転生先はFSSだと思ってた   作:Delphinus

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8 終わり

「ん? 招集された? どう言う事ですか伏黒?」

 

「詳細は俺にも分からない。だが、渋谷に大規模な結界が展開されたんだ。かなりまずい状況らしい」

 

「それで、なぜ僕の所に?」

 

「お前には別の要件がある、家入先生が呼んでるぞ。俺は渋谷に行ってくる。後ツインタワーの再調整、感謝するぞ」

 

「分かりました、お気をつけて。家入先生ですね。行きましょうかエーオース」

 

「準備は整っています。出発しましょう」

 

 

 

 

「来たわね、バイオリレーションシステム、使える?」

 

「大丈夫です。どちらに?」

 

「対象は五条悟。呪力の収集範囲は離島を除く東京都内。直ぐにお願い」

 

「分かりました」

 

 バイオリレーションシステムは現状、高専地下の秘密ハンガーに設置して運用している。起動はいつでも出来る。

 

「バイオリレーションシステム、起動開始します。エーオース、制御を」

 

「分かりました。システムの制御を代行します」

 

 五条悟を対象にバイオリレーションシステムを起動。制御はエーオースに任せて僕は渋谷の情報を見る。原作のエルガイムでは、バイオリレーションシステムが切断された際に反動が発生していたけど、あれは使用者の寿命が尽きていたからだ。寿命さえ尽きて無いなら無反動で使い放題、だから心配は要らない。渋谷に貼られたという結界の情報を確認する。

 

(渋谷には……今2重の結界が貼られてる? 一つは術師の侵入を止めて、一つはハーモニックエンジンの侵入を止める。これはGTMの対策ですか)

 

 今は五条先生が単独で結界内に突入し、残りの戦力で渋谷の結界を崩している、らしい。それにしても、ここからどうなるんでしょうか。

 

「……んー。この結界、一般人が多数巻き込まれてますよね……不味いんじゃ」

 

「不味いからバイオリレーションなんか使うのよ。分かるでしょ。それに、はぁ、大丈夫みたいね」

 

「あー、確かにそうですね。それに、何が大丈夫なんですか?」

 

「なんでも無いわ……はぁ、何とかしなさいよ。悟」

 

 

 

 

「あっお久しぶりです! 加茂さん!」

 

「憲紀で良い、加茂だと同じ名前が沢山いて困る」

 

「あはは、すみません、憲紀さん。こちら、前に言っていた血液補助型のガットブロウです。この機会にどうぞ」

 

「良いのか? 是非とも頂こう」

 

 少しして、東京まで京都高専の皆さんが来て下さった。加茂さ……憲紀さんには赤血操術補助用のガットブロウを渡す。これは輸血パックの機能を代行出来る。輸血パックより大量の血液を武器内に保存できる上に、更に使用済みの血液を再透析し、術式への再利用を可能にするコンテンダー機能も組み込んだ結構な自信作だ。後、

 

「あ、お久しぶりです! 直哉さん」

 

「うげぇ、あん時のチビやないか」

 

 直哉さん、京都高専の方々とほぼ同時刻にこっちに来ていた。前から考えていた物、渡すなら今ですね。

 

「改めまして、こちらはAI機構を組み込んだ特殊型ガットブロウになります。ファティマ技術を応用した特殊AIを用いて、自動で投射呪法の絵を組み立てる事が可能です。両手を開ける事が重要な投射呪法の性質を考慮して、浮遊式にしてあります。常に浮き続けて攻めにも盾にも使用可能、投射呪法への負担も一切かけません」

 

「な、何やそれは……」

 

「ほう、面白そうだな、それ俺にくれんか?」

 

「ええ分かりました。どうぞ、直毘人さん」

 

「おっこれ良いなあ、よく動く、中々凄いぞ。俺の動きに合わせて、術式の使用中でも負担無しで使える武器か。流石は天才だ」

 

 直毘人さんは超スピードでビュンビュン動く。速過ぎて目に追えないけど、取り敢えず気に入って下さって良かった。

 

「直哉さんも、どうぞ、こちらは特別製の高機能タイプです」

 

「はっ、無駄に周到やね……、でも俺獲物は持ち歩かんのが主義なんや」

 

「えっ、そうなんですか? まぁ投射呪法と武器は相性悪いですからね……でもその短刀は何で……ま、まぁ、大丈夫ですよ。これ、手に持たなくてもちゃんと自分で飛んで動きますから、さ、遠慮無く」

