「まずは下準備からです、『
睨み合いの中で先行したのは銃を持った少女、先程弾丸がめり込んだモニターから光が走り、怯んで生まれた隙を縫うように空を駆ける鉛色の弾丸が私を襲う。
目を開ければ強烈な光に視界を灼かれ、目を瞑れば鉛玉が身体に綺麗な風穴を開ける。そんな痛烈な選択問題に対し、テンプ様は.....
「領域生成......それはちょっと面倒なのだ、『
敵の仕掛けは領域生成系の魔法か? 打ち込んだ弾丸を起点に固有の空間を作り出し、その中で色々できるという魔法。まさにこのデータ管理室がそうなりつつあるように、奴のテリトリーに周囲を書き換える。
莫大な光は副次的なものに過ぎない、どちらかと言えばその魔法が成立すること自体が問題なんだよな。
決まれば強く、決まらなければ何も起きないというピーキーな性能をしているが、完全初見のタイマンにおいては無類の強さを誇るという。それが、領域生成系魔法。
とはいえ、それはただの魔法少女が相手の場合。
「目なんて使えなくても我は余裕で戦えんだよ、分かったか
「それくらいは食らいませんよ、『
相手の手札を読んだとなれば反撃の時間だ、電撃を纏った槍を虚空から生み出し振るう。対し、銃の女も黄色い弾丸で応戦。領域完成前になんとかしたいが。
避ける、近づく。攻撃、回避。まるでRPGの攻防のように互いが均衡が崩れるチャンスを狙い続ける。我は銃撃を避け、銃の女は槍を避け、互いに少しずつ消耗が進む。
というか銃撃が一向に止まない。銃の方も魔力で改造している可能性があるな、なら弾切れは期待するだけ無駄か?
「『雷鳴』......身体の一部を電気として分解し、操作する魔法。目を使わなくても周囲を把握しているのは、近づいた時に静電気か何か付けられましたかね?」
攻防の最中に飛ぶ指摘、こいつ......中々に鋭いな。普段から使っている『雷鳴』はともかく、閉ざされた視界をカバーしている静電気に気付くとは中々頭が回る。
我は普段から身体の周囲に軽い静電気を纏わせている。その静電気は物体に引っ付き、その静電気を辿って我が位置を把握できるようになる。つまりは即席のマーキングだ。
だけど対峙した数分の攻防程度でそれに気付くか。決着を早いところ付けたいが......自分の拘りの為だけに勝敗を急くのは二流。
「こういうのやめてほしいんだよねぇ。せっかくのショーなんだし、楽しまなきゃ損って思わないのだ?」
何度目かの攻防の末に後方に跳ね、睨み合いの舌戦に移る。ここで必要なのは勝ちではない、情報だ。
必ずしも我、テンプがこの正体不明魔法少女に勝つ必要はない。極論を言えば逃走経路を無理矢理作って逃げることはできる。そう、できるが......
《この女がどこの差し金か分かんないのが気がかりなんだよな。組織じゃないだろうし、まぁ多分協会だろうが......マジであるのか、データ化されてない暗部が協会に》
まだ情報が足りていない。これからの事を考えれば、領域完成までの限られた時間で最大限の情報を得なければいけない。例えそれが推察であってもだ。
協会だったらデータ化すらされていない、子飼いの
このデータ管理室に入れたのもそういう権限を与えられているから、データが無いのは存在自体が危険だから、手を抜いているとはいえ我と戦えるのは魔法少女だから。
だとすれば協会自体が暗部を覆い隠すためのデコイか? 表沙汰に出来ないようなことは暗部が、表面で笑顔を振り撒くのは普通の魔法少女が。そう考えれば自然と等式は成り立つ。
「......手を抜かれてるみたいですが、お忘れで? 私の領域はもう完成しますよ?」
残念だが、答え合わせの時間は無いか。ナナシのパフォーマンスももう終わるし、さっさと退散としよう。敗北より勝利、勝利より情報、情報より命の方が大事だ。
「あぁそう? わざわざ教えてくれるとはご丁寧にありがとうなのだ!! 『
「そんな大振りの攻撃、簡単に避けれ―――足元っ!? ちっ、それが狙いですか逃すかァ!」
狙ったのは意識の範囲外、私自身の足元。生成し、力任せに振るったドデカいハンマーの一撃はデータ管理室.....いや、それが内蔵された協会支部を崩壊させるには十分な破壊力を持っている。
追撃の弾丸は飛んでくるが、崩れる足場じゃ満足に照準が定まらないのかヨレヨレの弾ばかり、この程度は瓦礫で相殺する。
「じゃあな銃撃魔法少女。この最強の魔法少女、テンプ様には勝てないんだよバァーカっ!!」
盛大な捨て台詞の後に身体を電気に変換、瓦礫の山から周囲の電線に飛び移って逃走する。捕まらなければこのケンカは我らの勝ちだ。
テンプ
・攻防を制し支部を建物ごと破壊して逃走
・一発も攻撃を当てられなかったクソエイム
・協会の暗部に対する考察を行う
・固有魔法はまだ未使用、派生技のみ使用
銃を持った少女/???
・一発も当てられなかったクソエイム
・とはいえ一発も食らっていないので五分五分
・テンプの逃走を許してしまう
・崩壊した協会支部の瓦礫の下敷き