ここだけマダラがイザナギに失敗死亡して未来転生、アスマと大親友になった世界(完) 作:EKAWARI
今回も元スレ版より1.5倍増量でお送りします。
再会は偶然だったと、言える。
いや、偶然では無かったのかも知れない、どちらでもいい。
どちらにせよ、オレの眼を誤魔化す事は出来ん。
その姿を見た瞬間、脳裏に20年以上前に亡くした妹の顔がよぎる。辛かっただろうに苦しかっただろうに、言ったらオレに心配をかけるからと、あまり泣き言を漏らす事の無かったクロキ。
少しずつ弱っていく姿を、その命の灯火が消えるまでずっと隣で見ていた。
その体温が無くなりゆくのを、ずっとつぶさに感じていた。
妹がかかった病の特徴をオレが知らない筈がない。同じ病にかかった人間を、このオレがわからない筈がねェだろう!!
イタチ、お前は一体いつから……肺を病んでいた。
行動に移ったのはイタチが病に冒されていると看破と同時だ。
次の刹那、
その際すぐに本物のイタチがいないことには気付かれぬよう、少し離れた所にイタチの姿に変化させた影分身と、変化を使っていない影分身も出して置いていき、霧隠れの怪人の加勢に向かわぬ事に不思議がないよう、交戦しているように偽造する。
流石にオレがそんな行動に出るとはイタチにとっても想定外だったのだろう、珍しくも驚いたように目を見開く
「放して下さい! 何故を聞きたいのはこちらだ、貴方はわかっていると思っていた!!」
イタチとしてはオレの今回の行動に対して、自分の任務を邪魔されたという認識なのだろう、眉間に皺を寄せそう怒鳴り返す。それでも無理矢理にもこの幻術を破ったりしねェのは、イタチ自身も現実では言えねェことも幻術の中なら言える事を理解して、その上で言いたいことがまだあったからなんだろうが。
どちらにせよ、感情を露わにすることが少ないイタチとしては珍しい事だった。
だが、話が噛み合っていない。
オレが怒っているのは病を隠したことだ。
「ああ、そうだ、お前の任務はわかっている、見守るつもりだったさ! だが、お前が病に侵されてるってなら話は別だ!! 例えお前が嫌がろうが泣き叫ぼうがオレはお前を里に連れ帰る!!」
怒りと悲しみない交ぜに決意を込めてオレはそう叫ぶ。
そんなオレを見て、イタチは驚いたように眼を見開く。
「……どうして」
まさか一目で病を看破されるとは思っていなかったのだろう、イタチは珍しく動揺していた。
幻術の中ながらも、オレはそんなイタチの頬に手を添え、一つ一つ確かめるような声音で言う。
「呼吸音、その脈の打ち方、チャクラの減少具合、乱れ方……オレはお前の病の、その症状をよく知っている。誰よりもよく……」
そうして現実でもそうしているように、幻術空間の中でもイタチの体を抱きしめる。
(嗚呼……痩せちまってるな)
元は忍びとして理想的な体付きをしていた筈なのに、窶れて肉付きが落ちている。この骨の感じからすれば、肋も浮いているのかも知れない。鍛えて絞った結果とは違う、不健康な痩せ方だ。泣きたいくらいにその事が苦しい。
前世の弟イズナの最期と、現世の妹クロキの最期の姿、その両方がここにいるイタチに重なる。
失うのではないかという恐怖で、目眩がしそうだ。
イタチは動揺している。
隠していた病を知られたというのもあるのだろうが、オレは今青ざめて震えていない自信がない。現実でも、幻術空間のどちらでも、これほどに密着しているのだ。オレにイタチの脈拍が聞こえるように、イタチにもオレの乱れ狂った心音は聞こえている事だろう。そんな平常とは言いがたい状態のオレに対する困惑や心配などもあったのだと思う。
だが、それでも何も言わないままあまりに時が過ぎれば、イタチは無理矢理にでもこの幻術を破り、任務に戻ろうとするのだろう。そういう奴だと、知っていた。
故に沈黙もほどほどに、オレは口を開く。
「オレには二人の兄と二人の妹がいた」
思えば、イタチに前の家族について語るのはこれが初めてだ。
「下の妹は死産だった。そしてその三日後には母も死んだ。酷い難産でな……おまけに産まれた子は最初から死んでた、その心労が重なったのだろう。母は呆気なく亡くなったよ」
今でも母の死に顔はよく覚えている。
『ねぇゴガク、クロキのことお願いね……』
そうオレに言い残して亡くなった母の顔は、まるで蝋人形のように白く、その肌は氷のように冷たかった。
「臨終に立ち会ったのは当時1歳の上の妹と、4歳だったオレだ。母は上の妹を頼むと、守ってあげてと最期にそうオレに願い、それをオレは承諾した。だが、その約束は果たせなかった、その2年後に妹は……クロキは肺の病を患ったからだ」
そのオレの言葉にピクリと、イタチは何かに気付いたように反応した。
「当時里は戦争に向かっていた時期でな。お前もよく知ってる第三次忍界大戦だ。忍びでもねェ、アカデミー生ですらねェようなガキの命の順位なんて、現役の忍びの命に比べりゃとても低い。薬こそ出されていたが基本は自宅療養だ、碌な診察すら受けられず妹の治療は後回しにされた」
今でもあの時の悔しさ、無力さはよく覚えている。
可哀想なクロキ、あの病院で失われていくあの子の命に注意を払うような大人など、果たしていたのだろうか?
