転生したら轟焦凍くんの幼馴染みだった。   作:室賀小史郎

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もう大丈夫!
何故かって?
ご都合主義だからさ!


エリート校って半端ない。

 

 はいどーもー。

 てことでね。昨日の今日で雄英高校生活2日目を送っていくんですけれども、相変わらずエリート校なだけあって普通の授業も淡々と進んでいくんですよー。

 いやぁ、わかります。わかりますよー。

 だってヒーロー科は午後からの授業は基本的にヒーロー関連の科目が目白押しですものねー。

 ヒーロー科に至っては7限目まであるし、土曜日でも6限目まであるからねー。

 一般科目はこうした時間に注ぎ込まれるからそりゃあハードモード一択っすわー。

 

 俺なんか人生2周目だからなんとかなってるけど、他のみんなは本当に偉いよ。

 前世の俺なら速攻で除籍だわ。寧ろエリート校なんて目指さんわ。

 んでもって、

 

「白、腹減った」

「はい、おにぎり」

「サンキュな」

 

 なんでしょうくんは当然のように三限目終わったら俺のとこに飯貰いにくるのよ。

 いや、中学の頃からそうだったから俺も俺でおにぎり用意しちゃってるのもいけないんだけどさ。

 でもね、言い訳させて? お腹空いて捨て犬みたいな目をするしょうくんに「腹減った……」って俺の上着の袖をクイクイってしながら縋られたらさ、用意するしかなくね?

 中学の時なんて他の奴らの分まで握ってたのもあって、ついつい今日も握ってきちゃったよ!

 どうすっかなって思ったものの、

 

「口田くん、おにぎり好き? 良かったら食べる?」

 

 普通に今まで通り他の子にあげちゃえばいいやってなって、早速しょうくんの後ろにいる口田くんに尋ねてみた。みんな食べ盛りだし余裕でしょ。

 でも口田くんはブンブン首を横に振る。しかしおいちゃん聞き逃してないよ。君の腹の音を!

 

「気にしないでいいよ。俺、中学の時みんなにおにぎり持ってきてたから、その癖で今日も握ってきちゃったんだ。食べてくれると有り難いんだ」

「あ、ありがとう……」

「うんうん、たんとお食べ」

「うん」

 

 口田くん笑った。かわいいなぁ。

 

「中味は昆布だけどいい?」

「うん、昆布好き」

「良かった♪」

 

 2つの大きなお手手でおにぎり持ってもひもひしてる口田くんかわわ。和みが深い。

 

「地毒〜、余ってんなら俺にもくれよ〜!」

「おお、瀬呂くん。お食べお食べ」

「やった、サンキュな♪」

 

 瀬呂くんも細身だけど男子高校生だね。

 

「常闇くんも腹減ってるならどう?」

「いいのか?」

「いいともよ」

「かたじけない」

 

 見た目は鳥でもやっぱり人間なんだな。あ、啄んでるのめっちゃかわいい。

 

「緑谷くんも食べない?」

「え、ぼ、僕!?」

「うん。お隣さんだし、まだあるから」

「そ、そんな……悪いよ……」

「あ、爆豪くんの分もあるよ?」

「え、本当? なら貰おうかな」

「あはは、幼馴染みが食べないのに自分だけ食べるってのは緑谷くんは出来ないタイプか。優しいね」

「そ、そんなことないよ……」

 

 頬を赤くして照れてる緑谷くんにはきっと病を浄化する作用がある。直視したらふぁ〜ってなるもん。

 

「俺は別にいらねぇ。食うなら勝手にしろクソナード」

「かっちゃん……」

「爆豪くんって辛いの大丈夫? 一個だけ半端に余ってた激辛明太子入れてきたんだけど」

「…………はよよこせや」

「おお、ありがとう、爆豪くん」

「くん付けやめろ。キメェ」

 

 素直じゃないなぁ♪ まあ原作で辛い物よく食べてたから明太子チョイスしてきたんだけどね。

 昨日はあんなこと言われたけど、同じクラスなんだから仲良くなりたいもの。さあさあおいちゃんのおにぎりをお食べお食べ。

 

「わぁ、美味しいよ、地毒くん! 塩加減も海苔の香りもお米の炊き具合も! それに保温性の高いお弁当箱に入れてあるみたいだね! まだ温かいもん!」

「……うるせぇ、黙って食えデク……おい、毒野郎」

「ん?」

「この明太子のメーカー教えろ」

「お、気に入った?」

「さっさと教えろや。殺すぞ」

「白に――」

「はい、しょうくんストップ。はいもう一個お食べ。爆豪、明太子のメーカーは◇△ってとこだよ」

「……フン」

 

