ふたご・ざ・ろっく!   作:餡 子太郎

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今回はひーちゃんがメインなので、視点のひーちゃんが多いです。


文化祭ライブ!の巻

 

遂に迎えた文化祭二日目、もとい文化祭ライブ当日。体育館のステージ上では、色んな生徒が演奏している中、私達結束バンドの順番が着々と進んでいっていた。

 

「他のバンド盛り上がってますね〜、この曲今年ヒットしましたし」

 

「バンドのライブでペンライト振り回すとか......」

 

「ぼっちちゃん大丈夫?」

 

「あっ、はい...」

 

虹夏ちゃんが私を心配して声を掛けてきてくれた。嬉しい...。けど今は私の事より......。そう思って私は隣をチラッと見る。

 

「........(±_±)」ネブソク

 

たっくんがヤバい(語彙力)

 

何がってもう目の下にある隈がある。本人に聞いてみた所、昨日の夜、何故か寝付けられなくて夜更かししてしまったらしい...。本当に大丈夫だろうか.....、朝起きたら隈があって驚いた。家族も心配してお父さんが送って行こうか?と提案したけど、たっくんは大丈夫の一点張り。絶対に大丈夫じゃないやつだよ...。

 

「お次は、結束バンドさんでーす!」

 

「よし!皆んな行こう!」

 

「はい!」

 

「ん」

 

「あっ、はい。........たっくん」

 

「.............ふぇ?」

 

ふぇ?って何?そんなポワポワして眠たそうな顔でそんな事言わないで!可愛い!......ってそうじゃない!

 

「たっくん、出番だよ」

 

「あ、はい.....」

 

あ、これダメかもしれない......。

 

 

『喜多ちゃーん!』

『山田さーん!』

『虹夏ちゃーん!』

 

そして私達の番が回り、ステージから出てくると黄色い歓声に包まれる。そして私への声援は一切なし......、べ、別に期待してたなんてこれっぽっちも無いんだからね!?勘違いしないでよね!......いや知ってたよ?ホントだよ?ボッチ、ウソツカナイ。

 

『ごとーーー!』

『後藤くんファイトー!』

『妹ちゃんもガンバーーー!』

 

!!!!!今私の声援が!?うそ、こんな私にも声援してくれる人が居たなんて....、なんて親切な人!

 

「ぼっちちゃん、たっくん頑張れぇ〜〜〜〜!かっけぇ演奏頼むよ〜〜〜〜!うえええええええっ〜〜〜〜」

 

「うっ酒くさ...」

 

「やばい人入ってくじゃん...」

 

「」

 

お姉さんの登場で思わずそっぽ向いてしまった。呼ぶんじゃなかった...。後藤ひとり、人生の中で一番後悔したベスト3には入りました。私がそっぽ向くと、丁度たっくんの姿が写りました。

 

「〈⚫︎〉〈⚫︎〉」

 

そしたら隈が無くなった代わりに、死んだ魚のような目をしていました。しかも無表情。

 

恐らくお姉さんの声援で目が覚めた......のかな?まぁどちらにしろ元に戻ったのでヨシッ!(現場猫)

あ、店長さんがお姉さんにコブラツイストしてる......、痛そう(小並感)

 

「え〜、私達結束バンドは、普段は学外で活動してるバンドです。今日は私達にも、皆んなにとっても良い思い出を作れるようなライブにします!」

 

「それで、もし興味が出たらライブハウスにも見に来てくださ〜い!」

 

喜多さんと虹夏ちゃんのMCに、再び歓声が上がる。流石は陽キャ、私には到底出来ない事を平然とやってのける!其処に痺れる憧れるぅ!!

 

「それじゃあ一曲目いきまーす!」

 

喜多さんの合図により、観客は盛り上がると、虹夏ちゃんのドラムスティックがリズムを刻み、私とたっくんのギターと虹夏ちゃんのドラムが最初に助走を鳴らす。喜多さんが観客に手拍子を促しながら一体感を一気に作り出し、そこからリョウさんのベースと喜多さんのギターが合流してイントロの盛り上がりに拍車をかけていった。

 

たっくんも笑顔でギターを弾きながら、第二のギターボーカルとして役目を果たしている。寝不足で心配していたけど、問題は無さそうだ......。うん、いける...!なんとかなりそう...!

