狼っぽいのになった…タスケテ   作:富竹14号

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 無茶苦茶します


執着/咆哮/飛翔/渇望

 

 ソレは探していた、何時か見た『白』を。

 

 ソレは探していた、何時か刃を交わした『純白』を。

 

 ソレは探していた、何時か自分に背を向けた『(けだもの)』を。

 

 

 決着がついていなかった、まだ終わりじゃなかった、それでも『狼』は己に背を向けた。

 

 あれを逃げだとは思っていない、ジリ貧になっていることは分かっていた、決め手が無いことも分かっていた、だから『狼』は引いた。

 

 逃げていない、狼は引いただけだ、あの白い狼は必ず再び己の眼の前に現れる…ソレはそう確信していた。

 

 

 そう、確信している…してはいるが、それを待っていられるかどうかは別の話なのだ。

 

 

 

「…ぐが……ががっ…!」

 

 自身の俄然でか細い唸り声を上げる巨大な黒と金の狼、

今己が踏みつけている哀れで弱小な獣。

 

 弱い、あまりに弱い…奴はこんなものではなかった、あの白い狼はこんな無様な姿を晒さなかった。

 

 奴ならば今この様な状況でもその目に絶望を宿すこと等無い、奴ならばこの状況でも反撃に討ってでる…それはそうに違いないと確信していた。

 

 故に…こいつじゃない。

 

 手に持った刀を、眼下に這いつくばる紛い物の脳天へと突き立てる。

 

 ブスリッと肉を突き裂く音と頭蓋を貫く感触が刀を通してソレへと伝わる。

 

 紛い物は小さく呻き、僅かにソレへと牙を見せながらその瞳から光を失っていく。

 

 やがて『黄金王獣』と呼ばれた獣域の王は、その名に似合わぬ程あっさりと、呆気なくこの世界から消えた。

 

 

 

「……………………」

 

 

――嗚呼、また違った……何処だ…何処にいる…?

 

 

 ソレは再び動き出す、先程まで戦っていた獣の亡骸には目もくれず、ただただ『記憶』にある白を求めて。

 

 ソレは知らない、今己が抱くそれがなんであるのか。

 

 ソレは気づかない、自分がソレを抱くことそのものが異端であることを。

 

 ソレは知らない、自分の中に渦巻くそれがどう呼ばれているのか。

 

 ただ一つのことに固執し、ただただ闇雲にそれだけをひたすらに求め続ける。

 

 

「……ド……ドコ……ダ」

 

 会話をすることに意味を見出さず、ただ剣でのみ物事を語ってきたソレは、恐らく生まれて初めて声を発する。

 

「ドコ…ダ…! ドコ…ニイル…!!」

 

 

――白狼ヨ…!!!

 

 

 その一声に、ありったけの『執着』を載せて。

 

 

 

 

 

 


 

 

 ソレは眠っていた、地の奥底で。

 

 いや、正確には眠っていたはずだった、ソレは遥か過去に眠りにつき、何かに叩き起こされでもしない限り決して目覚めぬはずだった。

 

 しかし…ソレは目覚めた。

 

 切っ掛けは些細な力の波動、それだけでは何の意味も持たないはずのそれを受けて、『龍』は目を覚ました。

 

 

――………お兄ちゃん?

 

 

 久方ぶりの目覚め、その直後に感じたのは自身が兄と慕った存在の色濃い気配。

 

 その気配に『龍』の寝ぼけ気味な意識は急激に覚醒し――

 

 

――お兄ちゃんだぁ!!

 

 

 地の底から地上に向けて高速で移動し始めた。

 

 硬い地面の奥底で眠っていたソレを覆っていた練り固まった土を『溶かし』、上へ上へと突き進む。

 

 掘る、掘る、掘る、時折何か硬い物にぶつかるがそんなの関係無いと言わんばかりに溶かし、更に上へと昇る。

 

 一分か、五分か、それとも十分か…どちらにしろそう長い時間を掛けずソレはいとも容易く――

 

 

グオォァオォォォォォォォォッ!!!!!(外だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉっ!!!!)