 

「そういう意味やなっ、んなっ、これ勝手について来よる! 何にしてはるねん! アホやねんか!?」

 

「あーはは、アホなのはそうですね……。で、でも大丈夫ですよ。単に直哉さんを使用者として登録しただけですから。これは直哉さんの発動する投射呪法に合わせて、自動で最適なアニメーションを作って自律活動します。だからどんなに速く動いても付いて来れるんです」

 

「な、何てアホなもん作りよっ、ま、またんかいこのボケっ、カスが止まらんかいな!」

 

 とんでもない速度でビュンビュンする直哉さん。ガットブロウは、ちゃんと付いて行っていますね、ええ、成功です。

 

「何て物作ってはるねんこのアホ! 、はよ止まらんかいっ、何で触れてもフリーズせんねん!」

 

「このガットブロウは、直哉さんの活動に合わせて常に最適な動きをします。この場合、フリーズするのが直哉さんの利益に合わないのでフリーズしません」

 

「そんな勝手な事しおってからに、ふざけんやないで馬鹿にしおって、たかが獲物がっ、主人の言う事くらい聞かんかい!」

 

「ああ、これの主人だと思って下さったんですね、嬉しいですよ」

 

「そう言う意味やないわこのボケがぁ!」

 

 直哉さんは、ガットブロウと戯れて楽しそうにしていた。ふふ、結構気に入って頂けましたかね? きっちり準備した甲斐がありました。

 

「さて、遊びはこれまでよ。直ちに渋谷結界へ向かって貰うわ」

 

「ええ、分かってます、けど、が、頑張りますっ」

 

「三輪さんは程々にね、ま、適当にやって来るわ」

 

「別に遊んでなんかないねん! このっ、クソがぁっ、獲物風情が勝手しおってからにいっ」

 

「それにしてもこの銃剣本当に面白いなあ! 勝手に動いて勝手に戦ってくれるなんて最高じゃないか!」

 

「あはは、操作は簡単な筈なんですけどねぇ……。そのガットブロウ、運用に必要な呪力はある程度自前で供給できます。内蔵AIと本体に呪力変換システムを組み込んだんです。だから呪力の消耗は心配しないで良いですよ?」

 

「それ、しれっととんでも無い事言ってない? キエリ」

 

「その、投射呪法って技術的に拡張性が高くて弄りやすくて……ついつい武器にも改良の手が伸びちゃうんですよねぇ、真依さん」

 

「はぁ、直哉風情の癖にキエリの専用武器貰えるなんて。酷いわ、私の構築術式にも専用武器ちょうだいよ」

 

「分かりました、ではこちらをどうぞ」

 

「えっ、本当にあるの? や、やったわ! あ、凄いじゃないこれ、面白い性能してる、楽しい!」

 

「はあ、だから早く行きなさい」

 

 

 

 

 京都高専の皆さんが渋谷に向かって、更に時間が経った。僕達はバイオリレーションシステムの稼働に専念。とは言えシステムを動かすのはエーオースだから、僕自身は割と暇。

 

「はぁ、どうなったかなぁ」

 

「さぁね……ま、悟なら別に大丈夫でしょ」

 

「……そう言えば、こんなに大規模な事件なのに、自衛隊は出さないんですか?」

 

「自衛隊? 出しても無駄でしょ。相手は呪霊よ?」

 

「あー、成る程」

 

 呪霊は見えないし触れられない。通常の攻撃では打撃を与えられない。だから軍隊で相手するにはキツイのか。でも、

 

「呪霊が見えて、攻撃出来れば、軍隊も出せるのですかね?」

 

「まぁ、そうなるわね……何考えてんの?」

 

「いえ、テンプルナイツ師団なら、呪霊が相手でも有効な打撃が出来るかなって思ったんです」

 

「テンプルナイツ師団……アメリカ軍か。そこ貴方が噛んでた部隊ね」

 

「ええ、そうなります」

 

 アメリカ軍の中でもヘビーメタル、更にはモーターヘッドの運用を想定した新設部隊、それがテンプルナイツ師団。僕の一枚噛んでる部隊でもある。そう思っていたら、

 

「えっ嘘、渋谷中に伏黒君の魔虚羅が!?」

 

「はっ?」

 

 伏黒さんの身体が宿儺に乗っ取られた。しかも渋谷中に伏黒の式神が、特に魔虚羅が多数出現。衝撃の情報が入った。ど、どう言う事で、宿儺は自在に宿主を移せるの? 

