◆…三人称視点
「【アルクス・レイ】!」
足元に
間近にいるとよりはっきりとわかる。特出した『魔力』と恐らくスキルの効果で増幅された魔法は砲撃と化して狭い通路を閃光で埋め尽くした。
閃光の奇跡に沿って残る、大量の灰粉。
「レフィーヤ先輩エッッッグ……」
「エッ……? どういう意味ですか?」
「度を越しているって意味っス……」
立ちはだかっていたモンスターの壁を取り除いて再進行する。
ダンジョン24階層。大樹の迷宮と呼ばれるこの
理由は単純。俺が何かを言うまでもなく、モンスターのドロップアイテムと死骸が北の方角に続いていたからだ。
「無駄口叩くな。来るぞ」
くだらなそうに告げながらベートがさらに加速。奥から現れたモンスターを曲芸のごとく空中で撃墜し、更に太った醜い巨躯のホブゴブリンを上段蹴りで粉砕した。
「うぇっぷ、………吐きそう」
「吐きやがったらぶっ殺す」
さっきからずっとこの調子で移動を続けているため、俺の三半規管は限界が近い。ちょっ、揺らさないでベートさん。そろそろ本気でゲロッちまう。
パーティの進行速度に微塵も影響を与えない勢いで道を切り開く中、突如周囲の壁からバキッ、と罅割れる音が発生する。
「!」
「下がれ、ウィリディス!」
樹皮の壁面を突き破り産まれたモンスターに包囲されたレフィーヤのもとへフィルヴィスが疾走する。
短剣で斬り倒し、飛び掛かってくるモンスターを往なしながらすれ違いざまに首を斬りつけ、並行して腰から
「【一掃せよ、破邪の
奏でられる呪文。開始される『並行詠唱』。
襲い掛かる
「【ディオ・テュルソス】!」
鋭い稲光とともに一条の雷が駆け抜け、
「エルフ怖い……」
レベルのせいか種族のせいか、超短文詠唱の魔法でこの階層のモンスターを一撃っておかしくない? 少なくとも俺の魔法では倒しきることはできないだろう。それこそ長文、超長文級の詠唱でもしなければ。
「てめーもアレくらいできるようになればな」
「うぅ……」
ベートの言葉に頭を垂らして落ち込むレフィーヤ。あのレベルの戦闘を熟せるようになりたいとは思うが、並行詠唱と言う奴は想像している以上に難易度の高いものだ。
「まあまあベートさん。俺だって『並行詠唱』の修行はしてますけど、正直走る程度で精一杯ですよ? 戦闘みたいに意識を割かれると、これがどうして難しい」
「そもそも火力特化の魔導士にそこまで求めるのは酷だ。真の局面で必要とされるのは、ウィリディスの力だろう」
『並行詠唱』の感覚を言葉にしようとすると難しい。敢えて言うなら『右手で絵を描きながら左手で別の絵を描く』みたいな感じだ。どちらか片方に意識を割けば、もう片方がずさんになる。両方に意識を割こうとすれば中途半端な絵が出来上がる。
実戦でもそうだ。魔法の制御に集中すれば剣が、剣に集中すれば魔法が疎かになる。世の中に中途半端な魔法剣士が溢れているのはこれが理由だろう。
俺自身、マルチタスクは得意だったため走るくらいであればものに出来たが、一歩間違えれば爆発する『魔力』という劇物は想像していた以上に気難しい。
そもそも『並行詠唱』を行える火力特化の純粋な魔導士など稀有だ。詠唱が長ければ長いほど、込める魔力が多いほど難易度は跳ね上がっていく。俺も『魔導』のアビリティを手に入れたら『並行詠唱』できなくなる可能性が高い。
「お前はそれでいいのか。
だがそんなこと知るかと言わんばかりに、ベートは琥珀色の瞳をレフィーヤへと向けて吐き捨てた。
「馬鹿アマゾネスどもは甘やかしてるみてえだがな、俺はそんなことしねえ。魔法だけが取り柄だの抜かしている内は、てめーは一生お荷物だ」
断言される言葉には優しさの欠片もない。そしてその言葉は俺にも突き刺さっていた。く、悔しい……! 役立たずでごめんなさいね!
