨拶しつつ、時計を見れば普通の学校ならチャイムが鳴る頃なので、わざわざ俺の方へ向いて声をかけてくれている瀬呂くんに「そろそろ時間かもよ」って前を向いてもらった。

 

 すると他の子たちも席について私語をやめたので、一気に教室内が静かになる。

 原作じゃ相澤先生が入ってくるんだけど、この世界だと誰になるんだ?

 そんなことを考えていたら前のドアがガラリと開いた。

 A組担任の先生は、

 

「あら、もっと時間を忘れてきゃいきゃいと初登校のドキドキワクワクを謳歌してるのかと思ってたのに、静かに席についてるなんてお利口さん揃いじゃないの。鞭の打ち甲斐がないじゃない」

 

 ミッドナイトこと香山睡先生かよ!?

 いや確かに原作の企画当初はA組の担任に設定されてたっぽいけどさ!

 いいの!? 担任がこんな破廉恥なヒーロースーツの人でいいの!?

 ほら、峰田くんがもう怪しい笑い声出してるよ。

 

「はい、では改めて注目。私はこのA組の担任、香山睡よ。ヒーロー名はミッドナイト。担当教科は現代ヒーロー美術史。ヒーロー美術史は主にコスチュームのことになるわね。そのヒーローコスチュームが造られた社会背景や宗教、哲学といったものを知る手がかりになる学問って感じね。私の呼び方は通常時は香山先生。ヒーロー科の授業ならミッドナイト先生と呼ぶように。面倒なら先生でいいわ」

 

 みんなして『はい』と返事をすれば、香山先生は「熱い視線と青臭い感じが……」とかつぶやきながら頷いてた。本当にいいの、この人が担任で?

 

「で、今日やることなんだけど、本来なら始業式に参加するとこなんだけどぉ、ヒーロー科はそんなことに時間を使う暇はないの。それにここだけの話、始業式は拷問みたいなものだから」

 

 拷問……? ああ、校長先生の特に意味もない長くて有り難いお話があるからか。

 

「では香山先生、ヒーロー科の生徒はこれから何をするのでしょうか!」

 

 飯田くんがビシッと手をあげて質問すると、

 

「ヒーロー科は毎年恒例、個人の実力把握テストを行うわ。なのでみんな、今から配るジャージを持って更衣室で着替えて、校舎から一番近くのグラウンドに集合。青山くんから順番に取りに来て」

 

 香山先生はそんな言葉を返し、みんなジャージを受け取って更衣室へと向かった。

 というか相澤先生方式が普通に採用されてるんだな。不思議だ。

 

 ―――――――――

 

「おい、毒野郎」

「ん?」

 

 更衣室で着替えていると、爆豪くんから声をかけられる。

 何故だ?って思ったと同時に原作で読んでたみたいな荒々しい刺々しさがないとも思ってしまった。なんていうか、爆豪くんが爆豪くんしてないって感じなんだよな。

 

「てめぇと隣の半分野郎。それと目つき悪ぃ団子頭の女。三人まとめて俺がぜってぇブッ殺す」

「んんんんん?」

 

 イミガワカラナイヨ?

 

「刺々ボンバーヘッド。俺の白に手を出してみろ。一生消えない火傷を全身に刻んでやる」

 

 しょうくん!? なんて物騒なことを言うの!? というか俺のって何、俺のって! 俺は誰のでもないからね! そもそもお兄ちゃんはそんなこと言う子に育てた覚えはなくてよ!?

 

「ご、ごめんね、二人共! かっちゃんは負けず嫌いだから、二人と……あと君たちと一緒にいた女の子がかっちゃんより入試の成績良かったから、ライバル視してるだけなんだ! 言葉はアレだけど、本当に殺そうとしてるとかじゃないから!」

 

 緑谷くんが必死にフォローを入れるが、案の定爆豪くんは「てめぇは黙ってろ、デク」とさっきよりは落ち着いて言い放ち、しょうくんと睨み合う。

 うーん。イケメンが睨み合うって本当に目の保養になるけど、更衣室の空気が氷点下になっちゃったな。

 というか、エンデヴァーのせいか精神年齢おじいさんのせいか、爆豪くんがどんなに凄んでも小型犬が威嚇してキャンキャン吠えてるイメージなんだよね。失礼だから言えないけど。

 

