ウマ娘プリティーダービー She'll be DAYBREAK 作:ポンドアップル
ーー 第3R 引き立たせるは晩の風 ーー
その後。私はヨアケノカネの事が心配になり、彼女の様子を見に行く事にした。
「え~っと......ヨアケノカネちゃんは美穂寮だから......こっちの寮にいるはず」
見えた建物に近づこうとすると、背後から声を掛けられた。
その声の主は、警備委員のウマ娘。
「あなた、こんな時間に何をしているのですか?」
「担当のウマ娘さんと少し事情があってですね......」
そう言って私のトレーナー免許と、さっき作ったばかりの契約書を渡す。
すると、契約書を見て彼女は何かを察したように言う。
「あ......そうですか。分かりました。今、寮長をお呼びします」
「ありがとうございます」
そして待つ事数分。彼女が戻ってくると私を連れて歩き出した。
「ついてきてください」
そして通されたのは美穂寮の玄関口。そこには、黒鹿毛のウマ娘が腕を組んで立っている。
彼女は私を見て、真っ先に口を開いてこう言う。
「こんばんはと言わせてもらおう、歓迎する!」
「え、あ......こんばんは」
私の隣に居た警備委員が静かに注意する。
「もう夜7時です、イエローポイント寮長。静かにしなさい」
それを聞いて、彼女も少し声のトーンを下げた。
「おお、これはすまない......それで、何の用だったかな」
「ヨアケノカネさんにご用がありまして......」
そう言うと、彼は少し笑って返す。
「彼女......今、取り込み中だからな。怒られる程ではないと思うが、注意して入り給え」
私がこくりと頷くと、彼女は廊下への扉を開けた。
ーーーーーー
(暗いなぁ......ちょっと怖いかも)
まるで消灯後の院内のような、真っ暗になった廊下を歩いている。
「ひょえーーっ!!!」
「うわぁぁああああ!!」
突然聞こえた声に驚き、しりもちをつく。
......何やらぶつぶつ言っているな、幽霊ではなさそうだ。生霊ではあるかもしれないが。
(早く行かなきゃ)
声を立てないよう、静かに彼女の部屋へと向かう。
そして寮の端っこ。そこに、ボロボロの扉があった。
部屋の番号が書いてあるプレートも外れているが、資料によるとここで間違いないそうだ。
(......うん)
そっと三回、扉を叩いた。
「......」
すると、小さな声で彼女は言う。
「入っていいですよ」
私は扉を開けた。
それと同時に、冷たい夜風が体に吹き付けられる。
「あ......」
そこには、ベッドの上で正座し祈りを捧げる彼女の姿があった。
「......少し待ってもらえますか」
申し訳無さそうに言う彼女に「気にしないで」と言って部屋に入る。
窓が開け放たれており、そこからは綺麗な星空が見えていた。
彼女は手を合わせて目を瞑ったまま呟く。
「......いつも、こうやって祈っているんです」
「ふふ。何をお願いしているのかな?」
そう聞いてみるが、彼女は答えてはくれなかった。
そしてそのまま数分経つと、彼女は呟く。
「五分経ちました。今日はこれで合計37分」
そして手を二回叩き、そっと目を開けた。
「今はもう大丈夫なの? ......ほら、さっきの」
私はそう聞いた。すると、彼女は耳をぴくりとさせる。
「う......うん」
「辛かったら言ってもいいのよ?」
手を彼女の頭に差し伸べたが、さっと避けられる。
「......」
「......あ、正式に担当として登録しておいたから、明日からはレースにも出られるようになるよ」
「......!」
少しびっくりして彼女は私の目を見る。
「いや、何でもない」
彼女はそう言って、ベッドを立った。
私はふと彼女の向かい側にあったベッドが気になった。整理されている訳でもなく、枕元には何も置かれておらず、一回も使われていないように見える。
「同室の人は居ないの?」
「うん......独りがいいから」
悲しげに呟きながら、彼女は水道水をコップに入れる。
それを飲み干し、一息ついた。
「ベーコン、食べます?」
「いいの?」
こくりと頷いたのを見て、私もお願いした。