 

「........?」

 

一曲目が終了し、観客が大盛り上がりしてる所、私は先程のギターに違和感を感じた。

 

(あれ...?なんかおかしい......)

 

「それじゃあ二曲目いきまーす!」

 

そんな違和感が分からないまま二曲目に突入、二曲目も無事に終わって観客も大盛り上がり。でも私が感じた違和感が更に増して来ていた。

 

なんだろう...、この違和感...。

 

「ひーちゃん...」

 

すると、右隣に居るたっくんが弱々しい声で掛けてきた。とても心配そうな顔をしている...、もしかしてたっくんも私の感じてる違和感に気づいた...?

 

「え〜、ラストの曲の前にMCなんですけど、結束バンドはMCがつまらないそうで〜。全くMCに参加しない山田に言われるとムカつくんですけど、面白いトーク出来るようになるまでライブ告知だけにしときまーす!」

 

「...ひーちゃん、もし何かあったら僕に任せて」ヒソヒソ

 

「!?」

 

虹夏ちゃんがライブ告知をしている途中に、たっくんが私に聞こえる声で小さくささやくと、私は思わず驚いてしまう。ダメだ...、そんな事はさせない!今のたっくんは寝不足でコンディションが最悪...。それにいつまでもたっくんばっかりに頼ってられない!

 

「それじゃあ、最後の曲いきまーす!たっくん、曲名を!」

 

「え?あ、はい!それでは皆さん、準備はいいですかぁ〜!!」

 

「「「「「いぇーーーーーい!!」」」」」

 

「まだまだいけますかぁ〜!!」

 

「「「「「いぇーーーーーい!!」」」」」

 

「聴いてください!『星座になれたら』!」

 

たっくんが曲名を言うと、イントロが始まる。思わず踊ってリズムを刻みたくなるようなイントロから、耳が心地良いベースとギターの音が聴く者の期待感を更に増していき、喜多さんのボーカルが入ってAメロに突入し、途中からたっくんがボーカルを交代してAメロを終了まで演奏する。

 

......やっぱりおかしい。

 

昨日までなんとも無かったのに、一弦のチューニングが異常に合わない...。それに二弦のチューニングも安定していないように思える...。まさかとは思うけど...、このギターの限界が来てる...?もしそれが本当なら由々しき事態だ...、何かしらトラブルがあったら、またたっくんが出動するに違いない!

 

(お願い!もう少しだけ保って!せめて...、せめてこの後のソロギターまでは保って!)

 

私はそんな不安を抱きながらも、ただ自分の役目を果たす為にギターを掻き鳴らす...。でもそれが直ぐに叶わなくなる......。

 

パツンッ!!

 

「!!」

 

「っ!」

 

一番のサビに入った直後にまるで見計らったかのように一弦が切れて、むなしくだらりと垂れ下がった。同時にリードギターのメロディーが途切れる。やっぱりこうなった...!私は一旦しゃがみ込み、急いで二弦のチューニングを合わせようとした。でも二弦のペグが動かなかった...。

 

(まさか...、ペグの故障!?)

 

負の連鎖は終わらない...。この後ソロギターなのに弦を張り替えても意味が無いし、予備のギターもない...。私の所為で........、折角の文化祭ライブが私の機材のトラブルで台無しになっちゃう......。それに、此処まで支えてくれたたっくんに申し訳がない...。

 

(ごめん、たっくん......。やっぱり私、無理だよ.......)