「ほらほらしょうくん。睨まない。ライバル宣言というか、打倒宣言って緑谷くんが教えてくれたでしょ?」

「……悪ぃ」

「一定評価を下回れば除籍処分だって当たり前の雄英高校ヒーロー科だ。成績を争うのだって日常茶飯事なんだし、爆豪くんみたいな人がいれば気を抜かずにいられるじゃん」

「そうだな」

 

 うん、分かったなら、良し。なので俺はいつものようにしょうくんの頭を撫でてやる。

 するとしょうくんは嬉しそうにまぶたを閉じて撫でられてるけど、爆豪くんは思い切り舌打ちして更衣室を出ていった。

 そのあとを追う緑谷くんに「本当にごめんね!」って謝られたけど、別に言葉が物騒だっただけだからね。そもそも俺は気にしてない。

 しょうくんに至っては俺に撫でられてご満悦だし。

 

 てことでミッドナイト先生の立ち会いの元、A組は実力把握テストが始まった。

 少し離れたところでB組も同じことしてるのが見えたけど、B組は原作通りにブラドキング先生だね。真面目で熱血教師ってイメージしか残ってないんだよな。でも確実にミッドナイト先生より思春期な子たちの目の毒じゃない。

 

「教室で言ったように、これから実力把握テストを行うわ。今の自分の実力を知ってもらうためにね。種目は50メートル走、握力、立ち幅跳び、反復横飛び、ボール投げ、上体起こし、前屈よ。記録は今から渡すタブレット端末に記入していくこと。壊したら反省文よ」

 

 ミッドナイト先生は説明しながら端末を配っていく。

 

「それと個性の使用許可は取ってるから、使える子は好きに使っていい記録を打ち出すこと。出し惜しみしても何も意味ないからね。また私の個性みたいに使いどころが敵への妨害や捕縛を得意とする個性の子もいるでしょうけど、記録が悪いからと除籍にはならないから、そこは安心していいわ。あくまでも今回は今の自分の実力を己が把握するためのテストだからね」

 

 それじゃあ順番に測定していくわね、とミッドナイト先生は鞭をしならせ、俺たちは配置についた。

 

 ―――――――――

 

 把握テストは無事に終わった。

 俺も被身子ちゃんも特に個性を使ってブッパするみたいなことはなかったけど、しょうくんはボール投げでブッパしてたね。氷で冷やしたボールを真上に投げて炎を浴びせて水蒸気爆発みたいにしてふっ飛ばして、麗日ちゃんみたいに∞って記録出したもの。ボールって本当にキランって飛んでくのね。夜嵐くんも凄かったけど、しょうくんの方が個性の扱いが上手なようだ。

 そんな記録出したあとに、俺のとこまでとことこ小走りしてきたしょうくんが「ん」って頭を差し出してきたから、俺にはその頭を撫でるしか選択肢がなかった。

 テストの結果も炎司おじさんから鍛えられてたから、俺も被身子ちゃんも上位には食い込めたよ。

 

 というかですよ。

 たまたま緑谷くんのタブレットの画面が見えて分かったんだけど、普通に個性持ってたよ!

 しかも2つ!

 お母さんの物を引き寄せる個性とお父さんの火を吹く個性!

 そして相変わらず持参してたノートにみんなの個性の分析メモしててかわいかった。その都度爆豪くんに「やめろクソナード」って頭叩かれてるのもかわいかったし、それに対して「えへへ」って笑って誤魔化してる緑谷くんもかわいかった。というかそんな二人のやり取りがかわいかった。

 

 そして教室へ戻ろうとしていた時、

 

「なぁ、あれ入学式に行ってた他の科の奴らだよな?」

 

 峰田くんがそう言って指さした方をみんなして見ると、そこにはどんよりとしたような、明らかに疲れ切ってげっそりしている生徒たちがとぼとぼと歩く姿が見えた。

 

「……のっけからテストで驚かされたけど、あれ見ると良かったって思っちまうな」

「だなぁ」

 

 切島くんのつぶやきに上鳴くんが同意すれば、他のみんなも同様に頷いている。

 校長先生の話って本当に無意味な話が多くて長いからなぁ。ハイスペックなのに。

 それから教室に戻ったA組は香山先生に言われてみんなの前で一人ずつ自己紹介し、明日の連絡を受けて解散となった。

 実力把握テスト以外は至ってどこの学校でもするような時間だったな。

 

「白、帰ろう」

「帰ろ、白刃様♡」

 

 香山先生が教室をあとにしてすぐ、しょうくんと被身子ちゃんが荷物を持って俺の席までやってくる。

 

