Fate/Psyentific Index   作:潮井イタチ

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第二章 怪人紳士 for_dream_chaser.

 おさらいをしよう。

 不老不死の怪人紳士、サンジェルマン。

 

 その正体についてはここでは省くが、上条たちがかつて遭遇したそれは有り体に言って、一種の『寄生生物』であった。

 とある魔術師の成れの果て。これに感染したものは皆サンジェルマンとして行動し、サンジェルマンとして思考し、サンジェルマンの魔術を振るう。

 

 そう、サンジェルマンの魔術――()()()()()()を。

 

 炭素。

 文字にすればたったの二文字だが、あるゆる元素の中で最も多い四組の共有結合を持つことが可能なこの元素。

 これが他の元素と結びついて作る化合物の種類は、数にしておよそ五四〇〇万種類にのぼる。

 

 地球の生物が皆全て炭素化合物――すなわち有機物で構成されていることなど言うに及ばず。

 有機物以外の無機炭素化合物や単体含め、炭素は地球上のあらゆる地点に存在する。

 

 例えば植物。

 例えば人体。

 例えば二酸化炭素。

 

 例えば石油。

 ――もっと言えば、石油に含まれる炭化水素類の中で最も重質なそれであるアスファルトとか。

 

 サンジェルマンの立っていた道路がビュルン!! という粘質な音とともに捻じれた。

 

 そしてその足元から一斉に噴き出す、生い茂った枝葉の如き槍の群れ。

 槍は各々軌道を変えて、上条当麻では処理しきれないだろう数・速度で迫り来る。

 仮にそれらの回避に成功したとしても、その直後に背後に立つ二人の少女が貫かれることは間違いない。

 

 だが。

 

それぞれ旋回(TE)進行方向を左右に歪曲(SADLAR)!!」

 

 インデックスの叫びと共に、迫り来る怒涛のシャンボールが、一斉にその進行方向を左右へと向けた。

 ビィン、とダーツが突き立つような音。

 槍は上条たちを逸れ、側方のコンクリート塀に突き刺さって動きを止める。

 

 これこそ、魔力を持たない魔術師であるインデックスの強制詠唱(スペルインターセプト)

 相手の術式に横入りし誤作動を引き起こさせる、『魔力を使わない魔術』。

 

 だが、強制詠唱(スペルインターセプト)とて万能ではない。

 あくまで一〇万三〇〇〇冊の知識を用いて術者に対し働きかける技術であるため、全く未知の術式には無効。手動操作(マニュアル)ではない自動制御(オートマチック)な術式にも無効。道具や霊装で制御する術式相手には干渉困難。複数人が分割して術式を構築する場合も干渉困難。また、多人数による大量の魔術に対しては対処が追いつかない場合もある。

 

「なるほど」

 

 故に、一言、呟いて。

 

 サンジェルマンは、槍を一本ずつ高速かつ連続で射出した。

 

「っ――ッッッッッッッ!」

 

 まるでマシンガン。生身の人間の喉から発声されているとは信じられないほどの超高速詠唱が、インデックスの小さな口から溢れ出る。

 

 結果、時間差で迫り来る槍のそれぞれが、軌道を変えられ、三人を逸れてあらぬ方向へ。

 対処自体は間に合っている。サンジェルマンの構築速度と、インデックスの処理速度は拮抗している。

 

 だが、しかし。

 

「――ぜぇっ、はぁ……っ!」

 

 息継ぎ。

 単純な呼吸の限界。

 否応なく処理を止めてしまう少女へと、容赦なく迫り来るシャンボール。

 

「ッ!!」

 

 しかし、その隙は上条当麻の幻想殺し(イマジンブレイカー)がカバーした。

 再度詠唱を再開するインデックスを抱え、上条はサンジェルマンの方を見つつも全力で背後へと駆け出していく。

 

 現状、対処は出来ているが、出来ているだけだ。

 消耗速度は見るからにインデックスの方が上、このまま防戦に回っていればじきに削り殺されるのは想像に難くない。

 