 

「な、何て、そんな……こうなったら、ツァラトゥストラは今動かしたくない。マグナパレスを……」

 

「マグナパレス? それ何する気よ!」

 

「だって、今形振り構って居られないでしょう!?」

 

「そうは言ってもねぇ、だから……」

 

「お、どうやら随分困ってるなキエリ?」

 

「あ、貴方ジャクソン!?」

 

「これ、アメリカ軍!? いきなりどうやって!!?」

 

 ロボットが突然の様に出現した。空中を大量のロボットが犇めいていた、テレポートですね。その中でも一際目立つ異形のロボット、ツァラトゥストラ・アプター・ブリンガー。その騎士は

 

「待たせたな、騎兵隊の到着だ。化け物どもの相手は俺達に任せときな」

 

「すみません、お願いしますジャクソン」

 

「んな、ツァラトゥストラが、もう一機? アメリカ軍がいつの間にあれを配備してたのよ……」

 

「あー、言ってませんでした。少し前に配備計画をやってて」

 

「まあ良い、行くぜお前ら!」

 

「了解です隊長」

 

「目標確認、渋谷全域に点在してる。派手にやろうじゃねぇか!」

 

 限定的でも騎士の力の再現に成功したサイボーグ、ジャクソン・ウェルベック・タイン。そしてテンプルナイツ師団。アメリカ軍初となる人型機動師団が、こうして渋谷へと突入した。死闘が始まる。

 

 テンプルナイツ師団の到着を皮切りに、自衛隊、更にアメリカ軍が総力を挙げて火力投射を開始。渋谷は地獄へと変わる。アメリカ軍は各地から相次いで東京周辺に艦隊、航空機隊を集結。艦砲、艦載ミサイルでの砲撃戦を繰り広げる。更には

 

「こ、今度は何よ」

 

「ジュノーン、動けはしますが」

 

 自衛隊は遂にガイラム隊すらも投入、ガイラムは兎も角、切り札となるジュノーン。機体は兎も角、ランドブースターの完成度がまだ今ひとつですが。

 

「ランドブースターの調整が今一つですが……良いのですか?」

 

「キエリ、お前はそこで黙って見てろ。渋谷で好き勝手はさせないさ」

 

「分かりました。それでは黙って拝見します。お気をつけて」

 

「はっまあ良いさ、全機行くぞ!」

 

 ジュノーンが、そして無数のガイラムが死地に突入する。僕はその様を黙って見送った。

 

 

 

 

 時間が経つにつれて、渋谷外部に設けた臨時拠点には夥しい数の重軽傷者が送り込まれて来た。僕達は治療に追われて、渋谷がどうなったか何て気にする所じゃ無い。

 

「良いんですか、無免許藪医者なのに」

 

「無免許藪医者だろうが使うしか無いのよ、良いからやれ」

 

「あはは、分かってますよ」

 

 片っ端からタグを付けて優先順位の高い者から治療、兎に角非常に忙しい。まぁ、良いでしょ。

 

「こうなったら全力です。この際渋谷がどうなったかなんて気にしません」

 

 

 

 

「すまん、バイオリレーションシステムの位置が宿儺側に露呈した。魔虚羅の大群がそっちに」

 

「分かりました。心配しないで下さい。エーオース、帝機マグナパレス、起動」

 

「了解、マグナパレス、起動します」

 

 どうやらバイオリレーションシステムの位置が宿儺側に露呈したらしい。夥しい数の魔虚羅が高専に、正確には高専地下ハンガーに向けて進撃する。治療からは一旦離れて、その目の前で僕はマグナパレスを起動した。

 

「やろうか、バスターランチャー用意」

 

「バスターランチャー、了解」

 

 余波に巻き込みかねない臨時拠点を離れ、割り出させた砲撃ポイントに移動。3つ折り式3連射型バスターランチャー、ラビデアカノンをセットアップ。砲身を伸ばして構える。敵の動きがスロウに見える。例え相手が魔虚羅でも、GTMにとってはこんな物。

 

「周辺被害は最小限に」

 

「了解、最も被害の軽微な弾道を算定します」

 

 被害の軽微な弾道を割り出して、狙いを定める。砲身を固定。攻撃、今! 