ベートの発言には気づかいというものが一切ない。けれど彼は嘘の類を嫌悪する。言葉は刺々しくとも、それらはすべて真実であり事実なのだ。だからこそ余計に怒りと不興を買うのかもしれないが。
なぜならそれは自分の弱さと向き合わせられるということである。自分の弱さを受け入れられる人間は少ない。俺だってそうだ、たぶん。きっと。そうだったはずだ。
「ベートさん、言い過ぎですよ。それだったら俺はどうなんですか。魔法すら別に得意でもなんでもないのに」
「てめーのことなんざ知るか」
「だったら地上に帰して!」
ベートの腕の中で暴れるが、頭に拳骨を落とされたことで静かになる。クッソ、すぐ暴力に訴えやがって。本気で泣くぞ。いい年した男が本気で泣くんだぞ。おんぎゃあ!
再び歩き出すベート。それをフィルヴィスとレフィーヤも追いかけてくる。
『………』
そして、その後ろ姿を窺う、影があった。
紫の外套に不気味な仮面を被ったその人影の存在に、俺達は気が付かなかった。
「………」
いや訂正。俺の方からは見えてるよキミ。あ、顔引っ込めた。
◇
「なんだコイツは」
もうすぐで目的地である北の
掌を壁に押し当てると、僅かながら生物特有の胎動と熱を感じ取れる。
「生きてますね」
「まさか例のモンスター関連か?」
「色がそっくりなんで、その可能性が高いかと」
植物ではなく生物。つまりこのブヨブヨしたものは肉壁なのだ。
壁から手を離してベートに振り返る。フィルヴィスが食人花を直接見たことがあるのか知らないが、俺を含めて脳裏にはあの無駄に硬い極採色のモンスターの姿が過った。
「……もしかしてこの階層で起きたモンスターの大量発生って……」
「塞がっているのがこの道だけ、とは考えづらい。十中八九、
「いったい、どうして……」
首を傾げるレフィーヤ。
ここでレフィーヤの呟きに戻ってくる。どうして
「……もう引き返せないか。レフィーヤ先輩!」
「は、はい!」
「この部分、一度穴を空けられた痕跡がある。おそらく【剣姫】たちはここを通ったはずだ。どのくらい厚みがあるか分からないけどとりあえず魔法を撃ち込んでみてください」
「わかりました!」
壁の中央を指差す。そこには花の花弁が折り重なったような『門』、あるいは『口』と表現できそうな器官があった。
その周辺には火で焼け焦げた跡がうっすらと存在している。ほとんど回復されてはいるが、炎系統の魔法によって穴を穿ったと考えるのが妥当だろう。
レフィーヤの足元に
「いきます!」
「どうぞ~」
魔法の衝撃に備えてベートの陰に隠れる。するとウザったそうに睨まれたので仕方がなく距離をとった。
レフィーヤの放つ一条の閃光が着弾と同時に轟音と衝撃を巻き散らす。視線の先では出入り口に当たる『門』の部分に巨大な風穴が開いていた。
「……もう少し手を抜いても良かったのでは?」
「あ、穴が空いたなら別にいいでしょう!? ……確かにちょっと力を込めすぎたかなって思いましたけど……」
何やらぶつぶつと文句を言っているレフィーヤを無視して内部に侵入する。背後では穿たれたばかりの大穴が少しずつ修復されていった。
とはいえこのサイズだ。完全に修復されるまでもうしばらくは掛かるだろう。帰りはもう一度穴を空ければいいということで先へと進むことにした。
「……ベートさん? どうかしました?」
ベートの視線が緑壁の迷宮の奥へと鋭く向けられる。その様子に声をかけてみると、
「……戦闘の音がする」
と返した。
ベートの手が俺の身体を掴み上げる。
「急げエルフども!」
真剣な顔で走り出すベートに追従するようにレフィーヤとフィルヴィスも地面を蹴る。
俺の耳には何も聞こえなかったが、ベートの耳には聞こえたらしい。それだけ五感が鋭いと夜本当に眠れるのだろうか。
