ウマ娘プリティーダービー She'll be DAYBREAK 作:ポンドアップル
ーー 第2R 宵時に灯りし提燈 ーー
その後、私は彼女と保健室にいる。
痛みは大分引き歩くには問題ないのだが、先生がここで待っていてと言ったからだ。
「......雨、降ってますね」
そっと彼女は隣で呟く。椅子の上からは外の景色が見えていた。ざあざあと降る雨を見て、私は言う。
「早く止むといいかな~」
「嫌いですか?」
そう返した彼女の視線は、外の濡れた地面に向けられている。
それを見て、私は言った。
「いえ、こんな天気も面白いと思うわ」
彼女の耳がまたぴくりと動く。共感してくれて嬉しかったのだろう。
「ねぇ。ヨアケノカネちゃんは好きな食べ物とかある?」
そっと聞くと、彼女は私の顔を見て答えてくれた。
「......ベーコン」
「ベーコン! 美味しいわよね~、パンにはさんで食べるとそれはもう!」
「違う。そのまま食べるの」
不器用に笑いながら、彼女は言った。
「ふふっ、それもいい食べ方ね」
共感してあげると、さっきよりも大きく耳が動く。
それを見て私は少しほっこりした。
そのタイミングで扉が開き、先生が入ってくる。
「ごめんねー待たせちゃって」
にこりと笑ってそう言った彼女は、ノートパソコンを机に置いて椅子に座った。
「いえいえ、大丈夫です」
「もう外に出て大丈夫だよー」
彼女の言葉で、私たちは保健室を後にする。
ヨアケノカネが出た所で、先生は私に小声で囁いた。
「あの子を頼みましたよ」
「え......?」
彼女が過ぎ去り前を向くと、ヨアケノカネはすたすたと廊下を歩いている。
「あ、待って!」
去り行く彼女の背中を追い、私は保健室から去った。
ーーーーーー
そして彼女を追いかけ辿り着いたのはトレーニングルーム。
そこに居た彼女は、私にこう言った。
「......本当に、私のトレーナーになってくれるの?」
息を切らしながらも、彼女の問いに答える。
「ええ、一緒に頑張りましょう」
「......じゃあ、私に教えて」
そう言い彼女が指さすのは、一台のランニングマシーンだった。
彼女はそれに乗り、スイッチをぽちぽちと押して走ってみせる。
......やはり、その走り方はとても良いものとは言えなかった。
「うーん、もう少し腕を大きく振ってみたら? 脚ももっと大きく動かしていいのよ」
「わかった」
言われた通りに彼女はしてくれたが、ここまで間近で見てみると......やはり細すぎる。
脚も骨が少し浮き出て見えるほどで、モモや腕も筋肉どころか脂肪すら付いていない。
「......」
その事をどう言ってあげたらいいか考えていると、向こうから三人のウマ娘が歩いてくる。
そして彼女らは私たちの前で立ち止まる。その中の一人が言った。
「邪魔なんだけど、どいて」
「え、でも......」
私が反論しようとする前に、ヨアケノカネはマシンを止めそこからどいた。
すると彼女らは何も言わずに乗って走り出す。
「......」
そっと黙り込み、彼女はその場から去った。
私は彼女の隣へ行き、小声で聞く。
「あなたがどく理由なんてないわ、悪いのは彼女......」
「いいの! ......私が言っても、どうにもならないから」
彼女は真顔でそう言い、すたすたとあの場から離れるように歩く。
しかし。その時、背後から誰かの声が聞こえた。
「そこの人ー! ちょっと待ってーっ!」
後ろを振り返ると、そこには何やら元気な赤髪のウマ娘が一人駆け寄ってきているのが見える。
彼女は私たちの前で急停止すると、深くお辞儀をした。
「ごめんね! さっき、私の友達が迷惑かけちゃって」
「え......あなたは?」
ヨアケノカネがそう聞くと、彼女はくるりと回ってシャキッと答えた。
「私はライゼンデトネータ! キミの名前はっ?」
そしてその手をヨアケノカネに伸ばす。
目を輝かせ答えを待つ彼女に、あせあせしながら小さく答える。
「ヨアケノカネ......です」
「わーっ! きれいな名前だね!」
さらに輝く眼差しを私たちに向けると、彼女ははっとして後ろを振り返り先ほどのウマ娘達に言う。
「......ヴィギングちゃん、ネスマクちゃん、ヒューイちゃん。ちゃんと謝ろ?」
すると先ほどの態度が嘘のように、ぺこりと彼女らは頭を下げ口々に謝罪した。
「すみませんでした」
「......ごめんなさい、もう二度としません」
「ごめん」
それを見て彼女はまた嬉しそうに笑うと、またこっちに向いて真剣に言う。
「みんな最近疲れちゃってるから、たまにこうやってひどい事しちゃうんだ。本当にごめんね」
私はそんな彼女ににっこりと笑って言った。
「いえいえ、こっちこそありがとう」
「ふふん。私の得意技だから!」
得意気にそう言うと、彼女はふとヨアケノカネの手を見た。
そして驚いたようにその手を取って、眺める。
「わぁ~、こんなに細くなっちゃってるよ! ちゃんと食べてるの?」
「食べてますけど......」
ヨアケノカネは少し顔を赤くして答えた。
「正直に言ってごらんっ? ホントはどうなのかな?」
すると、彼女は小さく返す。
