狼っぽいのになった…タスケテ   作:富竹14号

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 ミナ…というより無相メインの番外編第二弾、仕方ないじゃないネタが無いんだもの。

 文字数がちょっと少ないかな?


番外編 ミナの一日 ぱーと2

 

 

③ 唐突に投げ渡された地獄への切符

 

 

 

『ふざっっけんじゃないわよぉぉ!! この性悪水悪魔ァァァァァァ!!!!』

 

 彼女、『無相の雷』こと通称『ビビ』*1は怒り狂っていた。

 

 何故か? それは───

 

 

「モラクスゥゥゥゥゥッッッ!!!!!」

 

 

 彼女の目の前で暴れ回っている二本角のドでかい龍のせいに他ならない。

 

 岩元素のブレスを吐き出し、足を踏みしめるだけで地割れが出来たり上から洒落にならない大きさの岩が降ってくる、しかも何故か岩元素を纏った状態で。

 

 それだけじゃない、龍の大きな身体には氷元素の木に加え、身の毛も弥立つ程の水元素の濃い気配を醸し出し、それら全てが自分達を殺そうと蠢いている。

 

 地割れによって作られたひび割れた亀裂から吹き出る氷元素の刃に、龍の背中から発射される追尾してくる巨大で速い水元素の弾丸その他諸々。

 

 それら等しく全てが、自分と自分が兄と呼ぶ狼と何か何時の間にか居た変人一人と変態一匹を殺しに掛かってくる。

 

 ()()()()()()()、ミナにぷちっとやられたその時から彼女の中には殺意への恐怖というものは殆ど無いに等しいからだ。

 

 急に、こんな状況で呼び出したことも大した問題ではない、ビビからしてみれば身体の主導権が貰えるならなんであろうと同じだし、こういう風に主導権を渡されることも多かったから。

 

 では何故こんなにも怒り狂っているのか…それはミナがビビに、やられたら誰もが怒り、憎悪の感情をぶつけられても文句の言えないとてつもなくエグいことをやらかしたからだ。

 

 では、そのエグい行いとは一体何か…それは簡潔に言ってしまえば『夢』への介入である。

 

 

 実は、つい先程までビビは眠りこけていた。

 

 ミナの中で、ミナや無相の炎こと通称『ハナ』*2と最近ミナが取り込んだ無相の風こと『ハヤテ』*3が頑張って龍を相手に戦っている間、ずっと眠りこけていた。

 

 呼んでも起きない、ビンタしてみても起きない…だから彼女はぐーすかと幸せそ〜うに眠っている彼女に、幸せそうな夢を見ている彼女に、あるとんでもない劇物を放り込んだ。

 

 ビビが非常に大切にしていたリス、リッチャンが潰れる光景、ビビと呼ばれる特殊な存在唯一の絶望の光景を、夢として何度も何度もリピート再生するというとんでもない劇物を。

 

 それはまるで、トラウマと言う名の傷口に塩どころかデスソースを塗り込むが如き所業、しかもそれをしたのはそのトラウマを作り出した張本人という始末。

 

 

 彼女は起きた、トラウマ穿り返されたら誰だって起きる、神様だって起きる。

 

 そうして目覚めた彼女に、ミナは一言こう言った。

 

 

──…出番

 

 

 その言葉と共にビビは身体の主導権を明け渡され、今に至る。

 

 

 …うん、誰だって怒る、こんなことされたら誰でも怒る。

 

 因みに、ビビのミナへの罵倒した際にミナが返した言葉が──

 

 

『呼んでも起きない貴女が悪い』

 

 

 これである。

 

 この言葉を聞き、ビビは決意した、必ずこの性悪水悪魔を滅してやると心に誓った。

 

 その為には、まず目の前のこのバカデカい龍が邪魔だった。

 

 …だから───

 

 

 

『ハナ、()()()()()やるわよ』

『…アレ、そんなに好きじゃないんだけどなぁ〜』

 

 

 そう気怠げに、ハナは一つ返事をした、否定はしなかった。

 

 

『ミナ…あんなので起こしたんだからちゃんと防いでよね』

『……やることはやる…貴女がもっと早く起きてたらあんなことしなくてよかったのを忘れないで……ところでとっておきって何?』

 

 

 そう言うのと同時に、彼女の目の前に迫っていた水の弾丸が、雷元素と水元素の触手によって全て弾き飛ばされる。

 

 それはミナなりの肯定の返事であった。

 

 なお、とっておきに関しての返事はしなかったものとする。

 

 

『ハヤテは………いいわ別に、寝てて』

『オレに関してだけ扱い酷くねぇか!?』

 

 一人いらないと言われて、抗議の声を上げる無相達の黒一点ことハヤテ、だけど仕方がないのだ、何故なら彼は飛んだり速さを競うこと以外では大して役に立たないのだから。

 

 

 

『さぁてと…やりますかぁ!』

 

 

 この後、彼女は雷元素と炎元素の合わせ技…彼方の日記に書いてあるメド○ーアの様なナニカをぶっ放して龍を撃退した。

 

 久しぶりに大技をぶっ放せてスッキリしていた彼女は、その後に山を吹き飛ばすレベルの大技を何の躊躇もなくぶっ放したことに関して延々とミナに説教され、暫く身体の主導権を渡してもらえなかったそうな。