(なァ、柱間ァ。笑っちまう話だろ? お前が作ったのは子供を守るための里だった筈なのに、その子供の命を軽視してたんだぜ、あいつらは)
だが、戦っていうのはそういうものだ。
そういうものだと、オレは
いつだって誰かが犠牲になる。
それがあの時はオレの妹だった、そういう話だ、これは。
「兄達はその時には既に忍びとして働いていたから早々休めはしねェ。家族で一番時間があるのはオレだった。だから、オレはアカデミーを休みがちになりながらも妹の看病を続けたよ」
無責任に励まして、眠れぬ妹を抱きしめながらうろ覚えの子守歌を一晩中歌って……何度そんな夜を迎えたことだろうか。
苦しそうに咳き込み、血を吐く妹に何もしてやれなかった無力感は今でも苦い思い出だ。
「妹は段々弱っていってな、おかしな呼吸になって、血を吐いて、そのうち布団から出られなくなって、だがオレには何も出来なかった……! 苦しむ妹を抱きしめてやることしかオレには出来なかった!」
代われるものなら、代わってやりたかった。
「病が発覚して1年後だ、妹はポックリと逝ったよ。オレの腕の中で、段々体が冷たくなって、息が止まって……! 衰弱していく体をどうしてやることも出来なくて……オレは無力だった」
気付けば知らず震えていた。
弟分を抱きしめ、その呼吸や脈を感じる。
健康体ではない証のようなおかしな呼吸音、おかしなリズム。
このリズムをよく知っていた。
「オレがわからねェわけがねえだろが! お前はあいつと、クロキと同じ病にかかっている。この呼吸は、脈の打ち方はあいつと同じだ!!」
「……」
イタチはかける言葉を失ったように、瞼を伏せる。
自分の今の状態そのものがオレのトラウマだと、理解してしまったような反応だった。
説得するなら今しかない。
「お前が病に冒されていると知ったら五代目とて任務を中止させ、帰還させた事を認めてくれるさ。いいや、何が何でもオレが認めさせてやる! だから帰るぞ、イタチ。五代目は医療忍術のスペシャリストだ、今ならまだ間に合うかも知れねェんだ」
「ですが……っ」
それでも自分に与えられた任務とオレの告白の間で苦悩しているのだろう、イタチは葛藤しているように眉間に皺を寄せる。
オレは一端幻術を解き、真っ正面からイタチに向かい合う。
血の気の引いたまま、それでも出来る限り優しい顔を意識して、笑う。
「なァイタチ、オレに再び家族を与えてくれたのはお前なんだぜ?」
「え?」
イタチはそんな事を言われると思っていなかったのか、オレの言葉に呆けたような顔をした。
「第三次忍界大戦で敵の策略にかかり、オレは兄達と父を一斉に亡くし、オレだけが1人生き残った。万華鏡写輪眼を開眼してな。……まあこの辺の経緯はお前もよく知っているかもしれんがな」
オレが万華鏡写輪眼を開眼した当時、イタチは3歳だった。
普通なら人の生き死にも理解しているか怪しいような年齢の幼子だったが、それでも年に似合わぬ聡明さを持つイタチは戦争で傷ついた人々に胸を痛め、我が事のようにその傷を感じ取り、心から死者を悼める、そんな優しくも繊細で酷く早熟な子供だった。
イタチが平和を愛しているのは本人の資質もあるが間違いなく、第三次忍界大戦の影響だろう。
子供に似合わぬ憂いを帯びた、悲しげな瞳をよく覚えている。
……オレが木ノ葉に帰ってきた、あの時もそうだった。
「そしてお前と、お前の家族に迎え入れられた。小さかったお前はまるで自分が傷付けられたかのように痛そうな顔をして、『大丈夫?』とオレの手を握った。それを見てフガクは『一緒に暮らさないか』とオレを誘ったんだ」
