狭間の地から四方世界へ   作:段々畑

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また、遅刻しました……
申し訳ございません

こんな自分の作品を最後まで見てくださり
本当にありがとうございました

感想、評価、誤字報告いつもありがとうございます。


新しい時代、新しき神ー褪せ人+エピローグ

 狭間の地と四方世界で起きた異変

 それは奴の策略であった

 

 奴は先ずは必要なものを

 狭間の地から四方世界へ運び込んだ

 

 運んだのは奴自身ではなく

 四方世界にいる無名の神々であろう

 

 奴の力を用いれば造作もないことだ

 

 己の地位を絶対的なものにするため

 腐敗の神を封じた地下の湖と

 三本指をこちらに運び込んだ

 

 神々の排除するため

 死王子とその中の死竜を利用して

 運命の死をこちらに運び込んだ

 

 そして肝心の排除を行う者だが

 これは……我が王が自ら行う

 はぁ、全くお人好しめ

 

 残りのものは

 四方世界で手に入れる

 最高の立候補者も現れたことだしな

 

 ………全く嫌になるな

 

 結局のところ

 全て奴の思惑通りと言うことだ

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 黄金の炎で男が消滅したことを確認し、勇者は溜息をつく。

 

「初めて会った時もそうだったけどさ……貴方は僕の事を侮り過ぎだよ」

 

 男はこの世界の苦痛と絶望を語り、正しき王になるよう勇者に勧めた。勇者の故郷で起きるであろう、悲劇についても。

 

「そもそも、僕はゴブリンの危険性を良く知ってるよ。何せ、殺されかけた事があるんだから」

 

 それは、勇者がまだ小さい子供の頃の話。勇者の村に、ゴブリンが襲撃してきたのだ。しかし、一人の冒険者がゴブリンを退治してくれた。

 

「どんな人だったか、もう思い出せないけどね。院長先生なら覚えているかな?もしかしたら、あの人がまた来てくれたりしてね」

 

 流石に都合が良すぎかな?と、勇者も思う。しかし、何故かそうであるような気がしてならない。賢者や剣聖が、よく言っていたものだ。勇者の勘はよく当たる、と。

 勇者は自分が世界を救っている間、冒険者が村や街を救っていることをよく知っている。だからこそ、勇者は世界を救うことに専念できるのだ。

 

 

「それに思うんだけど、狂い火を受領した混沌の王が生まれても、結局誰かが倒しちゃうんじゃないかな?仮にそうならず世界を焼き溶かし、隔て無く一つにしたところで、長い時を経てまた分かたれて生命が誕生すると思うんだ」

 

 三本指が目指すものも所詮一時しのぎにしか過ぎない、と勇者は考える。

 生命が存在する限り、苦痛も絶望も生まれてくる。しかし、生命をどれだけ否定したところで、いつかまた生まれて来る。ならば生命を否定せず、苦痛と絶望に立ち向かう方が良い。

 実に単純な結論だ。だが、それで良いと勇者は思う。己は、賢者でも哲学者でもないのだから。

 

 勇者は男を倒すのに使用した、白い短剣を懐にしまう。褪せ人が、折れた聖剣の代わりに手渡してくれたもの。曰く、使命に旅立つ者に与えられる短剣とのこと。

 

 

 褪せ人が、勇者の決意を聞いた時だ。本当にそれで良いのか、と褪せ人は勇者に尋ねた。そして、勇者が己の決意を決して曲げないと判断した。

 決意を抱いた勇者の姿に、褪せ人はあの火種となった少女を重ねた。彼女もまた、決して己の意志を曲げなかった。

 そして褪せ人は、その白い短剣を勇者に託した。

 勇者は白い短剣に触れた時、その短剣に込められた思いを聞いた気がした。その短剣に込められた思いと、自分の思いを重ねて語る。

 

「僕の使命は、神から授かったもの。けれど、今は形を変えて、僕の意志になった。神の意志とは関係なく、ただ僕が望む、世界の姿のために。僕が、心に決めたもの。…誰にも、それを侮辱させない」

 

 まるで詩のように言葉を紡いだ勇者は、己の決意を果たすため再び進み始めた。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 四方世界において最も高く、麓の民からは信仰の対象にすらなっている、とある霊峰。その霊峰の頂上を目指して、褪せ人は霊馬を駆る。

