ここだけマダラがイザナギに失敗死亡して未来転生、アスマと大親友になった世界(完)   作:EKAWARI

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ばんははろEKAWARIです。
例によって文量は元スレ版より1.5倍増量ですがちょっと中忍試験編読んだ記憶昔過ぎてうろ覚えでやっちゃったミスに気付いたので、一部の流れまるごと入れ替え書き直ししました。


8.中忍試験

 

 

 第八班をオレが担当するようになり半年が過ぎた現在、今年も前期中忍試験の時期が来た。

 自分の教え子たる下忍達を、その年の中忍試験に推薦するかどうかはそれぞれの上忍師の手に委ねられているが、大抵は1年から2年ほど、下忍として様々な任務の経験を積ませてから推薦するパターンの方が多い。

 まあ推薦した所で全員が中忍試験に受かるなんてことはまずなく、試験中に命を落とす危険もあれば、場合によっては一人も昇格出来ねェ場合もあるんだ、あまりに未熟な者を推薦するという事は、時には担当上忍の恥を晒す事にもなりかねない事を思えば当然と言える。

 故にアカデミーを卒業して1年も経っていない新人(ルーキー)を推薦するというのは珍しい事だ。

 だが、オレは推薦してやってもいいんじゃねェかと思っていた。

 なにせ中忍に求められるものは何かといえば、一定の戦力もそうだが、判断力や小隊を率いる隊長としての資質だ。次々上も下も死んで人材不足が深刻だったオレ達戦中世代はともかく、ある程度安定しているこの情勢で中忍に上がるのには質が求められる。

 例え実力があれど判断力やリーダーとして資質に欠けるものは審査から弾かれ、篩から落とされる。

 だが、その判断力や小隊の隊長としてやっていけるかという中忍に求められる資質、その辺は随分とヒナタもシノもキバも成長が見られる。

 戦力、という部分については怪しい部分もあるが実践に勝る経験は無しとも言う。

 今回の中忍試験で全員が中忍に受かるなんざ端から思っちゃいないが、それでも試験を通し成長したなら目っけ物だろう。

 ……等の考えの元推薦したわけだが、まさかのまさか。

 カカシ率いる七班やアスマ率いる十班もルーキーながら今年は推薦とは驚いた。

 流石にその年卒業したルーキー全てが中忍試験に推薦されるというのは、戦時中でもあまり例を見ない珍事だ。そもそもルーキーが中忍試験に挑む事自体が5年ぶりだったか?

 だがこれはこれで面白いのかもしれん。

 顔も知らぬ奴等より、顔をよく知る同期をライバルとした方が切磋琢磨することだろう。オレはただ奴等の上忍師としてそれを見守るだけだ。

 そして中忍試験当日を迎え、奴等をアカデミーまで見送った後、オレはアスマやカカシ、ガイ共々に第二試験のゴールである死の森の塔で待機をする。

 どうやら今年の一番乗りは砂の三姉弟らしい。

 第二試験の過去最短記録を4時間も塗り替えもう塔に到着したそうだ。

 あまりのことに周囲はどよめく。

 それをオレは淡々と眺める。

 チラリと一瞥する。あの瓢箪を背負った砂利が砂瀑の我愛羅だったか?

 父親は四代目風影で磁遁使いだったか。その次男坊である我愛羅は砂を操るとの事だが……。

(ありゃ一尾の人柱力だな)

 かつてマダラとして九尾を操った身だ、尾獣の気配は見れば分かる。

 色々悶着を起こしたと聞いてはいるが、一尾などオレにとっては別に脅威でもない、ただの砂利だ。特に関心もなかった。

 そうやって数日塔で過ごすうちに第二試験も終了した。

 無事塔に辿り着き、試験を突破して残った中忍候補の下忍達の中にはシノ、キバ、ヒナタの三人も当然いたわけだが、今回の中忍試験でふるい落とされた下忍の数が足りなかったからだろう、珍しい事に第三次試験に向けて予選が組まれることとなったようだ。

 最初の第一回戦はサスケと赤胴ヨロイとかいう忍びの戦いだった。チャクラを吸収する能力を持つヨロイを相手に戦いにくそうにしていたサスケだったが、チャクラを吸われるならば体術だ、と能力を理解したあとは上手く対処して難なく勝利した。

