自分の身体を電気に分解する時には、頭の中から何かが弾ける音が聞こえる。すり鉢で脳を念入りに粉々にされるような、慣れたとはいえ不快な感触だ。
「「「騾?£繧九↑谿コ縺吝勧縺代※!!!」」」
「ハハ、全員揃って突進しか脳が無いのかなァ!?」
不可思議を現実に変える、それが魔法──だが、過ぎた力には代償が伴う。目の前の怪物達も多分、驚異的な力の代わりに理性と思考を失ったと見て良いか?
元魔法少女共......今は仮に『魔物』とする。それ自体のスペックは大したものではないが、数が厄介だな。
倒した魔法少女が魔物になっているとすれば......その数は15を超えるだろう。加えて致命傷レベルのダメージを物ともしない耐久性、これだけで十分に驚異だ。
「『
電気を右手に貯めて、解き放つ。周囲の魔物を一網打尽にせんと荒れ狂う稲妻が、舗装されたアスファルトを裂く。テンプ様の攻撃としては弱い方だが、多少の牽制くらいにはなるか──ッ!?
「逞帙>繧医↑繧薙〒謾サ謦?☆繧九......?」
「がふッ──おいマジかァ、巫山戯るのも大概にするのだよチート野郎共が......ッあァァァ!?」
当然のように無傷なのは良い、いや全然良くないんだが......問題はそこではなく、火炎を突き破って現れた
その魔物が放つ鋭い尾の針が、私の剥き出しの右目を抉る。生身のままに攻撃を貰った......咄嗟に眼帯を投げ捨て左目を解放、返す刀で電撃を浴びせる。
「いつから動物図鑑ってのは飛び出す絵本になったのだよ、メルヘンチックバケモノランド開園ってか?」
「菴輔r險?縺」縺ヲ縺?k繧薙〒縺吶°?」
あークソ、魔法少女じゃなきゃ即死だったぞ。これ脳までダメージ入ってそうし......まだ舐めてたなぁ。
この場の勝利条件は単純、魔物を倒してイナと合流すること。これが協会の差し金ならイナは手筈通りに動いているはずだ、なら我が逃げて彼女の負担を大きくするわけにはいかない。
つまり、出し惜しみしている場合じゃない。配信などに使っていた全リソースを集約し、我の全力を出すのが最善──覚悟を決めろ、それ自体が力となる。
「新フォームの時間だ、"
力の解放と共にマフラーが揺れて、溢れた魔力が周囲に飛び散る。身体が軽い──それも副次的な物。
舌を出して、拒絶を示すように魔物へ中指を突き立てる。最後にカメラが捉えた視線に、敵を見据えて。
▼
「ハハッ、あー配信良いとこで切れちゃったね」
「笑い事じゃないでしょ添元、本当に関西の『マジカルクラフト』使ったのか......始末書じゃ済まないな」
関西の惨状を配信で眺めていた大垣と添元は、そう言いつつも戦況を分析していた。余裕があるのは確かで、楽に『天災』を始末できそうなのが大きい。
結局のところ、どれだけ関西で暴れても私たちには響かない。勝手に先走った魔法少女が、こうして姿を変えて暴れ回るだけで殺せる程度でしかない。
「なんて名前だっけ、アレ」
「添元さんに聞くのかい、アレの名前は──"天使"だよ、正義を信じる青いガキにはお似合いだろう?」
少女達の覚悟すら、尊厳を踏み躙るスパイスでしかない。だがその余裕が崩れるまで、あと数分──
▼
『電解』の魔女、テンプの魔法は複雑なプロセスを経て出力されている。電気を操ることは周知の事実だが、その範囲は静電気から雷まで多岐にわたる。
撹乱から戦闘まで様々なことが出来る万能の魔法だが、無敵ではなかった。それはテンプ自身の反応速度に依存するために、不完全だったと言っても良い。
「こっから先は
その前提を覆すような速度で、身体が動いた。弾丸のような速度で迫る魔物の針を難なく躱し、指を指して魔物の身体に静電気を纏わせる。
なんてことはない、頭でどうこうと複雑に考えるから難しい話になるのだ。理屈で物事を定義するよりも早く──全てを自分で定義して理解すれば良い。
己の限界が能力を妨げるならば、限界など取り払えば良い。そんな意志の力が、理屈を超えていく。
「縺ェ繧薙〒縺ェ縺ォ縺後>縺」縺溘>縺ゥ縺?@縺ヲ!?」
「驚いたかな、イメチェンってやつだよ」
全てのリソースを戦闘に割いた少女は、普段とは異なる衣装に身を包んでいた。厨二病を拗らせマフラーを揺らした風貌から一点、硬派な雰囲気の軍服へと変わり、一人称からも遊びが消えた。
今では、脳を揺らすような痛みも些細なものに過ぎない。それ以上に、神経が研ぎ澄まされているから。
ガキン、と開戦のゴングが響いた。四足の魔物が爪を突き立て、コンクリートを粘土のように砕く音だ。
「四足が5体、二足が6体、飛行が7体......かな」
敵の種別を把握した途端に地面を蹴り上げ、四足の魔物の懐へ潜り込む。当然目前に迫るは命を刈り取る死神の鎌。魔物が爪で攻撃を行う瞬間──それを理解し、直前で身体を電気に変換する。
「遅い......『
目の前の魔物が驚愕し、少しでも動きが鈍ったのを理解した。変換された身体を魔物が通り過ぎる瞬間に布石を巻きながら、思考を次の敵へと巡らせる。
電気の速度はおよそ光と同等、その暴力的なまでの速さで空気中を飛び回る。青白い光が宙を瞬き、次々と魔物達に微弱な電気を纏わせる。
致命傷レベルの攻撃を喰らっても動く──なら話は簡単だ。何度でも、死ぬまで殺せば良いだけだ。そのための動線は......なんとか準備出来た。
「ぶっ壊れろ、『
──その時、空から唐突に稲妻が降り注いだ。善悪の区別なき天使を裁く、自然の怒り。それまでにテンプが纏わせた電気を目印に、一匹残らず全ての魔物へと襲いかかる。
今までの攻撃は全て、この一撃に比べれば遊びにも等しい。それほどまでに......雷は怪物を灼いていく。
「縺後′縺√=縺√=縺√=??シ?シ!?!!!!?!」
「今の雷は──死ぬまでターゲットに帯電する。そもそも雷を喰らって動けるならお手上げだが......その調子なら大丈夫そうだね、しっかり死ぬまで味わいな」
個体による大小の差こそあるけれど、決定打に選んだ一撃は有効だった──テンプはそう理解した。意志の持ち方次第で、こうも変わるものかと嘆息して。
そういえば今月6日にはこの作品も1周年だそうです。記念の幕間こんな半端なタイミングで入れられないよ......今月は更新頑張ります()
テンプ
・配信を中断し強化フォーム解禁
・新戦法はつまり脳筋ゴリ押し
・魔物(天使)を撃破した為イナの元へ
協会暗部の二人
・未だに温室でぬくぬく
・天使(魔物)を過信して油断してる
・⚠︎この後ブチ切れます