CAUTION
1.筆者は原作をほとんど読んでいないためキャラ崩壊の可能性があります
2.後半の描写が思い浮かばなく、てけとーな感じになっています
3.多分n番煎じのネタとなっております

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どこかの世界の第1話

 人億倍人見知りである物語の主人公、後藤ひとりは高校入学から一月ほど経ったこの日、階段下の物置でお昼ご飯を食べていた。理由はとてもシンプルな物、たった一つのシンプルな理由、惨めさを感じたためだ。

 彼女は中学生になりたての頃、人一倍考え込んでしまうことで和の中に入っていけない現状を何とかしようと家族からのすすめ(テレビを見た思いつき)でギターを始めた。上手くなって、バンドを組んで、文化祭に仲間と一緒に出ようと...そうして日夜練習を続けていくうち、気がつけば中学三年卒業シーズンになっていた。勿論彼女がメンバー集めに関して何もせずにただギターの練習をしていたわけではない。ただ、学校へバンドグッズで体を埋め尽くすような格好で登校したり、昼食時の曲リクエストでデスメタルを出したりと、とてつもなくずれた行動をしていたのである。

 彼女は黒歴史ともいえる中学時代を知らない人たちの中でもう一度頑張ろうと電車で片道2時間かかる遠方の高校へと進学したが、超極度の人見知りを発動してこれまで友人の一人も出来ていなかった。

 そんな彼女の心の支えになっていたのが、ギターと同じく家族からのすすめ(ガチ)で始めたネットでの―虚言まみれ(イケメン彼氏持ちの陽キャ)な―引き語り活動である。ネット上ではそこそこ有名な部類であり、投稿した動画に来るコメントから力をもらっていた。

 

 そんな中、つい昨日見たコメントで同じ高校にギターの出来る人を望む物を見つけた。そこで彼女は思い至ったのだ。ギター出来る女子高生感を盛大に出して、バンドへ誘ってもらおうと。

 そうして父親から借りているギターやリストバンド、缶バッジなどをこれでもかと身につけて登校した結果...―いつもの―やばい人を見る目で午前中を過ごした。

 

(そうだよね。人任せで大丈夫なわけないよね。よくよく考えたら中学の頃もギターの教本とか持って行ってたし)

 

 途中から彼女も薄々感じていた。この光景、デジャヴを感じると。

 休み時間毎に身につけていたグッズを少しずつ鞄の中へとしまっていき、昼休みとなった現在では―缶バッジ等を除いて―いつも通りの姿になっていた。

 

 沈んだ気持ちなったときのひとりはどこか一人に慣れる場所を探し、気を紛らわせるのだ。それが今回、昼食時、先日見つけたよさげな階段下の物置だった。

 

 昼食を食べ終わったひとりは家で時たまやるように自らの思いをギターに乗せて口ずさんでいた。このままじゃダメなのはわかってる。けれどあと一歩を踏み出す勇気が出ない。そんな思いを。

 そう。いつも通り、()()()()()()()()()。普段は自室(主に押し入れ)でしか演奏をしていない。

 ギターを外に持ち出すのも初めてで、外で演奏するのも初めて。そうした、いつもと違う何か、例えるなら偶然、ひとつの偶然はさらなる偶然も呼び込んでくる。

 

「へ~。ギター上手いのね」

「ぴっ!?」

 

 ひとりは突然のことに変な音が出た。普段、授業関連以外で話しかけられることが極端に少ない彼女の脳は思考を放棄していた。

 やがて、―ゆっくりとしているが―反射的に声のした方向へと首を向けていく。

 そこにいたのは自分でも話が聞こえてくる程交友関係の広い同学年の女の子だった。

 

(へ!?なに?私何か悪いこと...ぎ、ギター!!もしかしてうるさかった!?静かにしろって脅しに...トイレに連れ込まれて...ひっ!?)

 

 半分以上ただの被害妄想である。

 

 そうしていつものようにぐるぐると思考を回していると、いつの間にかその女生徒、喜多はひとりの目の前にしゃがみ込んでいた。

 

「後藤さん...で良かったわよね?お願いがあるの!」

「ひゃいっ!?」

 

 突然のことに思考が追いつかないひとり、果たして彼女が出した答えとは...