「被身子、良かったらウチらと帰らない? 親睦深めるのに女子は駅前で食事しようかって話になってるんだよね。ほら女子は人数少ないし」

 

 そこへ響香ちゃんが被身子ちゃんに声をかけた。

 

「被身子ちゃん、行ってきたら?」

「えー、でも私は白刃様と……」

「じゃあ帰る頃になったら連絡してよ。それまで俺としょうくんもどっかで飯食ったりして時間潰すから。しょうくんいいよな?」

「ああ。駅前でどこの蕎麦屋が一番美味いか知りてぇしな」

 

 すると被身子ちゃんは表情を輝かせて「じゃあ連絡するね!」と返して、一度俺に抱きついてから響香ちゃんと共に女子たちの輪へ向かう。

 俺としょうくんが被身子ちゃんたちを見送っていると、

 

「なんだぁ? 地毒てめぇ? いきなりリア充見せつけていいご身分だなぁ?」

 

 峰田くんが凄い形相で俺を見上げてきた。

 ちっさくてかわ! 頭のもぎもぎかわ!

 

「リア充って……まあリアルは確かに充実してるかな」

「もう彼女持ちでマウント取ってきやがった!」

「いや、被身子ちゃんとはそういう関係じゃないぞ。仲がいいってだけ」

「本当か?」

「うん、本当」

「抱きつかれた感想は?」

「かわいいなって」

「キィィィィィッ! これだからイケメンはよォォオオ!!!!!」

 

 そう叫ぶと峰田くんは走って帰ってしまった。

 何かしら彼の癪に触ってしまったんだろうな。

 

「飯食いに行くなら俺もお供していいッスか!?」

「俺も行きてー!」

「女子だけ親睦会ってのもズルいしな! 俺らも親睦会しようぜ!」

 

 夜嵐くん、上鳴くん、切島くんに声をかけられたので、俺もしょうくんもいいよと頷けば、上鳴くんたちが教室に残ってた男子たちに声をかけて用事がない子たちで食事をしに行くことになった。

 因みに昇降口で峰田くんがまだ帰ってなかったので誘うと、嬉しそうに参加してくれた。ぴょんぴょん飛び跳ねててかわいかった。

 

 また食事はしょうくんが蕎麦屋巡りだと言って譲らなかったけど、みんなはそれでもいいということで4軒の蕎麦屋をはしごした。

 俺とか口田くん、常闇くん、峰田くんは四人で一つの蕎麦を分けて食べたけど、他のみんなは余裕で一人前食べてた。流石食べ盛りの男の子たちだと思ってしまった。

 

 被身子サイド

 

「ここがファミリーレストランというもの、なのですね……まあ! 安いですわ! こんなに安くて経営は出来ていますの!?」

 

 席に通されてメニューのタブレット端末で値段を見て、八百万ちゃんっていう子が何やら叫び出した。

 口調やら仕草からしてお嬢様っぽかったけど、正真正銘のお嬢様だった。お店に入る前に「ここはドレスコードはありませんの?」って言われてみんな思わずポカン顔しちゃった。

 

「八百万ちゃん、チェーン店なりの戦略がちゃんとあるのよ。取り敢えず食べたい物を頼んで、それからお喋りしましょ」

 

 蛙水ちゃんがまとめてくれると、みんな好きに自分の食べたい物メニューを選んでいく。

 私はどこのファミレスでもハズレが少ないミックスグリルとパンにした。

 

「それじゃあまず私から」

 

 ドリンクバーでみんな飲み物を持ってきて、揃ったところで蛙水ちゃんが小さく手をあげて口を開く。

 

「私は蛙水梅雨よ。梅雨ちゃんと呼んで。私の家は両親が共働きで帰りが遅いから、私が下にいる弟と妹の面倒を見ているの。だから家族を優先させてもらうことが多くなるけど、仲良くしてほしいわ」

 

 蛙の個性の子だからあんまり表情は変わらないけど、声色で優しい人って分かる。

 

「私は麗日お茶子! 三重から来て、寮に入ってまーす! よろしく!」

 

 麗日ちゃんは元気いっぱいな女の子。ニコニコしてて、でも使ってるケータイ電話がガラケーだったりして物を大切にするタイプの子。ほっぺがもちもちしててかぁいい。

 

「寮に入ってるなら私もだよー! 千葉から来た! 芦戸三奈ね! よろしくー!」

 

 ピンク色でお目々真っ黒の芦戸ちゃん。麗日ちゃんみたいに人懐っこい子。角もあってかぁいい。

 

