ここだけマダラがイザナギに失敗死亡して未来転生、アスマと大親友になった世界(完) 作:EKAWARI
今回も元スレ版より文量1.5倍増でお送りします。
その日はまるで空が泣いているような雨天だった。
ザァザァと、ザァザァと周囲の音をかき消すように雨は降り続ける。
偉大なる火影の命の灯火が尽きたことを、惜しみ嘆くかのように。
……四代目火影が死んだ。
中忍試験本戦の最中に起こされた、木ノ葉崩しによって。
企んだのは、三忍の呼び声高い大蛇丸だ。
元木ノ葉の抜け忍にして、かつて四代目と火影の座を競ったとされる男は、自ら捨てた故郷に反旗を翻した。四代目風影に成り代わり、堂々と試合会場に潜り込み、サスケと一尾の人柱力の対戦中に事を起こした。
その企みは、木ノ葉の里自体には大した損害を与えることなく早期決着を迎えたが、代償として木ノ葉を率いてきた大戦の英雄たる里長の死という結末を招くこととなった。
恐らく火影として見れば立派な最期に当たるのだろう、と思う。
四代目火影波風ミナトは、音忍達の手によって張られた結界の中で、大蛇丸が穢土転生を用いて呼び出した柱間と扉間、それから敵の首魁である大蛇丸を無力化するために屍鬼封尽という手段で持って決着させることを選んだ。
屍鬼封尽はミナトの妻の一族であるうずまき一族に伝わる封印術の一つであり、自身の魂も永劫に死神の腹の中に捕らわれる事を代償に、対象者の魂を死神の腹の中に封印する、そういう封印術だ。
術者と術を受けた者は永遠に死神の中で戦い続けることとなり、魂に干渉する術であるが故にここに捕らわれたものが再び穢土転生で呼ばれることはなくなるというわけだ。……誰かが人柱となり、死神の腹を割いて封印を解かない限りは、という注釈がつくが。
自分の命をチップにする分中々に強力な封印術であり、まあなるほど、以降も柱間や扉間によってまた穢土転生で利用され、かつての火影達自身に里を害される可能性を断つという意味では有用だったとは言える。
……最も、大蛇丸に関しては腕しか封印出来なかったという、なんとも間抜けな結果に終わったようだが。
それでも里の被害が低く済んだのは、敵の首魁を四代目が引き受けていたからだろう。
断っておくが、この里の忍びとして波風ミナトという男に対する敬意はオレだって持ち合わせてはいる。それでもオレの中のマダラが言うのだ、『間抜けな奴だ』と。
ああ確かに生前の奴等に比べれば出来の悪い木偶人形程度の戦力しか有していなかったのだとしても、それでも忍びの神と謳われた柱間とあの扉間、そして伝説の三忍の名で知られている大蛇丸の三者を同時に相手をするのは、波風ミナトには負担が大きかったのだろう。
だが、それでも敢えて言いたい。
こんなところで命をかけずとも良かったのだ、と。
穢土転生は千手扉間が開発したオレもよく知る術だ。
生前の柱間ならまだしも、あそこまで劣化した穢土転生体であれば今のオレでも対処出来る算段は十分にあった。
当たり前だろう。意識のない木偶人形の柱間と扉間などオレが恐れる理由は欠片もない。
オレが、マダラが一体どれだけ奴等と戦ってきたと思っている。戦い方がわかっているのならそれに対抗する術を調べ、研究し、備えておくのは当然のことでは無いか。
オレが周囲の奴等を無効化した後、結界を破るまでの間大人しく防戦に徹していれば、四代目は死ぬこともなかった。
死ぬ必要がないのに死んだ間抜けだと、そう前世のオレが囁くのだ。
だがそれで四代目を責めるのは酷な話だ。
何故なら四代目は知らないのだから、オレがかつてうちはマダラだったことも、それ故に穢土転生の術を熟知している事も。
明かしていないのだから知らないのは当然の事だ。
……もっとも、オレがマダラの生まれ変わりだなど、言ったところで荒唐無稽すぎて信じて貰えるとも思えねェ話だがな。
そして今のオレはうちはマダラではなく木の葉の一忍びだ、火影の要請には従う義務がある。
火影直々に手を出すなといわれ、周囲の敵の無力化を命じられたなら、それに従うのが忍びとしての務めだ。
だからオレは四代目に命じられた通りそれを果たした。
大した手間でもなかった。
だが、命令通りに砂利共を守りつつ音忍や風忍のほぼ全てを無力化し、殺害若しくは捕縛し終えた時にはもう遅かった。
死神の刃が既に発動された以上、どう足掻いてもその末路は死しかなかったのだろう。
波風ミナトは里長として木ノ葉を守り、37年の生涯を終えた。
あれだけの事が起こされながらほぼ損害なく事件が解決したのは、偉大なる四代目様の御陰と皆褒め称えている……胸クソ悪い話だ。
雨が降る中、里を守った偉大な火影の葬儀が続く。
四代目の砂利は複雑そうな表情で立っているが、無理もない。
奴が四代目が父と知らされたのは今年に入ってからの事だ。おまけに父と知らされた所で口外も許されてもいない。あくまでも対外的には親子では無く赤の他人なのだ。
(気の毒な事だ……)
親と、子と呼ぶことも共に生活する事も叶わず、果たして親の愛は息子に正しく伝わっていたのか?
