TS魔法少女イッチと掲示板と人外系美少女   作:餅持

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ようやく新章開幕です、変わらず遅筆ですがよろしくお願いします。


壊れかけのパッチワーク

 

 

 カタカタカタと、キーボードを入力する音が研究室に響く。薄暗いテリトリーの中で、白衣に身を包んだノアは目の前にあるデータに頭を悩ませていた。

 

 

「麻薬に類する成分反応に何者かの魔力の残滓──しかも何だよこの配合は、私なら絶対に使わないぞ」

 

 

 関西テロの際にテンプくんが持ち帰った魔法少女のなれ果て......ここでは以後"魔物"と仮称しよう。

 

 話では魔法少女が変化したという話だが、その面影はまるで無い。しかし解析をしてみれば出てくる結果はどれも、この魔物が人間だったことを示していた。

 

 さらに異常なのは、別の人物の魔力が魔物の血液に観測されたことだ。他人の血を強引に輸血されたような状態──言うまでもなく危険だ。もし身体が適合しなければ、間違いなく肉体の中で拒絶反応が起きる。

 

 

「ふーむ、これだと継続的な活動を目的とした感じではないかな? 固有の魔力を溶け込ませ、拒絶反応を誘爆させて一時的に強化──自爆技みたいなもんか」

 

 

 察するに日常的に服用していた薬物か、一服盛ったというよりはその方が自然だ。政府直轄の協会ならば少女達の医療面に関わる事は容易いし、疑われない。

 

 まぁそれも今では──という話だが、魔法少女の中には身寄りの無い者も少なくはない。他に居場所のない彼女達の末路は......敵とはいえ、流石に同情する。

 

 

「最近は何かと物騒だしなぁ、ナナシくんはこっちに専念しろって言ってたけれども......心配だ」

 

 

 今回、恐らく私が表に出ることは無いだろう。次に事を構える相手は、予想が当たるとするならば──

 

 

「まぁいいや、どうせ......いや、私に言う資格はないな。そんな事より、急いで仕上げないとね」

 

 

 こんな自分が悪だという自覚は、ある。そんな自分だからこそ、見える景色と紡がない言葉があるのだ。

 

 

 ▼

 

 

 天災が巻き起こした関西テロ事件の後、日本全体で秩序が乱れていた。表面は何も変わらない日々を享受する一方で、被害を受けた大阪付近の街では現代とは思えない非日常の空気が流れている。

 

 抉り取ったように穴の空いた地面、テンプの電熱に溶かされ、魔物の攻撃刃によって切り裂かれた建物。

 

 復旧の目処が立たない戦闘跡地を、立ち入り禁止のテープが世界から切り離す。静かに降り続ける雨の音だけが、境界線の外と内を繋げていた。

 

 

「はいはい、お邪魔します──ってね」

 

 

 そんな静寂を崩すように、添元は平然と境界を飛び越えた。狐の仮面を被り迷いのない足取りで進むその姿は、見る者によっては空想か幻に思えるだろう。

 

 しかし当の本人の顔は、言葉の軽さとは裏腹に真剣そのものであった。今までの彼女からすればありえないことで、仮面で隠した本心は測ることは出来ない。

 

 

「『水刃(アクアカッター)』」

 

「──っと、随分と過激な挨拶だなぁ。呼び出しに応じたというのに......いったい何様のつもりかな、"星空ちゃん"? ああそれとも、"鳥谷ちゃん"の方かな?」

 

 

 そんな彼女の背後から、突如として水の刃が襲いかかった。横薙ぎに胴体を切り裂く死神の一手、雨音に紛れて僅かな詠唱すらも聞こえない一撃を──しかし添元は身を屈めて簡単に避ける。

 

 

「答えは前者ですよ添元先輩、私も色々ありましたが......死んでもらえますか?」

 

「その問答にイエスを言う奴はいないでしょ、それにしても、見ない間に印象が変わったねえ、()()()()()()()()って感じ? 少なくとも、前みたいにテレビには出れないね」

 

 

 瓦礫の山に身を潜めていた襲撃者は、雨に濡れながらその姿を見せた。継ぎ接ぎの悪趣味な怪物──それは変わり果てた魔法少女、スターライトであった。

 

 擦り切れたパーカーでその不恰好な身体を隠し、顔も一度見せたらフードで覆ってしまった。今やその表情は伺えないが、ある程度察することは出来る。

 

 今日のこの会合は、スターライトが添元に仕掛けたものである。目的は報復か復讐か──今はただの私怨か思惑あってのことか、分からないが......

 

 

「"天災"が関西で起こしたテロと同時にどうやら東京の方でも......一般人が殺害される事件があったらしいね?」

 

「ッ──!?」

 

「ああ本当に......お前らゴミが、こうして勝手に動き出すせいで私のプランはめちゃくちゃだよ。はぁぁぁ......お陰で今はな、虫唾が走って仕方がないんだよ」

 

 

 かつては協会の先輩後輩として、指導を共にすることもあった。ただ彼女達が異なったのは、その手に望むもの。添元の煽りは、的確にスターライトの言葉を刈り取ってしまった。

 

 そうして添元は狐の仮面に手を当て、息を整えて臨戦態勢を取った。その瞬間に歪み切った魔力が周囲で荒れ狂い、飛び散った黒色の火花が揺らめく。

 

 

「殺す気は無いが......呼び出しのツケだ、久々に一戦やろうか」

 

「──今の私は加減しませんよ。最初から殺すつもりで来ていますし......聞きたいことは山ほどありますが、拷問は得意じゃないので」

 

 

 仕切り直しとばかり言葉を紡いだスターライトの背後で水の刃が荒れ狂い、互いに敵を見据える。雨が降り止まぬ中で、落ちた雷と同時に開戦のゴングは鳴り響いた。

 

 




次回は掲示板の予定です、なるべく早く投稿します......

ノア
・残業はそろそろ終わりそう
・仕事はちゃんと出来るし成果も出す
・それ以上に普段の態度が駄目

添元
・本人は大物感を出そうとしている小物
・煽りスキルは高くないがスターライトちゃんが弱い
・戦闘描写はもう少し後で

スターライトちゃん
・ボロッボロだが生きている
・添元を呼び出し殺る気マンマン
・今まで何をしていたんですか????
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