 二戦目はうちのシノの出番である。

 シノの対戦相手はザクとかいう音忍の砂利のようであったが、オレはシノに関して言えば何も心配はしていなかった。

 実を言えば、最初にオレが担当する班から中忍に昇格するものが出るとすればそれは油女シノであるとそう思っていたからだ。

 シノは言い方が回りくどいという難点こそあるが、あの世代の中では実力は十分にある方だ。

 沈着冷静ではあるがそれでいて仲間想いであり、わかりにくいが同班であるヒナタやキバの2人の事をもっとも気にかけているのはシノだろう。引き際もよく心得ているし、自分の実力もよく理解している。

 それこそが小隊の隊長として求められている能力だ。

 それに引き換えキバとヒナタはどうかと言えば、まあアカデミーを卒業した頃から考えれば、仮にもオレが見ているのだ、随分と成長しているのは確かだ。

 それでもキバは今のところ中忍として求められている資質には一歩足りていないし、ヒナタも当初に比べれば随分としっかり指示を出せるようになってはいるが、それでも一歩実力面では劣る。

 対戦相手次第では本戦に出ることは難しいだろう。

 だが命がかかっていないのなら敗北もまた経験だ、そこから学ぶものがあれば今回の中忍試験に参加したことは無駄にはならん。

 そんな風に思考を巡らせる間にも戦いは開始され、思っていた通り堅実にシノは勝利した。

 驚くべき結果ではないが、それでも「よくやった」と声をかければ、シノは少し嬉しそうに会釈した。

 三戦目から六戦目にかけてはオレが見るべきものは特にはないので割愛する。

 そして七戦目、キバは四代目の所の砂利とどうやら対決する事になったようだ。

「よっしゃー!!」

 キバは対戦する前からもう勝った気分でいるらしい、その態度はありありと四代目のとこの砂利を下に見ているのが透けて伝わってくるようだ。

 そんなキバの態度に四代目のとこの砂利もキャンキャン喚きながら不愉快そうにしている。

 ヒナタはキバと四代目の砂利どちらにも視線を向かわせながらオロオロしている。チームメイトとしてはキバを応援したいが、それでも四代目の砂利も応援したそうにチラチラとしているあたり……そういう事か?

 フ……これが青春という奴か。まあ好きにすれば良い。心の中で誰を応援しようがそれもまたヒナタの自由だ。

 が、キバの態度はいただけんな。

(散々どんな相手にも油断するなと言って聞かせた筈だが)

 これが実際に隔絶した実力差があるならば、まだいい。

 当然だろう、子供との喧嘩に本気になる大人がいるか?

 だが見たところあの四代目のとこの砂利とキバの間には、そこまで隔絶した実力差というものはない。それにあいつは半分とはいえ生命力に長けたうずまきで、九尾の人柱力だ。油断すれば盤面をひっくり返されてもおかしくないが……と思った懸念は実際に当たっていたといえる。

「勝者、うずまきナルト!」

 何せキバは負けたのだから。

 最初こそ優勢なのはキバであったが、タフネスによる四代目の砂利の粘り勝ちに終わった。

 間抜け面で赤犬と共に運ばれていく教え子を見ながら、思わず眉間の皺を深くする。 

(後で修行を増やすか……)

 オレは脳内で修行プランを練りながら予選会場を見下ろす。

 次に電光掲示板に表示された名はヒナタとそしてネジだった。

 日向宗家の娘と日向分家の息子による従兄妹同士の対戦カードである。

 白眼の日向一族の中で本家筋でありながら才に恵まれぬ者とされた娘と、分家筋ながらも日向家きっての才覚の持ち主とされた男の戦いとなれば、これが本戦であればさぞかし話題をかっさらった事だろうが、本戦に出場出来るのはうち片方のみだ。

