アコちゃんに悲しんでもらいたい女の子の話   作:アコ、俺たち結婚しよう

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プレ先周りどうするか悩んでたらこんなに時間が経ってました。
挙句の果てに容量の問題で一回ブルアカ消したらバックアップ取り忘れてたから一からやり直してたのでこんなに間があきました。



中編

 

 

 ミレニアム自治区内の中でも一際大きく、キヴォトスでも有数の設備を誇る大病院のガラスで仕切られた個室の中で、様々な医療用の機器を身体に繋がれたまま彼女は眠っていた。

 

 

「ヒマリ部長…それにヒナさんも」

「マドカの容態は?」

「今もまだ注意は必要ですがそれなりに安定はしてきたようです」

「そう…」

 

 

 マドカを地上に転送したヒマリ

 ヒマリから事前に連絡を受け転送されたマドカを迅速にこの病院に送る手筈を地上で整えたノア

 ゲヘナ内部からマドカの学籍を細工してこの状況をバレないようにしているヒナ

 

 この三人の目標は皆同じであるが、とにもかくにもマドカが回復しないことにはどうにも出来ない状況だった。

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 懐かしい夢を見た。

 

 

『それじゃあ私たちは行ってくるから…留守の間よろしくね』

 

 

 まだ一年生だった頃、明らかに罠だと分かる場所に先輩たちは突っ込んで行った。…「自分たちの居場所を守るため」、ただそれだけの理由で。

 

 

『待ってください、先輩!わたし…わたしは!!』

 

 

 何も出来なかった。

 先輩たちの使っていた銃がボロボロになって発見された頃には…もう…。

 

 なんとか頑張ってみたけど、十年以上に渡る負債を一人で返し切れるはずもなく、先輩たちの「居場所を守るため」という目標も結局達成できず、分校は廃校になってわたしもゲヘナ学園の本校へと転校になった。

 

 幸運だったのは、ずっと少人数だったせいで半強制的に戦闘に参加していたから腕っ節にはそれなりに自信があったことと、分校のときから万魔殿に仕事を押し付けられたのがきっかけとはいえ、ずっと気にかけてくれてたヒナ先輩とアコ先輩がいたこと。

 

……………そして、分校の時の『わたし』を知るのがこの二人しかいなかったことと『わたし』にはそれなりに演技力があったこと。

 

 

 先輩たちの口から最後に聞いた意志を継げなかったのが悲しくて悔しくて申し訳なくて不甲斐なくて嫌いで…二度と顔を合わせられないと思って───

 

 

 

 

────────そんな自分を殺してやりたかった。

 

 

 

 だから、一人の形見のカーディガンを制服の上から身にまとった。髪を伸ばしてもう一人の形見のヘアピンもつけた。

 

 

 もうあの人たちの意志を守れなかった『わたし』は死んだ。今ここにいるのは全く別の…あの人たちのように光ることができるような『私』だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふと、目が覚めた。

 朧気な意識のままに目だけ動かして周りを見渡してみる。

 白いシーツがかかっているベッド、腕に巻いているリストバンドに、身に着けている病衣。口に着いている酸素マスクのようなもの。つまり、病院だった。

 

 

 …どれだけたった?

 

 …箱舟は?

 

 …虚妄のサンクトゥムは?

 

 …私の銃は?

 

 …そもそもここどこ?

 

 

 頭の中をいくつかの疑問が駆け巡る。

 

 声が出ない上に体も動かせない。

 はてさてどうしたものかと思ったら、横から声をかけられた。

 

 

「おや…おはようございます。よく眠れましたか?」

 

 

 そこには妙に怖い雰囲気をまとったヒマリさんがいた。

 

 

──────────

 

 

 

 私が目を覚ましてから一週間。あれからお見舞いに来たのはヒナ先輩とノアさんだけ。ヘイローのおかげか怪我の治りも早く、もう歩けるくらいには回復した。

 

 

「箱舟攻略作戦から二週間、マドカさんが目を覚ましてから一週間が経ちました」

「それなりに落ち着いてきたので今日は現状の説明をしよう、ということになったんですけど……」

「こういう時は端的に言った方がいい。はっきり言うけど、今のシャーレは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────お葬式ムード」

 

 

 たっぷりと溜めたヒナ先輩の言葉に、一抹の喜びを覚えた。

 

 これは来てる。かなり来てる!

 あとはこの三人に頼み込んでミレニアムの転入生あたりの身分をもらってからもう一度シャーレに入って…いけるぞこれ!

 

 

「……まあそれでいいかもしれませんね」

「とにかく一度自分の目で確かめてもらいましょう」

 

 

 

 

 

 そんなことを言っていたのが少々気になったが、それから更に数日。もうとっくに杖もなしで歩けるようにもなった。

 

 黒いスカート、白いシャツを着て水色のネクタイを身につけ、その上から少し大きめのジャケットというミレニアムの一般生と同じ制服姿でシャーレの前で立ち止まる。

 ゲートでスマートフォンをタッチして許可が出たことを確認してからシャーレの建物に入る。銃は、かつて使っていたのと同じ物を持ってくる訳にもいかなかったので適当にそこら辺で買ったオートマチックのハンドガンをガンラックに置いてからエレベーターに乗り込む。

 

 やがて、音を立ててエレベーターが止まり、シャーレのオフィスへの扉が開いた。

 

 目の前には今日の当番の一人………ヒフミさんがいる。

 ヘアピンとカーディガンはもう着れないくらいに壊れてしまったので仕方がないが新調した。ヘイローは、まあ…ヒナ先輩みたいな特徴的な形なら即バレするだろうが私のは街中を探せばそこら辺に居そうな幾何学模様。髪も染めて伊達メガネもかけたので私が『赤詩 マドカ』だとバレることはないだろう。

 

 

「初めまして!ミレニアムサイエンススクール二年生『青詠(あおなが) マドハ』と言います!」

 

 

 そう告げた私に対しての返答は………

 

 

「あ…あれ……なんで…止まって……」

 

 

 ヒフミさんの涙だった。

 

 そう、これだよこれ!私が求めていたものはここにあった!

 

 

「ご、ごめんなさっ………」

「大丈夫…大丈夫ですよ。待ちますから」

 

 

 ヒフミさんが泣き止むまで背中をさすって待つ。

 

 

「あはは…ごめんなさい、急に」

「いえいえ。何があったのかは存じませんが誰にだって泣きたくなるときくらいありますから」

「そう言ってもらえると……それでは先生のところにご案内しますね」

「はい、お願いします!」

 




前話のハナコは多分全部気付いてる上で乗ってくれてます。
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