 しょうくんが爆豪くんに昨日みたいに立ちはだかろうとしたので、もう一個食べさせて落ち着かせたあとで爆豪くんの質問に答えた俺。

 爆豪くん、素っ気ないけどしっかりメモってるのおいちゃん見てたよ。かわわ。

 それから切島くんやら上鳴くんやらも「俺もくれ!」「俺にも!」ってきたから問題なくおにぎりははけた。みんな食べ盛りだもんな。寄ってくるとこなんて犬みたいでほんとかわいい。これが母性か。

 

「良かったら今後もしょうくんの作るついでに用意してくるけど、食べたい人いる?」

 

 俺の周りにいる子たちに尋ねてみると、みんな手をあげた。あ、口田くんと常闇くんもあげてくれてる! 嬉しいなぁ! おいちゃん張り切ってにぎにぎしてきちゃうね!

 ていうか、芦戸ちゃんと葉隠ちゃんも知らぬ間に手をあげてるんだが!?

 いいよ、いいよ。おいちゃん頑張っちゃうから!

 

「地毒くん! そうやってみんなを甘やかすのは良くないぞ! そもそも食事というのは決められた時間に取る方が健康的だ!」

 

 するとここで飯田くんのお叱りを受けてしまった。

 うーん、流石は真面目飯田くん。

 でも俺は敢えて汚い手を使わせてもらうよ。

 

「飯田くん、前歯に青のりついてるよ?」

「何!? それは本当かい!?」

「うん。ちょっと口開けてくれない? 取ってあげるよ」

「ああ、ありがと……むごっ!?」

「飯田くんも高校生なんだから、お食べ♪」

「むぐっ、むぐぐ、むぅ!!?」

 

 反論してるっぽいけど、ちゃんと飲み込むまで口を開けない飯田くんはとても偉いと思う。

 

「オレンジジュース飲む?」

「むっ、んんぬ!」

「はい、どうぞ」

「……ごくん! ぷわぁ、酷いぞ地毒くん!」

「ごめんね。でも美味しかったでしょ?」

「うっ、確かに美味しく頂いたが……」

「休み時間なんだから大目に見てよ。それにお腹減って授業中に集中切らすよりは合理的だと思うんだよね」

「むっ、確かにそう言われてみれば……」

「美味しかったなら飯田くんの分も明日から持ってこようか? 別に悪いことでもないし、授業中に食べてる訳じゃないんだから、許してよ。不快なら場所移したりするから」

「いや……そうだな。堅過ぎるのもクラスの雰囲気を悪くするだけだし、休み時間で何をするかは本人たちの自由だ」

「分かってくれて嬉しいよ、飯田くん」

「ああ! それで、地毒くんが負担でないのなら、明日も頼みたいのだが……」

「お安い御用だよー」

 

 俺がそう言うと飯田くんはぱぁってなった。

 どんなに真面目でもこういうとこは年相応でかわいいな。

 

「じゃあ改めて、中味のリクエストは特例を除いて受け付けません。特例はこれは苦手とかアレルギーとかね。無理って食材がある人は今言ってねー」

 

 するとみんな案外何でもいいらしい。常闇くんはコソッと「梅干しは好かん」って教えてくれた。かわいいなぁもうっ!

 

「了解。それじゃあみんな予鈴鳴るから席につきなー」

「はーい、お母さーん」

「よしよしいい子ね、我が娘よ」

「あはは、地毒くんノリいいねー♪」

「白母さん」

「白刃お母様!」

「しょうくん、被身子ちゃん、変な対抗意識燃やさなくていいから」

「そうか」

「はーい」

 

 このわんこ系イケメンと天使が! いちいちかわいいんだよ!

 

 ―――――――――

 

「はい、それじゃあみんなお待ちかね、ヒーロー基礎学の時間よ。この授業は各教師が交代で教鞭を執るわ。1年生の内にヒーローのなんたるかを叩き込まないといけないからね。だからその前に担任である私から現実的な話をしないといけないの」

 

 午後から始まったヒーロー科特有のヒーロー基礎学の授業。

 原作ならオールマイトが担当するけど、この世界じゃミッドナイト先生や他の先生たちで担当するらしい。

 というか原作と違ってヒーローそのものについて教えてもらえるのはいいかも。いきなり実践だってなっても戸惑うしな。

 