「......すいません......昨日、お昼しか食べてませんでした......」
それを聞いて彼女は心配そうに言った。
「ダメだよー。もっといっぱい食べないと! ほら!」
「えっ、ちょ......わぁ!?」
彼女はヨアケノカネの手を引き、そしてとてつもないスピードで走り出す。
「ああ、待ってぇー!!」
私は慌てて彼女を追い、そしてトレーニングルームを出た。
もう自分がトレーニングさせられているんじゃないかと思う程に学園内を走り回って、ようやく彼女を見つけたのは食堂だった。
そこの一席に、ヨアケノカネとライゼンデトネータが二人座っている。......山もりのご飯を前に。
「あの......これは?」
困惑して聞く彼女に、屈託もなくデトネータは答える。
「昔の強いウマ娘はね、みーんな大食いだったんだよ! だから......これくらいは食べないとねっ!!」
天をも貫きそうな白米の山と大きなハンバーグを前に、ヨアケノカネは一膳の割りばしを構えた。
「だ、大丈夫なの......?」
「留目さんっ......!」
心配する私を横に、彼女は割りばしを割った。
ーーーーーー
「うぅ......もうむり~......」
「えぇーっ!? まだハンバーグ一枚しか食べてないじゃん!」
確かに大きなハンバーグだったが......たったそれだけでも、彼女は顔色を悪くしている。
私は横から声をかけた。
「ヨアケノカネちゃん......?」
「私......うっ」
顔を上げて私の方を見ると、口を押えて空を仰ぐ。
「あわわ......ごめんね、ヨアケノカネちゃん」
おろおろするデトネータに、ヨアケノカネは言った。
「うぅ......でも、おいし......ありが......うごあ」
そして、彼女は気絶した。
「「うあぁぁーっ!?」」
私たちの叫び声が食堂に響き渡った。
次の瞬間、向こうから一人の警察官のような恰好をしたウマ娘が駆け寄ってくる。
そして焦った表情で私たちに聞いてきた。
「何をしているのですか!? ってこれはぁ!!」
白目を向いているヨアケノカネを見る。すると、彼女はデトネータに向かって銀色の筒を投げる。
「うわぁ!」
それは一瞬にして大きな網になり、彼女を包み込み捕縛した。
「あの、これは違って」
「話は後で聞く、大人しくしろ!」
そして私も網に包み込まれ、そのまま運ばれた。
ーーーーーー
「ん......はっ、どこ!?」
目を覚ますと、そこは無機質なコンクリートの壁に包まれた部屋。縄で縛られ、椅子に座らされている。
とても狭く、目の前には机が置いてあった。
「ここは取調室......私の巣へようこそ」
そうして出てきたのは、栗毛のウマ娘だった。彼女はこつこつと歩き、私の目の前に座る。
そして腕を組み、私に聞いた。
「あなた、あのウマ娘に何をしていたの?」
「え、私は何もし.......」
そう言いかけて、気を失う前の事を思い出す。
確か食堂でヨアケノカネちゃんが倒れて、それで。
「後ろめたい事があるようね」
そう言われて私が黙っていると、彼女はさらに畳みかけるように言った。
「そもそも......あなたは学園のデータベースに入っていない人物のようだけど」
「え、どういう......私はここのトレーナーですよ!?」
私が大声でそう叫ぶと、彼女はぽかんとする。
「え、そうなの? じゃああの子は......」
「あの子は私の担当です! それでデトネータさんにあの山盛りのご飯を食べさせてもらって......」
この機会を逃さず必死に弁明する。
そして彼女はドアを開け、その向こうにいた誰かにこう聞いた。
「ねぇ、ちゃんと調べたの? ああ言ってるけど......」
「はい! きちんと右左確認して言いました!」
「ちょっとそれ見せて」
何やら端末らしきものを受け取り、それを見ている。
「ああーっ! ほら、ここ! 書いてあるじゃない!」
「すいません! 見てませんでしたぁー!!」
そして彼女は私の近くに駆け寄り、土下座をして言った。
「私共の手違いで不必要に拘束しご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした!!」
「い、いえ......大丈夫ですよ、ハハ......」
苦笑いして返すと、扉からもう一人。眼鏡を掛けたショートのウマ娘が耳をたれて入ってくる。
「す......すみませぇん......」
「ライオット、早く解いてあげなさい!」
「はいぃ......」
その子は何やらバケツと刷毛を取り出す。
そして私の縄にそれを塗ると、するするとそれは解け私は自由になった。
「おぉ......すごい」
さっきまでカチコチだった縄がこんなにも簡単に解けるとは。
最近の技術に関心していると、彼女は苦笑いして言う。
「もうここから出て大丈夫です、本当にごめんなさい」
「いいですよ。......それより、あなた達は?」
彼女らはお互いに目を合わせ驚いたが、直ぐにビシッと構えて敬礼をする。
「トレセン学園警備委員のフラジャイルです」
栗毛のウマ娘がそう言い、続けて眼鏡の子が言った。
