ネタが…ネタが尽きた……誰かぁ…! コメント欄にみんなぁ…!オラにネタをワケテクレェ!!
白い獣域ハウンドとの再会は、私が思っていたよりもずっとずっと早かった。
白い獣域ハウンドに初めて遭遇した日から何日か後、私はその日も白い獣域ハウンドを探していた。
白い獣域ハウンドが人を襲った…そんな情報を手に入れていた私は襲われた当の本人を訪ね、そこから情報を引き出した。
引き出したと言ってもそこまで重要なことじゃない、襲われた男性にそれが何時のどんな状況下で襲われたのか聞いただけだ。
結果として分かったのは襲われた本人は一切の傷を負っていないこと、襲われた際に持ち物を漁られてその持ち物の中から何故か米だけが無くなっていたこと、そしてその次の日に大量のモラとスミレウリや夕暮れの実と言った木の実と青紫色の緋櫻毬が入ったリュックをその白い獣域ハウンドに渡されていたということ。
どのような状況下で渡されたのかを聞くと、モラが無いから冒険者協会を頼ることが出来ない、だから自分で取り返そうとしたらしくその前日に襲われた場所に手かがりを求めて行ったらしい。
そこに現れたのが、中身がパンパンなリュックを持った白い獣域ハウンドで、その手に持ったリュックを渡すと早々に何処かに行ってしまったのだそうだ。
その話を聞いたパイモンが米が美味しかったからお礼をしてくれたんじゃないかと言った時、そんなわけがないと思う自分ともしかしたらと思う自分が居た。
初めて見た時にしても情報を集めている時にしてもそうだけど、基本的にこの白い獣域ハウンドという魔物はどうにも魔物らしくないのだ。
ファデュイの雷ハンマーを倒した方法が顔を水に沈めて窒息させて気絶させるという遠回しな方法だったことにしても、米を奪ったことにしても、その翌日にそのお返しと言わんばかりに物資とモラを渡していることにしても、全体的にやってることが人間のソレなのだ。
そのせいで、私はパイモンが言った米が美味しかったからお返ししてくれたんじゃないか…という説を真面目に検討してしまっている。
そして、それは多分正しいんだろう。
あの獣域ハウンドはただの魔物じゃない、恐らく明確な自我と知恵を持った仙人や妖怪に限りなく近いナニカだ。
私はこの時、不思議とそう確信していた。
そんな時だった、近くで轟音が鳴り響いたのは。
驚くパイモンを尻目に、私は音の響いた方向へと視線を向けた。
視線の先では炎元素の弾丸や水元素のレーザー、更には岩元素の玉やら何処か見たことのあるハンマーやトンファーみたいな剣やらが大量に飛び交っていた。
遠目に見ただけで分かる、ファデュイだ…しかもデッドエージェントやミラージュメイデンと言った精鋭が混じってる。
耳を澄ませると、ガギンガギンという金属音と無数の人間の悲鳴が聞こえてくる、それと一緒に狼の様な唸り声も。
間違いない、居る…そう私は確信した。
そこからの行動は速かった、ファデュイの声が聞こえなくなるまで可能な限り気配を消して身を潜めた。
声が聞こえなくなったら高所から飛び降りて風の翼で一定距離まで近づいてから地面に降りて、そこから忍び足で現場に近づき、様子を伺った。
現場は、まるで嵐でも過ぎ去ったかのような状況だった。
木々は薙ぎ倒され、周囲は大雨でも降ったんじゃないかというほどに水浸し、濡れていない草は黒く焼け焦げてるし、もう本当に災害でも起きたと言われても違和感の無い状況。
もっと言えば、その周辺にファデュイ達があちこちでうめき声を上げながら倒れ伏しているから、災害という言葉により一層の信憑性が出てくる…まぁ違うけど。
そんな現場の中心、そこに奴は…白い獣域ハウンドは居た。
その手にボロボロに焦げ崩れた物を持って、何をするでもなくぼーっと突っ立っていた。
風に靡くボロボロの何かをただジッと見つめて、何をするでもなくただただそこで隙だらけな姿を晒していた。
そんな白い獣域ハウンドを、私は木の影からジッと見ていた。
何か行動を起こすのか、ファデュイ達にトドメを刺すのか、それとも何もしないのかを、私はずっと見ていた。
何分経ったんだろう? 一分か、五分か、それとも十分か…そんなに長い時間ではなかったのは確かだった。
その間、白い獣域ハウンドは変わらずボロボロのナニカを見つめ続けていた、何をするでもなくずっと飽きることなく。
そして私もまた、それを眺め続けた。
暫く眺めていると、白い獣域ハウンドは唐突に此方を振り向いた。
目と目が合う、青空の様な蒼色の瞳が私を見つめる。
以前の様にビクッと反応することもなく、突然逃げ出すこともしない、ただジッと私を見つめている。
対する私も同じだ、動かずジッと白い獣域ハウンドを見つめている……………なんてことがあるわけがない。
走り出す、風元素を全力で稼働してスピードを一気に最大にまで引き上げ、そこから更に雷元素を使って元々のスピードを跳ね上げる。
今度は絶対に逃さない、逃げる隙も身体を動かす時間も与えず一気に詰めて捕まえる!
白い獣域ハウンドはまだ反応出来ていない、前みたいに逃げる素振りを見せていない。
行ける…! 捕まえられる…!