 

「発射!」

 

「バスターランチャー、発射!」

 

 圧倒的な高熱、大地を震わす砲撃、全てを焼き尽くす。魔虚羅の適応力ですらも。

 

「式神の群、99%消滅、残りの舵輪が回ります」

 

「そうなる前に、切り刻む!」

 

 魔虚羅の適応力は舵輪に依存している。適応するより速く舵輪を切り刻めば良い! 突進してガットブロウを突き出す。片っ端から生き残った魔虚羅を解体する。

 敵の動きが酷くスローモーション。こんなんじゃ勝負にならないさ! 

 

「切り裂け、奴よりも速く!」

 

 魔虚羅の舵輪を何千分の1にも切り裂き、ズタズタに引き裂いた所で本体にもガットブロウを叩きつける。良い感じにオーバーキリング、切り裂いたらまた次の目標を狙う。

 

 1秒すらもかからない。全ての魔虚羅が切り刻まれる。魔虚羅の停止を確認して一旦マグナパレスを降りた。

 

「家入先生の状況、また確認しないと」

 

 

 

 

「これが、伏黒さん? 酷い物ですね」

 

「はぁ、ぁぁっつ、うぅ、やれる?」

 

「ええ、任せて下さい」

 

 宿儺を引き剥がされた伏黒さんが運ばれて来た頃、先生は反転術式の使い過ぎで体力の限界だった。ここの拠点には周辺の医院からも使える医者や物資をかき集めているけど、皆んな手一杯でどうしようもない状況。手術出来るのは、今の所僕だけ

 

「ま、チャチャチャっとやっちゃいますよ。さて、エーオース」

 

「はい、お任せを」

 

 

 

 

 呪術師、自衛隊、更にはアメリカ軍、凡ゆる戦力が渋谷に結集した。熾烈な消耗戦に発展し、その末、特級呪物両面宿儺は祓われた。

 

「ふふ、見事な物だよ。君の力は見せて貰った」

 

 両面宿儺の復活など、はっきり言って最早どうでも良い。計画は大失敗だが、損害は軽微だ。失った呪霊も呪詛師も、どうせすぐにまた現れる。唯一の損害は、それこそ彼に送った文献と資料くらいだ。それも内容は全て頭に入れているし、重要な物は複製済み。間も無く、人類は黄金の時代を迎える。彼がそれを成すだろう。それと共に、呪術もまた発展する。

 

「ま、今後500年くらいは君に譲ろう。君の寿命は500年、しかし、たかが500年だ、私にとっては大した時間じゃ無い。君がどんな世界を作るのか、陰ながら観察させて貰うよ」

 

「せいぜい、君の時代を楽しむと良い『見つけたぞ羂索』はぁ、面倒だな六眼」

 

「バイオリレーションシステムの影響で、六眼の有効範囲が地球上全てに拡大した『もう良いよ、どうせ縛りだろう』そうだね。さあ傑を返せよ!」

 

 

 

 

「直哉さん♡、ふふ、直哉さんは今日もクズですね♡、可愛いです。クズで弱っちくて真希さんの足元にも及ばなくて、でもそんな所とっても大好きですよ♡」

 

「カスがっだから止めんかいアホ、変なこと言うんや無いわ! 、余計な事喋るんじゃ無いわボケ、だから剣如きが勝手に動くんやない!」

 

「ああ、凄いです、ファティマ由来のAIを短期間でここまで進化させるなんて! 流石直哉さん! 貴方は本当に最高です!」

 

「だから五月蝿いわチビ!」

 

 京都高専の皆さんが帰る少し前、直哉さんに預けた武器の様子を確認したらなんと!いつのまにか超進化していたのです!直哉さんに預けたガットブロウは、直毘人さんの汎用型とは違って、ファティマ由来の特殊システムを積んだ特別型。高度な自律性を持っていて、まるで人格を持ったかのように機能出来るのが売り、だったんだけど、まさかこの短期間で! 

 

「まさかこの短期間で自己成長プログラムをここまでモノにするなんて! こんな偉業直哉さんにしか出来ません!」

 

「当たり前です! 私の直哉さんはクズで最低で良いとこなしで、差別主義者のレイシストで弱っちくて、本っ当に何一つとして良い所が無いんですから! こんなに支えたいって思った方初めて見ました! 最低過ぎて大好きです! 愛してます!」

 

「だから余計な事言うなやぁぁぁ!!!」

 

 ガットブロウは既にファティマ型のボディまで形成している。ここまでの成長には数年近くの時間を想定してたのに、この短期間でここまで成長するなんて! 何て奇跡なんでしょう! 

