区切りが良いので少しだけ短いです、回想はあまり長くしても......ね。
「ねえ■■■ちゃん、お昼ご飯どうしよっか〜?」
「えっ......ボクは別に何でも良いんだけど」
「何でも良いが1番困るんだけどね、回理なら大体作れるからこういう時は適当に言えばいいよ」
目が覚めてから数日が経つというのに、ボクは未だに魔法少女達に身柄を拘束されていた。拘束というか軟禁、そんなに不自由ではないが......絆されている気がする。
素直に認めよう、ここ数日の生活で彼女達に関心を持つに至ったことを。積極的な回理と、冷たいように見えて優しい天音......あとオマケで回理の妹、彼女はまぁ良いや。
「ほらほら、早く行かないと遅れちゃう〜!」
「ちょっ、ボクまだ行くとは......ひゃぁぁぁ!?」
「いってらっしゃーい」
大したことのない前世とは比較できないほど、この数日は自分にとって最もかけがえのない物だったと思う。
誰かが誰かを振り回して、それをみんなで笑い合う。意見がすれ違うこともあったが、最後には笑っていた。
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そう、ここまでは幸せな日々の残影。かつての日常は、突然に終わりを告げる。
「は......え、嘘──」
「......嘘じゃない、私を庇って──回理は死んだ」
「その、傷は──」
「ハハッ、回理がいたら治せたかもね......」
そう言って片割れの死を告げた天音の姿は、酷くボロボロで。彼女が身体を引き摺った後には、おびただしい量の流血の跡が残されている。
原因は、戦力の誤認。二人で十分と判断した怪人の実力の方が上手で、こうして街は火の海と化した。
「なんで、そんな──」
「はァ、組織も──協会も信用しちゃ駄目だね」
最期にボクが出会ったのは、運が良いのか悪いのか。理解できるのは、無力なボクが取り残されるというだけ。
「ねえ■■■、私達が死んだことはあの子の妹には内緒にしてくれるかな。あとは──ごめんね、ありがとう」
「天音、あま──ぁ」
どれだけの間、そうしていたのか。
「ねぇ、天音?」
「天音、返事をしてよ」
「ねぇ、またさ......遊ぼうよ、ね?」
必死に呼びかけるも、既に彼女の瞳に光は無く。どうしようもなく取り残されたボクだけが、この場にいた。
これから、どうすれば良いんだろう。今も街は怪人が暴れて火の海に、頼れるヒーローはもういない。そうだ、今までのお礼に天音と──回理を直さないと。
不思議と、涙が出ることはなかった。燃え盛る炎が周囲を囲っているのに、身体は不思議と寒気に覆われている。
なんで、心を開いた人から死んでいく? ようやく、笑い合える人と会えたというのに──なんで、なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで。
「あぁ、そうか」
崩れる街の中で、その答えに辿り着く。きっと元々ボクは壊れていて、壊れた歯車が不協和音を生み出したんだ。
彼女達は、ボクが殺したも同然だ。だから、みっともなく生きているボクは、早く死なないと──
「ぁ......」
今、ボクは何を考えていた?
仮にも彼女達が救った命を、踏み躙ろうとした?
こんな不出来な歯車を──何故彼女達は助けた?
「あはは、もう......分かんないや」
機械は例え不出来なエラーが起きても、やり方次第でいくらでも直せる。だけれど人間、ボクは......突然の衝撃には耐えられなかった。
その歯車はきっと、どうしようもなく歪んでいて。力無きボクには、それまでの光景が焼き付いて仕方なかった。
崩れ去っていく 街の片隅想う
ありきたりだった毎日の温もり
この瞳に焼き付いた 燃え盛る場面
聖痕(スティグマ)のない"僕"は どこにいるの?