 

 

~放課後~

 

「お願い聞いてくれてありがとう。後藤さん」

「あっはい」

 

(でもどうして私なんかに頼んだんだろう。喜多さんの手...あれって)

 

 ひとりの疑問、それは喜多のお願い内容にあった。曰く、彼女は他校の先輩とバンドを組んでおり、その助っ人を頼みたいということだった。

 中学の頃から憧れていたバンド、ステージ...しかし、ひとりは始め尻込みしてしまった。彼女は超極度の人見知りであると同時に超極度の―脳天気と―ネガティブ思考の持ち主だった。

 ステージに立っていつもの力を出せなかったらどうしよう。緊張から動けなかったらどうしよう。メンバーと折り合いが付けられなかったらどうしよう。

 そうしたいろんな失敗を思い描いてしまい、素直に「よろこんで」だとか「こちらこそ」だとか、そういった肯定的な言葉を出すことが出来なかった。

 いつものようにあと一歩を歩み寄る事が出来ないなか、その少しの間を詰めてきたのは頼み事をしてきた喜多であった。何も特別なことはしていないただひたすら真剣に再度お願いをしただけである。その今にも泣き出しそうな顔をみたひとりは「はい」と一言だけつぶやいた。彼女自身、なぜ言葉を出せたのか理由はわからない。

 そうして、喜多の案内の元彼女のバンドが活動するという下北沢へと赴いていた。

 

「ついた。ここよ!」

「ひっ!」

 

 喜多が到着を知らせ、目的地を指さす。そこにはひとりが想像していたよりも暗く、怖い雰囲気を持ったライブハウスの入り口があった。

 喜多はこわいという感情で再度思考停止したひとりの背中を押しながら控え室へと向かっていった。道中、ひとりは「えへへ、私の家」などと口走っていたが、喜多は気にせず先へと向かう。初対面から数時間しか経っていないが、後藤ひとりという生物の生態をつかみ始めたらしい。

 

 

 そうして、ひとりが意識を取り戻して目に入り込んだ光景には土下座した喜多とそれを見つめるベースを持っていたり、ドラムの調整をしている同年代くらいな二人の女性がいた。そう、()()()()()()()()()が土下座していた。それに対し、ひとりは状況を飲み込めず狼狽えつつも、(私以外にも突拍子もないことする人っているんだ)と思っていた。

 

「ごめんなさい!実は私、ギター弾けないんです!!」

 

(と、いうことらしい(まる)

 

 未だ思考の追いつかないひとりは作文のようなひとことを心の中でつぶやいた。

 どうやらひとり達の目の前にいるバンドメンバーのような二人も状況が上手く飲み込めておらず、部屋全体が静寂に包まれていた。そんななかひとりは(「...」って音が聞こえてきそうだな)と思考が追いついていないためか暢気なことを考えていた。...「...」ってどんな音?

 

「完璧なベースにそこそこのドラム、下手っぴのギター...うん。いい感じにロックだね」

「いやすぎるよ!!というか今何気に私のこと下手って言ったよね!?」

 

 それでいいんだ。と思うひとりであった。

 

 

 少しすれば全員が落ち着きを取り戻し、喜多が説明を始めた。

 

 喜多は以前路上ライブを偶然見かけた際、そこで活動していた目の前にいる二人のベースを持っている方の女性、山田リョウに憧れというか何というか、とにかく一目惚れしてしまった。

 そこで、リョウが新しくバンドを始めると耳にしていても立ってもいられず参加を表明した。そのとき、絶対に参加しようとギターが出来ると嘘をついてしまった。それを現実にしようとこっそり練習を行っていたのだが、全く上手くいかず、衝動的にだが初ライブである今日ドタキャンすることすら考えていた。そんななか偶然、人気の無いところで知識の少ない自分でも上手いと思えるひとりのギター演奏を聞いたために助っ人として半ば強引に連れてきた。

 

 そうした喜多の話を聞いたバンドメンバーである二人は特に怒るようなこともなく、すぐに許した。

 しかし、喜多はそれを簡単に受け取ることが出来なかった。なぜ嘘をついて、ドタキャンまでしそうになった自分を許してくれるのか。納得がいかないという雰囲気を出していた。

 そこへ助け船を出したのがなんとびっくりひとりであった。彼女は自分がどう感じるかではなく、人がどう感じるかを行動基準としている節があり、なんとなく自分とかぶって見えたのだ。そして、いつもなら考えても言葉に出ない。その一歩を踏み出せたのはきっと、自分と正反対のようでありながらどこか似た空気を感じる喜多との交流が出来たためであろう。