「逃げるぞ、キャスター!」

「に、逃げるって、あんなの相手に一体どこへです……!?」

「サンジェルマンの炭素制御魔術だって万能じゃない! 前の時も、離れた場所にある人体の炭素には槍の先端で触れてからじゃないと干渉できていなかった!! 天井に壁や床、全部が全部一塊のカーボン素材で出来てたダイヤノイドならともかく、ここならまだ俺たちに有利なステージに移動できる!」

 

 つまり。

 

「――周囲全体をコンクリートで固められた地下駐車場! 砂利と、砂と、石灰石(セメント)の混合物、地形のほとんどが珪素で構成されたこの空間なら、炭素制御魔術の性能はガタ落ちするはず!!」

 

 逃げ込んだ先、薄暗い地下駐車場の中。

 息を切らすインデックスの体を下ろしながら、上条当麻はサンジェルマンの方を振り返る。

 

 明らかに不利なフィールドに誘い込んだにも関わらず、サンジェルマンは平然とした顔でこちらに着いてきている。

 

 複数の人間に寄生してネットワークを構築するサンジェルマンにとっては、今ここにいるサンジェルマンの一人が敗北したとてどうでもいいと言うことなのか、それとも。

 

 いずれにせよ、相手が逃げないのなら、こちらに逃げ場が無い以上立ち向かう他無い。

 上条当麻は強く右手を握り締める。

 

 無論、この地下駐車場とて、炭素が皆無というわけではない。

 空気の汚れた学園都市では二酸化炭素を始めとした様々なガスが空気中を漂っているだろうし、近くで止まっている乗用車のタイヤやガソリンなど、目につく範囲にも炭素化合物はいくらだってある。

 

 だが、それでも攻撃の物量が制限されることは間違いない。

 ここからは読み合いの勝負だ。

 

「ふむ――」

 

 上条は周辺物に細心の注意を払いながら、放たれた矢のようにサンジェルマンへと駆け出して、

 

「まあ、せっかくだ。()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()

「――――――、は?」

 

 ッバゴォン!! と、地震みたいな衝撃を巻き起こし。

 床のコンクリートを罅割って引き裂き、地下駐車場のさらに地下。

 

 学園都市の地層奥深くにある石炭や泥炭などの有機堆積物が、大地を突き破ってサンジェルマンの周囲へと浮上していた。

 

「な、ん……!?」

「なるほど、これが念動能力(サイコキネシス)――だが、私のそれに伝え聞くほどの万能性はなさそうだ。区別のためにあえて名付けるなら、炭鉱浮力(カーボンフロート)と言ったところかな」

 

 有機堆積物から勢いよく伸びるシャンボール。

 どうにか始動の時点で潰す上条だが、しかしてサンジェルマンが浮遊する有機堆積物を手に持った槍で突く。

 

 まるで巨大なビリヤード。

 質量が無いかのように突っ込んできた炭素堆積物を右手で触れる。

 浮力を失い、崩れていく黒塊。

 それでも、超能力でも魔術でも無い手段で生み出された、ただの慣性は殺せない。

 

「ごッ、がッッ!?」

 

 吹き飛ぶ。

 しかし、右手を差し出しつつ咄嗟に自分から後ろへと飛んだことで、どうにか致命的なダメージは免れた。服を真っ黒にしながら、インデックスたちの元までゴロゴロと地面を転がり止まる。

 

「くっ、そ……! どうせ、それっぽい魔術で誤魔化したお得意のペテン――」

「違うよ、とうま! ()()()()()()()()()!」

 

 インデックスの一〇万三〇〇〇冊に間違いは無い。愕然とした表情でインデックスを見る上条。

 キャスターは明らかに場慣れしていない様子で、状況についていけずにおどおどと混乱している。

 

 だが、だというのならアレはなんだ?