 ただの馬では、霊峰の寒さと暴風に耐えることができないだろう。だが、褪せ人と共に狭間の地の巨人たちの山嶺も駆け抜けた霊馬には、寒さも暴風も障害になりえない。

 気流に乗り、切り立った断崖を軽々と跳び越えていく。霊峰の厳しい環境だけでなく、怪物たちも立ちはだかるが、それが何だと言うのだ。この程度の怪物は、狭間の地でも散々仕留めてきた。

 怪物よりも、しろがね人の矢の方が遥かに恐ろしかった。

 頂上に居座っていた邪魔な竜を退かして、安全を確保する。周囲の障害を排除し終えたことを確認して、霊馬から降りる。

 今から行うこともあり、巨人の火の釜を思い出す。今でも、彼女が火に身を投げた時を鮮明に思い出せる。そして、彼女の思いと願いも。

 この世界にも、狭間の地と同様に苦痛と絶望があった。それでも生があること、生まれることは素晴らしいことだった。彼女の言葉に間違いなど無かった。

 

 さあ、今一度生きる者のため大罪を犯そう

 神と骰子が作り出す運命を壊そう

 

 空を見上げ、それを見る。己は、かの将軍の如くそれを砕くだけの技量がまだ無い。故に、足りぬ分は補って貰わねばならない。その為に、空に最も近い霊峰の頂上までやってきたのだ。

 片手に青い王笏を、もう片方に隕石の杖を構える。準備を終えると同時に、懐の人形から声が聞こえて来る。

 

 王よ、聞くまでも無いだろうが準備は良いか?

 そうか、ならば始めよう

 

 星々よ、我が暗月に集え

 そして夜の王に力を

 

 青い王笏をかざして暗月を作り出す。暗月は作り出されると同時に、遥か上空へ向かって浮かんでいく。それに従うように、多くの星々が暗月のもとへ集まってくる。次に隕石の杖をかざして、暗月に集まった星々に重力の力を宿す。

 

 これで、足りぬ分は全て補えた

 

 

 

 霊峰の麓にある小さな村。

 

「あ!」

「どうしたの?今日はもう遅いから早く寝なさい」

「母さん、あれ!流れ星が!」

 

 窓から夜空を見上げていた子供が、あることに気づいて指差す。母親はその指先を、訝しげに見る。そして、母親は自分が夢を見ているのだと錯覚した。

 

 

 

 夜が訪れている場所で、それが見えぬ場所など無かったであろう。当然、西方辺境の冒険者ギルドも例外ではない。

 

「ちょっと、お針子!」

 

 酒の入った妖精弓手に付き合わされていたお針子が、突然ギルドから外に飛び出した。

 逃してなるものかと妖精弓手が後を追うと、他の者たちも後を追う。それを見ていた冒険者たちや受付嬢、給仕なども様子が気になり窓から外を覗く。

 そこには夜空をじっと見つめるお針子と、口を半開きにしながら夜空を見上げるゴブリンスレイヤーたちの姿があった。自然と誰もが夜空を見上げた。

 

「……何?何なのこれ?」

「質の悪い酒で酔ったのかと思ったわい」

「何と、この様な光景をこの目で見ることになろうとは......」

 

 その余りの光景に、ギルド周辺だけなく街中が大騒ぎになる。誰もが、信じられないという風に何度も目をこすって見つめ直す。

 そんな中、この状況でもいつも通りの変わり者が一言だけ呟いた。

 

「これで、ゴブリンが増えにくくなる」

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 偽りの緑の月よ、砕け散るがよい

 

 新しき時代のために

 

 

 

────────────────────

 

 

 

「諦めよ。今更、何をしても無駄だ」

 

 星卓、神々の御座、数多くの名を持つその場所は、水晶のような氷の封印で覆われていた。そこにいる者を、決して逃がさぬ封牢のように。

 冗談ではない、と封印を作り出した者を取り囲む。今すぐにこの封印を解け、と。

 

「全く、うんざりだ。貴様らの息は臭過ぎる」

 

 その言葉と共に、取り囲んでいた者の一部が消滅し、一部が氷漬けになる。残った者は、戦意を失い慌てて背後に飛び退く。盤から溢れ出たものに触れた彼らにとって、死は完全なる終わりを意味する。

 封印を作り出した者、暗月の女王は四本ある腕の一つを地面にかざす。すると、大剣を携えた騎士のような者、褪せ人が出現した。

 

