ここだけマダラがイザナギに失敗死亡して未来転生、アスマと大親友になった世界(完)   作:EKAWARI

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ばんははろEKAWARIです。
今回はゴガクの過去編その2で元スレ版より例によって1.8倍くらいに文量マシマシでお送りします。
因みに次回は現代に時間軸戻って中忍試験はっじまるよ~。


7.開眼

 

 

 クロキの葬儀は兄達が任務から帰還してからすぐに行われた。

 とはいえ、まだアカデミーに入学すらしていなかった、里にとっても一族にとってもさほど重要でもない子供の葬儀だ。参加したのはオレ達家族と従兄のフガクを始め、よく面倒を見て貰っていた大伯母など血が近いごく少数の親族と……それとアスマだけだ。

 小さな棺に花を1人1輪ずつ納めて、棺ごとクロキの体は火遁で骨一つ残さず焼かれる。妹が此の世にいた証に残されるのは1枚の家族写真と灰だけだ。

 花を納める時にもう1度だけ妹の顔を見る。

 これが最後だ。

 花に囲まれ、物言わぬ骸になった妹は、まるでひな人形のように可愛らしかった。

 これでも忍びの一族に産まれた人間にしては、妹は恵まれているほうだと頭ではわかっている。

 戦場に出た忍びの死体は五体満足とはいかない。

 遺品すら帰ってくることなく葬式すら行われない、そんな末路を辿る忍びも珍しくはないと知識の上ではわかっているんだ、それでも頭がおいつかない。

 母はまだ良い。

 確かに死んだことは悲しかったが、それでも母は子を5人も産み育てるほど生きることが出来たし、子より親が先に死ぬのは世の道理だ。それに無念の死というわけでもなかっただろう。

 けれど、妹は、クロキはまだたった4歳の子供だったのだ。

 血の気のないまろい頬、オレとよく似た髪質の肩まで伸びた黒髪、小さな鼻に小さな口に紅葉のような愛らしい手。甘えたで可愛いオレの妹。

 他の兄達より年齢が近いのもあったのだろう、オレに一番懐いてくれていた、オレの宝物。

『おにいちゃん』といつものようにオレの名を呼んで、笑いかけて欲しいのに、なのに冷たく閉じた瞳はもう開くことはない。ツンと鼻の奥が痛い。

 隣を見れば、アスマもクロキの棺に花を納めながら泣いていた。

(クロキのために、泣いてくれるのか)

 ……思えばアスマも、よくクロキの面倒を見てくれたものだ。

 妹もアスマにはよく懐いていた。

「クロキちゃん……」

 そう妹の名を呼びながら泣いているその涙は本物だった。そういう奴だ、お前は。

 忍びは感情を見せることを良しとしない。

 だがオレ達は子供だった。

 まだアカデミーを卒業すらしていない子供だ、だからきっとオレが泣くことも許されたのだろうとは思う。

 だがオレはアスマのように泣くことが出来なかった。

 こんなに苦しいのに母さんが死んだ時のように涙は出てきたりはしなくて、ただそんな自分が悔しくて、情けなくて、感情が腹の奥でグルグル回って回って苦しくて仕方がなかった。

 アスマはそんなオレにも何も言わない。

 ただわかっているというように、肩を叩いた、それだけだ。

 でもそれが有り難かった。

 ……何も聞かれたくない。

 兄達は自分もまた妹の死を悲しみながらもオレを気遣って色々話しかけてくれた。

 それすらその時のオレにはノイズにしかならなかった。

 小一時間の短い葬儀が終わり、アスマは家の敷地を出るまでの間、何度もオレの方を振り返りながら、それでも下手な慰めの言葉をかけることもなく、家の方角へと帰っていった。

 それを虚ろな瞳で見送る。

 無だ。

 アスマ以外の訪問客も一人、一人と帰っていく。それを見送りながらオレはただじっと置物のように佇む。

 父の元に部下らしき警務部隊の人間が駆け寄る。何かまたあったらしい。

 娘の葬儀の感傷に浸る暇もなく、父は苦い顔をしながら、「何かあったら連絡しなさい」と口寄せの鳩を置いて警務部隊本署の方角に向けて去って行く。

 それを温度のない瞳のまま見送った。

 そんな風に1時間、2時間と過ぎ、兄達は諦めたように優しい声で「ゴガク、夜風に当たるのもほどほどにして早く寝るんだぞ」そんな声をかけて家の中へと戻っていく。

 でもその時のオレにはそんな優しさすら酷だった。

 

 夜に染まった木ノ葉の里を重い雲の合間から月が照らす。

 その明りを頼りに、我が家を背にして一歩一歩踏み出す。

 はじめはゆっくりと、段々早く、仕舞いには駆け足で、オレは一族がよく修行に使っている雑木林に向かって夜道を駆け抜けた。

「ぁあ……アアアァ~!!」

 この腹の中をグルグル駆け回る気持ちを吐きださんとばかりに声を張り上げ叫び、オレはがむしゃらに駆け走り、自傷行為のような修行に明け暮れる。

 練習用の丸太を蹴り上げ、自分を傷付けんばかりに暴れ、藻掻き、体力を使い切らんばかりに何度も何度も体術の型をなぞって火遁を空に放つ。

 失意と絶望、悲しみ悔しさ。

 全てがない交ぜになってオレは自分を嬲り殺しにしてやりたくて仕方なかった。

(どうして誰もオレを責めねェんだ……!)

 頭ではわかっている、妹は病で仕方なかった、優しい兄達が、父がオレを責めるわけがない。

 それでも自分の奥底に沈めた想いが叫ぶ、お前のせいだと糾弾してくれたら良かったんだ、と。

(……オレは、母さんとの約束を果たせなかった)

 だって、そうじゃねェか。

 母との最期に立ち会ってたのはオレだ。母の最期の言葉を聞いたのはオレだけなんだ。

(何が兄だ、何が任せろだ! 何が守るだ、この嘘つきが!! クロキを、守れなかったじゃねェか!! クソ、畜生、畜生、畜生!!)