 能力者に魔術は使えない。使えば、副作用によって血管は破裂し、肉体が致命的なダメージを受ける。しかし、二人の見る限り、あのサンジェルマンにその様子は無い。

 

 捻くれた槍を肩に担ぎながら、サンジェルマンは散歩にでも出かけるような足取りで、悠々と三人の元へと歩き出す。

 

「荒っぽい形にはなったが、マスターを殺す気は――うん? どちらがマスターだ? まあ良い、我がマスターの方針でね。用があるのは君だけだ、キャスター。純なる聖杯の降臨のため除かれるべき、格子内のネガティブな空隙よ」

「マスター……?」

 

 疑念を呟く上条当麻に、サンジェルマンは拍子抜けしたような表情を晒す。

 

「よもや、マスターどころか『聖杯戦争』の関係者ですらないと? ならば尚更争う理由が無いな。早くそのサーヴァントを置いて立ち去りたまえ」

 

 どういう意味だ。叫ぼうとした上条だったがしかし。

 

「っ、ぐ……!?」

 

 聖杯戦争。その言葉を聞いた直後、キャスターが苦痛にうめき、高まる圧力を抑えるように手で自身の額を抑え込む。

 

「キャスター!?」

「そうか、そう、だ……! 私、は……!」

 

 上条たちに出来てしまった隙を、サンジェルマンは見逃さない。

 有機堆積物から放たれる幾十のシャンボール。インデックスの強制詠唱(スペルインターセプト)が放たれるより早く、槍の根本を切り離し、術式の制御を手放して飛び道具に変える。

 狙いはキャスターただ一人。幻想殺し(イマジンブレイカー)ではカバーしきれない複数同時攻撃。

 

 少女の体は為す術なく貫かれ、即死する――

 

「何?」

 

 ――かに見えた。

 

 槍の先端が損傷を与えることなくすり抜ける。

 飛んでいったシャンボールがそのまま壁に突き刺さり停止する。

 攻撃を透過したキャスターがゆらゆらと、陽炎のようにその姿を揺らめかせ……。

 

 傍にいた上条とインデックスごと、消失した。

 

「幻影……だが、魔術ではない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()――確か、光学操作という、」

 

 独り言が終わるより早く、地下駐車場に停められた車の一台が突如として猛スピードで走り出し、サンジェルマンへと突撃した。

 

 衝突、爆裂。

 

 地下にもうもうと立ち込める煙に燻されながら、上条は今の一瞬で自動車を突撃兵に改造したキャスターを振り返る。

 どこからか現れた白い蛇のような杖を持ち、凛とした目つきで敵を睨む、少女の方を。

 

「……全てではありませんが、思い出しました。上条さん、インデックスさん。これは第二次聖杯戦争……いいえ、()()()()()()。科学の英霊と魔術の英霊。七組の魔術師(マスター)英霊(サーヴァント)が殺し合い、あらゆる願いを叶える万能の器――聖杯を求める争奪戦」

 

 ですが、と、逆接と共にキャスターは目を伏せて。

 

「あなた達には無関係なことです。巻き込んでしまったことは申し訳ありません。ですが、後は全て私に任せ――あっ、ちょっと! 待ってください、言うや言わんやの内にバトルの態勢に戻らないで!」

「だめだよキャスター! とうまはそういうコト言ってる女子を見ると自動的に助けに行っちゃう不治の病に罹ってるから!」

「おうコラちょっと待ちやがれなさいインデックス」

 

 三人は隠れ潜んだ自動車の後ろで飛び出す体勢を取りつつ、小さな声で会話を交わす。

 

「で、実際のところどうなんだ、キャスター!? アイツは――サンジェルマンは、お前一人でやれるのか!?」

「さっきの私のセリフを聞いていなかったんですか!? 三騎士でもないアサシン如き、当然やれるに決まっ……やれるに……やれ……ちょ、ちょーっと厳しいかなー……?! あっ、あっあっごめんなさい怒らないで! すいません! 格好つけてすいません!」

 

 上条とインデックスからドスドスと指で小突かれ、涙目になるキャスター。

 未だ立ち込める煙の中から飛来するシャンボールを凌ぎながら、上条は彼女に問いかける。

 

「結局のところ、手札は機械いじりと目眩ましだけってことでいいんだよな? 大能力(レベル4)相当なのは射程と精密性だけで、レーザーとか撃ったりも出来ない低出力?」

「そ、そういう言い方はどうかと思いますよ……?! いえ実際そうですけど……!!」

「なら――」

 

 そして、ボッ!!! と爆ぜるような衝撃と共に、立ち込める煙が吹き散らされた。

 自動車一台の衝突と爆発を受けてなお、無傷のサンジェルマンが歩みを再開する。

 