「ここにいる者たちは、遥か昔に自ら戦うことを止めた者たちだ。先ほど、少しばかり数も減らしておいた。まさか、負けたりしないよな?我が王よ」

 

 そのようなことを言われては……

 一度たりとも負ける訳にはいかないな

 

 褪せ人は大剣を輝かせ、残った者たちに向ける。彼ら、四方世界の上位の神々は大剣を向けられて、漸く覚悟を決めた。

 

 想い人の言葉のせいか。

 或いは想い人が直ぐ傍で見ているためか。

 褪せ人は、一度たりとも敗北することは無かった。

 

 

 

──────────

 

 

 

「……漸く、終わるな。全く、長い寄り道になってしまった」

 

 暗月の女王は、疲れたとばかりに語る。彼女の言う通り、本当に長い寄り道になってしまった。

 

「お前のせいでもあるぞ、我が王よ。お針子の嘆願を聞くから、この様なことになったのだ。異変が奴の策略だと分かった時点で、旅を再開しても良かったのにな」

 

 褪せ人が申し訳なさそうにすると、暗月の女王は悪戯っぽく笑って許す。

 

「さて、仕上げに掛かるとしよう。まずは、神々の力だな」

 

 この場で倒した神々の力を、大ルーンに変換する。そして、流星として四方世界にある聖樹へと送り込む。

 

「足りなかった血は、あの子が捧げた。奴の王になることと引き換えに。大ルーンも送り込んだことで、聖樹が黄金樹となる条件が全て整った。時間が経てば、聖樹に戻った繭から神が生まれる。だがこのまま、奴の策略通りになるのは癪だ」

 

 暗月の女王は氷に封じた神、《幻想》と《真実》に振り向く。

 

「王よ、思いあがった下卑から受け取った薬があっただろう。安心しろ、怒ってなどいない。お前は、それを一度も使おうとしなかった。だからな、その薬を奴と似た思いあがった下卑に使おうと思ってな」

 

 神々の運命を司ると言われる、琥珀色の星光。それから作られた精薬が、《真実》に注がれる。

 

「《真実》の傀儡よ。お前は四方世界を、その盤を見張れ。新しい神が誕生した後、盤外から何者も干渉させず、盤内からは何者も外へ出すな」

 

 《真実》は何も言わず、操り人形のような動きで盤の傍に立つと、じっと見つめ始めた。

 

 次に暗月の女王は、《幻想》の氷を解く。少女のような姿をした《幻想》は、目の前で起きたことに震えが止まらないでいる。完全なる終わりも、心と意志を失うことも怖くて仕方ないらしい。

 暗月の女王は、ある物を取り出すと《幻想》の震える手に無理やり持たせる。

 

「神々が誕生する前から存在したという、二つの骰子。それを作ったのは恐らく……いや、もはやどうでもいいな。兎に角、お前は二つの骰子を持って出て行き、二度と戻るな。さぁ、私の目の前から消えろ」

 

 その言葉と共に、暗月の女王は星卓に施した封印を全て解く。《幻想》は返事をすることもなく、二つの骰子を持って出ていった。もう、二度と戻ることはないだろう。

 

 用事を終えた、暗月の女王は星卓の盤を見つめる。

 

「緑は王が砕いたが、赤いのはどうするかな?色が褪せて、もはや赤ではないが……折角だ、母の月のように創り変えるか。明るく、夜を照らす月の方が、あの世界の者たちにとってありがたいだろう」

 

 四方世界の赤かった月が、明るく輝く満月に変わる。その出来栄えに、暗月の女王は満足げに微笑むと、褪せ人へ優しい声で語りかける。

 

 

 

 これで、全て終わったな

 

 新しい神が生まれるまで

 それなりに時間がある

 

 その間は四方世界に居られる

 

 

 王よ、お針子のもとへ行け

 

 神はもういないのだ

 街に立ち寄っても何も問題はない

 

 今度こそ

 旅立ったら二度と会うことはない

 

 四方世界で

 最後の思い出作りをしてやれ

 

 私は先に戻るとしよう

 

 狭間の地で待っているからな

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 エピローグ(西方辺境)

 

 お針子は、狭間の地に帰るまで

 彼の王と西方辺境で幸福なひと時を過ごした

 

 お針子は世話になった人々に王に紹介し

 王はお針子が世話になったお礼として

 様々なものを彼らに送った

 