 

私の心に襲い掛かる罪悪感により、目から涙が流れる。私にはもう、どうする事も出来ない...。

 

諦めてかけていた時だった。

 

 

 

〜〜〜〜♪ 〜〜〜〜♪

 

 

最悪の状況を切り裂いたのは、たっくんだった。

 

歌ではなくギターで。打ち合わせでも、リハーサルでもあんな事はやっていない。完全に即興のギターソロだ。

 

いつもは見せない真剣な目で、コンディションの悪い身体に鞭を打って我慢するように歯を食いしばり、ただひたすらギターを掻き鳴らす。

 

ま、待って......。そんな事したら......!

 

そして、私の予感は的中した。

 

「ぅ....ぁ........」

 

なんとソロギターの半分いった所で、たっくんは膝をついてしまった。あぁ......、やっぱり限界きてたんだ...!私の所為で、私の所為で.....!しかし、ソロギターの演奏は終わらなかった。

 

なんと今度は喜多さんが、ソロギターを弾いていた。それはもう、たっくんとグットタイミングで交代するように...。喜多さんだけじゃない...、リョウさんも、虹夏ちゃんも、全員が自分の為に時間を繋いでくれている。

 

「きくりさん、それ貸して!」

 

「うぇ?」

 

するとたっくんが顔を上げて、目の前に居るお姉さんに手を差し伸ばす。たっくんが手を伸ばした先は、お姉さんが持っていた小さい酒瓶だった。お姉さんはあまりピンときてない様子でたっくんに酒瓶を渡すと、その酒瓶を私に向かって転がした。私はその酒瓶を受け取ると、たっくんはまるで、絶望的な状況でも笑っているような少年漫画みたいな笑顔で、『やろう!最後まで!』と言いたげな視線を送る。

 

(この酒瓶で...、打開策は......ある!!)

 

そうか...、なんでたっくんが私に酒瓶を渡して来た理由が分かった!!

 

これを使って、ボルトネック奏法しろって事か!!

 

確か昔、私とたっくんはボルトネック奏法を試しに弾いていた。私は何なとなくコツを掴んでモノに出来たけど、たっくんはまだモノに出来ていない...。恐らくたっくんはそれを思い出して、私に託したんだ。

 

(終わらせない......!諦めない!!最後までやり切ってみせる!!)

 

私の為に時間を稼いでくれてる喜多さん、虹夏ちゃん、リョウさん。

 

そして、ボロボロのたっくんも頑張って繋いでくれた時間...。

 

決して無駄にはしない!!ギターヒーローの名にかけて!!

 

そして私は立ち上がり、酒瓶を片手に片手にボトルネック奏法で演じていると、周囲のざわつきも別のものへと変わっていく。

 

「あのギター何やってんだ!?」

 

「よく分かんねえけどすげえ!」

 

そんな声が聞こえてくるが、そんな事はどうでもいい。たっくんが与えてくれたこのチャンス、最大限に活かす!!その一心で私はひたすらギターを掻き鳴らす。そして、気がついたら既に演奏は終了寸前まで来ていた。そして、ラストの演奏が終わった...。私とたっくんが息を切らしながら呼吸を整えていると、観客から黄色い歓声が上がる。

 

「え〜、今日は本当にありがとう~!この日のライブを、みんなが将来自慢できるくらいのバンドになりま〜す!」

 

虹夏ちゃんの言葉に観客の方も歓声と声援が入り混じっている。

 

「いいぞぉー!」

「武道館行っちゃえー!」

「妹ちゃんも良かったぞー!」

「弦切れたのに頑張ったね~!」

「後藤くんかっこいい〜!」

「結束バンドは俺達の誇りだぁ〜!」

 

よかった...。上手く言ってよかった......。一時期はどうなるかと思ったけど、無事に終えてよかった...。

 

(でも、またたっくんに助けられちゃったな......)

 

それだけが、ちょっと悔しい。私もまだまだたな...、いつもながら痛感させられる。

 

「ほら後藤さん!一言くらい何か言わなきゃ!」

 

「え」

 

突然の喜多さんの言葉に息が詰まる。一言?一言って何言えばイイノ?

