ふたご・ざ・ろっく!   作:餡 子太郎

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たっくん、キレる


文化祭ライブに向けて!の巻

 

「大変よ!出演バンドがトラブルに巻き込まれて出られないって!」

 

「文化祭の目玉だぞ!?代わりは...、代わりはいないのか!?」

 

おや?何か騒がしい........。バンドがどうとか言ってるけど、何かあったのだろうか。

 

「何かありましたか?」

 

「じ、実は出演バンドがトラブルに巻き込まれて出られなくなって........」

 

「........ふっ、奇遇ですね。実は私、ギター弾けるんですよ」

 

「ほ、ほんと!?えぇと........、確か二組の........」

 

「後藤です」キリッ

 

それから愛用のギターを片手に体育館のステージへ。そして華麗なギター演奏で体育館内の生徒達の歓声が上がる!

 

「後藤様抱いて〜♡」

 

「我らが後藤!」

 

「めちゃくちゃにして〜♡」

 

「お前が人間国宝!」

 

ふふふ........、私に掛かれば文化祭ライブも日本武道館ライブもおちゃのこさいさいよ...。

 

 

 

「では二組の出し物はメイド喫茶に決まりました!」

 

「ふへへへ........んは!?」

 

い、いかん!完全に寝てた........。今は文化祭の出し物決めてるんだっけ...。今メイド喫茶って言わなかった...?

 

「え〜、ありきたり!」

 

「鉄板って言いなさい!皆んなでメイド服着ようよ」

 

わ、私がメイド...だと...?間違いなく戦力外過ぎる........。そして私のメイド服なんて誰得なんだ........。冥土喫茶なら貢献出来るのにな...。『あっ、あの世へ二名ご案内...』って...。

 

「それと二日目のステージの出し物の件ですが、やりたい人は生徒会室前のBOXにこの用紙を入れて下さい」

 

個人の出し物か...、バンド...。中学では結局一回も出来なかったな...。妄想で1000回以上したし、いっか........。それに今はライブハウスでライブしてるし、文化祭でライブなんてお遊びだと認識されてしまう........。私はバンドを遊びでやってるんじゃない!本気でやってるんだ!だから、私は屈しない!

 

クラスの誰かがライブしたら私、惚れちゃうな〜♡

 

 

 

キングクリムゾンッ!

 

 

「................え?」

 

あ、あれぇ........?な、何で私...、生徒会室前に...。ってか私の手にはバンド出演希望って書いてあるんだけど!?誰だこんなの書いたのは........!?ご、後藤ひとり...!?私!?私本人だと!?ば、馬鹿な!そんなは筈はない!もしやこれは新手のスタンド使いの仕業か!?

 

(ふ、ふざけるなぁ!!私は硬派ギタリストなんだ!文化祭でちやほやされたいなんて煩悩は消せ!!バンド活動に集中しろ!全集中・ぼっちの呼吸、壱の型『ツチノコ』!!)

 

「あれ?ひーちゃん、どうしたの?」

 

「た、たっくん........?」

 

私が邪念を振り払っていると、大量のノートを持ってるたっくんがやって来た。また先生に頼まれたんだねたっくん........。

 

「さっきから生徒会室前で頭をブンブンと振ってたけど、生徒会室に何か用かあるの?」

 

「あっ、いや、大したことじゃ........」

 

「........はっは〜ん、さては文化祭での個人の出し物の件で出そうか出さないか迷ってたね〜?」

 

な、何故それをたっくんが!?

 

「何でって顔してるけど、ひーちゃんの手に持ってる紙を見れば一発だよ。それにひーちゃんの名前書いてあるし」

 

し、しまった!?隠してなかったからがっつり見せていた!?

 

「実は僕も出たいって思ってたんだ!僕の意思でもあるけど、クラスの子にもやって欲しいって言われたんだ!」

 

羨ましいよたっくん........。文化祭ライブやってくれって言ってくれるクラスの子が居て........。どうせ私なんか今でもクラスの一人として認識されてない女ですよ........。

 

「あっ、でも喜多さんはまだしも、虹夏ちゃんとリョウさんは他校だし........。難しいんじゃ........」

 

「大丈夫じゃないかな?実は僕のクラスの子のお兄さんが生徒会やってるって言っててね?聞いてみたらオッケーだって言うから、あとは虹夏ちゃんとリョウちゃんの返事次第だよ!」

 

あ、もう逃げ道がないじゃん(白目)

 

「か、考える時間頂戴........。後生だから........」

 

「これ書いたのひーちゃんだよね!?........まぁ、ひーちゃんが決める事だからね。締切までにはちゃんと出そうね!」

 

