ジョジョの奇妙な学園 ~stardust stratos~ 作:エア_
いやぁ、ゆゆゆにはまっててすみません。
とりあえず一瞬頭に過ぎったのはゆゆゆ+ジョジョ
承太郎と仗助のタッグでとりあえずわっしー世代から助けて死に掛けの皆をクレDで治して、緊急回避をスタプラで回収して助ける的なのを考えた。
てか、多分こいつらのスタンドなら近接させたら絶対接戦できるだろ。
日本に帰りIS学園へついた承太郎が最初に向かった先は生徒会室。そう、生徒会長である楯無がいると思われる部屋であった。確かにセシリアやジョセフから得た情報は過去のディオ・ブランドーではあったが、現在騒がしているDIOについての情報は非常に少ないのだ。千冬経由で情報は回っている事を知った彼は、早速更識家の情報網を頼ろうと訪れたのだ。
部屋の前に着くと、何やら中が騒がしかった。声を聞くあたり楯無がいることは間違いない。あとは知らない声と、少し前まで聞いていたような声が聞こえる。本音の声だとわかるのに時間は必要なかった。
「すまねぇ、かた・・・・・・更識楯無はいるか?」
ここでは楯無として通っている彼女の本名を言うのもなんだったのか、空気を読んだのか承太郎は名前を言い直した。
中に入ると、まるで何事もなかったようにシンと静まった生徒会室。先ほどまでの話し声などどこへ行ったのやら。こちらへ視線を向ける女性が二人いるだけで。目的の人間がすぐには見当たらない。
「あ、タロタロだ~」
「布仏か・・・・・・悪いが楯無はどこだ? 声は聞こえたんだけどよ」
「えっとね~。あれー」
何故いるのかは無視して、承太郎は近くに座っていた本音に居場所を聞いた。彼女が指さすほうへ視線を向けるが、そこにあるのは誰も座っていない一つのデスク。その上には生徒会長と書かれた机上札がおいてある。机上札とは例の三角柱を横にしたアレだ。
「・・・・・・何してんだ」
「あ、あはは」
デスクの裏に回ると、そこに隠れた楯無の姿がそこにあった。その細い体なら見つかる危険性はなくなるのだが、残念ながら本音がばらした為にすぐ見つかったのだ。
「ったく、世話焼かせやがって」
「猫じゃない~! 離してよ
襟首を掴み上げられた楯無は両手をブンブンと振り回す。面倒くさいと思いながらも承太郎は彼女を椅子に座らせた。
「悪いが楯無。人払いをしてほしいんだが」
「・・・・・・理由は後で聞くわ。虚、本音」
数回深呼吸をして息を整えた彼女は、二度手を叩く。するとその場にいた本音を含めた二人が生徒会室から出て行く。それはまるで従者のようにスムーズに行われた人払いで、承太郎は関係性に首を捻った。
「いいわよ。で、話っていうのは?」
「あぁ・・・・・・DIOについてだ」
そのワードに楯無は眉をピクリと動かす。それはまるでその言葉の意味をよしとしないといった表情で、それでいて一種の憎悪を持っていた。
それもそうだろう。自分の大切な人間がその男に怪我させられたのだ。誰だって怒る。楯無の表情はまさしくそれだった。そんなあからさまな彼女に承太郎は内心口癖を零しながらも、自分は心配されているんだなと少し心持ちがよくなる。
「千冬から聞いたと思うが・・・・・・巷じゃ聞かねぇか? 悪ぃが教えてほしい」
その質問に楯無は顔を渋くする。その顔でよく分かる。「わからなかった」ということが分かる。
「その事なんだけどね~。早速調べはしたんだけど、相当な臆病なのか隠蔽に長けているのか名前すら出てこなかったわ。ネットの掲示板とかにすら取り上げられなかった。まるでそうね、突然と活動を始めだしたって感じよ。更識の情報網を使ってもわからないのは本当にショックだったわ」
「・・・・・・そうか。すまねぇな」
近くの丸椅子に腰掛け、大きく深呼吸をする承太郎。みてくれは変わらないが楯無は理解した。その表情や顔色は一切変わらないが、疲労が溜まっているのだと。それは幼いころから彼を見てきた彼女だからわかること。こればかりはあのラウラでさえも分からないだろう。何年と一緒にすごした彼女だからこそすぐにそれを見抜いた。
