───月───日
式の顔と声が良すぎる件について。なんなん?あの顔とあの声はチートやろ、運営ナーフしろ。
死者との戦いが終わった後、誰もいないはずの家に帰ると、なぜかふじのんがいた。近くのテーブルには彼女が作ったであろう夕食が置かれており、一緒に食べませんか?、と言ってきた。いや、その、美味しかったんだけどさ、君のその雰囲気で料理を作ると、どうしても桜の面影が・・・。
そういえば、式といいふじのんといい、俺のプロフィールを知っているが、テレパシーでも使えるんだろうか。とにかく、この時点で原作における【痛覚残留】のエピソードは消えた、つまり、ふじのんを救うことができたのである。ん?原作崩壊だって?コクトーが入ってこないため、原作は元々から消えている、つまり、原作崩壊ではない、いいね?【痛覚残留】のエピソードが飛ぶと、次は【未来福音】だったはず。つまり、とうとう瀬尾静音が登場するのだ。ん?コクトーおらんかったら詰みでは?紅は訝しんだ。
────────────────────────────────
いつものように、空に手を伸ばして。そして──────目が覚めた。どうやら、わたしは今日も生きることができるらしい。死に直面する以外、生きている実感がないというのに。
「あら──?」
いつもは何もない床頭台の上に、なにか、紫色の物が置いてあるのが辛うじて見えた。それは少し大きく、密集していた。わたしにお見舞い品だとか、それらしいものをくれる人はもう存在しないと言うのに。もしかして、誰かが間違えて置いていってしまったのかもしれない。もしそうならば、残念なことだ。後先ないわたしには、この品に込められた思いは無意味なのだから。
「巫条さーん。入りますよー」
毎朝の生存確認のためにナースの人が扉を開け、病室に入り、私に近づいてくる。
「これって・・・良かったですね。巫条さん。花束が置いてありますよ。それも、ニゲラの。たしか、ニゲラの花言葉って、『夢の中で会いましょう』だったはずです」
そういえば、昨日の夜。わたしが空を飛んでいたとき、眠っているわたしの近くで人の気配を感じた。もしかして、その人が────。
「あれ?この薔薇の匂いって・・・」
ナースの女の人が、何か違和感を覚えたらしく、すんすん、と鼻を鳴らしているのが聞こえる。
「巫条さん、蒼崎先生ってここに来ました・・・って、分かるわけないですよね。ごめんなさい」
そう言えば、この部屋に嗅ぎ慣れない薔薇の香りが漂っていることに気づいた。決してキツい香りではなく、人を安らかな気持ちにさせる、そんな香りが。ナースの人によると、蒼崎、という人が、こんな香りをしているらしい。
そういえば、最近、病院の中で紅色の人を見かけたのだが、その人なのだろうか。ならば、なぜその人はわたしに花束を送ったんだろう。ナースの人が消え、わたし以外いなくなった病室で、一人、それを考えていた。
次回、静音登場・・・にできたらいいな。
Q、どうして主人公から薔薇の匂いがするの?
A、リタに血を吸われた時に気に入られたからです。好きなものに自分の物という印を付けておくのは常識だよね。