少しして、彼女は冷蔵庫からパックを取り出す。
どこのスーパーにでも売っている、四枚~五枚入りのベーコンだった。それを開けて、箸を使い丁寧に口へ運ぶ。
「......おいしい」
その時だけは、少し笑っていた。
「じゃあ、私も一枚」
顔色を伺いながら、一枚のベーコンを箸で取る。
そして口内へと放り込んだ。
......調味液の塩味、そこに脂肪分が混ざり込み口の中はハーモニーで満たされる。
冷蔵庫から取り出したばかりのベーコンは冷たく、外の涼しげな風も相まって独特な感触を編み出していた。
......うめぇ、こんなにもベーコン一枚を味わったのは初めての事だったろう。
「......」
しかし、それ以上に隣にいた彼女は一枚一枚を深く味わって食べていた。
とても嬉しそうに。幸せそうに。
その姿を見ると、私も嬉しい気持ちになった。
「……あ」
彼女がこちらに気づいた時、ベーコンは一枚もそこに残っていなかった。
「すいません、つい......」
申し訳無さそうに俯く彼女。私は彼女をただ、微笑んで見つめていた。
「いいよ、一番おいしそうに食べてたし」
「留目さん......」
その時、部屋の扉を何かが叩く。
何か何かと思い開けると、そこには犬ほどの大きさをした四足歩行ロボットが佇んでいた。
「あ、洗濯です」
ヨアケノカネはそう言うと、部屋の奥からカゴを持ってきてそれの目の前に置く。
すると、ロボットはそれを器用に背中へと乗せ、サーボモーターの音を鳴らしながら向こうへと歩いていった。
「あの子が運んでくれるの?」
「寮長さんの趣味......というか、家業なので」
よく見てみると、それは一台だけではなかった。数体のロボット犬が、洗濯物の入ったカゴを運んでどこかへと向かっていく。
「すごい......ついて行ってもいいですか?」
そう聞いてみると、彼女は静かに頷いた。
「じゃあ、また明日」
「おやすみ。いい夢見てね」
部屋から出てみると、最後のロボットが階段を降りているのが見える。
そこに行くと、彼らはリフトのような物を使って下へと降りていた。
私もそれについて行くように階段を降りていくと、そこは寮の一階。
唯一電気の点いていた一室に入ると、そこでイエローポイントさんに会った。
「留目先生か。今、洗濯をしている所だ」
彼女は次々と運ばれてくる洗濯籠の中から衣類を取り出し、壁にあるたくさんの洗濯機へと放り込む。
「もしや......このロボットが気になるのか?」
「はい、それで」
すると彼女は私の元に駆け寄って、嬉しそうに聞いた。
「それは本当か!? 最近はみんな慣れているから、私も退屈していたのだよ!」
そして籠を置いて帰ろうとした一体のロボットを鷲掴みにして、それを私の目の前に出した。
「これは私の実家で生産・販売しているロボットでな、行動プリセット登録による幅広い用途、さらに自己学習能力による正確かつ臨機応変な対応能力を備えた最新鋭の民間向け作業用歩行......」
「あ、分かりました」
私が手をつっぱって言うと、彼女は私を睨んで返す。
「......今、何と?」
「ひっ......何でもありません」
すると再び彼女は語りだす。
「動力はウマムスコンドリアを利用した電気合成機関を使用しているので電池切れの心配もほぼほぼ無用! さらに各部のサー......」
彼女に掴まれているロボットはひたすらじたばたし、そんな光景を前に私は動けずにいた。
結局洗濯が終わるまで一時間程話を聞かされ、虐められていたのか勉強になったのかよく分からない気分になった。
「ああ......もうロボットはしばらくいいかな」
一人夜トレーナー寮へと帰り道を歩いていると、遠くから何か声が聞こえる。
「こっちだ! 急げ!」
興味をそそられ、音のする方へと走って行った。
辿り着いたのは校庭。そこで、数人のウマ娘達がなんと花火をしている。
そこに、二人の警備委員が注意をしにやってきた。
「そこのお前ら! 何やってんだぁ!」
「邪魔すんじゃねぇぇ!」
引き下がらず、踏み出しもせず。彼女らは一向にやめようとしない。
その度に火花が散り、芝を照らす。
(まずい、このままだと火災が......)