息子は、自分と親子として暮らす未来よりも、火影として在る事を選んだ父を、父として見ることが出来たのか?
答えはわからない。
ただ誰の上にも、ざあざあと平等に雨は降り続けた。
* * *
大蛇丸によって木ノ葉崩しが起こされ、四代目火影波風ミナトが亡くなった中忍試験から約一ヶ月が過ぎた。
現在木ノ葉隠れの里は湯隠れの里に引退していた三代目を呼び戻し、五代目が正式決定されるまでの間、暫定的に三代目によって里が運営されている。
恐らく次の火影は三忍の名で知られた蝦蟇仙人・自来也か、或いは同じく三忍と名高い蛞蝓姫・綱手のどちらかが五代目となる事だろう。
四代目死亡という顛末こそ迎えたが、早期決着させた事もあり、木ノ葉隠れの人的被害自体はそこまで酷いわけではなかったが、それでも殉職した忍びが皆無というわけにもいかず、里の弱体化は免れなかった。
そんな中、木ノ葉に張られた結界をかいくぐって一昨日、『暁』とかいう犯罪者集団でなる組織が里に顔を出したのだそうだ。オレは丁度その頃任務で遠方に出されていた為、直接視たわけではないが。
そうして里に現われた暁のメンバーというのが『同族殺しのイタチ』と、『霧隠れの怪人干柿鬼鮫』の二人組だったのだと、対峙した当事者の一人であるアスマの口から現在直接報告を受けている最中だ。
「お前にゃ悪いが、抜け忍の犯罪者を見逃すわけにはいかなかったからな」
オレとイタチの関係を知っているアスマはガリガリとばつが悪そうに後頭部をかきながら、そう報告をする。
オレはそれを両腕を組みながら、いつも通りの態度で肩を竦め、言う。
「気にしていない。今のアイツの立場はオレとて重々承知している。構わんさ。それに、イタチは強かっただろう?」
「……まぁな」
そうだ、気にしていない。
オレはイタチが里を裏切るなど露程も信じちゃいない。
あいつのことだ、きっと誰が相手でも上手いこと切り上げ抜けた事だろう。
オレはイタチの強さを信じている。
(実の兄弟じゃねェが……オレの弟だからな)
昔を思い出す。
『ゴガク兄さん』
そうオレを呼んでくれた幼子。
第三次忍界対戦で父と兄達を一斉に失ったオレは、2年ほどフガク達一家と共に暮らした。
オレはあくまでフガクの従兄弟であってイタチの兄じゃない。従叔父だ。
それでも幼いイタチに兄と呼ばれ、慕われ、家族として受け入れられた事は、家族を失った痛みを抱えていたあの頃のオレにとって、確かで何よりの救いだった。
……まあもっとも、サスケが生まれる前後にはオレはフガクの家から出て生家に戻ったわけだし、それに伴い、『ゴガク兄さん』から『ゴガクさん』にイタチからの呼び名も変更されたわけだが。それでも呼び名など大した問題ではない。
今でもオレにとってイタチは可愛い弟分だ。兄が弟を信じねェでどうする。
そんな懐かしい思い出にかられるオレを前に、アスマは「あー、ところで」と言いにくそうな声でオレの肩に止まっているそれを指摘した。
「いつもは鷹なのに烏を連れているとは珍しいな。趣向変えか?」
その質問にオレは微笑みと沈黙で返した。
続く
今回の話の元ネタ↓(元スレよりコピペ)
二次元好きの匿名さん
イタチがゴガクの鷹の口寄せをみて烏の口寄せに決めてたら可愛いし、何ならサスケもイタチを憎んでないしゴガクに修行つけてもらってるから口寄せが鳥類になってるかもしれんな。
このスレだったら、ゴガクが大戦から帰ってきた後、フガク一家と同居してた時期があるだろうし、サスケが生まれるまでは兄弟に憧れてイタチがゴガク兄さんって呼んでたけどサスケが生まれてお兄ちゃんしようとした結果さん呼びに変わったりってエピソードがありそう。
ここのイタチさんはシスイさんこそ失ったけど両親も兄貴分も生きてるしサスケに憎まれてもないから原作に比べて大分精神的に余裕がありそう