ここだけマダラがイザナギに失敗死亡して未来転生、アスマと大親友になった世界(完)   作:EKAWARI

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ばんははろEKAWARIです。
例によって元スレ版より文量1.5倍増加でお送りします。
原作でいう第一部はこれにて完! 
第二部に続く!


10.サスケとイタチ

 

 

 今回の暁による木ノ葉訪問事件で、イタチと干柿鬼鮫による暁ツーマンセルを相手に対峙したのは、初日がカカシ、アスマ、紅にガイの4人で、翌日にナルト、自来也……そしてサスケの3人だったのだという。

 その時に、ナルトを連れ去るのが暁の目的だとイタチは語ったのだそうだ。

 そして今木ノ葉病院には、イタチの月読を食らったとされるカカシとサスケの師弟2人が入院している。

「ぅ……ゴガク、さん?」

 オレはするりとサスケの病室に入り、魘されているサスケと目を合わせるなり写輪眼を発動し、幻術空間の中へと誘い込んだ。

 サスケは戸惑ったようにキョロキョロと周囲を見渡す。

「あちらじゃ誰が聞いてるかわかったもんじゃねェからな」

 苦笑しながらオレが放ったその言葉に、幻術の中に連れ込まれたことは理解したらしい。

 サスケはぎゅっと唇を噛み締め、真剣な顔でオレを見上げる。

「イタチと交戦したと聞いた。どうだった、5年ぶりだったのだろう」

 サスケと目線を合わせるようにしゃがみ込み、真っ直ぐにオレがそう問いかけると、サスケは掠れた声でポツリポツリと語り出した。

「……兄さんは、何も変わっていなかった」

 その声は震えている。

 オレはゆっくりとサスケの言葉に耳を傾ける。

「はじめは怖かった。イタチは……冷たい目でオレを見て容赦なくオレの骨を折った。まるで別人みてェに温度のない、ただのモノを見るような目で!」 

 サスケの言葉を聞きながら、かつての兄弟の在りし日を思い浮かべる。

 あいつは真面目な奴だ。修行においては厳しい面も多々あったイタチだが、それでもイタチは5つ年の離れた弟をとても可愛がっていて、サスケが生まれたときはそりゃフニャフニャに笑いながらオレに弟を自慢してきたものだ。

 里抜け前の弟の前でもそうだったのだろう。

 サスケは自分に甘く優しい兄であったイタチの側面は知っていても、イタチが任務に徹している時の、冷酷なまでに感情を排した忍びとしての側面を、殆ど見たことが無かったはずだ。

 ならば、忍びとして振る舞っている時のイタチには、さぞかし困惑したし、怖かった事だろう。

「オレはオレの知っている兄さんが、もうどこにもいないんじゃないかって怖くて、だけど、違う、違ったんだ! 兄さんは何も変わっていなかった!!」

 そう幻術の中でぐしゃぐしゃに泣きながらサスケは叫んだ。

「無感動に何の躊躇もなくオレの腕と肋を折ってオレを転がして、冷たい声でオレを『愚弟』と呼び、兄さんはアンタみたいに幻術の中にオレを連れ込んだ」

 ああ目に浮かぶようだ。

 ……あいつ変な所で大雑把だからな。弟に情けをかけている姿を相方に見られるのは拙いし、かといって弟を殺すなんて論外。骨くらいなら折ってもそのうち治るからいいだろう、冷酷さアピールになるし……くらいの考えでノータイムで結論出して決行したんだろうな、感情殺した無表情で。

 ……これが前世のオレ(うちはマダラ)だったら例え演技だったとしても、最愛の弟(イズナ)を骨折させて突き放すとか絶対無理だったぞ……イタチお前本当に思いきり良いな!?

 とはいえ、別にイタチの弟への愛情が前世のオレに劣るなどと比べるつもりもないのだが。

 あいつはあいつなりに自分の立場を客観的に見た上で、それが弟を守る事に繋がると判断したが故の行動なのだろうから。

「そしたら兄さんは言うんだ。『すまなかった、サスケ』って申し訳なさそうに、あの頃の顔で。どうして兄さんがこんなことをするんだ、なんで抜け忍になったんだってオレが聞いても、ただ苦しそうに『すまない』ってオレのこと抱きしめて、『大きくなったな、サスケ』ってオレの成長が嬉しいと言わんばかりに笑ったんだ」