 再度、数台の自動車が一斉にサンジェルマンに襲いかかるが、今度はまともに受けもしない。

 展開されるダイヤの防御壁。ダイヤは硬すぎるが故に簡単に割れてしまうという説もあるが、元より硬度で防ぐつもりなどサンジェルマンには無い。

 

 まるで闘牛士のマント。ベクトルを逸らされた自動車が壁に衝突し、衝突音と同時にエアバッグの膨らむ音。それらが数台分けたたましく折り重なって鳴り響き、しばしの時間差の後、また爆発。

 

 だが、それはあくまでサンジェルマンの対処の手を割く時間稼ぎに過ぎなかったのだろう。

 

 スリップストリームではないが、まるで自動車の後を追うように。

 サンジェルマンに向けて、幻想殺し(イマジンブレイカー)を振りかぶった――()()()()()()()()()()()()()

 

 当然ながら、幻影であることは間違いない。

 どれか一つが本物だとしても、背後にインデックスの妨害が控えているこの状況では、シャンボールで以て一息に薙ぎ払うことは不可能だ。

 

 だが、炭鉱浮力(カーボンフロート)を使った有機堆積物の射出なら、強制詠唱(スペルインターセプト)による妨害を受けることは無い。

 

(撃墜ではなく回避や防御を選ぶ選択肢もあるが、あの少年を……あの少年の右手を、今の私に近寄らせるのはまずい、か)

 

 故にサンジェルマンはこの中の一体から本物の上条当麻を見極めなければならず――だが。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

「っ、」

 

 サンジェルマンの周囲に生成される、()()()()()()()()()()

 ダイヤモンドの輝きは表面反射と内部反射に分類される。そのうち内部反射は反射の度にダイヤモンド内部で光が分解されて反射し、わずかな不純物によるスペクトル吸収によってダイヤの色を決める。

 

 光学――科学の知識など必要無い。

 ダイヤモンドの色と輝きの何たるか。

 サンジェルマン伯爵は、史上の誰よりも己の肌で知っている。

 

 異常なスペクトルを纏う上条当麻たちの中、唯一それを持たない上条当麻に向けて、有機堆積物の塊が射出され――

 

「な、に?」

 

 ――上条当麻の姿を映しながら前進していた液晶ディスプレイに衝突し、吹き飛ばした。

 

 つまりは、異能とテクノロジーの合わせ技。

 欺かれたサンジェルマンが、ついに紳士然とした態度を崩し、動揺して周囲を見渡す。

 

「ならば本物は……! そうか、しまっ、」

 

 背後。

 二度目の時、衝突から爆発までに時間差があった理由。

 

 ――突撃自動車に乗せられていた上条当麻が、サンジェルマンの顔面へとその右拳を叩き込む。

 

 決着。

 そう思われた次の瞬間、上条当麻の幻想殺し(イマジンブレイカー)が、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「な――?」

 

 当然ながら、ただの高校生である上条当麻に『聖人』めいた超腕力など無い。だが、だとするとなんだこれは。まるで発泡スチロールで出来ていたかのような、このあまりにも脆い感触は。

 

「……これにて敗退か。ずいぶんと呆気ない」

 

 顔面を中心に全身から黄金の霧を放ち、サンジェルマンの姿が薄れていく。

 

 不透明度がゼロになる瞬間、黄金の霧は一際大きく瞬いて……ほんのわずかに、その内部に見覚えのある三角柱のようなものを覗かせて。

 サンジェルマンの姿は、まるで最初から何もなかったかのように消え失せていた。

 

 静まり返る地下駐車場。一拍を置いて、上条当麻がポツリと呟く。

 

「……なん、だったんだ……?」

 

 


 

 

 学園都市の学校は、教育機関であると同時に研究施設としての顔も持つ。

 

 ある学校に備え付けられた研究室。

 造り自体はありふれた理科室のような風情であるものの、設置されている機材は一般の大学の機材を遥かに上回るそれだ。

 

 上条当麻の幻想殺し(イマジンブレイカー)を受けて消滅した青年紳士は、授業を受ける学生の如く席につき、感心したように呟く。

 

