皆様、コメント欄での意見、ありがとうございます。
拙作を一人でも見てくださる方がいる限り続けようとおもっていますので、よろしくお願いします。
──月──日
あの後、なんとか彼女に帰ってもらうことに成功した。
熱で意識があやふやになっていたため、彼女に何を言ったのか分からないが、帰る時にニコニコしていたので下手なことは言っていないと思われる。正直、わしとしては式さんに会えることは嬉しいのだが、もし彼女にでも好かれてしまえば、下手をすると《抑止力》に目を付けられる危険性がある。一体どうしようか──。
せや!逃亡したろ!
このまま【伽藍の堂】が始まるまで姿をくらませればええんや!すごいでしょ、天才でしょ!(ビルド風)
──月──日
さて、逃亡生活を始めてから二年程たった。橙子には魔術協会から呼び出された的な事を言ったので怪しまれることはないだろう。これでやっと幹式てぇてぇが見れるのだ。やったぜ!
とりあえず、まずは橙子の代わりに言語療法士と偽って式に出会うことにしよう。たしか、すでに幹也は橙子に出会っているため、わしがほんの少し誘導するだけで空の境界は始まるのだ!
勝った!空の境界完!!
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式が入院している病院に入ると、受付に近づく。
「すいません、言語療法士の蒼﨑なんですけど」
そこまで言うと、受付コーナーの中にいた女性が出てきて、私に付いてきてください、と先導してくれた。
「蒼﨑先生って、独身なんですか?」
そんな風な軽い会話をしていると、一つの病室の前で女性が立ち止まる。
「ここです、よろしくお願いしますね。先生」
女性がそう言うと、その場から去っていった。
中に入ると、包帯で目を強く縛った少女がベットで横になっていた。近づいても、反応がない。おそらく、事故の衝撃で俺との記憶を失っているのだろう、そう確信した俺は少女に向けて、少し笑みを隠しながら底抜けに明るそうに言った。
「やぁ、元気かい?」
「へぇ、やつれてるかと思ったけど、肌のつやとかはキレイなんだな。聞いたときは幽霊みたいなのを想像してあんまり気乗りしなかったけど、うん、かわいい子でラッキー!」
式のとなりに座り込む。
「
「────失語症って、誰が」
食いついてきた。そのまま原作の通りに進めよう。
「そりゃ、そう思うよな。完全な誤診だし。芦家は君のような例外的なケースにはめっぽう弱いんだ。でも、君にも非があるさ。面倒くさがって話そうとしないから、疑いをかけられちゃうんだぜ」
原作で橙子が言ったセリフを思いだし、それを自分の言葉に変換して式に伝える。と、その瞬間、式がナースコールに手を伸ばした。あわてて彼女からナースコールを取り上げる。
「おまえ、医者じゃないだろ」
「あぁ、俺、本職は魔法使いさ」
あきれながら、彼女は息を吐いた。
「手品師に用はないよ」
「はははっ、確かにそうだ。君の胸にあいた穴は手品じゃ埋められない。埋められるのは『普通』の人間だけだからな」
式が自分の胸に手を当て、何かを確かめている。
「どうやら早すぎたみたいだ。また来るよ」
そう言い残し、病室から去る。
それにしても、式の病室に人がいたような形跡は無かったのだが、一体なぜだろうか。
最後の問答の式のセリフは原作から引用しています。不都合があれば感想にお書きください。