 なのに母の最期の願いさえ叶えることが出来なかった。

 その命が尽きる瞬間までの感触を覚えている。

 弱っていく呼吸に鼓動、失われる体温。

 血を吐き苦しんでいる妹に、オレは何も出来なかった。

「アアア~~~!!!」

 我武者羅に体を動かす。クナイを投げ、拳を振り上げ、落ちてきた丸太を火遁で残さず燃やし尽くす。

 呼吸が乱れても、手や指の皮が破けても何も気にならなかった。

 ただ自分の事が憎くて、悔しくて、殺してやりたくて仕方なかった。

 無力な自分が憎かった。

 

 そうして一晩自傷行為のような修行を続け朝を迎えた時、オレは気付けば写輪眼を開眼していた。

 オレが7歳の時の話だ。

 翌年オレはアスマともどもアカデミーを卒業し、下忍となり戦争は本格化した。

 木ノ葉の人材不足はドンドン深刻化していく。

 そのあたりの問題もあったのだろう、オレはそのまま9歳の時に受けた中忍試験で中忍に昇格し、いくつもの任務を熟し続けた。

 ……傷はいつしか癒やされる。

 妹のことを想えばじくりとした痛みは走る。

 だがもうあの時ほどの痛みはない。多忙な日々はオレに感傷に浸る暇も与えない。

 人間生きていれば新しい出会いもあれば別れもある。

 この時もそうだった。

 同じうちは一族の少女だ。

 はじめは一族の修行場でオレが修行をしている中、「一緒に修行させて」と言われたのが始まりだ。

 別にオレ専門の修行場というわけでもあるまい、好きにしろと告げて修行を続ける。

 火遁、鳳仙花の術から鳳仙花爪紅まで。

 体術と遁術に手裏剣術を織り交ぜながら黙々と修行を続けた。

「私と同じような年なのにゴガクくんは凄いなあ」

 そういって苦笑する少女。

「私も頑張らないと」

 そういって俺が使っている的の隣の的に対してクナイを放つが、当たっていないわけではないが狙いが甘い。

 それを見てオレがクナイの持ち方がおかしいと指摘して手本を見せると「ありがとう」と素直に答え、女は言われたとおりに持ち直して、投げ直し、的中率が上がれば「ゴガク君の御陰だよ!」と喜んだ。

 そうやって何度か練習場で鉢合わせとなり、オレがなんとなく気になった点を指摘すればその度に女は「ありがとう」と真っ直ぐな謝辞を告げる。

 そのうち「ついでだから」とオレの分の弁当まで用意するようになった。

 わざわざ2人分の弁当なんざ用意して、オレが来ない日はどうしてるんだと聞くと、「その時は御夕飯にしちゃうから気にしなくていいよ」と女は笑う。どうも言動や実力的に下忍になりたてのルーキーのようだったが、全く酔狂な女だ。

 詳しく聞いたことはねェが、恐らく年齢はオレより1つか2つ年下といったところか。

 別段待ち合わせをしているわけでもねェし、場合によっては数ヶ月顔を合わせない事もある。それでも彼女とこの修行場を使うタイミングが被ることもそれなりに多く、まあ先達で同族のよしみだ、会えば挨拶くらいはするし、時には見かねてアドバイスすることもあった。

 とはいえ、基本的に話すのは修行のことばかりだ。

 互いのプライベートに踏み込んだ質問をすることはなかったし、別にそれでいいと思っていた。

 だが1年もそんな日々を続ければ気心も知れていくというものだ。

 それを知ってアスマは「彼女か?」とからかうものだから「別にそんなんじゃねェよ」と何でも無いように答えたが、別にそうなってもいいなと内心思ってはいたのも事実だ。

 アスマにもオレのそういうところが筒抜けだったのだろう。

 二人で修行していたとしても、彼女が修行場に現われれば「馬に蹴られたくねェからな」と笑って退散した。それに女は「何のこと?」ときょとんとしていた。

 オレと彼女は恋人ではない。

 だが、そうなってもいいと思ってたのも確かだ。

 だがそうはならなかった……その前に彼女は任務先の戦場で死んだからだ。

 死んだと知ったのも、世間話を装ってフガクに彼女の名を出して「最近修行場で見ないな」と聞いてからの事だった。

 名前と修行風景それくらいしか知らない、葬式すら知らされる事の無い、それだけの関係だった。

 別に操立てているわけじゃない、そも恋人ですらなかった。

 それでも予感はある。

 きっとおそらくオレはこの先誰とも付き合うことはないのだろうと。

 だからこそ余計にオレにはアスマと紅の関係が眩しい。

 アスマは良い奴だ。

 だからこそ、アスマが幸せになる事をオレは願っている。

 

 続く




因みにゴガクの中の優先順位
アスマ・イタチ>フガク・ミコト・サスケ>ガイ・ヒナタ・キバ・シノ>カカシ・紅・ゲンマ・エビス>シカマル・いの・チョウジ・ネジ・リー・テンテン
アスマ=大親友。
ガイ=アスマの次くらいに仲が良いと思っている友人。
紅=親友の恋人。
カカシ=アカデミー時代から何かと比べられる事が多かった相手&会ったら普通に話す程度に友人。
ゲンマ&エビス=下忍時代ガイと同班だった繋がりで会ったらそこそこ話す仲。友人判定。

多分この世界ではゴガクの下忍時代の同班メンバーはアスマと紅だったのではないかと思われる。担当上忍まではしらん。
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