せっかくファンタジー世界に転生したのだから、楽しく生きたい   作:オルトって美味しいのかな?

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ブレイカーが突然落ちて、途中まで書いていたのが消えてモチベ消失。
ある程度復旧して、キリの良い所までで投稿しますので短いです。<m(__)m>
本当なら、前後編にしたく無かったんだけどね。
おのれ、ホットプレートめ!


その日、自分は運命(狂人)に出会う。つ鏡(前)

 暗い、暗い、空間、そこに自分は居る。

 現実空間では無い、いくら自分が居る世界がファンタジー満載だからと言って、ここで魔術を使った訳でも無いのに、自分は空中に浮かんでいるはずが無い。

 しかも、今の自分は美少女である今生の姿では無く、前世の特に特徴の無いのが特徴のアラサー男性では無いか!

 

 どこだろう?ここ。

 どうして、自分はここに居るのだろうか?

 何故自分はこの姿になっているのだろう?

 

 うーん……

 そうだ!自分は確か、オーディンの行ったとされる魔術儀式の再現をして、トネリコの大樹で首を括って、槍で串刺しになったんだった。

 この儀式により、かの魔術神オーディンは、通常のルーンとは格の違う原初のルーンを得た、という事はだ。

 魔術神なら、魔術の事ならば元々知っていてもおかしくは無いのに、何故こんな手の込んだ自殺を行わなくてはならなかったのか?

 自分はこの儀式を、自分自身の内面のより深い所に潜る儀式だったと睨んでいる。

 

 そして、自分がこの暗黒空間にやって来たという事はだ。

 儀式が成ったという結果。

 無様に死んだ、という結果も有るが、その時はその時だ今は考えない。

 

 しかし、本当に何も無い空間だ。

 黒という印象も、自分が勝手に決めているだけに過ぎないのかも知れない。

 そう思うだけ、何も無い空虚な空間がここだった。

 これは、本当に自分の内面なのだろうか?

 そう疑ってしまう。

 取り合えず、潜ろう。

 底の底に、何か有る気がする。

 上も下も無いような所、だけど今の自分は浮かんでいる。

 なら潜れるはずだ、潜水の要領で自身の直観に導かれるままに沈んでいく。

 

 どれくらいの時間が、経ったのだろう。

 時間の感覚がまるで無い世界を、黙々と潜行する。

 そして、人影を見つけた。

 近づいてすぐに理解する。

 

 ブロンドのショートヘアー。

 雄大な蒼空を思わせる碧眼。

 黄金律の眼鼻の配置。

 個人的な趣向で採点するなら100点満点中140点。

 だがしかし、身長が低すぎる事と、胸と尻の肉付きが悪いからマイナス40点である。

 個人的な趣向で言うなら更に60点加算しても良いのだが、世の男性諸君の趣向ならそうだろう。

 そんな女性が、満面の笑顔で俺を見つめていた。

 

 彼女の名はイルルーン、仲の良い人や両親からはイルルと呼ばれていた今生の俺だ。

 彼女は俺を視認すると、自分がした事が無い喜色を浮かべる。

 

 「ようやく会えた、私の愛しい人」

 

 前世の俺が、浮かべるような顔では無い。

 

 今生の自分が、するような顔では無い。

 

 只の女、恋する人に、愛する人に浮かべる女の顔がそこには有った。

 

 絶句。

 そう称する他は無い。

 何故、自分自身が、俺という平々凡だと称される俺にそんな発情した雌のような表情をする。

 何故、抱き着いてくる?

 何故、口づけをする!?

 

 確かに彼女……今生の体は、前世の俺の理想的な女性だ、欲を言えばあと5~10年歳を取っていたら完璧だ。

 だが、彼女は今生の俺自身なのだ、何がどうして二人に分かれているのかは定かではないにしろ、自分自身と俺自体が認識している。

 自分自身にキスされても、なぁんにも嬉しくとも無いし、ましてや欲情するなんてもってのほかである。

 というか、彼女はどういう立ち位置なのだろうか?

 パッと思いつく限りだと、彼女は俺のもう一つの人格か、あるいは本来のこの身体の人格か……

 いや前者は考えたくない、もう一つの人格が俺に発情した雌の顔を見せてくるなんて、ちょっとなぁ。

 それに、医学的に二重人格なんて無くて、多重人格が本来症例として云々かんぬんって聞いた事が有る、って事は他にも人格が有るかも知れない。

 後者の事も考えたくない、それだと俺が彼女の人生を奪って、好き勝手に生きてきた事になるからな。

 もし、そうだとしたら素直に身体を返上しよう、元々降ってわいた第二の生だ、諦めもつく。

 

 さて、いい加減人の口内を舐めまわしている彼女に話を聞こうかな、なんだか凄く怖いけど。




作者の初めて書くヤンデレって奴。
取り扱いが難しそうだなぁー(他人事)

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