 

 

 妖精弓手は異界の地図、その写しを受け取った

 

 世界が隔たれようと神がそれを見張ろうと

 それが永遠だとは限らない

 

 ならば、己が異界に行く機会もあるかも知れない

 

 森人の一生は恐ろしく長いのだ

 こういう楽しみを取っておくのも悪くない

 

 彼女の一族は黄金樹に従うものと

 祖霊の民のように地下に封じられるものとで二分化した

 

 彼女の姉と義理の兄は彼女の助言もあって

 黄金樹に従う道を選んだ

 

 

 

 鉱人道士は、美味い物や酒を頼んだが

 酒はなく、美味い物もゆでエビとゆでカニくらいだ

 

 ならば、一族への贈り物に何か精巧な物

 王は悩んだ末、滑車が施された弩を渡した

 

 それが彼の一族の運命を変えた

 

 鉱人のたちは天才が作ったその弩から

 力学や工学に隠された黄金の比率を見つけ

 その探求に大いに湧いた

 

 鉱人は黄金律の探究者となっていった

 

 

 

 蜥蜴僧侶は、聖印を受け取った

 

 古龍の鱗から作られたとされる聖印に

 蜥蜴僧侶は大変喜んだと言う

 

 因みに褪せ人を介して

 お針子は漸く彼が竜餐とは関係ない事を知った

 

 蜥蜴僧侶は笑って語った

 

 竜餐は大変興味深い

 しかし、地竜とはいただけませぬ

 やはり竜たるもの、天を駈けなくては

 

 竜は黄金律の友であった

 それを目指す蜥蜴人の生活は

 新しい時代でも変わらない

 

 

 

 女神官は、石鹼を受け取った

 

 何故そんなものを、と

 褪せ人は疑問に思ったが

 何やら切実な理由があるらしい

 

 これで、暫くの間はやっていける

 

 死んだ目でそんな事を口にしていたから

 

 

 

 ゴブリンスレイヤーは

 何も受け取ろうとしなかった

 

 しかしお針子が必死に言うので

 牧場用に乾燥させた実と

 投擲武器と灯り石を受け取った

 

 灯り石は《聖光》の代わりになるらしい

 

 数が減ったとはいえ

 彼のやることは大して変わらない

 

 ただ、ゴブリン退治が無いときは

 冒険に出るようにするつもりだとか

 

 

 

 受付嬢は、何も受け取らなかった

 

 誘惑の枝を見た時は

 かなり頭を悩ませていたが

 

 そんなものに頼ってはいけない

 そう言って気合いを入れ直していた

 

 

 

 女魔術師は、鈍石の研究の写しを受け取った

 

 魔術の才能がありながら

 致命的な失敗の経験がある彼女に

 褪せ人は可能性を感じたのだ

 

 彼女は知っている

 才ある者が成功するとは限らず

 才なき者が成功しないとは限らないことを

 

 研究に専念するため冒険者を辞めて

 学院に戻った彼女が最初にしたことは

 天狗になっていた弟の鼻を折ることだった

 

 

 

 貴族令嬢一行とは、軽い語り合いで終わった

 

 貴族令嬢が、何故か褪せ人に対して

 上手く話すことができなかったから

 

 女魔術師は振り切ったのに、と

 仲間たちから呆れられていた

 

 

 

 春になって漸く帰ってきた

 槍使いと重戦士たちは模擬戦を所望し

 褪せ人は彼らの技量を大いに褒めた

 

 また、槍使いは氷の槍の技を習い

 重戦士は重厚に鍛えた特大剣を受け取った

 

 褪せ人は二人の技量を見込んで

 ある頼み事をした

 

 それは結果として、重戦士が果たすことになる

 

 重戦士は水を操る塒(とぐろ)巻く大蛇を

 受け取った特大剣で分断した

 

 結果、その特大剣はこう呼ばれる

 『竜殺し』或いは『大蛇断ち』と

 

 褪せ人はその可能性を心配し

 蛇の少女を探したが

 遂に見つけられなかった

 

 褪せ人の大鉾は狭間の地に残さねばならない

 火山で蠢くものが復活した際に対抗するため

 

 故に、この地にも必要だったのだ

 大蛇を殺せる武器が

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 エピローグ(勇者一行と国王)

 

 勇者は聖樹と繭に血を捧げ

 新しい神の王となった

 

