ホグワーツ魔法掲示板   作:緋色の全力疾走

15 / 27
カレーと砂肝食ったら治ったので初投稿です

今回は一人称パート


闇と魔術と防衛術

やあ。

 

僕の名はノエル・クレイマン。一部ではハッフルパフなんて呼ばれている。

遠い先祖とはいえ創設者の名前を借りるのは正直荷が重いけれど、基本的に凡庸でパッとしない我が寮では珍しいアイデンティティなので誇らしくもある。

あの場所に入っている人ならばもう語る必要もないだろうけれど、先日ヴォきょ…「例のあの人」が復活したらしい。

よく軽い挑発に乗っては「ぶっ殺すぞ」なんて言ってくる、(最近ギャルゲに傾倒した)日記の彼と違って本物の──こんな言い方をすると彼は怒るのだろうが──真に恐るべきヴォルデモート卿だ。

僕の実家も魔法使いの家系だからその恐ろしさはよく知っている。

 

曰く、最も強大な魔法使い。

 

曰く、この世で一番不死に近い存在。

 

曰く、純血主義者たちにとっての神に等しいもの。

 

曰く、───学生時代からそのカリスマを活かし、信者を集めたもの。

 

先に言っておくと僕はここで君たちに隠し事をするつもりはない。模範的な思想を求めるならポッターだのグレンジャーだのを呼べばいいし、自分の内面すらも欺くなんてのは気弱で根暗な戯言遣いや陰気で贅沢な詐欺師にでも任せればいいのだ。

 

正直言って、僕らの世代が彼を信じるには彼の本体が爪痕を残しすぎた。今でもあの場所にいる者の2割くらいは過去のヴォルデモート卿を危険視し、どうにかして排除すべきだと思っている。

 

実際、若いとはいえ闇の魔法使いだ。気づかぬうちに僕たちを操り、復活の糸口を探し、ついには肉体を持って蘇るなんて可能性も無くはないのだろう。特に血族が被害にあった僕たちのような者はその狡猾さを言い聞かせられて育った。

 

ただまあ───正直言ってその辺はどうでもいい。

 

若かろうがハゲていようが結局のところ彼の目的はイギリス魔法界なのだ。もしこの国が陥落したらフランスか、いっそ日本や中国にでも逃げればいい。

これが彼の前の闇の魔法使い、ゲラート・グリンデルバルドならばそう簡単にはいかなかっただろうが……純血と言いつつ英国の血族しか見ていない彼ならば信用できる。

 

愛国心だとか寮だとか、あるいは友人のために戦いたい奴は好きにすればいい。

 

逃げたいならば逃げればいいのだ。

 

とはいえ、自衛は必要だ。

僕たちが学生である以上、あるいはこの国にいる以上、国外に逃げるにしても何らかの理由で戦闘は避けられないだろう。

そんな時に平和主義者なのでプロテゴしか使えません、なんて理由でのゲームオーバーは避けたい。

武器は強ければ強いほど、多ければ多いほどいい。

魔法界で最も多い武器といえば杖で、最も強力な呪文といえば間違いなく服従、磔、そして死だ。

正直磔に関してはそこまで欲しくないが…射程距離や持続時間なんかを把握するには実際に使ってみるのが一番だろう。

そんな強力な呪文をほかならぬトム・リドルが教えてくれるというのだ。行かない手はない。

特に今年は例のカエルがこの城を牛耳って自衛も防衛も学べないのだから、少しくらい反抗しても罰はともかく天罰は下らないはずだ。

肝心のアンブリッジ一派に見つからないようにする というのが難しいのは…それはそうなんだが。

噂によれば近々あのガマは親衛隊なるものを設立するつもりだという。ダンブルドアの軍隊を恐れて自分が近衛を用意する、というのも実に我が国の役人らしい。

 

とにかく今日の昼頃が今年初の()()()の授業だ。時刻は11時、昼食の後に行けばちょうどいい頃合いだろう。

大広間で定番かつ味が微妙なサンドイッチをほおばっていると、フレッド達が何やら話し込んでいるのが見えた。

そういえばポッター達も今日が初の自主練だそうだ。英雄様の特別教室に招かれたのは彼の取り巻きとその兄弟、それとチョウ・チャンやロングボトムだったか。

何とも選出者の趣向が見えた人選だ。数十年前のホグワーツには選ばれた優秀な者だけが入るクラブがあったそうだが、それもこんな風に始まったのだろうか。確か名前は、何といったか───

