区切り悪いから少し長くなっちゃった……投稿遅いままだしまぁええか()
──池袋駅付近 パチンコ店Aの防犯カメラ映像より
「はい、もしも──」
『おいパチカスクソメイド、仕事の時間よ。さっさとその
「……お言葉ですがお嬢様。この台の継続率は約87%でございますよ? ようやく
金を賭した弾が遊戯台の中を飛び交い、機械が定めた確率が全てを支配するホールの中で、その会話は大当たりの確定音にかき消されている。
通話しようとスマホに耳を傾けるのは、すらっとした長身の女性。凛としていながらどこか柔和で、それでいながら艶やかな蒼の瞳が印象的な美人だ。
『まったく……早速《
貴女風に言えば、横の台でオスイチ*1されたと言うべきかしらね。まぁそれが良い事とは限らないけれど』
「えっ、ちょっ……はぁ、かしこまりました。
ですが私はどうすればよろしいので? 先に言っておきますが、今すぐにというのは難しいですよ」
だがどうやら、見た目の麗しさと中身は比例しないらしい。フリルに彩られたステレオタイプのメイド服も、パチンコ台が前ではその魅力が薄れてしまう。
もっとも、その会話の内容はさらに外見と反する事だが……それを指摘できる者は、誰もいない。
『十九でこれとか、見た目が良くて仕事も出来るのに貴女の先が思いやられるわ……ではなくて。今考えているのは私達の行動よ、
「あーなるほど、未だに迷っておられるので? 別に失礼のないようにすれば宜しいかと、ああいう手合いは別に何しても駄目な時は駄目ですよ」
『返しがあまりに雑過ぎないかしら!? まぁそうねえ……誰に与するか、くらいは直感を信じないとね』
「ええ、ではそのように……ふぅ、一息つく暇もありませんか」
要件が済んだのか女性は通話を切り、再び目の前の台に意識を向ける。確変中の当選を当てようと、弾を打ち出すハンドルを右に傾け──即座に、自身の首に迫った手刀を払いのけた。
その動き自体は、攻撃の鋭さだけを除けば友人同士の戯れに見えたかもしれない。実態は不意打ちを巡る短い攻防だったが……それは、始まりの合図。
手刀を防がれた襲撃者は、パチンコ店の騒がしい雰囲気に似合わない女学生。制服姿は店員に声をかけられても文句は言えないが、今となっては些細なこと。
他に特徴を挙げるとすれば、金髪に染められたセミロングの髪と、ホール内の喧しい虹色の光を反射するサングラスだろうか。洒落たカフェにいそうな少女が、通話を終えた長身の女性と向かい合っている。
「アハハッ、なんだ……それで魔力を隠してるつもりかよ。頭隠してッてヤツ? でも防がれちゃうなら今のあーしが三流ッてだけかなァ?」
「──ふむ、ここは未成年は入ってはいけない店舗の筈ですが。まぁそれを指摘するのは私の役目でもありませんし……貴女、
……この記録は、ナナシ達が大通りで戦闘を始めて数分後のものである。つまり、その余波は駆け引きの段階から大きな影響を与えている。
前提としては、『魔法少女狩り』を名乗る一般人達の集団が犯行予告を出したことに起因するが……今の池袋には、
「あーしはとりあえず『魔法少女狩り』を利用しよッかなァ。ああメイドちゃん達は『天災』に
「左様でございますか、でしたら敵同士──片手間ですが、お嬢様の為にもお相手させていただきます」
パチンコ台の虹色の輝きより眩い光が、向かい合う二人を包む。次の瞬間には、異能が世界を塗り替えていた。
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──池袋駅東口方面 大通りのライブカメラ映像より
ナナシとイナを取り囲むのは、それまでありふれた雑談に興じていた民間人達、おおよそ数百人。
揃って即席という訳でも無いようで、空気が張り詰める最中、徐々に獲物を携えていく。
包丁、ナイフ、カッター、ハサミ……
「誘い込まれたか本命は別にいるのか……まぁ、別にボク達のやることは変わらないかなぁ!」
「ちょっと遊ぶね。まぁ、私も殺しはしないけど」
背中合わせに感じる互いの呼吸をリズムに、ナナシとイナはそれぞれ駆け出した。大通りにいる人だかりは全てが敵。動揺はしたが、遅れは取らない。
「なッ、早い──」