 腐敗と狂い火を徹底的に封じ込め

 神に従わぬものたちを排除していった

 

 やがて、かつて仲間であった者と対立し

 その瞳は褪せずとも暗くなっていった

 

 それでも彼女は王を辞めない

 それを必要とする者たちがいるから

 

 

 

 賢者は世界中に己の見たものを

 書き残すことにした

 

 無垢なる黄金の時代は始まったばかり

 

 それを評価するには

 己の一生では足りない

 

 故に本に石碑に、歴史を残すのだ

 

 後世の人達がより良い時代を築く

 その道標になる事を願って

 

 

 

 剣聖は勇者とも賢者とも縁を断った

 彼女は神が許せなかった

 

 異界の問題を持ち込んだ神も

 それに何もしなかった無名の神々も

 

 例え勇者と対立することになっても

 彼女は神への冒涜を選んだ

 

 故に、その蛇の少女と出会うのは

 ある意味、必然でもあった

 

 

 

 国王であった都の領主は

 時代の変化の対応に一生を捧げた

 

 冒険を失った冒険者たちのため

 ギルドを職を見つけ出す場に変えるなど

 様々な功績を後世に残した

 

 恐ろしく苦難の多い人生であったが

 新しく王となった勇者を放っておけず

 最後まで彼女の支えとなった

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 エピローグ(異界から来たもの)

 

 奇矯騎士は約束の果てに

 戦士として誉れ高い死を迎えた

 

 これで友に胸を張って会えると

 その死に顔は大変穏やかであった

 

 最期まで彼は約束に縛られていった

 その在り方は戦士の壺に引き継がれる

 

 

 

 

 戦士の壺は奇矯騎士と約束した

 己の試練となり、戦うことを

 

 壺はその試練を無事に乗り越え

 奇矯騎士の在り方を受け継ぐことになる

 

 律義に約束に縛られるという在り方を

 

 結果、辺境の少女とした約束も律儀に守り

 戦士として道を踏み外さない範囲で

 己の命を大切にするようになる

 

 血潮で語り、約束を守る

 実にやりがいのある戦士の在り方だ

 

 

 

 大角の騎士は相変わらずだ

 戦う者のもとへ急に現れ

 助力して立ち去る

 

 いつしか彼は伝説となり

 四方世界の子供に最も人気な

 英雄として語られるようになる

 

 

 

 フーテンは蛇の少女のもとへ行った

 

 まさか本当に補う者を見つけるとは思わなかった

 

 補う者は彼女の母親とは全く違う

 

 だが冒涜者の末路など高が知れてる

 それは己の末路も同様だ

 

 ならばもう一度、冒涜者に手を貸しても良い

 

 彼は己の汚名すら利用して

 英雄を巧みに少女のもとへ連れていく

 

 食うか食われるか

 それは英雄次第だ

 

 

 

 赤いフードの商人は商売を続けるうちに

 蜂蜜色の綺麗な長髪を持つ少女と出会う

 

 彼女は冒険者を志望していたが

 王都の惨状にもっと大きなことを望み

 商人を志したのである

 

 結果、商人同士として良好な関係を築き

 やがて大きな商団を持つようになる

 

 神に目をつけられぬようそれだけは注意している

 居場所をくれた少女に迷惑をかけないように

 

 

 

 新しい神は無垢なる黄金の時代を作り

 四方世界のあらゆる者に愛された

 

 

 

 

 

 本当に恐ろしい奴だよ

 百智卿や奴の妹の評価は正しかったな

 

 王や私の行動も計算してたのだろう

 

 なぁ、ミケラよ……




補足説明

《真実》の傀儡
数え切れぬ駒を己の愉悦のため
冒険の犠牲にしてきた下卑た神の傀儡

その最後は、心と意志を奪われるという
死よりも悍ましいものであった
その絶望に反して、この傀儡を愛でる者はいない



これにて終了です。

星の世紀ではボックは星見に成るのかな、何て妄想から始まった物語ですが、正直ここまで来るとは思いませんでした。

改めてありがとうございました。

ミケラが黒幕なのは最初から決めていました。
故に、DLC販売前に終わらせる必要があったのに、怠け者のせいで……

ですが、皆様の感想や評価に大いに励まされ完結できました。

影の地にてまたお会いしましょう。
週末が楽しみだ。



君、休日出勤ね By上司
……これは、きっと天罰です(泣)
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