 そうして会話の終わりにはかつてよくやっていたように、『許せ、サスケまた今度だ』とデコをトンと押して、幻術を仕舞いにして一瞥すらくれず去って行ったのだという。

 幻術空間の中では昔の優しかった兄の姿を見せてくれたというのに、現実でのイタチは、連れである霧隠れの怪人に、サスケには悪夢を見せている事を告げて、弱すぎて殺す価値もないと冷たい声で吐き捨ててから去っていったのだとか。

 だがサスケは実際には幻術に連れ込まれたまでは事実でも、悪夢など見せられていないのだ。

 だからイタチのあの冷酷な態度は、ただの演技(パフォーマンス)なんだと、サスケが理解するには十分だった。

「なあ、アンタは何か知ってるんじゃ無いか!? 何か、だってアンタは……!」

「例えそうだとしても、今のお前にオレが何かを答えることは出来ん」

 オレは極冷静に、サスケの懇願にそう返した。

「知りたいなら強くなることだ」

 ボロリとサスケの眼から涙が一筋伝う。

 悔しさを隠しきれないように、唇を噛みしめて、サスケは慟哭する。

「う、く……強く、なりたい。兄さんよりもずっと、誰よりも、強く!」

 オレはそんなサスケの頭をポンと叩き、かつてうちはマダラだった時代幼かった弟達にしてやった時のように、視線の高さを合わせながらサスケが望んでいるであろう言葉を告げる。

「サスケ、お前にはオレの知りうるうちはの術の全てを叩き込んでやろう。だから今は眠れ。明日からまた頑張れるようにな」

 幻術を解き、現実世界でサスケが眠りに落ちる姿を見届ける。

 その目元は兄の真意が分からぬ憔悴故か色濃く隈が刻まれており、碌に眠れていないのは明白だ。そういう意味では、病院に放り込まれていたのは正解だったのだろう。

 その秀麗な顔立ちもそうだが、こういう直向きに兄を慕う姿がサスケは良くイズナに……前世のオレの弟に似ている。

 イタチがサスケを大切に想う気持ちはよく分かる。

 サスケは真っ直ぐだ。

 この忍びらしからぬ真っ直ぐな純粋さが、イタチには可愛くて仕方ないのだろう。

(イタチか……)

 

 5年前の事を思い出す。

 あの日、イタチは四代目の許可を取っている事を宣言してからオレに万華鏡を見せ、次の日に里を抜けたのだ。同族殺しのイタチという汚名を負って。

 当時イタチは四代目の直属である暗部で分隊長を務めていた。

 そして里抜けした足でそのまま暁という指名手配付きの抜け忍で構成された組織に所属し、その四代目が亡くなったと聞いて、ある程度木ノ葉の混乱期を抜けるなりすぐさま里に顔を見せたその理由が分からぬほど、オレは耄碌しているつもりはない。

 推測ではあるが、ほぼ間違いなくイタチは『暁』に派遣されたスパイなのだろう。

 そして四代目に何かがあったときは、その任についている事をオレに開示する許可を取っていると、あれはそういう意味だ。

 その証拠もある。

 今朝の事だ。オレの使役する鷹に、一羽の烏がまとわりついていた。

 オレが見間違えるわけがねェ。

 これはイタチの烏だ。

 イタチの烏はオレの鷹の首元に嘴を押しつけていた。迷惑そうなツラをしているオレの鷹を宥めながら羽毛で隠されたそこを指で探れば、あったのは時空間忍術で封をされた密書だ。

 イタチによる暁の調査書だろうとあたりをつける。

 他には伝言も何もありゃしねェ。だがまあ間違いない、三代目に届けろということだろう。

 それにはオレなら一々言わなくてもわかるだろうというイタチの考えが透けて見えて、思わず苦笑した。

 全く世話の焼ける弟分だ。言葉が足りねえにも程がある。

 だがそういうところにオレに対するイタチの信頼を感じ取り、可愛い奴だと思うのは兄貴分の欲目という奴だろう。

 だから今朝オレは任務報告書に不備があったという体で三代目と向かい合い、何食わぬ顔でイタチに託された密書を報告書に挟んで提出した。

 中身は見ていない。

 あいつも忍びで、オレも忍びだ。その信頼を裏切るつもりはない。

 

 * * *

 

