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草木も眠る丑三つ時、それなりに資金を溜め込んだ臨時拠点でボクは寛いでいた。イナは寝てるし、今は掲示板くらいしかやる事がないな......。
「田舎、ねぇ......食えるもんがあるだけマシだろ」
でも確かに、人付き合いというのは複雑なものだ。複雑な絡み合い、いくらやっても解けないメビウスの輪。人が人である限りコミュニティは出来上がるのだから、人の数だけ思惑があるのだろう。
「それならボクもまだ人、なのかなぁ......」
意図せずに得た二度目の人生。カスみたいな前世と比べればかなり充実したものになった、と言えるだろう。眠るイナの横顔を眺め、愛おしさを噛み締めるようにその髪に触れる。うわっ......めっちゃサラサラしてる......
「ま、人じゃなくても良いか。その方が便利だしな」
必需品から嗜好品にジョブチェンジした食料に目をやる。イナは食事を摂る必要があるが、ボクはチートによってエネルギーを摂取する必要がない。だからここにあるのはイナの好きなパンばかりだ。栄養バランス悪いな。
「んー。その菓子パン、我も食べていいか〜?」
そんなことを考えていると、深夜だというのにイレギュラーがやってくる。
「はぁ......画面の中からだと声が聞き取りにくいっていつも言ってるだろ。話があるんなら出てこいよ」
「はいはい、お邪魔するのだ〜」
炬燵の正面にある液晶端末から手が伸びる。そのままゲームのキャラクターが飛び出るようにそこから現れた人影は、何度も見た腐れ縁の魔女だった。
中学生くらいの身長、絶対領域が際立つ衣装に、左眼の眼帯とマフラーが印象的な少女だ。正直、中身さえ考えなければかなりの良物件なのだが......少しは時間を考えろよ、今何時だと思ってんだ。
「どんな場所でも電気が通ってりゃ自由に入ってきやがって。恐れ多い『電解』の魔女には組織も協会もさぞ迷惑してるんじゃないか?」
「
「ハイハイ、テンプサンマジイダイッス。イヤホントマジパナイッス」
「全く敬われてないんだけど!?」
雑に扱われているのがよほど不服なのか、抗議の声を上げるテンプと名乗る少女。そりゃ雑に扱われてた方がお前嬉しそうなんだもん、やっぱり中身が難有りだな......。
いや待てよ。今までは協力程度の関係にしていたが、改めてテンプを仲間にするのもアリか? 単純な殲滅力ならボクを上回るし、何より組織と協会にすでに敵対している。
イナに話を通すことができれば、これ以上に心強い奴はいないだろう。中身はアレだが、戦略に幅が持てる。前言撤回しよう、それなりに良い物件だ。
「むぅ......でも我は寛大だし。そんなナナシの無礼な態度も許してやるのだ......って、我の話聞いてる?」
聞いてる聞いてる、この前協会の魔法少女を1日で2桁殺したサイコ女の話ならしっかり聞いてるよ。
「こんな夜更けにやってくる特大レベルの無礼者から聞く話はありませ〜ん、と普段なら言いたい所だが。ちょうど良い、座りなよ。コーヒーと菓子くらいは出してあげる」
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テンプに向けて適当な缶コーヒーを投げる。テンプはそれで束の間の喜びを得ていたが、コーヒーの銘柄を見た瞬間に微妙な顔へと変わった。何だよ、文句あるのかよ。
「我に恨みでもあるのか? こんな砂糖の怪物飲んでたらそのうち糖尿病になっちゃうよ?」
「お前に恨みなんか無いけど、ブラックを飲んだら吐き出したお子ちゃまには砂糖まみれのコーヒーで十分でしょ」
「それ言われると弱いけどさぁ!? ......まぁいいのだ」
揶揄ったことで緩められた雰囲気を、仕切り直しとばかりに咳払いでリセットさせる。
「わざわざ拠点を変えたのはその子と関係が? 我が来ても全然ぐっすり寝てるけど、どう見ても人外......