「見た通り透明人間の葉隠透だよー♪ その内私も寮に入るかもー♪ 実家は東京だけど朝早いんだぁ」

 

 透明人間だから表情とかさっぱり分からないけど、葉隠ちゃんも人懐っこい子って感じ。声がかぁいい。

 

「それじゃウチね。ウチは耳郎響香。実家暮らし。よろしく」

 

 響香ちゃんは相変わらずクールでかぁいい。

 すると隣に座ってる響香ちゃんに肩を叩かれた。

 私の番みたい。

 

「渡我被身子です。みんなより2つ歳上ですけど、お気になさらず。地毒園から通ってます」

 

 初対面でちょっと緊張したけど、ちゃんと言えたよね?

 

「最後は私ですわね。八百万百と申します。実家は愛知ですが、近くに別荘がありますので、そこから通うことになりますわ」

 

 別荘……。お嬢様だ。

 あれ隣にいる麗日ちゃん、手が止まってる。そのジュース美味しくなかったのかな?

 改めて自己紹介が終われば、

 

「はいはいはいはーい! 被身子ちゃんに質もーん!」

 

 葉隠ちゃんが元気に私に質問だと手をあげる。

 

「なんでしょう?」

「地毒くんとはどこまで行ってるんですかー!?」

 

 どこまで? どこまでとは?

 

「あー、私も気になってた! なんていうか、被身子ちゃんって地毒くんには好き好きオーラ全開だもん! 轟くんには普通なのにさ!」

「仲良しで微笑ましいわ。ケロケロ」

「こ、これが恋バナですのね!」

「ここここ、恋バナ!? うわっ、え……うわぁぁぁ!」

 

 みんなはしゃいでてかぁいい♪

 そんな雰囲気にぽわぽわしてると、響香ちゃんに脇を小突かれた。

 

「ウチもある程度三人の仲は知ってるけど、実際のとこは訊いてなかったよね? どうなの? いつも白刃様白刃様って隣にいるじゃん?」

「? 白刃様は私の運命の人(ヒーロー)だよ?」

 

 前にも話してるのに変な響香ちゃん。

 

「私たち知らないから教えてー!」

 

 葉隠ちゃんにせがまれたので、私はそのまま白刃様と知り合った経緯をみんなに話した。別に隠すこともないから。

 すると、

 

「んぁ〜! 何それ! 超ヒーローじゃん! そりゃあ夢中になるわ!」

「甘酸っぱ〜い♪ ときめく〜♪」

「惚れてまうやん、そんなん……」

「白馬の王子様じゃなくて、白刃が王子様ね……ケロ♪」

「地毒さん、素晴らしい殿方ですわね! やはり地毒家の長子たる御仁ですわ!」

「え、地毒ってそんなに有名なの?」

 

 私の素朴な疑問に八百万ちゃんは「ご存知ないのですか!?」って言われた。目がクワッてなった。クワッて。

 

「地毒家は超常黎明期の前から今まで医師を排出してきた名門。個性が発現して混乱期の最中でも、差別をせずに敵味方関係なく患者を救い続け、あのオールフォーワンですら彼らに味方になってほしくても中立的立場を貫いたほどです。個性を悪用するより有効活用し、個性で悩む人々には手を差し伸べ、個性を嫌悪する人たちには医療行為以外何もしなかった、と私はお父様から教わりましたわ。今でこそ地元の大病院というスケールに収まってますが、当時は病院といえば地毒病院が代表だったとも。しかしスケールが小さくなった今も渡我さんのような方々を支援しているというのは、地毒家が代々受け継いてきた志によるものかと。本当に尊敬いたしますわ!」

 

 八百万ちゃんの説明にみんな『ほわぁ』ってなってるけど、私は『だから?』って思っちゃった。あ、ご飯きた♪

 

 白刃様のご両親には感謝してるし、尊敬もしてる。

 でも白刃様だから、私は運命を感じたのであって、白刃様が地毒の家の人じゃなくても白刃様は白刃様だから運命の人(ヒーロー)なの。

 

「地毒家が凄いってのは分かったよ? でも白刃様が地毒白刃っていう人間じゃなくても、白刃様は私を救ってくれる運命の人(ヒーロー)だったと思う。それが白刃様だから」

 

 私が感じているままを言うと、

 

「家とか関係なく貴方が好き!ってことか!」

「駆け落ちしても幸せになれるねー♪」

「愛って偉大だわ」

「す、すごい……」

「被身子らしいなぁ」

「確かに、家柄だけでその人が決まる訳ではありませんものね! 渡我さんの言う通りですわ!」

 

