わしのギル・・ギルどこぉ?
私にとって、兄は「全て」だった。
私がこの世に生を受け、初めて見た光景が兄の瞳であり、その瞬間からこれを手離したくない、と思ったのを今でも覚えている。魔術師にはふさわしくない、慈愛の色が浮かんでいたあの瞳に、私は妹という立場でありながら、強く惹かれた。いや、今でも惹かれ続けている。
『すごいじゃないか、橙子』
兄はそう言いながら、私の頭をよく撫でてくれた。私が初めて魔術を使った時、初めてその言葉を聞いた。ただ、どこにでもある、人を誉めるだけの言葉。しかし、それが私にとっては蜜よりも甘く、モナ・リザよりも耽美なものだった。その時の兄の瞳はなにか、戦隊ヒーローをみる子供のような、キラキラしたものだった。年齢の割には大人びていた兄にもそんな眼をすることがあるんだな、と思って、微笑ましくなったのを今でも覚えている。
私には兄がいた。兄がいてくれた。兄さえいれば良かった。
兄がいてくれれば他はどうでも良かった。
ただ、兄が目の前にいるだけで、この世界を楽しめた。
小さい頃、兄に尋ねたことがある。
『おにいはわたしのことすき?』
私らしくない質問だが、当時はそれだけが気になって、夜に眠ることができなかった。
兄に嫌われていたらどうしよう、私に無関心だったらどうしよう。そんな不安を感じながら、兄の答えを待った。
『うん、大好きだよ。世界で一番』
その日、私は涎を垂らして「おにい、おにい」と呟きながら寝たのは言うまでもない。
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ー月ーー日晴れ
ホァァァァァァァァァァァァ!!
やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
目の前に「両儀」の札があるぅぅぅぅ!
脳裏に式リリィの姿を焼き付けなければ(確信)
覚悟はいいか?俺はできてる!!(チャックの人感)
ー月ーー日曇り
キング・クリムゾン!
ふぅ、もう少しで蒼崎の魔術師とは思えない姿を見せてしまうところだった。危ない危ない。ん?ゲーセンで台に張り付くエクバプレーヤーのような転生者を見た?
君は何も見なかった。いいね?
さて、「両儀」の家を眷族化した虫たちに探らせて見つけたわけだが、ここで俺はたいへん重要なことに気がついてしまった。
あれ?たしか空の境界に出てくる橙子さんって成人済よな?今の橙子はまだ小学校の入学式を終えたばかりである。よちよち歩きからきちんと前を向いて歩けるようになった橙子さんをみて涙が流れたのは一旦置いておこう。つまり、何が言いたいのかというと、まだ式は産まれてすらいないのである。
なぜ俺はあんな無駄な時間を・・・
まぁ、式のお母さんらしき人見れたしええか!(テノヒラクルー)
これは橙子さんではないのでは?ボブは訝しんだ。
非力私許