 

 

 

 

④ ヘンテコなヒルチャール

 

 

 

 それは帰り際のことであった。

 

 彼女、無相の水ことミナはつい先程ハエの如くブンブンと飛び回る自分の同族を取り込んだ帰りであった。

 

 用事も済ませていざ帰ろうとした時のこと、ミナは偶然『ソレ』を見つけた。

 

 カバンを枕にして寝そべり、寝息をぐうぐうと鳴らしている、白い髪と仮面が特徴的なヒルチャールを。

 

 幸せそうに寝ている、Zzzという文字が浮かんで見えるくらい幸せそうに寝ている、まるで何処かの同族(雷)の様に。

 

 ミナはその姿をじ〜っと見つめ、唐突に水元素の塊を生成した、どうやら水を掛けて起こそうとしているようだ、やめてやれ。

 

 ミナはヒルチャールの直ぐ側まで近づき、ふよふよ浮かび上がらせている水元素の塊をヒルチャールの頭上へと移動させる、どうやら上から落とす気らしい。

 

 ヒルチャールの顔は仮面で覆われていて見えないが、それでも幸せそうだ、口元らしき箇所から涎が垂れていることから、どうやら美味しい物を食べている夢を見ているらしい。

 

 寝言の様にぶつぶつと呟かれるその言葉も、意味は分からないが何処となく嬉しそうで非常に幸せそうである。

 

 そんなヒルチャールの姿を見たミナは、ふと思い出す…そういえば彼はヒルチャールを殺したことは一度も無かったことを。

 

 理由は分からない、分からないけど彼は、彼方はヒルチャールを殺したことが無い、何だったら意図して怪我を負わせた自体が非常に少ない。

 

 人間相手には手加減しても普通に倒すのに、ヒルチャールに限って言えば殆ど何もしていない、精々が小突いて追い払う程度。

 

 そこまで考えてから、ミナはふと思ってしまった。

 

 

 もしかして、今ここでこのヒルチャールを虐めたら、彼にきらわれてしまうんじゃないか? と。

 

 そこからは速かった、水は何処かに投げ捨て、手に入れたばかりの風元素を使って翼を生み出し、そのまま璃月にいる彼方の元へと飛んだ。

 

 不安で仕方がなかったのだろう、帰った時に彼が居ないという状況になっているかもしれない、何処かで見ていた彼が自分から離れるかもしれないという恐怖でいっぱいだった。

 

 当然そんなことにはならないのだが、未だ生まれて幼い彼女にはそんなこと分かるはずが無いのだ。

 

 

 居処に辿り着き、彼が居ることを確認した彼女はまだ彼方が居るという事実に安堵を覚え、何時も通りに彼の身体に突撃した。

 

 彼は彼女の背に風元素の翼があることに酷く驚いた様子だったが、まぁ何時ものことかとミナのことを撫で始めた。

 

 ミナの翼はバッサバッサと喜びを表すかの様に激しく動いていたという。

 

 

 

 

 因みに、ミナが投げ捨てた水元素の塊は偶然近くで寝ていたヒルチャールの王(雷)に直撃し、そのことに怒ったヒルチャールの王が飛んできた方向で寝ていたヘンテコヒルチャールを犯人と勘違いして殴りかかるという事件が発生した。

 

 当然殴られた側のヘンテコヒルチャールもそのことにキレてヒルチャールの王と敵対状態になり、夕日が沈むまで互いに殴り続けたそうな。

 

 なお、勝者はヘンテコヒルチャールであったという。

 

 

 夕日をバックに右手を突き上げる彼の姿は、何処か満足気で達成感に満ち溢れたものであったそうな。

 

 

 

 

 

*1
雷元素はビビってくるからビビ…因みに命名はミナ

*2
花火が好きだから花火の花をもじってハナ、命名はビビ

*3
無茶苦茶速いし速さを追い求める性格をしていたからハヤテ、命名はビビ





『無相の豆知識』

 彼女達は基本的に身体の主導権を持つメインとメインのサポートをするサブで分かれている。

 基本的にメインは攻撃から防御に移動まで全体的で一般的なそれを担当し、サブはそれらのサポートをする。

 完全戦闘モードの際にはそれら攻撃や防御の役割をメインとサブで完全に分担することもある、今回ミナは防御を担当した。



ビビ

 週ボス相手に四対一とはいえずっと眠りこけていたアホの子。

 トラウマを抉るようなやり方で叩き起こされ、それらの怒りを全て龍へとぶつけた子、この後ミナに怒られた。

 メド○ーアもどきをミナに内緒で作り出していた、なお後になってさも当然の様にミナにも使われた、しかも使い方が自分よりも上手かった、泣いた。


ミナ

 えげつない方法でビビを叩き起こした子、悪いと思ってるけどそれはそれとしてさっさと起きろ。

 その後、何の躊躇もなく特大の爆弾ブチかましたビビを延々と説教した、具体的に言うと山吹っ飛ばすとかふざけてるの? 的なことを延々と。

 多分彼方が居なくなったり、彼方に嫌われたりしたら本気で世界滅ぼうとする。


ヘンテコヒルチャール

 やったぜ、成し遂げたぜ…!


 
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