 なんかみんな納得してくれた。

 

「でで、結局のところ被身子ちゃんは地毒くんとどこまで行ってるのー?」

「どこまでってどういうこと?」

「だーかーらー! チュウとかした? それともお手手繋いだ? ハグはしてたもんね!」

「チウチウは何度もしてるよ?」

 

 私が隠すことでもないから言うと、みんなお顔を真っ赤にさせて悶絶し始める。何なの? あ、私普通じゃないからか。

 

「待って、みんな誤解してる。被身子のチウチウって血を飲むことだからね?」

 

 響香ちゃんが訂正してくれると、みんなピタッと止んだ。

 

「え、どういうこと?」

「私の個性、相手の血を飲むとその人に変身出来るの。私普通じゃないから、その人の血を飲んでその人その者になれるのが幸せなの」

「ああ! だからチウチウ吸うってこと!?」

「はい」

「なーんだー! じゃあ甘々の方じゃないのかー!」

「白刃様の血は甘いよ?」

「そーじゃなーい!」

 

 葉隠ちゃんは何を私に期待しているの?

 

「もうここまで聞いちゃったからぶっちゃけて訊くけど、被身子は白刃と付き合いたいとか結婚したいとか思ってないの?」

 

 響香ちゃんの質問に私は「ん?」と首を傾げる。

 カップルになりたいか、なりたくないかってことだよね?

 んー、

 

「別に思わないし、思ったことない」

 

 だってずっと一緒にいるもん。付き合うとか結婚とかしなくたって白刃様が生きてる限り、私はその側を離れないもん。

 

 するとみんな『えー!?』って驚いた。

 

「私普通じゃないから、そういうの思ったことない。でも白刃様も私もお互いを大切に思ってるならそれでいいし、満足」

「じゃあ地毒くんがこの子と結婚するっていきなり女の子紹介されたら?」

「白刃様のお嫁さんと仲良くする。だって白刃様が決めた人だもん。きっと優しい人だから」

「こういう形も愛の形かー♪ 思ってたのと違うけど、これはこれで甘ーい!」

「被身子、あんた凄いよ。感服したわ、私」

「愛って本当に偉大ね。ケロ」

「わ、わわ私、そんなん考えたことあらへん……大人やね、被身子ちゃん……」

「私は渡我さんの幸せを祈ってますわ!」

 

 みんな変なの。私はそのまま思ってることを言ってるだけなのに。

 

「被身子」

「何、響香ちゃん?」

「今夜電話する」

「ん? 分かった」

 

 響香ちゃんに小声で電話の約束をされたけど、どうしたんだろう?

 

「てかさ、私思わず被身子って呼び捨てにしちゃったわ」

「気にしなくていいよー、芦戸ちゃん」

「私のことも三奈でいいよ!」

「わぁ、三奈ちゃん!」

「私も透で!」

「私もお茶子でええよ!」

「あ、あの……私も名前で呼んでもらっても……そして私も皆さんをお名前でお呼びしたく……」

『いいよー!』

 

 こんな感じで思ってたよりもみんなと仲良くなれた気がする。

 それに、

 

「ていうかさ、被身子って自分のこと『普通じゃない』って言うけど、全然普通じゃん」

「そうだよ! 血が好きっての以外は地毒君ラブな乙女だもん! 気にすることないよー♪」

「そのことで地毒ちゃんが迷惑していないなら、普通と言っていいと思うわ。愛の伝え方は人それぞれで、愛にもそれぞれあるもの。それに普通じゃないと言ったら、私だって見た目はみんなと違って普通じゃないから、一緒ね。ケロッ♪」

「それ言ったら私も透も普通じゃないから一緒じゃんねー!」

「それに普通じゃなくたってこうしてお友達になれたんだし、ええやんか! 個性持ってる時点でみんな普通やないんやから!」

 

 三奈ちゃんと透ちゃんと梅雨ちゃんから『普通』って……『普通』って言ってもらえた!

 それに『一緒』って! それにお茶子ちゃんは『普通じゃなくたっていい』って!

 嬉しい! 雄英入って、白刃様と出会って、本当に幸せの連続!