あの時代孤児なんて珍しいことじゃない。
どこの家庭とてそこまで余裕があるわけでもない、例え親族としても孤児を……それも既に忍びとして働いているような相手を引き取るということは珍しい事だった。
「オレは嬉しかったよ。お前に『ゴガクにいさん』って呼ばれて、妹がまだ元気だったあの頃を思い出した。ああ、そうだ、オレにはまだ守るべき家族が残っているんだってそう思った」
もしあの時イタチがオレに手を差し伸べてくれなかったら、きっとフガクはオレに共に暮らそうなんて提案しなかった事だろうし、オレにはまだ守るべき家族がいるなんて思いもしなかったはずだ。
そうして守るべき
マダラはオレだが、オレはマダラじゃない。それでも根本的にオレはマダラと同じ人間なのだ……憎しみに目が曇り、誰も信じられなくなる。そんな未来も有り得た。
だがそうはならなかった。
マダラにはなくて、
失った後に与えられた新しい家族と、我が事のようにオレの生存を喜んでくれた気心の知れた友。
その最初の一歩を刻んだのは……。
「お前がオレに家族を再び与えてくれたんだ」
こうして話している今も、オレの影分身は部下を引き連れ霧隠れの怪人相手に戦闘を続けている。キリがよくなったら部下から先に逃げさせるつもりだ。
影分身に化けさせたイタチと、同じく影分身のオレの戦いでイタチの不在を誤魔化しちゃいるが、果たしてあの霧隠れの怪人はどこまで騙されてくれるものか……。
悠長にしている暇はないと、イタチを腕に抱き上げ駆けながら話を続ける。
イタチは存外大人しかった。
お前からすれば別にオレの事情なんて知る必要もねェだろうに、オレの話に真摯に耳を傾けている……やはり、お前は優しい奴だよイタチ。
「だから、頼むイタチ……オレからもう家族を奪わないでくれ」
切実に願いを込めて、頭を下げる。
「オレはもう家族の死に顔なんて見たくねェんだ……! オレのために生きることが出来ねェってんならサスケの為でいい。あいつは今でもお前を信じている。お前との再会を夢見て、ずっと直向きに努力し続けているんだ。お前も兄ならサスケから兄を取り上げてやるな」
マダラでもありゴガクでもあるオレには、兄の立場も兄を慕う弟の気持ちもどちらもよくわかる。
だからこそ、言外にサスケが不憫だとそう告げる。
「ゴガク兄さん……」
「ハハッ、久しぶりにそう呼んでくれたな」
オレはイタチの真っ直ぐな髪を撫でる。
それにつられたようにイタチも薄ら口元に微笑を浮かべる。
次いで、咳き込んだ。
「げほ、ごほ……ごほ」
ぽたりとイタチの指の間から赤黒い血が伝う。
体温は低く呼吸がおかしい。
もう成人しているのに、背丈はオレとそう変わらないのに、その体は泣けてくるくらいに軽かった。
「……飛ばすぞ、死ぬなよイタチ」
続く
ゴガク君のプロフィールは基本マダラと一緒のイメージなので多分12/24生まれの179.0cm71.3kgで好物は稲荷寿司だし苦手なのは白子だしCVは内田直哉。
ぶっちゃけ髪型以外顔も前世と一緒だけど髪型補正と同族だから顔が似ていること自体は不思議じゃない&世間に知られているマダラ像と雰囲気とか表情が違うので終末の谷の像でマダラの顔知っている人にも同じ顔とは思われていないっぽい感じ。
対してイタチさんは178cm58kgなんで身長は1㎝しか変わらねえのにゴガクと13㎏も体重は違うんだなあ~……