 

「あっ、うっ」

 

ちょっと待って?コミュ症は事前に台本作っとかないと喋れないのに、予想外のふりされたら...、何か、何か面白い事......。そういえば、お姉さんはライブの時に飛び込んでたっけ......。

 

あーもういい!こうなったらヤケクソだぁ!!そう思った私は足に力を入れた時だった。

 

バタンッ、と倒れる音が鳴った。

 

「「「「「え?」」」」」

 

音が鳴ったのは私の直ぐ隣だった。私がゆっくりと首を動かすと......。倒れていたのはたっくんだった...。

 

「.........たっくん?」

 

「達也くん!」

 

「「たっくん!」」

 

「後藤ぉ!!」

「後藤くん!!」

「おい、誰か倒れたぞ!?」

「な、なんだ!?何が起きた!?」

「兎に角保健室だ!保健室に運べ!!」

 

それから荒ただしかった。突然たっくんが倒れた事によって体育館内はザワザワと騒ぎだしたり、たっくんを心配して叫ぶ人が続出してる中、私の頭の中は真っ白になった。そして、たっくんがクラスメイトの子に保健室へと運ばれていくのを、私はただ見つめているだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

「.........ぁ」

 

目を開けたら知らない天井だった...。此処は一体何処なのだろうか...?僕は一体何をやってたんだろうか...?

 

「たっくん!」

 

「達也くん!」

 

すると横には喜多さんと涙目になってるひーちゃんだった。

 

「あの...、僕は一体......?」

 

「達也くん、覚えてる?後藤さんから聞いたけど、達也くん寝不足状態で挑んだから最後の最後に倒れちゃったのよ」

 

最後の最後...?寝不足.........。そうだ、昨日の夜全然眠れなくて、無理に寝ようとしても寝れなかったから夜更かししちゃったんだっけ...。それで文化祭ライブに挑んだら、ひーちゃんのギターが壊れちゃって、それで何とかカバーしてその場を乗り切ったんだ...。でもその後の記憶が全然無いや...。

 

「ごめんね、迷惑掛けちゃって...」

 

「ううん、気にしないで」

 

そう言って喜多さんは僕の手を掴む。

 

「喜多さん、ありがとう」

 

「え?」

 

「ひーちゃんのギターにトラブルが起こった時、僕がカバーに入って、途中でダウンした時に入れ違いで入ってくれたんだよね?」

 

「......バッキングだけだけどね。私にはみんなを惹き付けられるような演奏はできない。でも、皆んなと合わせるのは得意みたいだから」

 

「......そっか、でも助かったよ。ありがとう、喜多さん」

 

僕がそう言うと、喜多さんは顔を赤くなる。明るい表情で返して来た。

 

「私、まだまだだけど、これからもっとギター頑張るから教えてね。達也くん!後藤さ......、()()()()()()!」

 

「「......っ!」」

 

突然の言葉に僕とひーちゃんは思わず固まってしまった。ひとりちゃん...?たっくん...?喜多さんの口から?

 

「それじゃあ私はこれで!たっくん、お大事にー!」

 

僕とひーちゃんか混乱してる中、喜多さんはそそくさと保健室へと出て行ってしまった。取り残された僕達はただ呆然としていた。

 

「あ、あはは...。取り敢えず、お疲れ様ひーちゃん」

 

「.........」

 

「ひーちゃん?」

 

「...え、あ、何?」

 

僕がひーちゃんに声を掛けると、ひーちゃんが珍しく考え事をしていたのか、返事に時間が掛かった。

 

「そろそろ僕達も帰ろっか」

 

「あ、うん......」

 

それから僕達は荷物をまとめて、帰宅しようとする。外はすっかり暗くなっていて、後夜祭が行われているのか、打ち上げ花火が上がっていた。僕達は後夜祭に参加せず、真っ直ぐ帰路に着く事にした。

 

 

 

 

 

 

何故だ...。何故たっくんは怒ってこないんだ。私は帰ってから押し入れに引き篭もっていた。散々迷惑掛けて来たのに、なんで誰も責めてこない...。ギターが壊れて台無しになる所だったのに、たっくんも、喜多さんも、虹夏ちゃんも、リョウさんも、誰一人言って来ない。

 

なんで...、どうして......。

 

「......ひーちゃん、ちょっといいかな?」

 

するとたっくんがノックして、私の部屋に入る。

 

「大丈夫?文化祭終わってから元気が無かったけど...」

 

「だ、大丈夫だよ...。たっくんもゆっくり休んた方が...」

 

「うん、そうなんなけどさ...。一言ひーちゃんに言っておこうと思って...」

 

一言...?

