始まりはほんのちょっとの、馬鹿話だった。
「なあなあ!噂聞いたかよ!サインイニーツィオ島に山のようなお宝があるってよ!」
新世界のとあるショボイ島、ショボイ国。そのショボイ街のある一角で悪友にした話。
「お前そんなこと信じてんのか?この時代お宝なんて下らねえよ」
冷めたように言う悪友に、しかし俺の興奮は治らなかった。
「あるかもしれねえだろ!!なに冷めてんだ!そんなお宝見つけた日にゃ、大金持ち!!一生遊んで暮らせるってもんだぜ!」
「また始まったよお前の夢物語。夢見てねーで次のバイト探すぞ」
確かにそいつが言った通り、俺が熱くなって語り出すのはいつものことだった。
「馬鹿野郎!!男が夢見ねーでどうするよ!いいか!!人の夢はなぁ!終わらねえんだよ!」
思わず持っていた酒を床に叩きつけちまったっけ。
「はあ。ちったあ現実的な話をしろ。まずサインイニーツィオ島だが、そもそもこっからどんくらい離れてるかもわからねえんだ。外は平気で槍が降る様な海。持ってるのはせいぜい人1人が乗れる程度の小船。おまけにお前は金槌じゃねえか。ほらな、絶望的だ」
「ぐっ!!」
ここで黙っとけばよかったんだ。なのになあ
「じゃ、じゃあ!仲間を集めるぜ!」
「この街でか?やめとけ。アホばっかだ」
「他の島からもだ!気の合う奴らを集めてグループで行くんだよ!」
「お前めちゃめちゃ人見知りじゃん。会ってもろくに会話もできねえだろ。そもそも集まるわけもねえ」
やれやれと言った感じでその場を去るそいつ。いつもの流れだった。俺が退屈そうにノリわりーなと呟き、また俺もこの場所を去る。そうなるはずだった。
だが、この時だけは違った。
「っけ!みてやがれ!」
ほんのちょっとの偶然が巻き起こした吹けば消えるほどのきっかけ。
俺は次の瞬間には行動を起こした。
「んー、数はどうすっかなあ。まあいいや無制限で。どうせそんな来ないべ」
紙に詳細を書いていく。
「ここに集めようかと思ったけど、周りからの目が怖いな。んー、あの島にしよう。ここから近いし、まあ行けるだろ」
条件は特になし。集合場所はとある島。作られたそのビラには子供でさえも鼻で笑う様なロマンが詰め込まれていた。しかし、偶然は重なり、そのビラは徐々にだが広まっていく。
「くくく。なんだこれ。どこの馬鹿だよこんなん書いたの。お宝?んなのあるわけねーだろ」
それは街の外でも目につく様になり。
「おい、お前行ってやれよ」
「馬鹿言え。世界中のお宝を集めるなんてバカの発想だろ」
国中で噂になり。
「へー、世界を相手に大暴れか。面白いこと言うなこいつ。あの島だったらここから遠くはないよな
「こういう馬鹿は好きだぜ」
やがてそれは海を渡り、数々の島へ。
「グララララ。ちょうど退屈してたところだ」
「ジハハハ。世界を支配する、ねえ。行ってみる価値はありそうだな」
そして、後に歴史に名を残す、猛者のところまで。伝わっていくうちに、情報は錯綜した。
そしてついに、
「集合日はついに明後日だ!行くぜ!ハチノスへ!!」
「今回ばかりはマジみたいだな。まあ、せいぜいやれるだけやってこいや。死ぬんじゃねーぜ、ロックス」
「おう!」
それは、波乱の人生の幕開けでもあった。
1発ネタです。こうだったら面白いよねって