「宝具・妄想幻像(ザバーニーヤ)――百の貌持つ多重人格の暗殺者、英霊ハサン・サッバーハの有する霊的ポテンシャル分割能力。試し撃ちのつもりだったが、十二分に使える性能だったな」

「ああ、これで他六騎全員の大まかな情報は知れた。君自身の宝具と合わせれば、聖杯を獲りにいくことも容易いだろう」

 

 教壇の上、白衣を纏った科学者が呟く。

 風体はどこにでもいそうな『理科の先生』。ボサボサ髪に野暮ったい黒縁メガネ。パッとしない印象の、明らかに理系と見て分かる三十路の男性。

 

「君が集めてきてくれた情報の内……特に注意すべきはセイバー、ライダー、バーサーカーの三騎。これらに関してはマスターを狙うか、不意をついて倒す以外には無いな」

「他三騎についても侮れる相手ではないだろう。()()()()()()()の余韻として各自に与えられた残霊宝具(ノーブルレムナント)。加えてそれぞれ一つずつの超能力。今回の聖杯戦争は他とは明らかに違う。相手の手札も多いことを意識していなければ、その内足を掬われるぞ、マスター」

 

 分かっているよ、と苦笑いを浮かべる科学者。

 その様子を見ながら、サンジェルマンは目を細め、彼に向かって問いかける。

 

「もう一度問うておこうか。あなたが聖杯にかける願いについて」

()()()()。使用すれば消費される類のものなんだろう? 一つしかない貴重な研究サンプルだ。研究し、解析し、再現する。強いて言うならばそれがこの街の科学者たる僕の願いだよ、アサシン」

 

 科学者の瞳の奥、煌々と情熱的に灯る冷たい理性。口端を微かに吊り上げて、サンジェルマンは続けて問う。

 

「この街ではどこにでもいるありきたりな、ただの科学者でしかない君にそれが可能だと?」

「僕一人じゃ無理なら研究チームを作って対応するよ。それでも無理なら偉業を果たせる他の誰かに託せばいい。資金については君も協力してくれるだろう?」

「そもそも聖杯などと眉唾な話、私の虚言に過ぎないとは思わないのか? 怪人奇術師詐欺師ペテン師、サンジェルマンの名が伝説でどのように語られているか、いかに科学サイドの君であろうと知ってはいるはず」

「それならそれで構わない。仮に聖杯が嘘でも、君というA()I()M()()()()が貴重な研究サンプルであることに変わりはないし、それを損なおうとする者がいるのなら排除するしかない」

 

 科学者は、自身の背後の電子黒板を叩いて。

 

「それに、聖杯は()()()()。君の体を研究した結果として、僕はその結論に至った。この街のAIM拡散力場を束ね、結晶化させた願望機。仮に聖杯戦争の優勝報酬なんてのがただの嘘で、仮に聖杯が本当はろくでもない災厄か何かであったとしても、もう実態はどうだっていい。僕の人生を賭けるべき研究テーマだ――どこにでもいる平凡な科学者の夢を支えてくれ、アサシン」

「ふ――」

 

 まるで高潔なる騎士が主君にそうするように。

 長きに渡って仕えるべき王を探し続けてきた従者がそうするように。

 小さな笑みを漏らして、胸に魔法名を刻んだ一人の魔術師が、教壇の前に膝をつく。

 

「いいだろう、マスター。この時空を超えた不死なる怪人、サンジェルマン伯爵が、あなたに夢を見せると誓おう。どうか幻想の如き偉業を成し遂げてくれ」

 

 これが、月下の元、在りし日の奇術師と平凡な科学者が出会った一つの運命だった。




アサシン
・真名:サンジェルマン://ハサン・サッバーハ
・属性:混沌・善
・保有スキル:炭鉱浮力(カーボンフロート) B 黄金律 A 専科百般 A 巧言令色 A+
・クラススキル:気配遮断 EX

・ステータス
 筋力 D 耐久 C++ 敏捷 C 魔力 A 幸運 E 宝具 B+

宝具「妄想幻像(ザバーニーヤ)
宝具「████」
宝具「██████████」
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