途中でなんども分かれ道に遭遇するも、ベートは迷わずに突き進んでいく。今のところモンスターは出てきていない。出て来たとしてもこのパーティならば問題ないだろうが、敵さんの方はどうやら手が込んでいるらしい。
「……ああっ?」
怪訝そうな声が頭上から響く。ベートの視線の先を見ると、進行方向にはこれまでと同じ緑の肉壁が立ち塞がっていた。
「フィルヴィスさん、魔法!」
「っ、【一掃せよ、破邪の
「壁の向こうに敵がいる! ベートさん穴が空いたら人間優先に即蹂躙! レフィーヤ先輩は魔法で広範囲の殲滅! 使うのは【ヒュゼレイド・ファラーリカ】!」
「わかりま────なんで私の魔法を知っているんですかっ!?」
叫ぶレフィーヤを追い抜いて、『並行詠唱』を完遂させたフィルヴィスが
「【ディオ・テュルソス】!」
◆
カランッ、と地面に捨てられた短剣が鳴く。
遠方から届く
アスフィの背後には白ずくめの
翼を有する
【剣姫】が分断された今、もっともレベルの高いアスフィが敗れた。
【ヘルメス・ファミリア】の司令塔たる【
その事実は団員を絶望させるに十分すぎる劇薬である。それを分かっていたからこそ、白ずくめの男はこれ見よがしにアスフィの腹部を貫いた。
激しい剣戟の音が鳴り響く中、白ずくめの男はアスフィに歩み寄る。
「【剣姫】は来ない」
真っ赤な血で純白のマントと衣装が染め上げられていく。流れ出る血の滴は地面に血だまりを形作っていく。
「仲間も、増援も、神も、誰もお前を助けない」
アスフィの細い首を片手で握り締めながら、白ずくめの男は笑みを浮かべた。
「すがる物を失くし、絶望と共に神と組した己の愚かさを知るがいい」
指が喉に食い込み、振りほどこうとするアスフィの顔が歪む。
だが抵抗も虚しく、男の手は温かい女の首筋を一気に握り潰そうとする。
「そして死ね────────!?」
だが、次の瞬間、一条の雷鳴が大空洞に轟いた。
◆
「【誇り高き戦士よ、森の射手隊よ。押し寄せる略奪者を前に弓を取れ。同胞の声に応え、矢を番えよ】」
フィルヴィスの魔法が壁を突き破ったと同時、レフィーヤの詠唱が開始される。
ベートは既に走り出し、事前の指示通りに
その中で、この戦場に本来場違いであるはずのコウスケは、冷静に戦況を俯瞰していた。
(【剣姫】がいない)(やはり分断されている)(【ヘルメス・ファミリア】)(詠唱完了までもう少し)(死傷者多数)(闇派閥の残骸)(『魔力』に引き寄せられてきた)(アスフィ・アル・アンドロメダ)(火炎石)(白ずくめの男が離れた)(
思考は加速し、知識と現状をすり合わせていく。そして自身が取るべき概ねの計画を立てると、今なお詠唱を続けるレフィーヤたちへと振り返った。
「フィルヴィスさんは先輩の援護! 先輩は詠唱が終わり次第モンスターを殲滅! よろしく頼んます!」
「なっ、待て! お前はどうするつもりだ!」
フィルヴィスの制止を振り切って崖を飛び降りる。既に魔法は発動済み。背中に魔法円を浮かび上がらせ、肉体は精霊由来の風を纏っている。
けれど食人花はコウスケを襲わない。コウスケの放つ『魔力』を覆い隠すほど強大な存在が後ろにいるためだ。
風を使って地面に着陸すると、大量の血を流しているアスフィの元へ駆け寄る。刃が腹部を貫通、それどころか周囲の繊維を引き千切るように動かされた形跡がある。
(だけど息はある。さすがはLv.4……)
【エアリエル】を解除し、別の魔法の詠唱を始める。召喚するのはかつて賢者と呼ばれた天才の全癒魔法。
詠唱を終えると様々な色彩の光玉が現れ、アスフィの身体を優しく包み込んでいく。汚れた服まではさすがにどうしようもないが、腹の空いた傷はみるみる癒えていく。
「うし。あとは何とかして向こうと合流しないと……」
「【────ヒュゼレイド・ファラーリカ】!!」
先程からずっと感じていた膨大な『魔力』が火炎の豪雨となって解き放たれる。