 ヒナタには悪いが、この二人の実力は今のところ開ききっている。それを思えば万が一もあるまい。

 まあ、運も実力のうちだ。こういうこともあるだろう。

「ネジ兄さん……」

「ヒナタ様」

 ネジは従妹にあたる宗家の娘を相手に棄権を促そうとしたのだろうが、ヒナタは一歩も引かないというように、一直線にネジを見て告げた。

「宜しくお願いします」

 そう真っ直ぐにネジに視線を合わせ口にする娘の目には闘志が宿っていた。

 声を張り、姿勢を正して凛と立つその姿に、いつも内気な娘の自信に欠けた振る舞いはない。

 一歩も引かないと告げるその眼差しにその心をネジは認めたのだろう。

 一つため息を零すと「後悔はなさりませんように」と告げて、その挑戦をしっかりと正面から受け止めた。

 共に白眼の日向家である二人は同じ構えを取り、相対する。

 ヒナタもまた成長はしているのだが、仮にも相手は日向家で天才と言われている分家の倅だ。

 一つ年が違うというだけではない。もっと根本的な問題で生まれながらの才とこれまでの研鑽、両面においてあまりにも実力に差が開いている。

 それでもヒナタは立ち向かった。

 執念深く、先ほどキバを相手に対戦し打ち負かした四代目の砂利のように。

「ああ~!!」

 声を出し、息を荒げ、痛みに怖じ気づく心を叱咤しながら、勝ち目がなくなってもそれでも立ち向かう。それは中忍試験というものの本質から見れば馬鹿馬鹿しい行いだ。

 実力差を理解したなら引き際を弁えるのも中忍には必要とされる資質なのだから。

 だが、そのヒナタの奮戦はオレには快いものでもあった。

 そうだ、例え敵わなくとも挑むことに意味がある。

 

 うちはマダラは千手柱間に敵わない。

 そんなことは前世のオレだってわかっていた。理解していた。

 かつて対等な宿敵であったうちはと千手の均衡はオレが……マダラが族長になった頃には徐々に崩れていき、うちはからは何人も千手への逃亡者が出ていたのだ。それでも、マダラにとって柱間はかつての友であり殺すべき宿敵だった。

 敵わなかったとしても、それでも柱間に見下ろされるなど我慢がならなかった。

 あいつにとっていつでも殺せる路傍の石になどなりたくなかった。

 オレは柱間の敵になりたかった。

(嗚呼、そうだ。うちはマダラは千手柱間と対等な敵でありたかったのだ)

 努力はした。

 知恵を巡らせ、対抗策を考え続けた。

 弱い忍びに意味はねェと、我武者羅に忍びの技も体力も鍛え続けた。 

 実際オレにとって遊び相手ではなく、命をかけての殺し合いが成立する、そんな敵と見なせる相手などそうはいなかった……柱間以外は。

 天性の才の上に努力を積み重ねてきたつもりだ。

 実際にうちは一族でオレより強い奴なんていなかったし、写輪眼も開眼していない子供の時分から大人の手練れを幾人も仕留めてきたのがオレ……前世のうちはマダラという男だ。忍びとしての天賦の才を持っていると言われ、その才に驕ることなき努力という名の地盤を固め続けた筈だった。

 それでも尚、あの男は……忍びの神と言われた男は遠かった。

 大規模な木遁に仙術まで使いこなし、印すら必要なく一瞬で傷を癒やす、全てが桁違いだったあの男。

 子供の頃はそこまで隔絶した実力差など無かったはずなのに、時を重ねる毎に差は開いていく。いつしかオレは天才と言われる事は無くなっていた。

 たとえ柱間より弱いとしても、それでも柱間と曲がりなりにも『戦い』になるのはオレだけだというのは、惨めでもあり屈辱でも有り、また誇りでもあった。

 年を重ねる毎にその実力も心の距離も開く一方だった。

 あいつには沢山のものがあった。

 理想も、夢も、人望も、実力も比類無く持ち合わせていた。

 それに対しオレは、マダラは取りこぼしてばかりだ。

 仕舞いには絶対に守ると誓った弟すら亡くし、弟の遺言すら叶えられず、人望も居場所も何もオレは……マダラには無かった。

 残されたのは石碑に描かれていた夢の世界への切符だけ。

 救世主の夢に縋り……そして間抜けにもそのまま最悪の犯罪者としてそのまま死んだ、それが前世のオレの、うちはマダラの顛末だ。

 弱いことは醜いことだとマダラは思った。

 弱い者には何も守れないから、だから醜いのだ。

 それでもうちはゴガクとして今を生きるオレは、努力することは美しい事であると、そう思う。

 あの娘は変わろうとしている。

 それはあの四代目の砂利の為なのかもしれないし、自分自身の為かも知れない。それでもどちらにせよ、内気な己を変えたいと望んでいる。

 ならばオレは上忍師としてそれを手助けするだけの事だ。

 あと三手であの娘は敗北する。

 だがそれも糧となるだろう。

 そしてその通りになった。

「勝者、日向ネジ!」

 ふらりと娘が倒れる。

「ヒナタ!」

 満身創痍で、指一本動かせなくなった果てにヒナタは敗北した。

 そんなヒナタの元に四代目の砂利は観覧席から飛び出して駆け寄り、満身の笑みを浮かべて娘の手をしっかりと握りしめながら、「お前、超カッコよかったってばよ!!」とニッカリと太陽のような笑みを乗せて言ってのけた。

 そんな想い人を見て、ヒナタもまた嬉しそうに微笑んだ。

 

 続く

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