TS魔法少女イッチと掲示板と人外系美少女   作:餅持

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 区切りが良いので少しだけ短いです、回想はあまり長くしても......ね。


『何/誰』が『彼女/歯車』を『殺す/壊す』のか

 

 

「ねえ■■■ちゃん、お昼ご飯どうしよっか〜?」

 

「えっ......ボクは別に何でも良いんだけど」

 

「何でも良いが1番困るんだけどね、回理なら大体作れるからこういう時は適当に言えばいいよ」

 

 

 目が覚めてから数日が経つというのに、ボクは未だに魔法少女達に身柄を拘束されていた。拘束というか軟禁、そんなに不自由ではないが......絆されている気がする。

 

 素直に認めよう、ここ数日の生活で彼女達に関心を持つに至ったことを。積極的な回理と、冷たいように見えて優しい天音......あとオマケで回理の妹、彼女はまぁ良いや。

 

 

「ほらほら、早く行かないと遅れちゃう〜!」

 

「ちょっ、ボクまだ行くとは......ひゃぁぁぁ!?」

 

「いってらっしゃーい」

 

 

 大したことのない前世とは比較できないほど、この数日は自分にとって最もかけがえのない物だったと思う。

 

 誰かが誰かを振り回して、それをみんなで笑い合う。意見がすれ違うこともあったが、最後には笑っていた。

 

 

 ▼

 

 

 そう、ここまでは幸せな日々の残影。かつての日常は、突然に終わりを告げる。

 

「は......え、嘘──」

 

「......嘘じゃない、私を庇って──回理は死んだ」

 

「その、傷は──」

 

「ハハッ、回理がいたら治せたかもね......」

 

 そう言って片割れの死を告げた天音の姿は、酷くボロボロで。彼女が身体を引き摺った後には、おびただしい量の流血の跡が残されている。

 

 原因は、戦力の誤認。二人で十分と判断した怪人の実力の方が上手で、こうして街は火の海と化した。

 

「なんで、そんな──」

 

「はァ、組織も──協会も信用しちゃ駄目だね」

 

 

 最期にボクが出会ったのは、運が良いのか悪いのか。理解できるのは、無力なボクが取り残されるというだけ。

 

「ねえ■■■、私達が死んだことはあの子の妹には内緒にしてくれるかな。あとは──ごめんね、ありがとう」

 

「天音、あま──ぁ」

 

 どれだけの間、そうしていたのか。

 

「ねぇ、天音?」

 

「天音、返事をしてよ」

 

「ねぇ、またさ......遊ぼうよ、ね?」

 

 必死に呼びかけるも、既に彼女の瞳に光は無く。どうしようもなく取り残されたボクだけが、この場にいた。

 

 

 

 

 

 これから、どうすれば良いんだろう。今も街は怪人が暴れて火の海に、頼れるヒーローはもういない。そうだ、今までのお礼に天音と──回理を直さないと。

 

 不思議と、涙が出ることはなかった。燃え盛る炎が周囲を囲っているのに、身体は不思議と寒気に覆われている。

 

 なんで、心を開いた人から死んでいく? ようやく、笑い合える人と会えたというのに──なんで、なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで。

 

「あぁ、そうか」

 

 崩れる街の中で、その答えに辿り着く。きっと元々ボクは壊れていて、壊れた歯車が不協和音を生み出したんだ。

 

 彼女達は、ボクが殺したも同然だ。だから、みっともなく生きているボクは、早く死なないと──

 

 

「ぁ......」

 

 

 今、ボクは何を考えていた?

 

 仮にも彼女達が救った命を、踏み躙ろうとした?

 

 こんな不出来な歯車を──何故彼女達は助けた?

 

 

「あはは、もう......分かんないや」

 

 

 機械は例え不出来なエラーが起きても、やり方次第でいくらでも直せる。だけれど人間、ボクは......突然の衝撃には耐えられなかった。

 

 その歯車はきっと、どうしようもなく歪んでいて。力無きボクには、それまでの光景が焼き付いて仕方なかった。

 

 





 崩れ去っていく 街の片隅想う

 ありきたりだった毎日の温もり

 この瞳に焼き付いた 燃え盛る場面

 聖痕(スティグマ)のない"僕"は どこにいるの?

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