 

「ごめん!僕の所為で文化祭ライブ台無しになりかけて!」

 

まさかの言葉に口が開いて固まった。

 

「な、なんで......」

 

「僕が寝不足にならなかったらもっと良い演奏が出来た筈なんだ、それに、僕が倒れた後にひーちゃん達にも迷惑掛けちゃって...」

 

違う、悪いのはたっくんじゃない......。たっくんは誰にも頼りになるし、誰かしらのカバーも上手く分、それが失敗した時の責任感が強い。恐らくソロギターの途中で膝をついた時に責任を感じてるんだと思う...。

 

「あ、え、あっ...」

 

「ほんとにごめん、こうなるぐらいなら嫌でも寝るべきだったね...」

 

違う!悪いのはたっくんじゃない!

 

「ひ、ひーちゃん......?」

 

自分でも驚く程の声の大きさだったけど、私は構わず続ける。

 

「たっくんの所為なんかじゃないよ...。私にだって非があるし...、それにお父さんのギター壊しちゃったし...。結局たっくんにまた助けられちゃったし...。私の方が迷惑掛けちゃってるし......」

 

「其処までだよ、ひーちゃん」

 

私がまだ言ってる途中に、たっくんが真剣な表情で人差し指を私の口に当てて待ったを掛ける。

 

「ひーちゃんの気持ちは分かったよ、要するにひーちゃんが悪いと思ってる事に関して誰も怒ってこない事に気にしてるんでしょ?」

 

「っ!」

 

「ひーちゃん、誰もひーちゃんを責める事なんて無いんだよ?だってひーちゃんすっごくかっこ良かったんだもん!機材トラブルなんていつ起こるか分からないし、父さんもね?ひーちゃんが借りてるギターって僕が借りてるギターより年季が入ってていつ壊れるか分からなかった、って言ってたもん。言い方は変だけど...、しょうがないよ」

 

「.........どうして、そんなに優しくするの...?家族だから...?結束バンドの仲間だから...?」

 

「虹夏ちゃんと一緒に居た時に言ったでしょ?結束バンドのメンバーの夢を叶える為にお手伝いするって」

 

あ..........。

 

「その為なら僕は何でもするよ!あ、でも今日みたいな事は二度としないように気をつけるね!」

 

......卑怯だよ、そんな事言うのは...。あれだけ騒ぎになったのに、なんで笑顔になれるの...。

 

「......逃げたら一つ、進めば二つ」

 

「え......」

 

「あるアニメで知ったんだ。あくまでも僕の解釈だけど......。逃げてもとりあえず一つは手に入るけど、進めば二つ以上は手に入る。どちらもプラス方向の意味として捉えて、逃げても得られるものがあるのだから、一つの選択肢として積極的に選択するって事さ。もし僕が逃げたら、恐らく文化祭ライブは上手くいけたんじゃないかな?でも進んだら...、文化祭ライブは上手くいくと同時に、『よく頑張ったね』『かっこいい』って声を上げてくれると思うんだ」

 

そう言えば.....、最後の演奏が終わった時にそんな声を聞いたような...。

 

「......話しズレちゃったね。という訳で!僕もひーちゃんもお互いに悪い点があった、それでお互い謝った!はい解決!」

 

「そ、そんな勝手に...」

 

「.........そんなに責任感じてるの?」

 

「.........」

 

沈黙は肯定と捉えたのか、たっくんは腕を組んで頭を悩み始める。そんな簡単に解決しても納得いかない...。せめて償いをさせてほしい。

 

「......なら」

 

「っ....」

 

「今晩、一緒に寝よ!」

 

.....................は?