 

 

 

 轟音を撒き散らしながら、地上へと躍り出た。

 

 

――……あれ!? お兄ちゃんどこぉぉ!?

 

 

 しかしすぐにキョロキョロと辺りを見回した後、その場から『龍』は走り去る。

 

 背後にある『赤熱』し、ドロドロに溶けた大穴を放ったまま。

 

 

 

 


 

 

 

 とある砂漠のとある場所、そこにソレは居た。

 

 月明かりの照らす穴の底、本来砂漠の王者が巣としているその場所に、ソレはいた。

 

 白と赤の翼、白い体毛に全身を奔る赤い光…元は聖骸赤鷲と呼ばれたソレの色彩は元のソレとは大きく異なっている……当然、その強さも。

 

 事実として、砂漠の王者は餌となった…偶然穴を見つけ、そこに居た顔無しの蛇みたいなのを見て癪に触ったから、そんなとてつもなく理不尽な理由で砂漠の王者はソレの餌になった。

 

 ソレは我が物顔で砂漠の王者を喰らう……その身に迫るどうしようもない『死』にも気づかずに。

 

 

 

 

 

 …『鳥』が来る。

 

 

 唐突に襲い来る『絶対零度』、触れるもの全ては氷漬け、ただの一つの例外も無し。

 

 当然、王者を貪り喰らっていた白鷲も同様、気づいた時には時既に遅し、喰らっていた王者ごとその身を氷の彫刻と化して絶命した。

 

 

 砂漠という過酷な環境ではあり得ない氷の世界が、今そこに生まれた。

 

 

――……………

 

 そんな世界に、一匹の鳥が舞い降りる。

 

 先程の白鷲とまるで真逆、黒い身体に黒い翼…そして翼を奔る青白い元素の光。

 

 

――…………………

 

 ソレは王者とそれを降した存在だったモノを一瞥し、月明かりの射す大穴を見つめる。

 

 

――……………見つけた……。

 

 

 それは…唐突に動き出す。

 

 翼を大きく広げ、そのまま遥か上空へ向けて羽ばたいて行く。

 

 翼をバサリと一振りする度に空気が凍る、鳥が通過した後の砂が凍って地面に落ちる。

 

 

――…今……行くね………。

 

 鳥は飛んでいく、何処ともしれぬ何処かへと。

 

 道行く全てを、氷漬けにしながら。

 

 

 

 


 

 

――対よ、対よ

 

 水面の底の更に底、その空間にある国であった場所に、ソレは一匹存在していた。

 

――対よ、何処(いずこ)に在る対よ

 

 ソレは待ち望んでいた、己の対、己の伴侶と呼ぶべき存在を、ただひたすら。

 

――対よ、対よ

 

 赤…紅…緋…朱…赫…ソレの周りにあるのはただそれだけ、全てが赤く紅く緋く朱く赫い。

 

 そうでなかったものは確かにあった、しかし何れは同じ色へと染まってしまう、今ソレの眼下でぷかぷかと水面に浮いている『使徒』と名乗った存在と同じように。

    

――早く、速く、我が元へと来てくれ対よ…来てくれぬなら…こちらから出向いてしまうぞ?

 

 故にソレもまた赫い、血のようにドス黒い赤色の体毛、暗く淀んだ紫紺の瞳、そして…奇しくも地上に生まれた『白』と同じ姿形。

 

 ソレは待ち望んでいる、渇望している…強く、一途に…己の対を。

 

――対よ、対よ……待っているぞ。

 

 

――この渇いた心が満たされる……その時を。

 




 これ書いてる時、自分の中のライドォが何してんだよ団長!? って叫び声上げてた、何でだろうね?


『執着』

 誰なんでしょうねぇ?


『咆哮』

 別に叫んでない件について

『飛翔』

 ACの新作が出ると聞いたから勢いを出した。


『渇望』

 クリムゾン・ベイルのこと考えてたら何時の間にか生まれていた。
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