 

「おっと!あそこに見えるのはクレイマン殿じゃないかジョージ」「おうともフレッド!ミスター・真面目はサンドイッチの具材も模範的だな!」

 

お前をプロデュースした覚えはない。

どうやら悪戯兄弟に見つかったらしい。こちらが先に観察していたとはいえそれを察知する本能には驚くばかりだ。校則違反を代名詞にするにはそのくらいの危機察知能力が必要なのだろうか。

 

「……やあ。見たところ昼食はまだのようだけれど 君たちも早く食べなくていいのかい?もうすぐ12時じゃないか それとも、飲み物に何を仕込んだか忘れたから手が付けられないのかな」

「俺らがそんなヘマをするかよ なあフレッド」「その通りだぜジョージ なんせ今の標的はガマガエル一匹だけだ」

 

そうだねフレッド(コーウェン)くん。じゃあ僕にかまわずテツカブラでも狩猟してきてくれ

そもそも僕は彼らと碌に話したこともないし話そうとも思っていない。なのに彼らは毎年ことあるごとに僕に絡んでくる。

 

「それよりノエル。わが友よ。君にちょっとした勉強会のお誘いがあるのさ」「そうそう。日々勉学に励む君に今年の防衛術は少々退屈かと思ってね」

「……勉強会?」

 

意外だな。僕も誘うのか。もっと内輪の──それこそ獅子寮の知り合いが多い奴から呼ばれると思っていた。

 

「そうそう。授業なんかよりずっと楽しく()()()勉強会」「なんと我らが英雄ハリー・ポッターが直々にご指導してくださるそうだ」

「──へえ、ポッターが」

 

まあ興味はある。かの英雄ハリー・ポッターが何を教えてくださるのかとか、このご時世で彼に従う変わり者の人数なんかは知っておいて損はないだろう。

しかし───

 

「誘ってくれてありがとう。けれど遠慮しておくよ」

 

流石にトム・リドルの授業を放り出して行くほどのものでもない。なにより先約を蹴ってホイホイ付いていくのは優等生らしくない。

 

「……なにか予定でもあるのか?」「デートか?真面目過ぎると振られるぜ。うちの兄みたいに」

 

ああ また振られたのか先輩…これで何度目だろうか 元監督生のバッジでもプレゼントしたのか?

 

「実は僕の母はポッターをよく思っていなくてね。ほら例の新聞の…わかるだろ?」

 

とりあえず噂で聞いたマザコンシェーマスと同じ状況にしておく。僕の母と面識もない彼らをしばらくは誤魔化せるだろう。

 

「あー…そっか ごめんな 忘れてくれ」「悪かったな けど俺らの活動をあのガマガエルに教えたりはしないでくれよ?」

「ああ、約束するよ」

 

それは僕の仕事じゃない。

 

そろそろ時間だ。

 

「ひとつ聞いていいかな?」

 

ふと、気になったことがあってフレッドたちを呼び止める。

目ざとくサンドイッチを確保して持ち出している彼らに、最初から疑問に思っていたことを尋ねる

 

「なんで僕を誘ってくれるんだい?僕は君たちに関わった覚えがないのだけれど……」

()()()()()()()()()()()からさ。なあジョージ」「その通りだフレッド。このホグワーツで俺たちの製品を()()()使ったことがない奴ってのは案外珍しいんだぜ?」

「……なるほどね」

 

言われてみれば確かに彼らの製品を使った覚えがない。それなら一度くらいは使っておこうか

 

「それじゃあ今度試しに買ってみるよ その時はよろしく」

「わかった。その時が来たら俺たちが色々と教えてやるよ。優等生さん」「その時はそっちも色々教えてくれよな?」

「ああ。それじゃ」

 

 

 

昼食は終わった。次は防衛術だ。

 

食事を終え1階のトイレに入る。3階に向かう前に目くらまし術を念入りにかけた。これから皆と現実で初めて会うのだ。自分が原因で教師に見つかるようなことは絶対に避けたい。5分ほどかけて鏡に映らないことを確認してトイレを出た。

 

階段に向かう。

道中で黄色いスカーフを付けたチョウ・チャンと出くわした。彼女もこの先に用があるようだ。

 

1階から2階へ階段を使って上る。

白いマフラーをしたチョウ・チャンがやってきた。僕の後ろにいるチョウ・チャンは驚きもせずに彼女と共に3階に向かっている。

 