そう言って『僕は先生にノート出しに行くから!』と言って去っていくたっくん。まぁ期限までには時間はあるし、ゆっくり考えよう...。

 

 

 

「文化祭ライブ?ふーん、いいんじゃない?迷ってるくらいなら出た方がいいと思うけど。一生に一度の青春の舞台だし、まぁ私は高校碌に行ってないから適当に言ってるけどね」

 

「私は高校中退でーす」

 

「何で誇らしげに言ってるんですかPAさん!?」

 

放課後、たっくんとバイトする為にスターリーへ向かって、文化祭ライブについて相談するが、店長さんは碌に高校行ってなく、PAさんは高校中退してしまったという事実が発覚した。こうなるんだったら相談するんじゃなかった...。

 

「お、珍しくぼっちちゃんとたっくんがお姉ちゃんと話してる!何の話ししてんの?」

 

「二人が文化祭ライブに出ようか迷ってるんだって」

 

「あうっ!?」

 

途中から虹夏ちゃんとリョウさんがやって来て、虹夏ちゃんが私と店長さんが話してる内容を聞くと、店長さんがストレートに言ってしまった。

 

「え!いいじゃん出ようよ!」

 

「あ、でも虹夏ちゃん。そっちの高校と文化祭の日程って被ってないですか?」

 

「大丈夫だよ!問題ナッシング!」

 

そう言って親指を立てる虹夏ちゃん。

 

「に、虹夏ちゃん達は出た事あるんですか...?」

 

「うん!中学であるよ!」

 

「マイナーな曲弾いて会場お通夜にしてやった」

 

「なんて事してんのリョウちゃん!?」

 

流石はリョウさん、リョウさんならやりかねない........。

 

「あたしもリョウとは文化祭ライブした事ないし出たいな〜。バンド組んだの最近だし、うちの学校厳しいからそういうのないんだ。昔はお互い別のバンドしてたし」

 

「私もオリジナル曲をハコ以外でライブしたい」

 

「こういうバンドがあるって知って貰ういい機会だよ!」

 

「........でも高校の文化祭って、青春ロックで盛り上げないと退学なんじゃ」

 

「そんな校則ないでしょ!?」

 

「もしあったら教育委員会の皆様が黙ってないよひーちゃん!」

 

え?無いの?

 

「とはいえ、ぼっちの迷ってる気持ちも分かる。下手したらハコより多い人数の前で演奏する訳だし」

 

「だからそんなに焦って決める事でもないよ!来年もあるんだし!」

 

「無理しないで範囲で出来る事からすべき...。正直お通夜状態になったライブが偶に夢に見る...」

 

「それは自業自得だと思うよリョウちゃん」

 

リョウさんの言葉にたっくんが辛辣な言葉を返す。本当に容赦無くなったよねたっくん...。でも........。

 

「........もうちょっとだけ考えてみます」

 

私がそういうと、虹夏ちゃんとリョウさんはうんうん、と頷く。文化祭で皆んなとライブ...。

 

ああああああああああ!?

 

「「「!?」」」

 

するとたっくんが急に叫び、私達は驚いてしまった。え、何?何事?

 

「ど、どうしたのたっくん!?」

 

「まずいよひーちゃん!」

 

「え、何が........?」

 

文化祭の前に中間テストがあったの忘れてたよ!?

 

「「え」」

 

「「あ」」

 

............................................................チュウカンテスト?

 

 

 

 

 

 

 

〜数日後〜

 

「えー、これより!文化祭ライブ参加に向けての中間テスト勉強会を開始します!」

 

「「「おーー!」」」

 

「テストやだ...」

 

「こらリョウちゃん!そんな事言わないの!」

 

中間テストの存在を綺麗さっぱり忘れてた僕達は、スターリーで勉強会を開く事にしました!主催は僕です!もし赤点取っちゃったら文化祭ライブどころか、文化祭自体出られない可能性だってあるからね!皆んな楽しんでるのに補習なんて絶対に嫌だ!僕だって嫌だ!!

 

「僕とひーちゃんと喜多さんの秀華高校組みは、分からないところがあったら僕が教えます!虹夏ちゃんとリョウちゃんの下北高校組みは、虹夏ちゃん!お願いします!」

 

「オッケー!任された!」

 

「頼りにしてるわよ達也くん!」

 

「や、優しくしてね........?」

 

「任されないで」

 

「これはリョウちゃんの為でもあるんだよ!!」

 

僕がそういうと、虹夏ちゃんは腕を組んでうんうん、と頷き、リョウちゃんとは反対に、ひーちゃんと喜多さんからは期待の視線を浴びる。前にリョウちゃんのテスト用紙を見せて貰ったら、まさかの0点!生まれて初めて見たよ!こんな形で見たくは無かったけど!!