少なくとも、その時の私はそう考えていた、ある一つのことをド忘れしながら。
その時の私は忘れていた、獣域ハウンドという生物は、
目の前から唐突に白い獣域ハウンドが姿を消し、伸ばしていた手が空を切った。
「(……あれ?)」
疑問が頭の中を埋め尽くす。
何処に行った? 何処に消えた? どうやって消えた? 何だ今のは? 今どういう状況だ?
思考が回りに回って、ふとした時に思い出した、獣域ハウンドの瞬間移動能力のことを。
奴等は唐突に消えては現れるのだ、その神出鬼没な力を使って。
そしてそれには、何時も元素の軌跡が残る。
故に──
「(元素視覚…!)」
景色が切り変わる、嵐の過ぎ去った様な跡地が一瞬にして様々な色で澄み渡る半透明な景色へと変わっていく。
赤に青に紫に黄色に白色、其々が其々に対応した元素の色に応じて世界を彩らせている。
これが元素視覚、元素を見るということ…使える人間は少ないらしいことは聞いた。
それはそれとして、先程までファデュイと白い獣域ハウンドが戦っていたからだろうか? 色の種類と量がとてつもない、ここから白い獣域ハウンドの元素を辿るのは難しいだろう。
しかし、それでも私は見た、あの時…白い獣域ハウンドが瞬間移動を使用するほんの一瞬の瞬間、青色の元素が蠢くのが見えた。
つまり、今尚活発に動いていて尚且つ今居る場所から離れた場所に繋がっている青色の元素を追っていけば白い獣域ハウンドに辿り着ける。
周囲を見渡し、今尚活発に動いていてその上でこの場から離れた位置に動いている青色の元素を探す
「…見つけた…!」
あった、周囲でただばら撒かれただけの元素の中で、ただ一つだけ真っ直ぐに外側へと向かっている青色の元素。
走る、元素視覚を切らず元素の進む方角を全力で走り抜ける。
急げ、急げ、早くしなきゃ逃げられるぞと思考が私に訴えかける、焦りで弾けてどうにかなりそうだった。
大丈夫、間に合うと心を落ち着かせながらとにかく足を動かす、今度は逃さないと決めたからには絶対に逃さない。
パイモンには背中にしがみついて貰っているから置いていくことは無い、前みたいなことにはならない。
「…居た!」
追いついた、視界に白い影を捉えた。
相変わらず速いし、追いつけるかどうか分からないけど、それでも見つけた、絶対に逃さない。
白い獣域ハウンドも此方に気がついたのか、少し後ろを振り向いた後に一気にスピードを跳ね上げた。
前とは違ってその身体には青色の元素が見える、つまり前回とは違って元素を使っているということ、そのせいなのか速さは以前と比べても明らかに速い。
速い、確かに前よりも格段に速い…けどそれはこっちも同じ!!
前は心の何処かで余裕を持たせてた、けど今度はそんなのない、最初から全力全開フルスロットルで…!
ギリッと歯を食いしばり、雷元素と風元素を最大限まで高めていく。
元素の同時使用、タルタルヤも魔物もやってたんだから私に出来ない道理なんてない、少し痛いけど…まぁその分性能は折り紙付き。
さぁ初のお披露目だ、これが私の切り札こと──
そうやって初のお披露目切り札に気を割いていたのがいけなかったんだろう、私はその時全く気がついていなかった。
逃げていたはずの白い獣域ハウンドが私が切り札を展開しようとした時点で私へと突っ込んできていて、そして一定距離に到達した時点で罠を設置していたという事実に。
そんなことに気づいていなかった私は、走りながら切り札を使おうとしていたこともあって『ソレ』を避けることも出来なかった。
『ソレ』を、小規模の…言ってしまえばアビスの使徒が使っていた扉に近しいナニカに、私は止まることも出来ずに突っ込んだ。
ほんの一瞬の浮遊、その直後に広がる見覚えの無い景色、そこに私は足を縺れさせた挙げ句、盛大に転んだ。
ズシャーと頭から、まるで自分からそこに飛び込んだみたいに、それはもう綺麗な体勢でズシャーと。
「…ほ……蛍…? 大丈夫か?」
背中のパイモンが何処か遠慮気味に心配の声を掛けてくる。
それに対しては大丈夫と返し、私は起き上がった。
服に付いた土や砂を手で落とし、周囲を見渡す。
洞窟だ、しかも妙に生活感のある洞窟だ……いやまぁ、そんなことはどうでいい。
とりあえず今は安堵すべきなんだろうと思う、だって背中から転んでたらパイモンが潰れることになってたから。
パイモンが無事で本当に良かったと思ってる…けどそれはそれとしてやっぱりこんな風に撒かれたことに対する思いもあるわけで。
「………………………覚えてろ…」
次はケチョンケチョンにしてあげるんだから。
蛍ちゃん
今回も目標に逃げられちゃった我等が旅人。
うちの蛍ちゃんはタルタリヤと同じようなことを平然とやってのけます。
段々と依頼のことがどうでもよくなってる。
主人公
日記の内容はあってるけどその大半を端折ってるヤツ。
本人があまり重要視してないことは多分一切書かないから、多分割りと色んなことをやらかしている。
逃げ方が結構テクニカル。