「………」

 

2階に着いた。

緑色の手袋をつけたチョウ・チャンが合流した。

 

「…………」

 

2階から3階に移動する。

今どき売っていなそうな白いパンタロンを履いたチョウ・チャンが仲間に加わった。

 

「…………………」

 

3階の女子トイレのドアを開ける。

グラサンを付けた4人のチョウ・チャンが棺桶ダンスを踊っていた。

 

 


 

 

「……流石にこれはどうかと思う」

「そうだな…俺もまさかあいつらがここまでアレとは想定していなかった」

 

かつてサラザール・スリザリンが残した大いなる遺産、選ばれた者のみが開けられる継承者の間

通称「秘密の部屋」に20人以上?300人以下?の生徒がごった返していた 即売会かな?

 

『そんなにアレかなぁ…』

「よく見ろ節穴。50人以上チョウのパチモンじゃねーか これじゃコスプレ大会と変わんねえよ」

「例のあの人はピット器官以外が退化したのかな?」

 

大きな銅像の前に置かれた小さなテーブルを挟んで座った僕とスリザリン君(本名をアーロ・シャフィクというそうだ)が嘆く。

テーブルに置かれた眼鏡から発せられる声は事の重大性をわかっていないようだ。

 

『……まあ次回からは即席の透明マントでも配布しようか』

「そうしてくれ。それと思ったんだけれど…この部屋の合言葉ってポッター達が来た時と同じなのかい?」

「それは俺も気になってた。そこんとこどーなのよトムくん」

『大丈夫。さっきスリザリン君の体を借りて変えておいたよ』

「…それってスリザリンが残した高度なセキュリティじゃないのかい?」

『そうだよ(便乗) だから声を認識する部位の直前に声を変換する魔法をかけておいた。これで新しい合言葉以外は蛇語として認識されない』

「なら大丈夫か…」

『じゃあ時間だしそろそろ始めようか』

「そうだな。始めるか」

 

スリザリン君が杖を振る。すると彼の声はスピーカーでも通したかのように響いた。

 

「はい皆さんちゅうもーく これから授業始めますよー」

 

ある程度静まった部屋が完全に静かになる間に、彼は先ほど使っていたテーブルの上でガイナ立ちを決めていた。

 

「えー皆さんが静かになるまで3回ポッターの傷が痛みました。先生悲しいです」

『いやぁ壮観だね』

「まあ感動の会合もそこそこにして……とりあえず俺はアーロ・シャフィク。いわゆる”スリザリン君”だ」

「よっエロ眼鏡!」「メスガキ四天王!」「パラガスでございます」

「うるせー今は昼間だ! …まあこの中じゃ一番強いぜ。2年くらいトムくんに色々教わってるしな」

 

確かに彼はトムくんの指示に従って動く代わりに師事し、闇の魔術を会得したと聞いている。おそらく例の呪文も習得済みなのだろう。

周囲の視線を一身に集めた彼は銀色の眼鏡を見せ、その端に手を当てた。

 

「まあ事前に言ってある通り最初はこの眼鏡を使った服従磔即死の体験コースなんだが…あれ初めて使うと人によってはボーっとして忘れっぽくなるからな。その前に俺が無言呪文のいろはの()でもご教授してやろう」

 

彼は杖を前に向かって振り、開けた人の道をモーゼか何かのように進んで一番前に立った。

 

「まあ無言呪文ってのは要するにそのまんま、言葉を使わずに放つ呪文だ。つまり前提としてすでに使える呪文しか使えない。当たり前だよなぁ?」

「そういう理由でトムくんの後に練習するワケだ…が、アバダの即死ブッパに霞んでこの超技術のありがたさがわからなくなる前に一つ例を見せておこう まずは誰か俺と立ちあってくんない?」

「あ、じゃあ俺が行くよ」

 

人々の中から一人の学生が立候補する。服装を見るにレイブンクローのようだ

 

「オッスお願いしまーす…じゃあ俺がなんか使うから適当に構えててくれ」

「わかった」

 

二人が距離を取り、中心に眼鏡が置かれる。一見するとロックハートの実演のようだったが、あの時と違って全員が彼らに注目していた。

 

『準備はいいね?それじゃあ…………初めっ!』

 

守れ(プロテゴ)!」

守れ(ディフィンド)!!」

「!?!?!?」

 