放たれるは広範囲を殲滅することに長けた攻撃魔法。それも射程距離を限界まで拡大した最高出力である。
見ればローブの集団は必死に逃げ惑い、間一髪効果範囲内から離脱している者もいる。だが『魔力』に引き寄せられた食人花は一匹も漏らさず殲滅されていった。
「ぐっ………あな、たは………?」
「ああよかった。傷は治しましたけど、違和感はありますか? 無ければ早い所【ファミリア】の皆さんと合流してください」
傷が癒えたことで喋れるようにはなったらしい。コウスケは持ち前の
「ああそれと、一つだけお願いが」
◆
「お前……確か、レフィーヤだっけ!?」
「えっ、ルルネさん!?」
魔法を放ち終え、食人花を一掃した後、レフィーヤ達の元へ
彼女だけではなく、その仲間もまた全身を傷だらけにしている。
「どうして貴方がここに───」
「おいっ、アイズはここにはいねえのか。答えろ」
尋ねようとするレフィーヤの声を遮って、横から割り込んだベートがルルネに詰め寄る。
そんなルルネを庇うように、遅れて合流したアスフィが割って入った。
「【
「あ、アスフィっ!」
「あぁ? 分断?」
訝るベートとレフィーヤだったが、アスフィの姿を捉えたことで目を見開く。腹部から大量の血が流れたのか、純白の
自分に向けられている視線の意図を察したのか、アスフィは苦笑いを浮かべた。
「傷は癒えています。名前を聞く暇はありませんでしたが、あの少年にはあとで感謝の言葉を。それより」
アスフィの視線を追うようにベート達もまた目線を向けると、奥には白ずくめの男が立っていた。モンスタードロップであろう骸骨面をつけた白髪の不気味な男は、こちらを見据えている。
「この
「………!」
「私たちの事情は後で全て説明します。ですが今は彼を……」
視線の先で、片腕を振った男のもとに壁から生まれ落ちたばかりの食人花が二体、ずるずると近寄ってきた。
モンスターを従える白ずくめの男に、ベートは目を細め、レフィーヤは気圧される。
骸骨面の奥から放たれる視線には明確な敵意が乗っていた。フィルヴィスもレフィーヤ達の隣で身構える。
「おい、剣を寄こせ」
「は、はいっ!?」
男から目を逸らさずベートはレフィーヤに告げた。
「面倒くせえがやってやる。あの野郎の眼も気に食わねえ」
レフィーヤから双剣を受け取った直後、食人花が伏声を上げて飛び出した。
(こ、こんな時にあの人はどこに行ったんですかっ!?)
疾走するベートを見やりながら、ベートがここへ連れてきた他派閥の少年を探す。だがこの大空洞のどこにもコウスケの姿は見当たらない。まさかとは思うが、自分の魔法に巻き込まれたのではと嫌な想像が頭を過る。
「【
「ひゃいっ!?」
背後から突然声を掛けられ、肩を震わせる。声をかけたアスフィもその反応に驚いたのか、指先で眼鏡の位置を直してレフィーヤと向き合った。
「あのローブの連中は我々が対処します。それと、黒髪の少年からの伝言です。【
「えっ、わ、わかりました!」
怒涛のように流れてくる情報に一瞬呆けるも、すぐさま言葉の意味を理解して魔法の詠唱へと取り掛かった。
「ウィリディス!」
「フィルヴィスさん、お願いします!」
一向に姿は見えないが、アスフィの言動からして無事ではあるようだ。
であれば今はベートの援護をするべきだと自分に言い聞かせて、実際に目の前で起きている超高速戦闘を瞳に映す。
あまりにも速すぎて照準が出来ない。それ以上に第一級冒険者であるベートと互角に渡り合っている相手の男への驚愕。
「【解き放つ一条の光、聖木の弓幹】!」
けれども自分の役割はわかった。であれば迷うことなど一つもない。
この程度のことが出来ずに『憧れ』へ追いつけるはずがないのだから。
◇
「レベルが上がるとあんな変態機動ができるようになるのか。すげえな冒険者」
白熱するベートと白髪男の戦闘を視界の端に捉えながら(目で追えたとは一言も言っていない)俺は着々と下準備を進めていく。
