たまにはミナがメインの話でも書いてみようかなと思います。
また無相が変な方向に進んでるよぉ…。
➀ ミナの朝の日課
彼女、『無相の水』こと『ミナ』の朝は早い。
朝…何時頃かは知らないが朝早くにパチリと起床する。
元素生物に睡眠が必要なのかと問われれば多少の疑問もあるが、兎に角にとミナは寝て早く起きるのだ。
起床し、周囲を見渡したミナが真っ先にすること…それは自分の隣で寝ている白い獣域ハウンドこと『彼方』の寝顔をガン見することである。
鼻提灯を膨らませ、緩んだ顔で幸せそうに寝息を立てる彼方のことを、ミナは彼方が起きるその瞬間までジ〜ッと見つめる。
飽きもせず、食い入る様に、ジ〜ッと見続けるのだ。
それから暫くして、彼方が欠伸をしながら起き上がる。
そんな起き上がった彼方に向かって、ミナは突撃する。
ポスっという軽い音を鳴らしながら彼方のフサフサとした毛並みが自慢の身体に突っ込み、スリスリと身体を左右に動かす。
そんなミナに小さく唸り声を上げて彼方は身体に入り込んでいるミナの身体…というよりもコアを撫でる。
これが彼女の朝のルーティーン、ある日から唐突に始め、少なくとも消えるその時まで続けるであろう、彼女の朝の日課であった。
② ミナの悩み
とある日のこと…無相の水ことミナは、あることで悩んでいた。
その悩みとは何か? それは───
『横暴反対!!』
『ボク達ニモ身体ノ主導権ノ自由ヲー!!』
これである。
彼女のコア、その内側にて発せられるその声、これこそがミナの悩みそのものであった。
『…うるさい、却下』
ミナは端的に、バッサリと声達の主張を切り捨てる、彼女からしてみれば声達の要求は論外のソレだからだ。
『何ヨ! イイジャナイ何時モ何時モ主導権握っテルンダカラタマニハ私達ニモ寄越シナサイヨ!!』
『この前渡したと思うけど…』
『タッタ半日ダケデショウガブッ殺スワヨ!?』
キィヤァァァァァと喚く声に、ミナは頭が無いのに頭が痛くなったような気がした。
これだ、これこそが今現在彼女の最大の悩み、自身が取り込んだ無相達、その『自我』による自分への抗議だ。
やれ身体を寄越せ、やれ元素を寄越せ、やれ『お兄ちゃん』もとい『パパ』と遊ばせろだこうだとあれやこれやと難癖を付けてくる。
あまりにも煩くて一度身体を渡してみれば、自分でもやったことのなかったことを彼方にされたりやったりと羨ま…傍迷惑な行動を繰り返し続ける始末。
ミナからしてみれば、そんなことをされたら誰だって渡したくなくなるに決まっていると言いたい気分だった。
『ソモソモ私ハネ! マダ貴方ノコトヲ許シタ訳ジャナインダカラネ!!』
トゲトゲしい言葉、そこに籠められている感情は怒りと憎しみ。
ミナからしてみればなんのこっちゃと言いたくなる程に向けられる覚えの無い激情、それの矛先を『声』は彼女へと向けていた。
しかし、残念ながらこれに関しては完全にミナの自業自得と言わざるを得ない。
何故ならば──
『…何かした?』
『不意打チカケル時ニ私ゴト『リッチャン』ノコト潰シタデショウガァァ!!!!』
『…ボク、タダフヨフヨシテタダケナノニ……』
そう、ミナの行った不意打ちこそが全ての原因だった。
例えばそう、先程からキーキーと荒ぶっている声こと『無相の雷』は毎日一定の時間になるとやってくる珍しい斑模様のリスこと『リッチャン』を大層可愛がっていた。
具体的に言うと普段のキューブの様な姿ではなく完全に無防備なコアの形態且つ普段から身体の端々でビリビリしてる雷元素を極限まで抑え込み、多少当たってもちょっとピリッとするくらいの出力まで調整していた。
更にその状態で手の様な物を作り出し、その手でリッチャンを撫でたり餌をあげたりしていた。
そんな彼女にリッチャンは懐いていたし、そんなリッチャンを彼女はそれはもう…それはもう大切にしていた。