 

「え、あ、え........?」

 

「どうしても罰を受けたいなら今晩は一緒に寝る事!嫌なら罰はなし!どう?」

 

「......え、私を吊し上げたり、火炙りしたりしないの...?」

 

「僕を何だと思ってるの!?」

 

昨日のメイド喫茶でとても低い声聞いたら何されるか分かんないよ...。(前話参照)

 

「兎に角!!どうするの?寝るの?寝ないの?」

 

「.......あ、えと...」

 

いきなりそんな事言われても返答に困る。いや寝るのは良いけど、私達はもう高校生、いくら双子とはいえ、そういうのは意識しないのだろうか...。

 

「......おやすみなさい」ムスッ

 

「ああああああああ!!分かった!寝る!一緒に寝ましょう!!」

 

不貞腐れたのか、たっくんは一言言って自分の部屋に戻ろうとした所を慌てて止める。ムスッとしてるたっくん、可愛い...。ってそうじゃない!もし止めなかったらずっと声を掛けて貰えなくなってしまう!もうたっくん無しじゃ無理!生きられない!(依存)

 

「ほんと!?じゃあもう遅いし、早く寝よっか!」キラキラ

 

「アッハイ」

 

私が一緒に寝ると言うと、待ってましたと言わんばかりの表情を見せるたっくん、私じゃなくても見逃しちゃうね。それから私はたっくんと一緒に同じ布団に入って寝る事になった。

 

「えへへ〜♪こうして一緒に寝るのはいつぶりだろうね!」

 

「中学の時から一緒に寝なくなったもんね...」

 

今思うと、最後に一緒に寝たのはいつだったっけ...。小学校5年の最後辺りだったかな...。

 

「......ねぇひーちゃん...。抱きついていいかな?」

 

「......へ?」

 

昔の事を思い出していたら、たっくんが抱きついていいかと許可を求めてきた。抱きつく......、だきつく......、ダキツク??

 

「あ、やっぱりなんでもない!ごめんね!変な事言って...」

 

へ?は、うぇ????????

 

「やっぱり嫌だよね...。双子とはいえ、いきなり一緒に寝ようとか、抱きついていいか、なんて...」

 

「あ、いや、そういう訳じゃあ...」

 

「ごめんね...、やっぱり僕自分の部屋に戻るよ」

 

「待って!」

 

そう言ってたっくんが寂しそうな顔をして自分の部屋に戻ろうとすると、私は咄嗟にたっくんに抱きついてしまった。多分...、たっくんも寂しがっていたのだろう...。

 

「いや、なんて思った事はない、よ...。私も、寂しかった......」

 

「ひーちゃん...」

 

「明日、振替休日だし...。学校休みだから、いいよ......」

 

「......ありがとう」

 

そう言ってたっくんは再び布団の中に入って、優しく私を抱きしめる。私も無意識にたっくんを抱きしめる。あぁ...、たっくんの匂いがする...。優しくて、あったかくて、安心する....。私が更に抱きしめると、たっくんも更に抱きしめる力を強める。お互いに離さないとアピールしてるかのように...。

 

「ひーちゃん、お疲れ様」

 

「たっくんも、おやすみ」

 

そして、私達は深い眠りに落ちた。翌日、私とたっくんは同時に起きた頃には既に10時は過ぎていた。私は休みの日は寝坊する事はしょっちゅうあるが、たっくんは毎日早い。『あはは!寝坊した時の感覚ってなんか調子狂っちゃうね!』と珍しく寝坊した事に笑うたっくんの顔を見て、私は思わず微笑むのであった。

 

そして、振替休日の次の日に、私の事を『ロックなやべー奴』と認識させてしまい、ある意味伝説を作ってしまったのは余談である。

 

いつか...、いつか絶対に...!

 

絶対に売れて早く高校辞めてやるぅぅぅ!!

 

つづく!!




文化祭編終了!

ちょっとはラブコメっぽいかな?
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