何かできる事は無いかと慌てていると、彼女らに向かって走る一人のウマ娘が見える。プロジェクタイルさんだ。
「はぁあああ!!」
そして彼女は何やら銃らしきものを向ける。それから打ち出された弾は、ロープとなって彼女の足に巻き付いた。
「ちょ! 動けない!」
芝の地を駆け巡り、一人一人と散ってゆくウマ娘を拘束する。
そして全てが捕まり、連行されていった。彼女は額の汗を拭い水筒を飲み干す。
「わぁ......」
思わず見とれていると、こちらに気付いたのか駆け寄ってきた。
「留目さん? こんな所に何の用だ?」
「あ、すいません。寮に帰る途中で......」
すると、彼女は穏やかに笑って言う。
「すまなかったね。お見苦しい物をお見せしてしまって。もっと早くに対処するべきだった」
「いえいえ、とんでもない! 素晴らしい走りでしたよ! スカウトしたいくらいです!」
「気持ちだけ受け取るよ。私はもうチームに入っているからね。それに、君はヨアケノカネの専属だろう」
私ははっとして、彼女を見た。
「ともかく、早く帰った方がいい」
その言葉に従い、私はそそくさと帰って行った。
ーーーーーー
あのようなアニメのような非日常な風景からも、この場所でノートパソコンの前にいるとあっという間に現実へと引き戻されてしまう。
「はぁ~......」
トレーニングの方法、効率的な走り方。
昔書いた論文を見直してみても、いまいちピンとこなかった。
「届さんならどうするかなー、こんな時」
いや、あんまり人に頼りすぎちゃダメだ。
クリアファイルから過去の遺物を引っ張り出して、眺めては昔の自分に嫌気がさす。
「どうしてこんなの書いたかなぁ......もっとうまくできたでしょ」
結局答えは見つからず仕舞い。明日も早いので、もう寝てしまおうか。
そんな時に、スマホが私に電話で知らせる。
「もしもし?」
「あ、留目ちゃん! 昨日会えなかったけど大丈夫だった?」
電話をかけてきたのは届さんだった。私は元気そうな彼女にホッとしながらも、その問いの答えを出し渋っている。
「うん......担当は見つかったよ」
だが、彼女にはお見通しだった。
「でも元気無さそうじゃん。いつも私が聞いてもらってるんだし、聞くよ?」
優しい彼女に心から感謝しながら、私は胸の内を述べた。
するとそれを親身に聞いてくれて、アドバイスをしてくれる。
「そうねぇ......それはもう先にメンタルケアをしてあげた方がいいと思うわ。まずは不安の原因を見つけて、それを打ち砕いてあげましょう! 得意でしょう?」
「うん、やってみます」
そしてお礼を言って、電話を切った。
しかし。ベッドに入った途端、また不安が襲い掛かる。
彼女の人生を背負えるのか。私が力になれるのか。そもそも、ここでこの決断は遅かったのか。
「ああ......」
......でも、もう考えない事にした。
「っああ!! もういいわ、やってやろうじゃないの!」
やけになって布団を顔まで被り、微睡を越えて明日へと......
ただ、体を休める事だけを考えた。
本作品はpixivにも投稿されています。ご了承ください。
また、執筆にはAIのべりすとを使用しております。
生成された文章には加筆・修正を加えて投稿しています。
AI/人力の割合は4/6程です。
感想や良点悪点などございましたら、ぜひコメントお願いします。
参考にさせて頂き、本作品の改善に努めて参ります。
私の小説が、あなたの日常に少しでも彩を加えられたのなら幸いです。
ここまで読んでくれたあなたに幸のあらんことを。
この後の展開が気になりましたか?
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気になった
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気にならなかった
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どちらとも言い難い