次いで飛ぶ指摘、流石に付き合いが長いだけあって話が早い。テンプは馬鹿そうな雰囲気を出してはいるが察しは良く、頭の回転も早い。そういうところは好感が持てる。
「まぁそうだね。この子はイナ、ボクと一緒に行動してるが......一言で言えば組織から逃げてきて、協会からもどうせ抹殺対象にされてる。拠点を変えたのは協会と組織、どっちにも前の拠点がバレたからだよ」
「私より先にナナシと行動するなんてどんな手を......?
いや、私の方が付き合い長いしまだチャンスは......」
何かを考えるように小声で脳内を整理しているテンプ。確かに頭の中の整理をするには良いかもしれないが、あまり面白くない。
「小声でボソボソ話すなんて何かあったか? はっきり言ってもらった方がこっちとしては助かるんだが」
「いやいや、何でもないのだ! それで、わざわざ我が入れるような拠点を構えたってことは我に何かあるのだ?」
前の拠点では好き勝手に動かれると面倒だから電気系のアイテムは使用していなかったが、今の拠点ではそれがある。テンプからしてみれば、突然部屋の合鍵を渡されたに等しいのだ。そりゃ何かあると気になるわな。
「ボクとしては協会と組織が邪魔になったんだよね
だからさ、テンプも一緒にどうかなーって、勧誘だよ」
合鍵を渡した理由は近況報告のつもりだったが、こうなるならば勧誘の方が正しいか。テンプならば、この話に乗るだろう。
「......マジで? ついにアレ、
色良い返事だ。良いね、非常に良い。
「その反応は肯定と見て良いかな?
最強の魔法少女、『電解』の魔女のテンプ様?」
「勿論、いやぁ......楽しくなってきたのだ!」
まるで悪ガキ達が悪戯を仕掛けるような無邪気な笑みを浮かべ合う。最もそれは、世界から見れば邪悪な魔女が手を組んだという絶望でしかないのだが。
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1721:TS魔法少女イッチ
というわけで『電解』の魔女改め
テンプが仲間になりました >画像
1722:名無しの掲示板在住転生者
半分くらい事後報告になってて草
過程が飛んでるやんけ過程が
1723:名無しの掲示板在住転生者
なんか距離近くなーい?
1724:名無しの掲示板在住転生者
これテンプちゃんもイッチに好意持ってそうだな......
1725:名無しの掲示板在住転生者
あんま聞いてなかったけど前に付き合いあったの?
1726:TS魔法少女イッチ
お互いに非所属なんでそれなりには
たまに2人でカフェ行くくらいの仲ですかね
1727:名無しの掲示板在住転生者
完全に友達ですねぇ......
1728:名無しの掲示板在住転生者
一匹狼とは何だったのか
1729:TS魔法少女イッチ
シャ○クスとミ○ーク的な付き合い方ですよ?
1730:名無しの掲示板在住転生者
あー......
1731:名無しの掲示板在住転生者
そう言われるとなんとも言えない
1732:名無しの掲示板在住転生者
それにしてはテンプちゃんの距離の詰め方気になるけどな!
1733:名無しの掲示板在住転生者
でもイナちゃんより先に好意を持っていた場合
それはBSSになるのでは?
1734:名無しの掲示板在住転生者
あ、あ......あーっ!!!?!
1735:名無しの掲示板在住転生者
唐突なBSSに脳が破壊されちゃった
1736:名無しの掲示板在住転生者
純愛過激派も難儀だなぁ
1737:名無しの掲示板在住転生者
相変わらず展開が急なんだよね
1738:TS魔法少女イッチ
味方も増えたので本格的に魔法少女狩りを始めます
1739:名無しの掲示板在住転生者
完全に悪役の台詞
1740:名無しの掲示板在住転生者
⚔狩りの時間⚔
ナナシ(TS魔法少女イッチ)
・勧誘に成功
・テンプとはそれなりに長い付き合い
・協会の魔法少女狩りを開始
テンプ(『電解』の魔女)
・イッチとはそれなりに長い付き合い
・協会と組織からはイッチ以上に危険視されてる
・言うほど厨二病って感じではない
・イッチに好意アリ?
イナちゃん
・まだスヤスヤ