彼は僕たちの知っているように杖を振り、前にいる生徒のように盾の呪文を唱えながら、()()()()()()()()()()()()

……なるほど、そういうことか。

 

光よ(レダクト)砕けよ(レビオーサ)来い(ドラグスレイブ)!」

 

彼の行動は一見すると無茶苦茶だ。関係ない呪文を唱えながら攻撃呪文を撃つ。あるいは詠唱と構えをバラバラにして相手を混乱させる。

 

傷よ癒えよ (アギラオ)ペンパトラ(エイビス)雪よ降れ (メギドラオン)!」

「……っ!! 万全の守り (プロテゴ・トタラム)!」

 

彼の口から出る呪文はほぼ全てでまかせだ。しかし魔法に慣れ親しんだものであればあるほどそれに反応せざるを得ない。意識していても構えか詠唱に()()()()()()()

なるほど。闇の魔法使いが魔法使いである以上、これほど有効な初見殺しもそうあるまい。

 

開け(カット)燃えよ(カット)蛇よ(カット)花よ(カット)目覚めよ(カット)回せ(カット)回せ(カット)回せぇ(カット)!!」

 

「ぐうっ………!!」

 

盾を構えていた生徒が吹き飛ばされ、必然的に盾の呪文が解除される。

 

「…………っと、まあこんな感じだな。相手が魔法使いである以上、相手の呪文を無視することはできないってわけ。これで開幕即死ブッパでもできるようになればタイマンじゃ無敵だろうよ」

 

「…………………」

 

会場は静まり返っていた。この中で無言呪文の有用性を理解しなかったものはいないだろう。

……正直、僕も簡単な無言呪文ならば使えるのだけれど。違う呪文を唱えながら撃つ、なんてのは考えもしなかった。

 

『勝負あり、かな?まあ僕も学生時代にこんな使い方はしなかったが……無言呪文も万能ではない。言葉を発する呪文に比べてどうしても遅くなるし、何より火力が下がる。まずは使える呪文の数を整えるべきだと思うよ。』

「ま、そういうことだな。じゃあとりあえず皆順番に眼鏡かけて一回ずつアバダだのインペリオだの昏睡レ〇プだの唱えてみな。それで言ってることの意味も分かるだろ」

 

先頭にいたものから順に彼の差し出した眼鏡をかける。憑依が成功したものは瞳の色が変化し、部屋の隅に置いてあった人形に3つの呪文を撃ち出した。

 


 

 

「ハア、ハア、ハア…………」

 

……なるほど、大体わかった。

僕自身は運動した記憶などないのに、ひどく体が重い。

かのトム・リドルが憑依した結果…だけではないのだろう。

単純に、強力な呪文は体力を使うのだ。

体内のエネルギーを変換する作業、それを命中させる精神力、なにより磔の呪文などが必要とする()()

この感情、というのが厄介だ。

素早く相手を苦しめ死に至らせるのは、一瞬で相手に憎しみを抱かなければならない。

誇りあるリーゼントのスタンド使いでもあるまいし、意識して相手を憎む、というのは途方もなく消耗する。

 

「全員何となくわかった、って感じだな。よしよし。声に出してコレなんだ。心の中だけで唱えつつさらに集中するってのは至難の業なのよ。俺も正直この3つは声に出さなきゃできない」

『こればかりは個人の資質によるところも大きいけれど……僕の予想通り、あの掲示板にアクセスした人材は許されざる呪文の素質も高いようだね。皆一発で成功とは。いやはや』

 

確かに、僕たちは既にあのオブジェに触れたことですでに一度適正試験を受けているともいえる。その内容はこれらの呪文と重なるところがあったようだ。

 

しかし驚愕すべきは彼だ。トム・リドルから報酬としてレッスンを受けたとはいえ……たった数年であそこまで行くか?

才能、努力、勝利、他に要因があったとしても短期間でここまでの熟練した無言呪文を使うとは

 

「まあ今回はこんなところだな……まだ多少時間があるし、とりあえず無言呪文の基礎練でもやるか。まずは普段通り呪文を唱えてくれ。いつもより呪文を意識して、な。」

 

……でもエロ眼鏡なんだよなぁ彼

 

その日の4時ごろまで練習は続いた。

 

 

 

 




これ(一人称)いる?

映画見て流れを確認するとキャラに愛着が湧いて愚弄しづらいねんな…

誤字報告兄貴、感想兄貴いつもありがとナス!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。