「みんなも知っての通り、ヒーローは一般市民を凶悪な敵から救う仕事よ。己の個性を使い、いかに一般市民の生活の安全を守るか、いかに事故や災害から一人でも多くの一般市民を救うか、いかに自警団や警察と協力するかよ」

 

 みんないつもは気怠そうにしてるけど、流石ヒーロー基礎学ともなるとやる気満々だな。

 

「だからこそ、敢えて言わせてもらうけど個性ブッパして『俺すげぇ!』ってやりたいからヒーロー科にきたのなら、その人はヒーローに向かないから改めなさい」

 

 冷たく鋭いミッドナイト先生の言葉に生徒の誰もが息を飲む。

 

「この中に個性の発現によって周りから『ヒーロー向きだ』とか『勝ち組個性だ』とか言われて、周りからもてはやされてきた子とかもいるでしょう? でもヒーローってのは個性がすべてじゃない。現に今ナンバー10の∞がそれを証明している。よってどんな個性だろうと、無個性だろうと、その人がどういう行動を取るかでヒーローという存在になれるのよ」

 

 ミッドナイト先生の言う通りだ。包丁や狩猟ライフルだってそれを扱う人の行動次第で凶器になるのだから。

 

「夢を壊すようで悪いけど、それが現実であり、ヒーロー飽和状態に陥った理由の1つでもあるの。理想と現実のギャップに絶望した結果、ヒーローを引退するならまだしも、世間を裏切るという選択肢が生まれてしまった。ヒーローという職業こそ未だ存続しているけど、ヒーローを信用していない人も確かにいるからね」

 

 確かにそうだよな。原作じゃ、努力してヒーローになっても活躍する機会が限られてて、それでいて大して稼げないとなると余計に辛いだろう。

 

「現実的な話ばかりで悪いけど、半端な夢を追わせるほど残酷なことはないからしっかり聞いてね? 例えば……地毒くん」

 

「はい」

 

「あなたの個性は?」

 

「毒生成と指先を刃物に変えられることです」

 

「そうね。それがどれだけ危険な個性か分かる?」

 

「はい。自分の思った通りの毒が作れますから、簡単に人を殺めてしまうこともそうですし、下手をすれば大量虐殺も可能になってしまいます。刃物も同様です」

 

「そう。当然地毒くんだけじゃなく、みんなにも言えることね。だからヒーローは個性を悪用しない。他者のために使うこと」

 

 みんなミッドナイト先生の話をしっかり聞いて頷いている。

 

「でも凶悪な敵が現れたら、被害を最小限にするためにも個性をフル活用しないといけない。そこが街中だと仮定しましょう。それも商店街とかね。そしてその敵と地毒くんが対峙し、地毒くんの個性によって商店街の半分が止むを得ず壊滅してしまった。みんなはこれをどう思う?」

 

「半分の壊滅で済んだとポジティブに捉えた方がよろしいかと」

 

 八百万ちゃんが手をあげて言えば、他の子たちもうんうんと頷いた。

 

「そうね。現にオールマイトやエンデヴァーもビル1つ丸々ダメにしただけで済んだ、なんてよくあるものね。それで話を戻すけど、みんながそこの商店街でお店を営んでいて、その崩壊に自分のお店が巻き込まれたらどう感じるかしら?」

 

 この厳しい問いに誰もが口を閉ざす。

 そりゃそうだ。ヒーローの活躍で命が救われたとしても、明日からの生活はどうしたらいいってなるんだから。

 

「勿論、そうした被害は政府がきっちり無償で建築し直してくれるし、十分とまではいかないけど家族構成を考慮した上で支援金も再建期間中は支払われるし、近くの避難施設にも入れてくれるわ。でもだからって敵との戦闘の度に壊し回っていたら敵と大差ないのよ。それにね、世の中って複雑で汚い人間もいるから、わざわざ敵に賄賂を渡して建て直し費用を浮かせるために暴れさせて、ヒーローに介入してもらってって手法まであったの」

 

 うーん。確かにそういう手法も取れるよな。

 敵は拘束されて逮捕されるにしても、服役期間や釈放後のこととかも含めてしっかり取り決めてたら、お互いいいとこ取りも余裕でやれそうだし、そういうのを斡旋するビジネスも出来そう。

 

「そういった手法があったのもあって政府も即時再建に着手はするけど、審査委員会が調べつつ、今後10年は警察官が常時監視って感じになるわ。勿論私服警官も含めてね。警察官が配備されることによって一般市民は治安のために配備しているなんて思われるけど、それは事実ではあるけど根本は違うの。大人って難しいでしょ?」