「同じく、トレセン学園警備委員副委員長のタカネライオットです!」
「警備委員......?」
目を丸くして聞く私を、彼女らは外へと連れて行く。
すると、その先にはヨアケノカネがいた。
「ヨアケノカネちゃん、大丈夫!?」
私が聞くと、彼女はうなずく。
「うん......怖かった」
見つめ合っている私たちを後目に、彼女らは話していた。
「まったくもう! 私たちの仕事は責任あるものなんだから、きちんとしなさいよね!」
「ずみまぜん......ひん」
半泣きのライオットを前に、フラジャイルは顎を撫でて呟く。
「それにしても......もし、この事がプロジェクタイル委員長にバレたら」
私は首を傾げて聞いた。
「プロジェクタイル......? 誰ですか?」
すると彼女は大驚きし、目を丸くして言う。
「知らないの!? あなた本当にここのトレーナー?」
「ここに来て日も浅く......事務作業と座学しかしていなかったので」
私がそう答えると二人は顔を見合わせ、そして胸を張って語り始めた。
「プロジェクタイル委員長は我々を導くリーダーよ!」
「容姿端麗はもちろんとして学園を乱す者に対し容赦せず、脚も速い! あとなでなでしてくれます!」
「正に走る正義! 学園の守護者!」
はきはきと語り続ける二人を、私はただにっこりと笑って見ていた。
「あの......デトネータさんは」
ヨアケノカネが心配そうに呟くと彼女らは言う。
「彼女には、二週間の外出禁止令......あと、よそったご飯を全部食べてもらっているわ」
「そうそう、ついでに反省文もね」
すると、ヨアケノカネは立ち上がってもじもじしながらも言った。
「あの......あの人、悪意があってやったわけじゃなくて............私に優しくしてくれたから......その」
しかし、フラジャイルはこう返す。
「......ごめんね。やった以上は、罰さなきゃいけないの。私も、あの子がイタズラでしてるんじゃないって事は分かってる」
「でも......そうだとしても」
彼女は顔を俯かせ、そして顔を上げる。
寂しげに笑っていた。
「ううん、やっぱりいい。ありがと」
何か諦めきれないような顔をしつつも、彼女は再び私の元に下がった。
すると、フラジャイルもどこか悲しそうな顔をする。
「ん」
しかしその時。何やらライオットが部屋の扉の前へと歩いた。
「......?」
何をしているのか分からないまま見ていると、彼女は耳をぴょこぴょこさせて何かを待っている。
そして次の瞬間、扉が勢いよく開いたのだ。
「!」
その先にあったのは......羽ばたくように宙を舞う長い空色の髪。使い込まれ、数々の戦いを乗り切ったかのような警備服。
威厳がありながらも、どこか遠くを目指しているかのような目。モデルのような体格に宿る実用性の高い筋骨格。
それは言うまでもない。そのウマ娘は、只者ではなかった。
「プロジェクタイルさ~ん!!」
「ああ、今戻ったよ」
ライオットが抱き着くと彼女はそれを受け止める。
そんなライオットを傍に、私たちの方を見て言った。
「......そこのあなた達は?」
「あわわ......」
膝を震わせるフラジャイルに、彼女は何かを察したようだ。
すると、私たちの元に歩いてきて言う。
「すまなかったね、監督をしていなかった私の責任だ。この件の賠償は必ずさせてもらう」
「い......いえいえ、とんでもない!」
「いや、そうする義務がある。兎に角、安全の為にも今日は帰りなさい」
優しくも厳しい表情でそう言うと、ヨアケノカネを見て言う。
「君も、早く帰った方がいい。門限を破ってまたここにとんぼ返りさせるのは心が痛む」
すると、彼女は汗を流し手を握りしめる。
「......うわああぁぁぁ!!」
そして叫びながら部屋の外へと走り去ってしまった。
「え、......ええ?」
困惑している私を傍に、彼女は頭を抱える。
「ああ......」
「どうしたのですか?」
私が聞くと、彼女はそっと笑顔を作って答えた。
「何でもないさ......早く帰りなさい」
彼女の言葉のままに、私は部屋を出た。
本作品はpixivにも投稿されています。ご了承ください。
また、執筆にはAIのべりすとを使用しております。
生成された文章には加筆・修正を加えて投稿しています。
AI/人力の割合は4/6程です。
感想や良点悪点などございましたら、ぜひコメントお願いします。
参考にさせて頂き、本作品の改善に努めて参ります。
私の小説が、あなたの日常に少しでも彩を加えられたのなら幸いです。
ここまで読んでくれたあなたに幸のあらんことを。
この後の展開が気になりましたか?
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気になった
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気にならなかった
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どちらとも言い難い