地面に転がる闇派閥の残党。その体に巻き付けられている深層域に棲息するモンスター『フレイムロック』から入手できる『ドロップアイテム』。まずはこれを回収していく。
レフィーヤの爆撃を生き延びた者もいたが、今の俺は『
『ああそれと、一つだけお願いが』
『?……なんでしょう」
『あなたの持っている
いやあ、よかったよかった。最初は『どうして知っている!?』という目を向けられたが、そんな場合ではないと思い直してくれたのか素直に貸してくれた。おかげで下準備をするのがかなり楽になったぜ。
このローブの集団もレベルは大して高くない。モンスターは全てベート達の方でかかりきりだ。だからこうして欲しかった火炎石と防衛戦に都合の良さそうな場所を探すことが出来た。あとは罠を仕掛けておけばとりあえずの準備は完了である。
「────────────────────────ッッ!?」
さきほどのレフィーヤの魔法を超える爆音と衝撃が轟きわたる。視線の先ではレフィーヤの魔法を吸収したと思われるベートの蹴りをまともに食らい、白髪男が凄まじい勢いで後方へと吹き飛ばされていた。
その威力は地下水路でのものとは桁が違う。あれほどの魔法を吸収しきれるというのだから、あのメタルブーツを製作した鍛冶師の腕前は相当なものだとわかる。
たとえどんなに『耐久』が高い相手であっても、あの必殺を受けて無事で済む道理はない。
それが、人間相手の話であれば。
「………」
とにかく引き続き準備を進める。粗方火炎石を回収し終え、至る所に罠として設置すると『
……この兜いいなあ。気配は消せなくとも所有者の
◆
ベート達の視線の先。必殺の一撃を喰らってなお立ち上がる白髪男の顔に、【ヘルメス・ファミリア】とフィルヴィスは息を呑んだ。
男の名は、オリヴァス・アクト。かつて【
「彼自身、あの事件の中でギルド傘下の【ファミリア】に追い詰められ、最後はモンスターの餌食に……喰い千切られた無惨な下半身だけが残り、死亡が確認された筈」
口を震わせながら、アスフィは目の前に存在する男の姿をまじまじと見つめる。
回復魔法が発動しているわけではないにもかかわらず、体中から蒸気が立ちのぼらせながら傷が癒えていっている。ありえない自己治癒能力だ。
「生きていたのですか……」
「いや、死んだ。だが死の淵から、私は蘇った」
アスフィの問いに、オリヴァスは誇らしげに答えた。
その下半身は、食人花の体皮と似た黄緑色に染まっている。
その上半身は、今も治癒が進んでいる。だがその皮膚と血肉が抉れた胸部。
「私は二つ目の命を授かったのだ! 他ならない、『彼女』に!!」
黄緑の瞳を嬉々と歪めるオリヴァス。毒々しく輝く極彩色の『魔石』。その下半身も含め、およそ人ならざる者の証だ。
オリヴァスは言う。
曰く、『自分は人とモンスターの力を兼ね揃えた至上の存在』。
曰く、『
曰く、『この場所は
人とモンスターの『
それだけでも常識を壊す異常事態。それに加えて
モンスターはダンジョンから生まれる。
ダンジョンこそがモンスターの『母体』。
これは絶対である。神々さえも認める世界の理である。
混乱する。レフィーヤの中でとめどない嫌悪感が沸き上がるも、目の前の事態への混乱がすべてを上回っていた。
だがその前に一つ、問いたださねばならない。オリヴァスはモンスターを地上へ運び出すと言ったのだ。
理解できないモノを前にするように嫌悪の表情を浮かべるアスフィは、核心に迫った。
「貴方の目的は、何ですか?」
オリヴァスは、黄緑の双眸に暗い光を宿しながら、笑みを浮かべた。
「
今作品のヒロイン投票!!~《彼に相応しいのはキミだ》選手権~
-
①レフィーヤ・ウィリディス
-
②リュー・リオン
-
③アイズ・ヴァレンシュタイン
-
④アミッド・テアサナーレ
-
⑤フィルヴィス・シャリア