 結論から言えば、五代目火影には病払いの蛞蝓姫の名で知られる初代火影千手柱間の孫娘、綱手が就任した。

 確か血液恐怖症を患っていたと聞いていたが、それも克服したらしい。

 ……オレが柱間の孫である綱手に向ける感情は複雑だ。

 以前は綱手姫と呼ぶことに違和感などなかったが、うちはマダラとしての記憶が蘇って以来、どうも柱間の孫を相手に姫と呼ぶことに違和感があって頂けねェ。

 とはいえそのうち慣れるだろうが、うちはゴガク個人としても、逆恨みに近い感情を多少持ち合わせている相手だ。

 綱手は医療忍術のスペシャリストだ。

 オレの中のマダラの記憶は、印も結ばず一瞬で傷を癒やせる柱間の存在を知っているからこそ、柱間の足下にも及ばん飯事のような医療忍術だと見下すような感情を訴えかけてくるが、それでもうちはゴガクとして生きてきたオレはこの女が提案したからこそ、木ノ葉の医療忍術は他国より発展したことも知っているし、医療忍者育成の面での功績の数々も理解している。

 適正持ちの数が多いわけではないが、それでも一人だけが使える術ではなく体系化し、多くのものが使える術にまで落とし込んだ事は褒め称えられるべき功績だ。

 木ノ葉の医療忍術の基礎を築いた功労者、それが病払いの蛞蝓姫・綱手だ。

 尚、それでも綱手と綱手以外の者の間には医療の腕に雲泥の差がある。それは誰もが知る純然たる事実だ。

 だからこそ子供時代のオレは思ったのだ。

 クロキが病に倒れたとき、この女が病院にいたのなら妹は……クロキは助かったんじゃ無いかって。

 そう心のどこかで思っていたからこそ、疎ましい気持ちがある。

 勿論、これが逆恨みなのは承知している。

 故にそんな悪感情を誰かに見せた覚えもないが、それでも感情というのは儘為らん物だ。

 それも綱手が五代目火影に選ばれた以上、割り切るしかないのだろうが。

 火影として見るならば悪い選択でもないだろう。

 少なくとも功績も実力も知られているし、多少短気の気はあるが話せばわかるタイプだ。人望もある。千手の人間ではあるが、マダラの時代のようにうちはに対して思うところもないとなれば、上層部が何を言おうがフラットにものを見ることが出来る事だろう。

 途中サスケが大蛇丸の手のものに浚われかける事件もあったが、それも奪還に成功する。

 サスケは浚われかけたという事実が堪えたのもあったのか、どれほどオレが手酷く扱いても文句一つ言わずについてくる。

 とはいえ、オレはサスケの担当上忍ではなく、俺の担当下忍はシノ、ヒナタ、キバの三人だ。

 自分の担当下忍を疎かにしてまで、サスケを優先させるわけにもいかねェ。

 故にオレがサスケに振れる時間というのは存外少ない。多くても週に1度、それも一刻ほどが上限だ。

 その少ない時間を使ってうちはの極意を叩き込むんだ、スパルタにもなるという奴だろう。

 それにサスケはスポンジが水を吸い込むようにうちはの秘伝を覚えていく。

 今ではうちは火炎陣や、火遁・豪龍火の術などをノータイムで出せるようになった。

 扱きがいのある奴だな面白いと、気付けばニィと口角が上がる。

 アスマにはその度「お前、凶悪な顔してんぞ。余所ではするなよ」等と言われたが、余計なお世話だ。オレとて流石に砂利共の前では自重する。

 サスケの担当上忍であり正式な師はカカシだ。

 流石に他の師がついている相手を無断で鍛えるわけにはいかねェし、オレとサスケが親族なのは公然の事実だ。

 故に、サスケにはうちはの秘伝を叩き込むから時々借りると伝達すれば、奴は「りょ~解、まゴガクなら大丈夫っしょ」と手をひらひら振りながら、ちゃらんぽらんな態度で了承した。

 ……あいつ、本当に変わったな。

 ガキの頃はツンケンした無愛想で可愛げのねェ砂利だったんだが。

 遅刻の常習犯だったオビト相手に「だらしない」だのなんだの噛みついてたのをよく見かけたもんだ。妹の看病の為とはいえアカデミー欠席常習犯だったオレも何度あいつに嫌味を言われた事か。まあその度に「一々テメーは煩ェんだよコラ!! 人んちの事情に口出してんじゃねェよ、この良い子ちゃんが!!」くらいは言い返してたし、アスマもオレをフォローしてくれてたんだが。

 そんなあいつが今は逆にオビトリスペクトな上に遅刻魔なわけだから、人生とはわからんものだ。

 ……まあ、いい。

 オレが鍛えていない時のサスケの師はカカシだが、カカシはどうやら雷遁を中心に伝授しているようだ。この調子でサスケには火遁と雷遁の二つの性質変化を極め伸ばしていってもらいたい所存だ。

 四代目の所の砂利は、自来也に連れられ仙人修行に旅立ったとそう聞いた。

 そうして木の葉崩しから2年半ほどの月日が流れた。

 

 続く

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