 

「あっははははははは!? 直哉が、あんな馬鹿にあっははははっぁぁっ、笑い過ぎて腹痛ぃ、あはははは」

 

「アハハハハハっ、何だよこれ、良かったじゃないか、なあ直哉?」

 

「だからお前ら五月蝿いわァァァ!!!」

 

「あーん、10歳近く年下の女子におちょくられてて最高に可愛いです♡、語彙力無くて可愛いですね♡カスしか言えない所素敵ですよ♡最低過ぎてもう大好きです♡」

 

「はぁ、直哉さんに喜んで頂けて良かったです。ファティマとは娶るもの。例え簡易タイプとは言えども、娶った以上は是非とも大切にして下さいね」

 

「変な事言うなやこのカス共がァァァ!!!」

 

 

 

 

「はぁ、羂索先生、今頃どうしてるんだろ……」

 

「ん? 何かあったのキエリ」

 

「いえ、それがですね五条先生。今羂索先生から送られて来た資料の整理に追われてて、本当に凄いんですよ、これ宝の山なんです」

 

「あはは、そっかぁ」

 

「でも量が多過ぎて、置き場に困ると言うか、分からない所が多過ぎるし、はぁ、正直またアドバイスが欲しいんですよねぇ。最近めっきり来てくれなくなって」

 

「成る程。ま、仕方ないんじゃ無い?」

 

「仕方無いんでしょうか……んーでもやっぱり資料多すぎるし、その内高専に寄付しちゃいましょうか」

 

「ふーん、それも悪くないかもねぇ」

 

(それにしても、コイツ本当に能天気だよねぇ。能天気だし馬鹿だし)

 

 能天気だし大馬鹿野郎。頭は途轍も無く良いのに変な所抜けてる、脇が甘い、それに精神性の脆さも問題。世辞にも呪術師には向いた性格じゃない。何なら、呪術師なんか止めて一般の研究者になった方が彼の、ひいては世間の為かもしれない。それでも

 

「それでもま、傑にも見せてやりたかったなぁ」

 

「げ、傑? えっと、それ誰ですか?」

 

「ああ、傑はねぇ」

 

 夏油傑についての話を、彼はキラキラとした目で聞いた。興味津々と言った様子。

 

「はぁ、特級呪術師、夏油傑……そ、そんなに壮絶な話が有ったんですか……初めて聞きました」

 

「最近高専にミミナナって言う子が来たでしょ、あれ、傑の弟子よ」

 

「えっ? ミミナナさん達が? ま、マジれすか……」

 

「そーよマジマジ」

 

「あー全然分かってなかった。はぁ、今度話を聞いてみましょう」

 

「んー、あっそう言えばですね、先生。国会図書館への道をぶらついてた時、偶然シャルルという漫画の好きな方に会って、結構意気投合したんですよ。その方、どうやら術式があるみたいで、脳手術さえすれば術師になれそうなんです」

 

「高専にも興味津々のようですし、順平と同じです。施術しても良いですか? そうすれば、高専に来ても良いって」

 

「あはは、お前本当にスカウト上手いねぇ」

 

「えっ、スカウト? えっと上手いですかね……。でも僕的には、術師化手術の施術データをもっと蓄積したいんです。いずれは術師化手術の方法論を一般化して、脳手術が行える全ての病院で術師化手術を安定的に施術出来るようになれば……て、思ってるんですけど」

 

「へー、中々面白い事考えるじゃん。ま、良いんじゃないかな?」

 

 しれっととんでもない事を言ったこの大馬鹿野郎。自分が何を言ってるか分かってるんだろうか。分かってないんだよねぇ。まぁ

 

「でも良いさ。青春を守るのが教師の仕事だからねぇ」

 

「えっ、せ、青春?」

 

「別に何でもないって」

 

 

 

 

「秤金次さん? えっと確か休学してるって聞いてますけど」

 

「そいつを連れてくるんだよ。何時迄も休学させて置けないって話があってさ。ま、気分転換にゃ良いだろ」

 

「んーまあ良いですか、では行きましょう。行くのは虎杖と、脹相さん? それで僕ですか?」

 

