TS魔法少女イッチと掲示板と人外系美少女   作:餅持

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この先の展開を整理していて遅れました。実はナナシの過去編だけでかなり話数を使いそうで......途中でイナ&テンプ側の視点を挟んだりしそうです。今の更新頻度じゃまず終わらないので、そろそろ頑張りたいですね(他人事)


出会いと世界の法則 ①

 

 きっと昨日のことは悪い夢だ、朝に目が覚めれば元通りの身体での生活が......そう思って眠ったが、日差しに照らされながら少女の身体で目が覚めた。

 

「うーん......神は神でも疫病神だったか、許すまじ」

 

 人生二周目とか、そういう趣味の人からすれば垂涎モノだろうが......まさか性別に恨みを抱くとは思わなかった。さらば相棒、こんにちは女の子サマってか、クソがよ。

 

 未使用のままに消えた相棒に想いを馳せ、追悼の意思を込めながら周囲を見渡す。現代日本の普通の公園、使われずに少し錆びた遊具は哀愁を漂わせていた。

 

「現代日本......いや、そうとも限らないのか」

 

 ここで危惧したいのは転生という概念、カミサマとやらがいるならば、世界がいくつあっても不思議じゃない。

 

 細かい差異ならともかく、ファンタジーな要素があってもおかしくない。幸いにもガッツリとしたファンタジー世界ではないようだが、現代日本だろうと油断はできない。

 

「というか持ち物は......無いよりマシだがこれだけかよ」

 

 ボクの現在の手持ちは死ぬ直前より酷いかもしれない、何もないよりはマシだが、改めて整理してみよう。

 

 ①今着ている服、普通のカーディガン......いや、女子用の制服。下手したらこの世界の学校の制服か、要検討。

 

 ②手元にあった工具箱、新品のように磨かれたそれの中には......プラスドライバー、マイナスドライバー、ルーペ、ナイフ、光源用のライト。脱出ゲームでもすんのか?

 

 持ち物はこれだけ......前世でも使っていた工具があるのは助かるが、仮定現代日本でどうしろってんだよ。

 

「仕方ない......まずは世界観の把握からだな」

 

 精々武器にする程度か。それだとニッパーやペンチ、六角レンチ等が無いのは惜しい。自己防衛に使えるのは精々ナイフか、切り替えていこう。

 

 ▼

 

 公園から出て歩いて15分ほど、それなりに広い商店街へと出た。特に補導とかはされていないが、恐らくは休日なのだろう。商店街にも割と人がいるな。

 

 新聞でもあればこの世界のことは大体分かるんだが......残念ながら今のボクは一文無し、そんな金はない。

 

 従ってこの推定小学生ボディを活かして、本屋で情報収集でもしようとしたのだが......

 

 

 

「おっと、もっと声を出してくださいよ。分かりやすく言えば逆らったら殺しますので、私を楽しませて下さいね?」

 

「何を......早く離しなさいよ、このド腐れがぁ!」

 

「ははは、良い歓声だァ......そういうので良いんだよ」

 

 

 

 はい、最悪な治安に巻き込まれた。山羊みたいな顔の大男に軽々と持ち上げられ、絶賛人質タイムです。おいおい、これは現代ファンタジー世界じゃねぇか......

 

 同時に捕まったドリルツインテ少女の発言からして、これ自体は珍しいことではあるようだが......しまったな、もう少し慎重に動くべきだったか。

 

 

「おや、こっちの少女は声を出しませんねェ......おい、出せよもっと悲鳴を、歓声を、狂った声をさァさァさァ!」

 

「ッ......ぁ......!」

 

 

 漏れ出るように、悲鳴が喉奥から溢れる。大男に首筋を絞められ、あまりの苦しみに喘ぐように悶える。

 

 嗚呼、このままボクはまた死ぬのだろうか。二度目の人生がすぐに終わるとか、三度目は無いだろうな......

 

「......っそ、が」

「あァ?」

 

 はぁ......流石にまだ死にたくない。ため息を1つ、苛立ちは無数......その怒りで、足掻きに変える。

 

 

「クソがって......言ったんだよ山羊男、食らえやァァ!!」

 

「なッ──ァァァッ!!!」

 

 

 震える指でポケットからナイフを取り出し、出せる最大スピードで山羊男のへ投擲。素人丸出しのふよふよとした軌道、しかし天運は味方し......怪物の喉元を抉る。

 

 人質からの突然の攻撃、無警戒だった怪物はその痛みに悶える。一瞬だが拘束は緩み、ドリルツインテの服を引っ張り強引に駆け出す。

 

 

「なっ、何してんのよアンタ!?」

 

「死にたくねぇ、だったら足掻くしかねぇだろうが。叫ぶ余裕があるなら走れ、死んでも責任は取れないぞ!」

 

 

 体のエンジンを全開、脇道に逸れるように怪物の視界から外れる。こっちに決定打はない、だったらどうする?

 

 この体の性能なんてたかが知れている。商店街なら店に入れば遮蔽物は大量にある、それなら警察でも何でも良い。救援が来るまで耐えれば──

 

「舐めるなよッ、小娘がァァァァァァ!!!!」

 

「ッ......飛び道具は、反則だろうがぁ!?」

 

 その時、山羊男が喉元に突き刺さったナイフをこちらに投げ返してきた。それはボクの右足の腱を切り裂いた。あまりの痛みに絶叫したくなるが、状況はそれを許さない。

 

 ドリルツインテは......逃げ切ったか。じゃあこの足掻きにも意味があったか? 目の前に迫り来る怪物、クソッ......ここで終わりかよ、嫌すぎるんだがな。

 

 

「「そこまでよッ、怪人!!!」」

 

 

 薄れゆく意識の中で、誰かに優しく抱き抱えられた。ああ、もう眠い......せめて一思いに殺してくれ。

 





TS少女(後のナナシ)
・転生への適性はそこそこ
・戦闘のセンスは並以上、肉体の性能不足
・工具を武器と認識している節がある

ドリルツインテ
・一般通過人質
・生意気なその辺の少女
・運が悪い

山羊男
・初エンカした怪人
・加虐趣味(少女専門)
・この後とある人物達にボコされる

謎の2人組
・怪人が暴れている現場に到着
・一体彼女達は何少女なんだ......()
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