その事に喜びを覚えながらも、同時に悲しみに包まれた。理解できたということはそれほど自身と彼の距離が近いということになる。確かに嬉しいことだ。喜ばしいことだ。だが、それと同時に危険が彼を狙うのも必須。いくら無類の強さを持っている承太郎といえども、今はヨーロッパの代表。深く干渉すればそれだけ世間の目、そして更識の掟が彼を縛りに来るだろう。何者にも縛られず、我が道を貫き通す彼の障害になってしまう。そう思えて仕方がなくなり、胸がキュッと締まる。
そんな風に彼を理解できるように、承太郎も楯無の事を理解できていた。表情にこそ出さないが、頭の回転が速い彼にはすぐにばれる。
「おい刀奈、少し外に行かねぇか?」
☆
「キャァアーーー♪」
楯無の悲鳴(しかし悲鳴とは程遠く嬉しそうな叫び声)が響く海沿い道。承太郎の乗るバイクが火を噴く。実はもう承太郎はバイクの免許は持っている。既に国際免許を所得済みなのだ。まぁヨーロッパ代表がISの起動要請が出る前に現場に着くためのあらゆる手段を用意しなければいけないのだから16歳でもバイクの免許を持っていてもおかしくはないんじゃあなかろうか。とりあえず承太郎は持っているのだ。
後ろのシートに楯無を乗せ、二人を乗せたバイクは加速する。法定速度ギリギリで走るバイクはまさに弾丸。吹き飛ばされないように承太郎の体に強く抱きつく楯無はヘルメット越しから見える彼の表情を思い切り見つめていた。
「ぶぅ~。一応胸押し付けてるんだから良いリアクションとってよ~」
「ん? よく分からんが、反応してほしいのか? この速度でよぉ」
「う゛、流石にこの速度でリアクションとられたら最悪死ぬわね」
「とりあえず服の上からじゃあわかんねぇさ、普通はな」
「はぁ~、流石に漫画の読みすぎかなぁ」
背中に顔を埋める楯無をチラリと背中に視線を向ける承太郎。道路を駆けるバイクが一台。太陽を背に駆けるそのバイクはアメリカンタイプの大型車。しかし乗る人間の所為で大きく見えない。流石は筋骨隆々で195cmなだけある。
「せっかくの景色だ。そんなに顔埋めてるんじゃあない」
「だって、何やかんやで承太郎と会うことなんてあまりないんだもん(会わないようにしてたんだけど)。あ~、暖かい」
「・・・・・・やれやれだぜ」
察しのいい、というよりあのモノレールでの彼女の言葉をちゃんと一言一句聞いていた承太郎にとっては楯無の言いたいことはよく分かる。
更識家とは確かに親しい間柄になった。日本人が嫌いだといっていたジョセフが最初に気に入ったのもその家の前当主である先代楯無なのだ。今ほど寛容な態度をとっているのも先代楯無との交流のおかげだ。
承太郎も生まれて数年からの付き合い、気心もそれなりに分かるというもの。
「テメェが何を考えてるのかなんざ、大体分かってるつもりだ。家だ、名前だに囚われる
「・・・・・・聞いてたの?」
「どうかな」
承太郎の素っ気無い返答を聞き、埋めていた顔を背中から離し見上げる。自分はヘルメットをしているが、当の彼は帽子しか被っていない。その見上げた先にある凛々しいその面構えに、内心「ずるいよ」と呟く。そうだ、そうだとも。彼は案外ずるい男なのだ。答えの手前まで教えておいて、最後は自分でやらせるのだ。重要な選択だけを残してほっぽり出して、最後の最後には何もしてくれないのだ。
なんてずるくて、なんて優しい。空条承太郎とはそんな男なのだ。
「テメェの事は、テメェが決める。家があるとかじゃあないだろ。刀奈、テメェが考え、テメェが答えなきゃあならねぇ。それが人間ってぇもんだろ。選択権くらいは自分で持ってな」
彼はそういうと前へと視線を戻す。バイクに乗っているのだから至極当然なのだが、ずるい男だと楯無は再び思うのであった。
だが、やはりそこは【惚れたほうが負け】というもの。承太郎には敵わないのであった。
IS学園から既に数十キロと離れた海沿いの道。あのりなき学校で見たような華やかで優雅な青い色をした海は存在しなかったが、それなりに綺麗なビーチがそこにはあった。