 そんなひとりが言葉に出したのは純粋な練習量。昼休憩の間などで喜多に手を握られた際、喜多の手から感じたのは皮の厚さやタコといった、生半可な練習では付かない物であった。故にこそ、喜多は本気で練習をしていたと確信を持って声に出した。

 そうしたやりとりをしつつ、最終的にドラムを担当する伊地知虹夏のみんなで頑張ろう的な発言でこの騒動は終わった。

 

 

 ライブの出番が近いからと通し練習を始めるも、一人演奏が板に付いていたひとりは他二人に合わせることが出来ず、虹夏からつい「ド下手だ!」という言葉が漏れたほどだった。

 そんなこんなありつつひとりがミジンコになったり、可燃ゴミになったり、ぼっちちゃんと渾名を付けたりしつつ、ダンボール箱を被った通称マンゴー仮面になって虹夏、リョウとライブを行い、過去一の満足感と惨めさを味わいつつ大失敗した。詳しくはアニメを見たり、原作を読めやがれください。

 

 

 

「どうしても低い音になっちゃうんです。ボンボンって」

 

 喜多の言葉によって静寂が訪れた。ことはライブが終わってすぐに始まった。

 

 初めてのライブが終わったあとは興奮気味の虹夏、自分も直ぐに追いつこうと決意する喜多、それに付き合うリョウという構図になっていた。そんな中ひとりはというと、未だマンゴー仮面の状態だった。

 初めてのことばかりで精神的に疲れて3人に付き合う気力すら絞り出すのに苦労していた。しかし、初めて尽くしだったためか、いつもより少しだけ勇気を振り絞って(調子に乗って)ダンボールから飛び出して"次"へ向けた決意を言葉にした。それはきっと後藤ひとりという存在が初めて1人で踏み出せた1歩だった。

 それを聞いた3人もそんな様子を感じ取り、ひとりを快く迎え入れたのだ。そうした流れの中でひとりは―息を合わせられずド下手に思われているが―基本は出来ているため、喜多はひとりに師事してもらおうという話になった。そこで虹夏が発した一言によって状況は変わった。

 

「そういえば喜多ちゃんってどこで躓いてるの?ぼっちちゃんもわかった方が方針立てやすいでしょ?」

 

 その言葉に対する返答が先の言葉だった。

 違和感を覚えたひとりとリョウ―ついでに虹夏―は顔を見合せていた。2人には低い音を出すギターのような楽器に心当たりがあった。

 

「あ、あの...それってベースじゃぁ」

「やだわ、後藤さん。それって弦が4本のやつよね。ちゃんと調べたんだから」

 

 別の楽器と間違えているのではないか。ひとりはそう口に出したが喜多も考え無しに楽器を購入した訳では無い。素人ながら、専門用語に苦戦しつつギターとベースの基本的な差というものを確認してから購入している。

 

「私のはちゃんと6本だから」

「6本のやつとかもあります」

 

 喜多が自分が間違えていないことを示そうと持ってきていた楽器を広げようとするところにひとりから声がかかる。

 そう。何事に対しても例外は存在する。例えばギターは弦を張っているネックなどは一つだけだが、それらが2つ以上存在するマルチネックという種類が存在する。

 

 声をかけられた喜多は1度停止し、3人と顔を見合わせる。もしかしたらという恐怖を感じつつも大分先のお小遣いまで前借りして購入したものがまさかと再度動き出す。

 そうしてケースを開ききって姿を見せた楽器を見たリョウはたった一言、「多弦ベースだね」と呟いた。

 喜多はさらに2度3度と3人と顔を見合せ、楽器を見つめ、やがてひとりのように若干溶けつつ崩れ落ちた。

 

「プランクトン喜多です...」

「天丼!?」

 

 喜多の言動に虹夏は鋭くツッコミを入れた。何を隠そう、数時間前にひとりが下手と言われてミジンコになった際、既に披露されているものだったからだ。

 

「あ〜と、とりあえず!ぼっちちゃん歓迎と初ライブお疲れ様ってことで打ち上げしよう!」

 

 なお、この間虹夏は参加していただけであまりよく分かっていない。それでも割と重めな空気になってることを察して3人へ向けて声をかける。

 しかし、それに対する返答と言えば。

 

「ごめん。眠い。...スピーzzz」

「あっ、今日は人付き合いに疲れたので遠慮させていただきます」

「ごめんなさい。立ち直れないので私も帰ります」

 

 これである。気がつけばリョウは立ったまま眠る高等技術を披露し、ひとりと喜多は部屋から出ていた。

 

「えっ、結束力...無っ」

 


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