TS魔法少女イッチと掲示板と人外系美少女   作:餅持

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 魔女兵器が復活してマジで階段から転げ落ちました、レンちゃんがまた見れる喜びで今後も頑張れそうです。

 あと年内最後の更新です。よいお年を〜!


ケーキの切れない非行少女達

 

 

「あーあ、街が壊れていくのだ......まぁ私達のせいだけどね〜、関西は別に興味ないし良いかな」

 

「テンプはバッサリだねぇ──にしても良い悲鳴じゃんか、やっぱり生放送にはライブ感が大事だよね」

 

 突然始まった悪趣味なパレードは、中継を通じて各地へ届く。世界を揺るがした情報テロは記憶に新しいが、今回の事件は以前とは明確な差別点がある。

 

 大阪を舞台に幕を上げたのは、破壊の大嵐。電撃が全てのインフラを掌握して、氷と炎が有象無象を薙ぎ払う。公共物への実害......これからはノーリミットだ。

 

 軽く伸びをして周囲を見渡す。無秩序に逃げ惑う市民に、壊れゆく街。そして、辿り着いたヒーロー。

 

「全部、全部全部全部──『天災(ディザスター)』、お前らのせいだよなぁッ!?」

 

「やっとご到着なのだ......上に三人、裏は多分二人」

 

 殺意を剥き出しに叫び声を上げたのは、一般的なイメージの魔法少女らしく杖を構えた少女達。データにあった名前は確か──別に良いか、モブだし。

 

「一撃で仕留める、片方だけでもッ──!!」

 

「ふ〜ん......だけれどゲームオーバーだよ、グッバイ」

 

 高台で隊列を組む魔法少女の腹を、丸太ほどのサイズの触手が横薙ぎに捉える。気分はまるでボウリングだな、はいこれでストライクっと。

 

「この程度で......負けるかぁッ!!」

 

「そもそも君たちじゃあ勝てないんだな、テンプ」

 

「はーいなのだ、『操電(ソウデン)』っと」

 

「『爆──、何ッ!?」

 

 それでも立ち上がり攻撃魔法を放とうとする魔法少女の動きが、テンプによって逸らされる。あーあ、その攻撃の行く先は市民達だぞ?

 

 そもそもテンプのクラッキングが通用するなら、相手する必要がない。意思の力で抵抗されることもあり得るが......伏せ札の対処は出来ていないようだな。

 

「そん、な──嘘、私は......!?」

 

「攻撃するならちゃんと私達を狙って打ちなよ、じゃないとさァ──魔法の犠牲になる市民のみんなに迷惑だよねェ!!」

 

 モブ魔法少女の攻撃魔法が、脅威から逃げ惑う市民へと命中する。ん〜......今ので大体三十人くらいは消し飛んだか、可哀想に。

 

 そのまま自分が犯した惨劇に呆然とするモブに接近し、勢いのまま飛び蹴りを決めてオマケに触手でドーンと一撃。なんか......イジメみたいになってきたな。

 

「魔法少女も堕ちたもんだねぇ──守るべきモノを自分で壊した気分はどうかな?」

 

「ぁ......くま、ゆる──」

 

「文句は協会の奴らに言うのだよ、加害者ちゃん。先に外法に手を出したのはどっちかね?」

 

 街は騒然、燃えて凍てつき電撃が舞う戦場にて私達という悪意が踊る。ぐぐぐ、まだ釣れないのか......?

 

 

 ▼

 

 

「ねぇ添元、例の生放送は見たかね?」

 

「え、何それ初耳なんだけども大垣?」

 

「見てないんかい......『天災』絡みだよ、大阪で何でもアリのお祭りをしていやがる」

 

 現場にいない協会暗部の二人は、とある拠点でその配信を眺めていた。この状況でも優雅に紅茶を飲んでいて、呑気にケーキを嗜んでいるのは余裕の表れか。

 

「え〜、でも時雨がいるじゃん大阪はさ。いざとなれば『マジカルクラフト』を使えば良いんじゃない?」

 

「関西を更地にするつもりかよ......時雨は大雑把だしなぁ、最悪そうなっても良いようにするか」

 

 仮にも情報担当の巫山戯たお面を眺めながら、司令塔の大垣は冷静に戦況を整理する。

 

「でも考えようによっては良いんじゃない、時雨の犠牲だけで『天災』が壊滅できるなら安いでしょ」

 

「もうちょい仲間意識とか......いや、お前にそれを求める方が酷か。実の妹を好き勝手に改造して、隠蔽のために同僚二人殺した奴は格が違うわ怖い怖い」

 

「やだなぁ大垣、『()()()』に関しては時効だし......例の()()()()は私の目的には邪魔だっただけだよ」

 

 じゃあなんで野放しにしているんだよ、という疑問が口に出ることはなかった。どうせ藪蛇だし。

 

「盤上の勢力は三つ、叶う理想は一つ......これじゃあケーキは切り分けられないな?」

 

「大垣ならそういう時の対処法は?」

 

「自分以外を消せばその理想(ケーキ)は総取りだろ、ナイフはケーキじゃなくて隣の敵に使いな」

 

 何かが欠けた少女達には、倫理なんて文字はない。そうして、醜い椅子取りゲームは進んでいく。

 

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