夏というのもあってか、スタイルの良い若いサーファーやら、色黒のギャルやら、家族連れやらで、ビーチは非常に賑わっていた。
「うわぁ~。多いね~」
「そりゃあ夏だからな。泳ぎてぇとは思わねぇがな」
「さり気無く私との海イベントを否定したわね」
「? お前はいったい何を言ってるんだ?」
首を傾げる承太郎に、楯無はため息をつく。いつもは何やかんや気がつく癖に、こう言う大事なことには気がつかなくて、さり気無いフォローが嬉しくて、でも鈍感なところがあって。
「・・・・・・まぁ、惚れた奴が負けよね」
「ん? どうかしたか? 楯無」
「ん~ん、なんでもないわよ~」
「・・・・・・やれやれだぜ」
彼女の呟きは彼の耳には通らなかったようで、内心ホッとする楯無。そのホッとした顔を見て再び首を傾げながらもいつもの調子の戻ったなと安心する承太郎。
再びバイクは、その車輪を回転させ、乗り手を導くように駆け出す。さんさんと照らす太陽の下、打ち水によって若干涼しくなったアスファルトの上、風景を置きざりにして疾走する。その姿を目で追うものはおらず、二人はそのバイクに連れられその空間から消え去る。誰もその姿がどこへ消えたのか知る者はいない。あっという間に消えていった彼らがどこへ行ったのか、誰も知りはしなかったのだ。
☆
先ほどのビーチとIS学園の中間に位置するとあるホテルの一室にて資料とにらめっこをする二人の姿があった。あれから数時間に及ぶツーリングを終え、精神的にもリフレッシュした二人はこのまま学園に帰るのもあれだからと楯無の提案からホテルに一泊することになったのだ。二人してパソコンと紙媒体の資料とで睨み合いを効かせている。内容はまさにDIOについてだ。無いと言われ、では打ち切りにするか? と言う訳もなく、二人は虚達生徒会メンバーに学園で資料作りを手伝ってもらいながら、資料のあら捜しをしていた。
オルコット家から入手した過去のメディアの資料、祖父ジョセフから入手した過去に起こった真実とディオの存在の情報。照らしあわされたその情報は、今一つといった収穫になった。過去を理解したからといって今の行動を読むことなんて事はできない。そのことから彼らが今何所で何を企んでるのかを理解する事はできなかった。まさに手を出せない状況にあるのだ。痒いところに手が届かないというのはこんな事を言うのではないだろうか。
ベッドに散乱する資料の多くは楯無が生徒会メンバーから仕入れた学園にある情報をテキスト化したもので、その数は既に30枚を超えていたのだ。まぁその中にはデマや被った内容も含まれており、実際のところ10枚程度しか情報という情報はなかった。承太郎もラウラ達に連絡を取り、DIOについての情報を取り寄せていた。ドイツ・・・・・・というよりも吸血鬼、そしてその吸血鬼を餌にしていた柱の男についての情報しかなかったが十分な収穫だったと言えよう。
「あ~もう、情報が多いのか少ないのか分からないわね。吸血鬼についての情報はこんなにもあるのに、なんでDIOについての情報がこうも無いんだろうか」
「活動をしていなかった奴が急に動き出したとしか考えられねぇ・・・・・・それにしても刀奈、この亡国企業とやらなんだが、吸血鬼と関係があるのか?」
「ん? いやぁ違う違う。それは別件よ。更識が追ってる奴らだから、資料にしているだけで今回の件とは関係ないわよ」
「・・・・・・そうか」
そこで承太郎は何を思ったのか、深い思考を始めた。十分、二十分と時が過ぎる中、まるで探偵にでもなったように彼は思考を繰り返した。その鋭い視線が資料を睨む。それはもう穴が開くほどに睨みつけている。楯無もそんな彼の姿に少し心配になりながらも彼のことだから大丈夫だろうと自身の仕事に集中した。
深き思考が行われてちょうど一時間、承太郎は急に大きなため息を吐いた。
「なぁ、刀奈。今から聴く事に答えてくれ」
「どうしたの? 急にそんな事」
「悪ぃが、俺の仮説が正しいならこれは
「・・・・・・ん、わかったわ」
その真剣な視線に楯無は理解したのか、正面を向きなおして承太郎を見つめた。