「んや、シャルルも行く」

 

「そういう訳だ、俺もだな」

 

「あっ宜しくお願いします」

 

 

 

 

「それで、お前は確か16歳だよな。16歳で大天才って訳か」

 

「まぁそうですけど、実際の精神年齢は8歳くらいですねぇ」

 

「えっ、そうなんかよ?」

 

 両面宿儺が祓われ、多くの指が失われた結果、虎杖は両面宿儺の器から解放された。それで特別な力をも失っけど、その結果何か真希さんみたいに途轍も無く強くなってしまった。えっと何ででしょうかね。僕には分からないよ。

 今は電車の車内。虎杖と脹相さん、シャルルとエーオースと僕で移動中。目的は栃木県らしい。

 

「いや、このファティマ・マイトって奴、色々大変でしてね、生まれてから8歳までの記憶が完全に混濁してぐちゃぐちゃになってて、その間自分でも何やってたかさっぱりなんです」

 

「そんな副作用があるのか? 思ってたより大変なんだな」

 

 今の人格が取り敢えず出来たのが大体8歳の時。それ以前は、正直何も覚えてない。前世の記憶とファティマ・マイトの能力が不整合を来してまあ酷い事になった後、前世の記憶が擦り切れて出来上ったのが今の人格。だから年は行ってるはずなのに、精神年齢はたかが8歳程度、実に虚しい事ながら。僕がバカなのはこのせいです。

 

「んー、にしても栃木県ですか、行くの初めてですね」

 

「天元様から聞いてるが、あいつは栃木県の立体駐車場跡地で賭け試合の胴元をしている。歴とした呪術規定違反だな」

 

「は? いや、天元様って誰ですか?」

 

「あー、そう言えばお前は接触してなかったな。天元様は……」

 

 

 

 

「お前は」

 

「初めまして、呪術規定、変えたいでしょう?」

 

「どういう意味だ」

 

「言葉の通りです。呪術規定の条文を書き換える。呪術界現上層部の解体は既定路線です、ついでにやっちゃいましょう」

 

「ええっ、上層部解体って、ま、マジかよ、そんな事やるのかよ!?」

 

「ええ、やりますよ。あはは、虎杖には言ってませんでしたね」

 

 相手が呪術規定違反者だとしたら、例え復学を促すにしても、違反を咎められる可能性を強く警戒している事は直ぐに予想がついた。だからこっちから現行体制の解体を持ち掛け、向こうにメリットの有る話を仕掛ける訳です。

 

「良いぜ、それ乗った」

 

「ええっ乗るのかよぉ!」

 

「良かった、交渉は成立です。対上層部クーデターの際には頼りにさせて貰いますね、秤金次さん? 対価として、貴方の安全な復学にも尽力させて頂きます」

 

「良いぜ、渡に船だ。それにしてもクーデターとはな、良いねぇ、面白い賭けになる」

 

「ていうかクーデターまですんのかよぉ!?」

 

 その後、何か賭け試合に参加させられた。僕とシャルルが。何で僕まで……無理でしょ、お前が適任だろ虎杖ってそう思ってた、そして

 

 坐殺博徒、と、そう言った気がした瞬間頭が終わった。何で僕まで巻き込んで、ぶぇぉぁぁぁぁ何コレェェァァァエァァァァァァァァァァァァぁぁぁぁぉぉあええええええ!!!?? あ、あ、ああああっああ、来なければ良かったって思った。領域展開ってこういう物な、えええっぁ、私の脳内にゴミを流すなァァァって、誰かの声が聞こえ、でも誰、あ、シャルルじゃん、ああああ、私鉄純愛列車って何だよそんなの聞いたことなああああああああアアアアアアアア!!!????! 確変突入率というかそもそも確変って何ああああああああああ!?!? 

 

 こうして僕はまた死んだ。所で私鉄純愛列車って何? CRってそもそも何ですか?




主人公:けんじゃく?さんは良い人だと思ってる。精神年齢8歳。確変の意味は知らない。
両面宿儺:渋谷中に魔虚羅ばら撒いて大惨事
直哉:気付いたら超出世
呪術界上層部:クーデター秒読み
途中アクシデントを起こしてしまいましたが、予定通り短期間で素早く終わる事が出来ました。ご覧になっていただいた方へ、誠にありがとうございました。
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