 

 みんな顔色悪いね。高校生の1年で大人のこういう部分知ると何とも言えないよな。

 ある意味これがミッドナイト先生の優しさなんだろうけど。

 

「次に給金ね。ぶっちゃけた話、ヒーローは歩合制よ」

 

 ああ、だから原作だとヒーロー同士で区域区分明確にしてたのか。

 給料に関わるならそうなるのも仕方ないよな。生きていくためだもの。

 

「ヒーローは警察からの依頼でパトロールをしているの。だから言い方は悪いけどパトロールをするだけでも月に最低でも20万は入るわ。そこから年金やら何やら引かれるから振り込まれる金額は少なくなるけどね。パトロールとはそもそも、敵犯罪をいち早く見つけて無力化するのもあるけど、一番の理由は一般市民に安心感を与えること。『ああ、ここはヒーローがいるから安全だ』ってね。守る側と守られる側の信頼関係がないと成り立たない。ご機嫌伺いだなんだって思う子もいるだろうけど、それが社会よ。救いを求める際、安心感のある人とない人でどちらに救いを求めるかということね」

 

 ベストジーニストが原作で爆豪くんに教えてくれていたことだな。

 

「あの、ミッドナイト先生!」

 

「はい、麗日さん」

 

「ヒーローになるとどれくらい儲かりますか!?」

 

「いい質問ね。ヒーローの給料はさっき言った通り歩合制。逮捕協力や人命救助等の貢献度を申告し、専門機関の調査を経て金額が決まるわ。仮にパトロールだけをして、それなりの区域を任されたとすれば月の給料は年金等々を引いて約30万くらいね。これは事務所に属していない個人事業ヒーローを例としての金額よ」

 

 ミッドナイト先生の答えに、麗日ちゃんは「こ、高収入や……」って零してるけど、他の子たちは意外そうな顔をしている子もいる。

 

「意外そうな顔をしてる子もいるわね。でもそれが現実。またサイドキックになると雇われた事務所の規模によって給料も違うわ。事務所を持たないミルコなんかは丸々自分の懐に入るけど、確定申告とかそういった管理も自分でする必要がある。また事務所を持ってサイドキックを雇うとなれば、警察から支払われる依頼料や協力料も事務所の規模で変わってくるし、そこから雇ってるサイドキックたちに支払う形になるから数をこなさないと経営は常に火の車よ」

 

 なるほどなぁ。じゃあ独立しても軌道に乗るまでは自転車操業って感じか。

 

「そこでヒーローに許されているのは副業。自分のグッズを売ったり、個性を活かしてヒーローとは別の事業を起こしたり。そういうのも上手くいけば年収1000万も夢ではないわね。ウワバミなんかがいい例でしょ? タレント活動でがっぽり儲けてるんだから」

 

「やっぱ、一番稼いでるのってオールマイトなんすか?」

 

「切島くん、いい質問。グッズ販売数やグッズの数でがっぽり儲けてるイメージもあるでしょうけど、実際のとこ一番稼いでるのはエンデヴァーよ」

 

 俺はミッドナイト先生のさっきまでの話を聞いてなんとなく分かったけど、みんな『えぇ!?』って驚いてる。しょうくんもだ。

 

「エンデヴァーの事件解決数はオールマイトよりも多いし、その分警察から上乗せで給金が発生してる。事件解決の派手さならオールマイトでしょうけど、数はエンデヴァーの方がダントツなの。それにさっき言った公共への損害も関わってるわ」

 

「損害によって報酬額が減るのね?」

 

「蛙水さんの言う通り。だってそうでしょ? そのヒーローが壊したんだから、そのヒーローが責任を負う。大人なのだから当然のことよ。ビル1つ破壊してしまったことによって生じた経済的損失を考慮し、寧ろオールマイトやエンデヴァーは国にお金を支払っているんだから」

 

「だからヒーローの副業を認めて個人としてのヒーロー活動による給金がマイナスになってもなんとか生活出来るようにしているのか。それにそれだけ大きな事件を解決すればヒーロー活動における給金はマイナスでも必ずニュースやネットにあがるからグッズを売ったりすればマイナス分は軽く出来るし寧ろ黒字に出来る可能性もあるということに」

「緑谷くん、ミッドナイト先生の話まだ終わってないよ?」

「え、あ、すみません、先生!」

 

 ブツブツモードに入っちゃった緑谷くんを止めると、緑谷くんはミッドナイト先生に謝ってブツブツモードを解除した。

 