「まず質問その一。亡国企業が世間に知られるような活動を起こしたのは4年前で間違いないな?」
「えぇ、間違いないわ」
「そうか、なら質問その二だ。人間が血液を抜かれて死んでいたという事件が勃発しだしたのは俺が
「えぇ、そうだけど・・・・・・まさか亡国企業とこの血抜き事件が同じって訳? 流石にこじつけじゃないかしら」
楯無の言い分は尤もだ。同じ年に起こったからといって全部日とくくりにされては溜まったものじゃないだろう。だが、承太郎の表情は変わらない。続きがあると言葉を発し、そして続けた。
「質問その三。ラウラが暴走を起こした時、観客席の一室で集団血抜き事件が起きていた。その手口はこの四年前から行われているものと同じだな?」
「・・・・・・そうね。情報じゃあ同じよ。あの血の抜かれ方は間違いないわ」
その言葉を聴き、承太郎の表情は一変した。まるで確信したと言いたげなそんな表情をしていた。全てのピースが埋まり、全ての思考が終了したそんな表情に見て取れる。
「質問その四だ。この女に見覚えはねぇか?」
渡された写真を楯無は受け取ると、その写真をじっと見つめ、そして嫌悪した顔をする。そこに写っているのはブロンドの長髪の女性である。ただ見知らぬのなら問題なかっただろう。だが彼女はその写真に写る女性を知っていた。
「・・・・・・亡国企業のメンバーの一人、スコール・ミューゼルよ。十年前に死んだはずの軍人、肉体改造を受けたおばさんよ。見た目若いけど」
「・・・・・・そうか」
「どうしたの? もしかして承太郎は年上が好みなの?」
ため息を一つ吐き捨てると、承太郎は手元にある資料を渡す。受け取った楯無は驚愕の顔をする。先ほどまで停滞していた情報の流れがここに来て一気に押し寄せてきたのだ。
その資料とは・・・・・・ラウラが暴走を起こした時のアリーナの監視カメラにその女性、スコール・ミューゼルが写っていたのである。黄色に包まれた男の二の腕を抱きしめながら・・・・・・。
「これで全ての情報が手に入った・・・・・・DIOは亡国企業の人間で間違いねぇ」
☆
同時刻、一夏は一人アリーナに佇んでいた。友人に声をかける事無く、一人アリーナの中央に白式を纏わずに存在していたのだ。
そこへ突如何所からともなくウサ耳カチューシャをつけた女性が現われた。そう、希代の天災科学者である篠ノ乃束本人だ。何故ここにいるのかは、一夏本人にだけ知らされており、その所為か無意識に顔が強張っているのがわかる。緊張をしているのが手に取るように理解できるのだ。
それもそうだろう。自身のISを超強化すると言っているのだ。白式の研究所ではなく、直接篠ノ乃束に強化してもらえるのだ。流石の無知夏でも緊張はする。
束が近づき、彼の手のひらに白式のガントレットとはまた別の銀色のガントレットを置いた。見た目は白式のものと同じだが、色違いなため視覚的な違いで識別できる。
「さ~ていっくん。白式自体は第一世代だからインストールできない代わりに、後続ユニットを纏って超強化できるようしたよ。この新しいISユニットの名前は【白雷】。たぶん詳しい説明しても分からないと思うから省いて簡潔に言うと、いっくんが獅○王凱で白式がギ○レオン、そしてこの白雷がガオ○マシンって訳だよ」
「唐突に渡された上にすっごい分かりやすい説明受けたけど意味がわかんねぇですよ束さん!」
「全く、相変わらずいっくんはやけになる。つまりは今のいっくんじゃあの筋肉もりもりマッチョマンの変態に勝てないから、ファイナルフュ○ジョンして勇気で補って勝ってもらはないといけないんだよ」
「例えが酷いですけど・・・・・・まぁいいや。とりあえずはやってみるっきゃねぇ!」
「とはいっても、基本的に私が許可しないと白雷は起動できないようにしてるからね? ここぞという時にしか使えないようにしないとバランスが崩壊するから、その点ではあのリアルコマンドーのスター・プラチナはよく出来てるよ。モードを選べるなんて」