そんな時に唐突にやってきた挙げ句に全てをぶち壊したのがミナである、なんだったらリッチャンを可愛がっていた彼女に無慈悲に不意打ちかましたのもこのミナである。
詳細に言うと、ミナは水の塊をとあるデカい氷の花がある場所で作って凍らせ、それを軽く六個程作った状態で無相の雷の居処に赴き、それをリッチャンを可愛がっていた彼女に向けて叩きつけた。
当然、何の備えもしていなかった彼女は大ダメージを負ったし、リッチャンはプチっと潰された。
その時の彼女の絶望たるや、言葉に尽くし難い。
しかしミナは、そんな状態の彼女に絶望を認識する時間すらも与えなかった。
一度振り下ろした際に砕け散った氷の塊と同じもの、上記に記してある通りの残り五つのそれを一斉に彼女に向けて叩きつけた。
絶望の最中、思考することすらままならない状況下で、更に向けられる無慈悲で無感動な暴力の嵐、彼女はその真っ只中で何も出来ずに力尽きた。
そうして力尽きた彼女を、ミナはパクリとしたわけだ……うん、これは酷い。
因みに、その光景を無相の雷と非常に…ひっっっっじょょょうに仲の良かった狼少年が目撃してしまっており、それを切っ掛けとして鬼も裸足で逃げ出すレベルの殺意に目覚めてしまい、それが巡り巡って自分へと辿り着くことになることをミナは一欠片も知らないが、それはまた別の話。
『…あぁ、あの時の…忘れてた』
『アンタホントウニブチ殺スワヨォォ!!?』
しかし当の本人はうろ覚え、流石に自分でここまでやっておいて忘れるというのは流石にドン引きせざるを得ないし誰だって怒る、作者だって怒る。
『頭キタ…! モウ容赦シテアゲナイ! 今ココデソノ自我ゴト消シ飛バシテ───』
『うるさい』
バシィィンッ!! と非常に重そうな水の触手による鋭いビンタが無相の雷へと炸裂…した様な音がミナの内側で響いた。
ミナ自身も中で何が起こっているのかは知らない、ただ自分がそうしたいと思ったら中でそういうことが起きるので、あまりにも煩いようだったら今の様に無相の雷を叩くというイメージをしているだけだ。
実際、彼女には音の後にへぶぅっという無相の雷の悲鳴が聞こえている為、実際叩けているのだろうと考える。
『…ぐすッ…ゴメンネリッチャン…敵マタトレナカッタ……助ケテレッチャン…』
そんな雷の言葉を煩わしく感じながら、ミナは今日も今日とて彼方に引っ付くのであった。
なお、後に何だかんだであと四体くらい無相を取り込むことになり、その度その度に中から声が増えることを、この時のミナは知る由もないのであった。
『……ネェ…ボクハ…?』
『……花火……見タイダケナノニナァ…』
『無相の豆知識』
『ミナ』を筆頭として、ミナがパクリと取り込んだ全ての無相には明確な自我があるが、その後に生まれた無相には自我と呼べるものは無い。
ミナ
日々を過ごしていた無相達に不意打ちを噛まし、その力を根こそぎ奪い取って自分の物にしていた子。
モチーフはありふれのユエ…だってやりそうじゃん?
『無相の雷』
目の前で唐突に大切にしていたペット(仮)を自分と一緒に潰され、その絶望に浸る間もなくボロボロにされた挙げ句にパクリンチョされた子。
キーキーと叫ぶのが特徴的で、基本的に素直じゃない。
多分無相の中で一番ミナに意味無く叩かれる子。
モチーフはプリコネのキャル。
『無相の炎』
影の薄かったボクっ娘、本来の無相の炎が居た場所で何処かの花火屋の娘さんが打ち上げている花火を見ていたら背後から不意打ちを食らってパクリといかれた子。
別に自我があるから良いし、何かを失ったわけでもないから別に良いけど…それはそれとして花火が見たい。
因みにこの後、謎の直感を発揮した彼方が花火を再現したとある技をうろ覚えで放ったことで本格的に彼方に懐いた。