人の塊から適当にターゲットを選択、大振りの金槌を構えている冴えない男に向けて、ナナシは一直線に突き進む。
当然ナナシ達を警戒しているその男は、自分が狙われたことには気付いた。気付いたが……迫る魔法少女を相手に反応速度が間に合わない。
ナナシはアスファルトを蹴り上げ、その勢いのままに蹴りを放つ。魔力すら込めていない一撃、腹を抉るような重たい衝撃に、男の声は途切れてしまった。
「反応速度も得物も一般人……その程度でボクらに喧嘩売ってんの?」
そのまま倒れた男の金槌を奪って、ナナシは前方に向かって適当に放り投げる。ただの金槌でも、その暴力的な速度を前にしては弾丸に成り代わる。
遠心力に従った暴力によってその方向から悲鳴が聞こえた頃に、周囲の敵が反応して叫んだ。
「──全員纏めてかかれ!」
「あー良いねえ……相手が生身でも、それならボクも分かりやすいや」
怒声を鼻で笑い飛ばして、ナナシは攻撃の雨を回避していく。敵の集団の隙間を縫うように、時には盾代わりとして。
最初は勢い良く攻め立てて来た人の群れも、軽くあしらわれては徐々にその数を減らしていく。中には尻込みして人混みの奥へと紛れ、去っていく者もいる。
「流石に仕掛けが派手だが……単調だな、統率も取れていない」
そんな注文を一般人に求めるのは酷、ならばさっき仕掛けて来たクソ野郎の狙いは──ナナシは目を細めて息を吐く。自分が想像しているよりも大きな揺らぎを、その身体で感じ取って。
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──池袋駅西口 ファミレスの防犯カメラ映像より
「ひゃはっ、揃ってご来店だわ魔法少女の群れ──あ、
火のないところには煙は立たない。ならその火元は何処にあるのか……今回に限っては、煙のすぐ側に悪意の炎を煽った犯人はいた。
「はしたないわよクラウズ、大きな声で喋るのは自重なさい。何の為にわざわざ
「おいおいカナカナちゃん、そっちこそ声がデカいじゃんよぉ。もっと笑って流すくらいの器は持とうかぁ、そこで黙ってるランランみたいにさぁ」
「──別に、好きで黙っていた訳でも無いのだけど」
そそっかしい印象を受ける少女と、それを表面上は嗜めようとする少女。そして寡黙ながらも、その2人に凍てつくような眼差しを向ける少女。
三者三様に注文した昼食に手を付け、頬張る姿にはそれぞれの性格が見て取れるが……見た目だけでは、無害か否かの判断材料にはなり得ない。
「おー怖ぁ……まぁまぁ、野良の魔女以外にもネームドがいっぱい来てるみたいじゃ〜ん?」
ランランと呼ばれた少女の視線に、クラウズと呼ばれた少女はとぼけた顔をして受け流す。
冷静な一般人なら、前提として今の池袋からは必死で逃げているだろう。犯行予告をしたにも関わらず、民間人の介入を許した時点で遅いが……もはや、狂人しかこの地にはいない。
「覚えのある名前でも『協会』や『天災』──もしかしたら他にもいるかもしれないわね。私達『魔法少女狩り』からすれば、大事なのは前者だけれど」
「ひゃはは、『天災』とかネームドの中でも一等級のバケモンじゃんかよ。あの動画でそんなのが来るとか、こりゃ正義の『魔法少女狩り』でもちょい厳しいかなぁ?」
「──厳しいじゃ困るわね、『ワルプルギス』に至るには、相応の贄が必要なのだから。クラウズ、そんなに言うならまず貴女が行きなさい」
「へ〜い了解ぃ」
そうして、狂人達の宴は静かに加速していく。誰の思惑か、悪魔の悪戯か。それを知る者は、まだいない。
パチカスクソメイド/???/???
お嬢様/???/???
・突然沸いた新キャラ
・パチカスはこの時12万負けてる
・『天災』に与する気らしい、正気か?
金髪ギャル/???/???
・発育は良いけど17歳、新キャラ
・未成年はパチ屋のホールに入っちゃ駄目よ
・『魔法少女狩り』を利用するつもりらしい
ナナシ&イナ
・モブの皆さんと戯れ
・殺さないようには加減してるらしい
・実はとんでもないことに巻き込まれてる
『魔法少女狩り』の方々
・一般人を焚き付けてた3人組、新(ry
・イッチ達は動画の意図に気付いていません()
・とりあえず生意気ガキが出撃