「(ありがとう、地毒くん。ごめんね)」

「(構わんよ)」

 

 俺が返すとえへへって緑谷くんは笑った。はぁぁぁぁぁ、かわいい。

 

「人は大きな事件に目を奪われる。でもそういう時こそヒーローは冷静でないといけない。それに感化されて活発化する敵もいるから、それを未然に防ぐことが大切なのよ。自己顕示欲を優先させたらヒーローとはいえそれは敵と同じこと。そうしたことを踏まえ、あなたたちには立派なヒーローになってほしい。皆を指導する立場として、そして先輩ヒーローとして心から願ってるわ」

 

『はい!』

 

「うん、いいお返事ね。じゃあ話はここまでにして、次は実際にヒーローとして活動演習を行うわね。入学前に送ってもらった個性届とそれぞれの要望によって用意したコスチュームに着替えてもらった上で、6・7時限を使っての戦闘訓練よ」

 

『おぉぉぉぉぉっ!!!!!』

 

 うわぁ、原作通り壁から出席番号が入ったコスチュームケース出てきた。本当に無駄に金かかってるなぁ。根津校長、金持ち過ぎてマジで怖い。

 

「コスチュームに着替えたら、グラウンドβに集まるように」

 

『はい!』

 

 焦凍サイド

 

「白のヒーロースーツ、いいな」

「そうか? ほぼしょうくんと変わらないけど?」

「だからいいんだ」

「そう」

「ん♪」

 

 これから本格的なヒーロー科の授業だってのに、俺は別の意味で思わず気持ちが昂ぶってる。

 何せ俺と白のヒーロースーツがお揃いだからだ。

 まだ実際に個性使ってないからこのスーツがどれだけ耐えられるか分かんねぇけど、俺は全身白色のヒーロースーツ。白の名前の色だ。本当なら紫にしたかったが、白に『無難で白でよくね?』って言われたから。

 白に至っては俺と同じデザインで黒色のヒーロースーツだ。

 白とお揃いなのに喜ばねぇ方がどうかしてる。

 

「今日の授業次第で改良点も見つかるだろうし、そういうのも見とかないとなー」

「改良、しちまうのか?」

「しないといけないもんだろ。動き難かったり、個性使ってダメにしちゃったらさ」

「むぅ」

「なんでむくれるの?」

「せっかくお揃いなのに……」

「ああ、はいはいお揃いで嬉しいのね。相変わらず小さい頃からそういうとこ変わんないね、しょうくんは」

 

 宥めるように俺の頭をポンポンと撫でる白は困ったような笑顔を浮かべてた。

 悪ぃな、白。その顔さえ見れれば、俺は満足だ。

 だって、

 

「まあ出来るだけデザインは変えないよ。てか俺はそういうセンスないから、安心しろ」

「分かった」

 

 白のその顔は俺の願いを叶えてくれる顔だから。

 

 被身子サイド

 

 眼福! まさに! 眼・福!

 白刃様のヒーロースーツ姿!

 神々しい! 尊みが深い!

 焦凍とお揃っちなのがちょっと引っ掛かるけど、白刃様の方が断然似合ってるからイイ!

 夢にまで見た運命の人(ヒーロー)のスーツ姿……ああ、私このまま今日幸せの過剰摂取で死んじゃうかも。

 

 ええい、ダメ。ダメダメ、被身子!

 そうしたら白刃様が悲しんじゃう!

 それに私なんて白刃様の色のヒーロースーツにしちゃったもんねー!

 まあ私の場合はヒーロースーツというか、ほぼ服なんだけど。

 

 響香ちゃんとかエンデヴァーさんに相談して、リューキュウ先生みたいなドレスタイプのにしたの。あ、でもちゃんとスパッツも着用してるよ。私基本は体術戦法だから、これで走ったり飛んだりしたら下着見えちゃうもん。白刃様になら何を見られても嬉しいだけだけど、その他の男の子たちに見られるのはちょっとね。

 

 あ、勿論スーツの色は白刃様色で紫♡ 襟の縁は灰色に近いシルバー♡ それとエンデヴァーさんが案をくれたサポートアイテムの刺されても気付かれ難い針ストローと足音を限りなく立てない素材で作られたブーツ。

 

 今は私のことより白刃様だよ。

 はぁぁぁぁぁ、もうちゅき♡ いっぱいちゅき♡

 今日はこれだけでいい夢見れそう♡

 白刃様、今日もありがとう♡

 私は今日も貴方様のお陰で幸せです♡




読んで頂き本当にありがとうございました!
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