TS魔法少女イッチと掲示板と人外系美少女   作:餅持

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やり方は問わない

 

 イナとテンプを部屋から下がらせ、時間潰しにそれなりの『お使い』を頼んだところで、今の構図を整理しよう。

 

 今の構図としては、時間は拉致から大体1時間。場所はボク達が身を潜めているアジト。そしてこの場には......

 

「わざわざお仲間を下がらせてくれてありがとう。このまま解放してほしいんだけど、『歯車』の魔女さん?」

 

「これは取引でも交渉でもない、そんな馬鹿なことは言っちゃいけないな。協会の魔法少女ちゃん?」

 

 視線で火花を散らす二人の魔法少女がいた。片方はボク、ナナシ。もう片方はブルースカイ、確かに二人とも魔法少女だが、違いがあるとすれば無数にある。

 

 秩序と混沌、正義と悪。自由の身であるボクと、命令のレジストで精一杯で動けないブルースカイ。この場の主導権はボクにある、好きなようにやろう。

 

「さて......死ぬことが怖くないって? そういう嘘は良くないなァ、本心では怖くて震えているんじゃないか?」

 

 最近気付いた悪い癖だが、ボクはこういう状況になると少し口調が悪くなるらしい。そうなった心当たりはあるが、まさかな。

 

「あなた達の目的は、私が持ってる情報と都合の良い手駒の確保でしょ? なら私が折れなければ話は終わりよ、時間の無駄だから解放して頂戴」

 

 ......まだ甘いなァ。確かに目的はそれで合っている、だがやり方を考えていないなら解答としてはバツだ。

 

「ブルースカイちゃんだっけ。君はさ、目の前で大切な人が死にそうになったことってある?」

 

「は、何よそれ......親なんて顔も知らないし、怪人達との戦いで死んだ仲間も別にいないけれど」

 

 ブルースカイはボクから飛んできた突然の質問に、案外細かく返してくれた。素直に答えてくれたお礼に......生成した歯車で右腕を挟み、千切るように回転させる。

 

「は? ......あ? 腕、腕がぁあっ!」

 

「あまりデカい声を出すなよ、死ぬことなんて怖くないんだろ? なら腕一本千切れたって怖くないだろ」

 

 歯車に挟まれ千切れた少女の右腕は、鮮血を伴って床に自由落下する。あーあ、カーペットはイナのチョイスだからあとで怒られるかも。なんて言えば許してくれるかなぁ。

 

 とりあえず千切れた腕を放置して回復魔法をブルースカイちゃんにかける。気絶はしていないし、腕の欠損程度ならボクの回復魔法は治せる。

 

「はぁ......はぁ? ......腕が、なんで? 治ってる?」

 

「ボクが治したんだから感謝しなよ。じゃあ続いてクエスチョンツー。君は、死んだ大切な人の肉を喰らって生き延びたことはありますかァ?」

 

「な、何よそれ......意味分かんない......」

 

 失った腕が治った混乱、続いて投げられた問題に対する疑問符。頭の中は『分からない』でいっぱいか?

 

「はい、時間切れ―――もう一回、やってみようか」

 

「ちょ、まっ―――ああぁぁ!!!!」

 

 もう一度、歯車を振りかざす。ブルースカイの身体は純粋な痛みで反射的に悲鳴を上げる。今度吹き飛んだのは左腕、血飛沫が舞うが気にせず回復魔法を使う。

 

 『痛み』というのはシンプルに『死』を想起させる。身体の一部を失って少しずつ近づく『恐怖』、この魔法少女は果たして何回壊れずに耐えられるかな。

 

「は、は......は? 何、これ。訳、分からないわ......」

 

 意識していなかったが、『理解出来ない』ということも恐怖の対象になるだろうか。だったらさらにキツイかな?

 

「ボクは君を壊すつもりでやるから。痛みに弱いんだったら早めに壊れた方が楽かもね、と言っても加減は得意じゃないから殺したらごめんね?」

 

 さて、イナとテンプを待ちながらゆったりとやりますかね。拷問は得意じゃないし、早めに折れてくれると楽だなぁ。ま、折れなくてもその後が苦しくなるだけだけど......ね。

 

 ▼

 

 ナナシの要望で拠点から離れた私とテンプの二人は、頼まれていたお使いを済ませるために駅前に出向いていた。

 

「おー......凄いね、駅前で堂々と魔法少女に対するデモやってる。これも私達の影響かな」

 

「我ら以外に誰がいるんだって話だけどね。にしてもこんなの駅前でやってる時点で地獄だけど。サインでも書いてあげたら喜ぶんじゃないのだ?」

 

「面倒だから嫌だよ、お使いはあと何が残ってる?」

 

 普段使う資金はこの前の情報テロでかなり稼いだ。テンプはそのことをインサイダー取引じゃん、とか呆れていたがそれは気にしない。

 

 駅前の魔法少女に対するデモ活動は、日に日に賛同者が増えているように見える。優れた人物がいるかと思ったが、裏で操っている奴がいると考えた方が楽そうだ。

 

「えーと......卵と牛乳と、あとは()()()()()()()()()()()()()、だってさ。ブルースカイと一緒に捕まえれば良かったのに」

 

「へー......場所は?」

 

「既に探知済みなのだ、何時でも捕まえられる」

 

 ......今日のお使いは早く済みそうだな。早めに戻ろう。

 





ナナシ
・ブルースカイちゃんの拷問開始
・死ななければ何しても良いと思ってる
・イナ、テンプに『お使い』を頼んだ

イナ&テンプ
・ナナシからのお使い開始
・資金はインサイダー取引で大量
・デモ活動の裏の存在も気掛かり

魔法少女ブルースカイ/???
・ナナシによる拷問開始
・痛みの耐性はあるが限度もある
・何回壊れずに済むのか......?
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