 

これではまずいと判断した僕は店長さんに無理を言って、スタジオを貸して貰いました!僕がコスプレ衣装を着る事が条件になってますが、これもひーちゃんの為、リョウちゃんの為、結束バンドの為!コスプレ衣装の一着や二着、甘んじて着ようじゃないか!

 

「言っておきますけど、逃げ出そうだなんて思わないで下さいね!幾ら僕が優しいからって、ちょっとでも逃げ出そうとしたらお説教ですからね!」

 

「見くびらないで貰おうか、そんな下らない事で逃げ出すような女じゃない」

 

「ならなんで机の上に教科書もノートどころか筆箱も出してないのかな?」

 

「................学校に忘れてきた」

 

「虹夏ちゃん、教科書見せてあげて?ペンは僕の貸してあげるから、ノートもこの日の為に五冊分買ったから問題ないよ」

 

「本当に逃げ場がない!?」

 

「そしてこの笑顔!たっくん怖い!!」

 

「たっくん、喉乾いた。ジュース買ってきていい?」

 

「その前にリョウちゃんお金あるの?」

 

「無いから貸して?」

 

リョウちゃんの言葉にカチンときて、リョウちゃんの両肩を掴んでグワングワンと揺らす。そろそろ真面目にやらないと本気で怒るよ?

 

「アババババババババババババババババ」カラッコロ

 

「いや〜〜〜〜!!リョウ先輩の脳みそが小さ過ぎて頭の中で転がる音がするわ!!」

 

まるで缶の中にあるドロップ飴みたいだね、少しは反省したかな?

 

「やめて達也くん!私のイメージを壊さないで!」

 

いや、これを機に喜多さんにはリョウちゃんから卒業して貰おう!いつまでもリョウちゃんに対してイエスしか言えないのは流石にまずいよ。

 

「多分そんな事しても無駄だよたっくん。今リョウは中1の範囲やってるんだよ?」

 

「それからどうやって高校入学できたのさ!?」

 

「一夜漬けするタイプだから、必要無くなったらすぐ忘れちゃうんだよ」

 

「忘却速度が優秀過ぎる!?それを学習能力に活かしなさいよ!」

 

「その代わりに今度は音楽関連の事忘れちゃうんだけど」

 

「今までもだけど、これから先どうやって生きていくのさ!?」

 

「虹夏に養って貰う」

 

「幼馴染を何だと思ってるんだ!!」

 

あーもう!これじゃあちっとも進まないどころか始められないじゃないか!!仕方ない........、この手だけは使いたく無かったけど、もう迷ってるぐらいなら使うしかない!

 

「店長さん!手伝って下さい!」

 

「あ?」

 

そう、店長さんに手伝って貰う事です!PAさんは中退してるので申し訳ないけど戦力外通告させて頂きます。ごめんなさいね、PAさん!でも碌に言ってない店長さんでもちょっとなら教えられる筈!

 

「......何だこれ?お前分かるか?」

 

「私高校直ぐに辞めたんで勉強出来ません...」

 

「うぉーい!お姉ちゃんは大学行ってたじゃん!」

 

「大学なんて選ばなければバカでも入れんだよ」

 

もうダメだ........、おしまいだぁ........。店長さんまでも分からないなんて.......。

 

「........ちなみに得意教科は?」

 

「........音楽?」

 

「5教科で答えて下さいよ!」

 

「妹ちゃん、先輩に頭の出来似なくて良かったね」

 

「きくりさんはいつから居たんですか!?」

 

急に出てこないで下さいよ!?びっくりしたじゃないですか!?それから大人三人は虹夏ちゃんの教科書と睨めっこが始まった。これは当分時間が掛かりそうだね........。

 

「いいかいひーちゃん?今のうちに勉強しておかないと、あの三人のようなダメ人間になっちゃうからね?そうならない為にも今からでも勉強するの。いいね?」

 

「う、うん........」

 

「がはっ!」

 

「お姉ちゃんが倒れた!?」

 

何故か店長さんが倒れたようだ。もしかしたら僕がダメ人間って言ったのがいけなかったのかな?それならごめんなさい!でも店長さんも自分の人生を見直すべきです!

 

「ってか何で平然と人の家で酒盛りしてるんですか?」

 

「外で飲んでると通報されちゃうんだよね〜」

 

「だからって此処で飲んで良い理由なんてないでしょ!?」

 

「つーかカンニングすれば〜?中間テストぐらいいいっしょ!それか教師脅して解答盗めよ」

 

「じゃあきくりさんはやった事あるんですか?そんな簡単に言ってますけど」ギロ

 

「あ、いや........。ってか社会のしたきりに縛られないのがロックでしょ?」

 

「ロックを免罪符にしないで下さい!」

 

「いや、それがロックだ」

 

「ロックですね」

 

「ダメ人間達はもう帰って下さい!!」

 

僕の言葉に大人三人かボドボドと退散して行きました。こんな事言われたくなかったら真っ当に生きなさいよ全く!!