 

「私……ひっぐ……みんなと出会えて、えぐっ……良かったよぉ……っ!」

 

 涙が堪えきれなくて、でもどうしても伝えたくて、なんとか言葉にすると、響香ちゃんが頭を撫でてくれた。

 他のみんなも優しい言葉をかけてくれたり、肩を叩いてくれたり、本当に幸せ。

 でも、

 

「白刃様のなでなでテクには及ばないね!」

「おい!」

『あはは♪』

 

 ここだけは伝えとかないと!

 白刃様のなでなでは世界一!

 

 そのあとは梅雨ちゃんの時間が迫ってたから、みんなで急いで残りのご飯を食べて、連絡先を交換して解散した。

 百ちゃんが「ここは私にお任せくださいませ!」って黒いカードで支払ってくれた。みんなで悪いよって言ってるのに、ぷりぷりして「私、一度お友達にしてみたかったのです!」って言われちゃったら、みんな何も言えなかった。お茶子ちゃんはマナーモードみたいに震えてたけど寒かったのかな?

 今日のお礼に今度みんなで百ちゃんに何か手作りのお菓子あげようって決めた。

 

 それからは白刃様と焦凍と合流して、地毒園に送ってもらって、幸せな時間を満喫した!

 

 響香サイド

 

 女子だけの親睦会が終わったその日の夜。

 ウチは被身子に伝えた通り、電話した。

 理由は、

 

『白刃様の好みの女の子?』

 

 白刃について。

 

「あと出しみたいでごめん。ウチさ、付き合いは短いけど白刃のこと異性として好きになっちゃったみたいでさ……でもウチ、ずっと被身子は白刃と恋人になりたいんだと思ってて、この気持ちは閉まっとこうって思ってたんだ。でも今日そうじゃないって分かったから……」

 

 自分でも穢いなって思った。

 でも恋をするのに順番なんてない。

 それに自分のこの気持ちに嘘はつきたくないから。

 

『んー、かぁいい人が好み、かな? 焦凍とか私とか、「かわいいな」ってよく頭なでなでしてくれるから』

「え〜、ウチには無理ゲーじゃん」

『響香ちゃんだって白刃様になでなでされる時あるでしょ?』

「いや、あるけど……あれは妹とかペットとかに対するソレというか……私が求めてるものじゃない気がする。嬉しいのは嬉しいんだけど」

『んー、たぶんなんだけど……』

「うん」

『白刃様って女の子にはちゃんと女の子として扱ってくれるから、響香ちゃんも男の子扱いすればいいんじゃないかな?』

「ごめん、意味わかんない……」

『なんて言えばいいのかなー? こう、思ったことはちゃんと口にする、みたいな? カッコいいよーとか、素敵だよーとか』

「…………無理」

『今度私が変身して練習してみる?』

「それはそれで恥ずい」

『もー! じゃあどうしたいのー!?』

「出来れば白刃の恋人になりたい、です」

『じゃあさり気なくアピールするとか?』

「例えば?」

『ほら黒刃ちゃんにギター教えに行った時とかに、白刃様の手料理ご馳走になったりするよね?』

「うん」

『その時に美味しいとか、白刃様の手料理が毎日食べたいとか伝えるって感じで……』

「それ普通男女逆じゃない?」

『普通がいいなら普通の子に相談して!』

「ごもっともです、ハイ」

 

 でも本当に白刃って基本的に何でも出来ちゃうから、ついつい躊躇っちゃうんだよね。

 唯一ウチが白刃より出来るのって楽器くらいで……ん? そういえば母さんから、父さんによくラブソングのプレゼントされてたって話聞いたな……じゃあ、ウチも―――

 

「だからそれって逆じゃん!」

 

 ―――ちがーう! てか父さんと同じかよ、ウチは!

 

『え、何の話!?』

「あ、ごめん。こっちの話」

『とにかく、逆とか気にしなくていいと思う。普通じゃなくたっていいって今日私にみんなが言ってくれたでしょ?』

「うん、そうだね」

『いひひ、普通じゃなくても幸せになれるんだよ♪』

「被身子が言うと重みが違うなー」

『ふひひひひ、白刃様とみんなのお陰だよ♪』

「相変わらず白刃命だね、被身子は」

『当然!』

 

 被身子に相談して正解だった。

 恋に正解なんてない。

 だって世の中、普通じゃないのが当たり前なんだから。

 ウチはウチらしく、白刃にアピールすればいいんだ。

 

「ありがとう、被身子。アンタが友達で良かったよ」

『私も響香ちゃんが友達で幸せだよー♪』

 

 本当にありがとう、被身子。

 ウチ、頑張ってみるよ。




長くなりましたが読んで頂き本当にありがとうございました!
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