さらっと承太郎に対しての悪口を言い放つ束。言いたいことはあったが的確すぎて何もいえなかった一夏は、何も反論する事無くその銀色のガントレットを左腕にはめる。
「じゃあいっくん、まずは白式を展開してくれるかな?」
「はい。来いッ! 白式!!」
僅か0.02秒で展開された白式は見慣れたいつものものだった。ただ少し違うといえば、ウィングスラスターが以前と違い開いたり閉じたり出来るというところか。開閉機能を取り付けられたそれに、新鮮な驚きを見せながらも、一夏は束へと視線を戻した。
「さて、これからが本番だよ。白雷を呼んでみて?」
「・・・・・・ふぅ」
二度、三度と行われる深呼吸。緊張が高まっているのだろうか、彼の額を汗が流れた。
「白雷!!」
彼の叫びと共に銀色のガントレットが輝きだす。光に包まれ司会は白色に支配されていった。
一秒もしないうちに光は消え、そして気がつけば体中から違和感が脳に向かって信号を送っていた。全身をISが包み込んでおり、今までにない違和感が神経を撫でる。全身装甲をまさか自分が行うなんて思っても見なかったのだ。
「これこそ、白式専用の後続ユニット、【白雷】。パワー、スピード、そして装甲共に格段とパワーアップした第四世代を取り入れたマルチアシストシステム。あのスター・プラチナとためをはれる束さん一押しの傑作だよ」
「これが・・・・・・白雷」
その手に伝わる感触からも一夏は理解した。この存在は自分の願いを現実にしてくれる機体であると言う事を。仲間を守りたいという彼の願いをかなえてくれる機体であると言う事を。だからこそなのだろう。心地よい躍動感、そして高まる高揚感。その全てが一夏の心を揺れ動かす。
――これがあれば、皆を守れる。これさえあれば自分は強くあれる――
そこで一夏は思考を静止させた。それもそうだ、止めていなければ大変だっただろう。
そう、この思考は以前にも目の当たりにしたことがある。そうだとも、この感覚は浮かれている感覚だ。この感覚を肌身で感じたのは最近じゃないか。
そうとも、篠ノ乃箒も同じような感覚に心を奪われていたではないか。
その事実に一夏は恐怖を感じた。自分が自分でいられなくなるようなそんな恐怖を感じていたのだ。
すぐに白雷を解除し元の白式に戻した一夏は、多量の汗を流しながらへたり込んだ。その姿に驚いたのか束は急いで傍に駆け寄った。
息が荒い、それもそうだろう。一瞬、たった一瞬だが彼の心が揺らいだのだ。今まで折れなかった自分の信念が揺らいだのだ。まるで白雷が悪魔のささやきによって生まれたものにすら感じていたのだ。
「いっくん!? 大丈夫!?」
「はぁっ・・・・・・はぁっ・・・・・・はぁっ・・・・・・だ、大丈夫です」
恐怖にかられたように一夏は肩で息をする。その姿を見たもの全員が驚愕するんじゃないだろうか。
あのどんな状況でも立ち向かい、決して挫ける事のなかった一夏が、今絶望を見せられているように座り込んでいるのだ。この姿を見たことがある人間など、姉である千冬ですらないのではなかろうか。どんな状況でも諦めることのなかった真っ直ぐな彼の心が、自身の高揚感に恐れを抱き、そして新たな力にその心が揺らいでしまったのだ。
(駄目だ・・・・・・呑まれちまった・・・・・・こんなんじゃ駄目だろ!!)
「・・・・・・いっくん」
そんな彼をただ見ていることしか出来ないでいる束は、一夏が白雷を渡してくるまでただ棒立ちをし続けることしか出来なかった。
「すみません束さん。俺にはまだこいつは早いようです」
「そうみたいだねぇ・・・・・・。もしも使いたくなったら教えてね。ちゃんと持っててあげるから」
「・・・・・・はい」
一夏はそういうとアリーナを去っていった。その背中は以前のような堂々足るものは見られず、今は何かに怯えたように見て取れた。
彼の強化はまだ遠いようだ。
一夏強化はまだまだ先のようだ。
とりあえず承太郎とヒロイン絡ませるならこんなのしかわかんなかった。
だって承太郎と嫁さんの馴れ初めとか描写なかったじゃんかー!! 良いじゃないかまだ高校生なんだからこんくらいさせたって!(苦し紛れの言い訳)