 

「さ、さぁ!気を取り直して勉強しましょう!後藤さん、何処が分からないのかしら?」

 

「そ、それが分からないです........」

 

「........え?」

 

「ひーちゃんはね、全教科赤点ラインを余裕で超えてるんだよ........。僕のサポートがあっても最高点数が40点代なんだ...」

 

「........後藤さん、学年が変わっても先輩なんて呼ばなくていいから...」

 

「秒で諦めた!?」

 

「ひーちゃん、もしもの時は僕が頑張って養ってあげるからね...。でもね、あの三人のような大人にはなりたく無いでしょ?なら頑張ろ?」

 

「う、うん........(たっくん、怖いよぉ........)」

 

「そもそもバンドマンに学歴って必要なのかしら...?必要ないわよね...?よし!私も先輩と後藤さんと一緒に学校辞めま......」

 

バァン!!

 

「「「ひぃ!?」」」

 

「例え学校側から敵に回しても...。中退なんて........、サセナイヨ?」ハイライトオフ

 

「たっくんがキレたぁ!?ストップ!ストーープ!」

 

僕が完全にブチっとキレたので、思いっきり机を叩いて瞳孔を見開くと、虹夏ちゃんが後ろから抱きついてきた。

 

「たっくん!気持ちは分かる!分かるけどダメ!これ以上は絶対ダメ!」

 

「ぜーんぜん必要ない!現に勉強出来なくてもちゃんと生活出来てるし〜」

 

「そうそう、学校なんて辞めましょ!毎日が夏休みですよ!」

 

「........................(#^ω^)ピキピキ」

 

「ダメな大人達は黙ってて!ダメだたっくん!落ち着くんだたっくん!」

 

「........ダメ人間じゃないもん...。碌に行ってないとはいえ、ちゃんと卒業したもん........」

 

「お姉ちゃんはいつまで落ち込んでるの!?」

 

 

 

 

 

......そして、ようやくテスト勉強が始まりました。皆んなテスト勉強に集中すべく、バンド練習も最低限、アルバイトのシフトも減らして貰い、僕はひーちゃんと喜多さん。虹夏ちゃんはリョウちゃんの勉強見ながら、自分達も勉強に取り組みました。喜多さんに関してはひーちゃんより勉強が出来るので、分からない所があったら僕が教えるだけの繰り返し、ひーちゃんに関してはがっつり家庭教師にならないと本当に赤点取りそうなので毎日のように付きっきりです。まぁいつもの事なので気にしてません。

 

問題はリョウちゃんだった...。せっかく虹夏ちゃんが丁寧に教えているのに『一人の方が集中できる』とか『家の机じゃないとまったく頭に入らない』とか言い出した時には、僕と虹夏ちゃんがリョウちゃんに詰め寄ったのは何度かあった...。多分結束バンドの中で一番怒らせちゃいけないランキング上位に入ってるんじゃないかな...。

 

そんかストレスが溜まる日々を過ごしていき........、テスト本番...。

 

 

 

〜テスト返却日〜

 

「いや〜やっぱりリョウは出来る子なんだよ!」

 

「よし、東大受験するか」

 

「意識高くなり過ぎた!?」

 

「ありがとう達也くん!前回より点数が上がったわ!」

 

「全教科40点以上........!」

 

「あはは、お役に立てて良かったよ........」ゲッソリ

 

皆んな頑張ったお陰か、リョウちゃんは全教科九十点以上という快挙を成し遂げ、喜多さんは前回より点数が上がり、ひーちゃんも全科目平均40点以上と成し遂げました。

 

「よし!じゃあ文化祭ライブに向けて練習していこう!」

 

「新曲作る?」

 

(あ................、文化祭ライブの事、完全に忘れてた......)

 

ひーちゃんの顔が喜んでる顔から絶望した顔になった。もしかして、文化祭ライブの事忘れてたね...?

 

「あ、私期末テストの勉強があるので......」

 

「待ってひーちゃん!何処へ行くのさ!?ひーちゃん!?ひーちゃああああああん!!」

 

それから逃げるかのように走り去るひーちゃんを追い掛けて、文化祭ライブに向けてバンド練習を始めました。

 

ちなみに僕はというと成績は落ちました。こればっかりは仕方ないよね!?赤点は回避出来ただけでも褒めてよ!!(泣き目)

 

つづく!

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